こんにちは、ITプロマガジンです。
自由な働き方の1つとして注目される「フリーランス」とは、どのような働き方なのでしょうか。近年注目を集めている一方で、その定義や働き方、魅力などを正しく理解している人は少ないかもしれません。
本記事では、フリーランスの定義やメリット・デメリット、収入事情などフリーランスにまつわる疑問を全て解決致します。主な仕事の種類や、フリーランスのなり方、実際にフリーランスとして活躍している人のリアルな声も紹介するので、フリーランスに興味がある人はぜひ参考にしてください。
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フリーランス市場は売り手市場であるものの、いまだに正しいノウハウが確立されておらず、多くの方が案件探しに苦労されています。
ですが、現在の市場感や企業側に刺さる経験・スキルを理解し正しく案件探しをすれば、誰でも自身のバリューを活かし単価を伸ばすことができる、というのも事実です。
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Contents
フリーランスとは?
そもそもフリーランスとはどのような意味で、どのような定義なのでしょうか?
- フリーランスの定義
- 個人事業主や自営業との違い
- 契約方法
- 収入事情
など、基本事項を解説します。
フリーランスの定義
フリーランスとは、「会社や団体など組織に属することなく、自身のスキルを活かして個人で自由に契約を結び一定の業務を遂行する働き方」を指します。厚生労働省では、フリーランスを以下のように定義しています。
実店舗がなく、雇人もいない自営業主又は一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者
フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン | 厚生労働省
フリーランスの分野は多岐にわたり、契約形態もさまざまですが、主に依頼主と契約を締結し契約内容に則って仕事をするのが一般的です。業種としては、デザイナーやプログラマー・システムエンジニアやコンサル系などが多く、専門的な分野が目立ちます。
専門的な知識を持った人が、自分の得意な分野で仕事をして報酬を得るのがフリーランスの定義といえるでしょう。
「会社や組織に属することなく、個人で業務を遂行する」のがフリーランスという働き方ですが、本業で会社員として働きつつ、副業でフリーランスをする場合もあります。Webサービスなどを介して個人で仕事を請けられる現代では、誰にでもフリーランスを名乗るチャンスがあるといえるでしょう。
なお、フリーランスという言葉は「中世ヨーロッパで、特定の有力者と専属契約を結ぶのではなく、戦争のたびにさまざまな有力者と契約して仕えていた騎士(free=拘束されていない、lancer=槍騎兵)」に由来するという説があります。
フリーランスと個人事業主の違い
フリーランスは、特定の企業・組織に所属せず、自らのスキル・知識を提供することで報酬を受ける「働き方」を指す用語であるのに対して、個人事業主は「税務上の区分」であり、税務署に開業届を提出して個人事業をする人を指します。
フリーランスと個人事業主は別ものというよりも一致するポイントが多く、フリーランスのなかには開業届を提出して税務上は個人事業主として活動する人も多くいます。フリーランスは個人事業主の一種であると考えるのがよいでしょう。なお、店舗経営者などビジネスを営む人は個人事業主という形態であってもフリーランスと呼ばれることは多くなく、自営業者と呼ばれることが多いようです。
フリーランスは働いた分の報酬がほぼそのまま収入になるのが基本です。一方、ビジネスを営む個人事業主は売上から仕入金額などの経費を引いたものが収入になり、ビジネスの仕組みによっては労働量を問わず大きな収入を得られることもあります。
なお、フリーランスのなかには税金対策や信用アップのために法人化している人もいます。こうした人は法人の代表、つまり「経営者」に該当し、全てのフリーランスが個人事業主に当たるわけではありません。
フリーランスと会社員との違い
フリーランスは、労働基準法などが適用されない点、主に雇用契約ではなく請負契約を結んで仕事をしている点で会社員と違います。
労働基準法が適用されないということは、「最低賃金」「労働時間」「休日」「有給休暇」「労働災害での補償」といった規定の保護を受けられないことを意味します。
また、請負契約とは成果物に対して報酬が支払われる契約です。成果物ではなく「週〇日△時間働いた」という労働自体に対して報酬が支払われる雇用契約に比べ、成果主義的で厳しいといえるでしょう。
しかし、請負契約には「働き方の自由度が高い」「スキル・労働量次第では収入アップを実現しやすい」といったメリットもあります。
フリーランスとして働くメリット・デメリットについては、後ほど詳しく解説します。
フリーランスの働き方とは
フリーランスには、働き方の面でいくつかの種類があります。
多様化が進む近年では働き方も多様になり、1つの仕事に没頭することが主流ではなくなってきました。フリーランスの働き方は主に以下の3つに分けられます。
- 副業としてのフリーランス
- 本業としてのフリーランス
- 自由に複数の業務を持つフリーランス
ここでは、自由なフリーランスの働き方とその種類を紹介します。
副業としてのフリーランス
本業をほかに持ちながら、副業でフリーランスの仕事を請け負っているケースです。メインの収入を本業で稼いだうえで、自由な働き方が可能なフリーランスの仕事をしている人は年々増加する傾向にあります。
最近では働き方改革が進み、有給休暇の取得が義務付けられたことで、自分のために使う時間が増えてきました。時間を有効活用するために、本業のスキルを活かした副業をフリーランスとして行うケースが多くなっています。
本業としてのフリーランス
フリーランスでの仕事を本業として、メインの収入にしている人も少なくありません。
特にIT関係のフリーランスに多く、プログラマーやエンジニアなどの専門性の高い人が、雇用ではなくフリーランスとして活躍しているケースも実例として多く取り上げられています。
IT系の技術者が雇用されて就業する場合、専門的な知識が給与に見合わないケースが多々あり、不満に感じている技術者が多いという背景も否定できません。このように専門性が高い分野であれば、十分に本業として成り立つ点もフリーランスの特徴です。
自由に複数の仕事を持つフリーランス
複数の業務を自由な環境で行っているフリーランスも多くいます。
フリーランスの仕事を本業としている点においては前述と同様ですが、固定的な業務に特化せず複数の契約を請け負って自由なスタイルで働くケースです。専門分野が多岐にわたる人や、コンサルタントなどに多い傾向があります。
「自由業」という意味では、フリーランスとしての理想に近いスタイルであるといえるかもしれません。近年増加傾向にあるフリーランスとしての働き方は、雇用されている人にとって憧れの対象になることもあるでしょう。
フリーランスのメリット・デメリット
フリーランスとして働くには、会社員と比較してどのようなメリットとデメリットがあるのかを知っておくことも重要です。フリーランスのメリットとデメリットを解説します。
フリーランスになるメリット
フリーランスのメリットには、主に次の3点が挙げられます。
- ワークライフバランスを取りやすい
- 収入アップが期待できる
- 定年退職がない
いずれもライフスタイルに大きく関わる事柄です。以下で順番に解説していきます。
ワークライフバランスを取りやすい
会社員の場合、勤務時間や休日などの労働条件は会社が決めますが、フリーランスは働く時間や場所などをある程度自分で決められます。「仕事とプライベートを分けるために客先に出勤して常駐したい」「子どもの送り迎えがあるので在宅で働きたい」など、自分の希望やライフスタイルに合わせて働き方を選ぶことも可能です。成果物を締切までに納品する職種であれば、休日や休憩時間も自由に決められるため、ワークライフバランスを取りやすいのがメリットだといえるでしょう。
収入アップが期待できる
フリーランスは、能力や工夫しだいで高収入が期待できる点もメリットです。会社員の場合、長く勤務したり昇進したりすることで給与が上がっていきますが、上限があるうえ、1年で年収が倍になるようなことはほとんどありません。
その点フリーランスであれば、スキルや実績に応じて高報酬の仕事を獲得できるのに加え、仕事を掛け持ちすることも可能です。収入をアップしたいのであれば、フリーランスとして独立することが1つの選択肢になるでしょう。
なお、弊社ITプロパートナーズがフリーランスとして働く57名(エンジニア9割、そのほかマーケター、デザイナー、コンサルタントなど)を対象に行ったアンケートでは、800万円以上1,000万円未満がボリュームゾーンとなっていました。
次いで1,000万円以上1,500万円未満、700万円以上800万円未満が多くなっています。フリーランスの平均収入に関しては、こちらの記事も合わせてご覧ください。
定年退職がない
フリーランスには定年退職がなく、長期間にわたって働き続けることも可能です。年金のみでの生活に不安を感じる人や、好きな仕事を続けたい人にとって、年齢を問わずに働き続けられるメリットは大きいといえるでしょう。
一方で会社員の場合、定年を迎えれば会社に在籍し続けることはできません。定年退職後にガラリと生活が変わることで、燃え尽き症候群に陥ってしまう人もいます。フリーランスであれば金銭的に余裕が生まれるというだけでなく、仕事のやめどきも自分で決められます。
フリーランスになるデメリット
フリーランスという働き方には、次のようなデメリットもあります。
- 収入が安定しないことがある
- 社会保険料が全額自己負担になる
- 自己管理が必要
どういった点がデメリットなのかを順番に解説します。
収入が安定しないことがある
成果物を納品したり、専門的なスキルを提供したりすることで稼ぐフリーランスは、給与制の会社員と比べて収入が不安定になりがちです。案件を獲得できなければ、当然のことながら収入を得ることもできません。
また、体調不良やケガなどで仕事を休んだ時も、会社員であれば有給休暇を使えますが、フリーランスは収入がゼロになってしまいます。イレギュラーな事態に備えて、何らかの対策を考えておく必要があるでしょう。
社会保険料が全額自己負担になる
会社員であれば社会保険料の半額を会社に負担してもらえますが、フリーランスは全額が自己負担になる点もデメリットです。
また、加入できる社会保険も異なり、厚生年金は「国民年金」、健康保険は「国民健康保険」に変更になります。さらに職を失った時に役立つ雇用保険には加入できません。
国民健康保険の額は収入が増えるにつれ上がっていくため、支払いが負担に感じられることもあるでしょう。将来的に受け取れる年金の額も会社員より少なくなることから、歳をとってからの生活が不安という人もいます。
自己管理が必要
フリーランスは、自己管理も必要です。いくら自由な働き方といっても、案件管理や体調管理を怠ると継続的な収入を失いかねません。案件を受け過ぎたり体調を崩したりすると、納期に間に合わないケースが増えてしまいます。一度失った信用を取り戻すのは、簡単ではありません。自らの行動がリスクにつながる可能性があるので、フリーランスにとって自己管理は重要です。
なお、以下の記事では独自調査を交えたフリーランスのメリット・デメリットを詳しく紹介しています。合わせてご覧ください。
代表的なフリーランスの職種一覧
どのような職種でフリーランスになる人が多いのでしょうか。主に以下の8種類が挙げられます。
1.エンジニア系
モバイルアプリやWebサービスの開発、ホームページ構築など「エンジニア系」の仕事は、フリーランスに依頼されることが多くあります。
エンジニア系の具体的な職業としては、以下のものがあります。
- システムエンジニア
- Webエンジニア
- インフラエンジニア
- ネットワークエンジニア
フリーランスとしてエンジニア系の案件を契約して安定した収入を得るには、需要の高いプログラミング言語を扱うスキルと実績が必要です。
まずはエンジニアとして会社に就職したり、オリジナルでアプリを開発したりなど、ポートフォリオに提示できる「実績」を作ってからフリーランスになる流れが一般的です。
2.デザイナー系
Webサイトのロゴやイラスト作成・UIデザインなどをする「Webデザイナー」も、フリーランスとして活動する人が多い職種です。
具体的には次のような職業があります。
- CGデザイナー
- グラフィックデザイナー
- ゲームデザイナー
美しいデザインを作れるセンスだけでなく、Webサイトのユーザビリティなど、「機能性」を考慮するスキルも求められます。
フリーランスとしての仕事を獲得するうえでは、ポートフォリオとして提示できる過去の実績や自作のWebサイトなどがあると有利です。
3.ライター・編集者系
Webサイトの文章やブログ記事などを作成する「Webライター」として活躍するフリーランスも多くいます。
どのような文章・記事を書くかによって、次のような職業に分けられます。
- SEOライター
- 取材ライター
- コピーライター
- シナリオライター
また、ライターへの指示出しや、制作の進捗管理、記事の品質管理などをする「Web編集者」として働くフリーランスも珍しくありません。
未経験・初心者歓迎の案件も多くあり、実績なしでもフリーランスになれる職種の1つです。ただし単価の高い案件を契約するには、特定のジャンルに詳しいなどの専門性や実績が求められます。
4.マーケター系
WebサイトやWeb広告などを活用して、商品・サービス・ブランドなどを宣伝するWebマーケターとして働くフリーランスも多くいます。
担当する媒体・業務によって、次のような職業に分けられます。
- デジタルマーケター
- コンテンツマーケター
- SNSマーケター
市場を分析し、マーケティング戦略を考案する高いスキルが求められるため、マーケティング会社などで経験を積んでからフリーランスになるのが一般的です。
フリーランス向けのマーケター案件が多く募集されていて、単価の相場も高く、スキルがあれば稼ぎやすいジャンルです。
5.コンサルタント系
依頼された分野についての分析・改善策を提案し、そのプロジェクトをまとめる「コンサルタント」の仕事も、フリーランスに依頼されることが多くあります。
コンサルタントといっても担当する分野はさまざまで、具体的な職業名を一部挙げると次の通りです。
- 経営コンサルタント
- ITコンサルタント
- 人事コンサルタント
担当する分野についての高い専門性と、豊富な実績が求められます。こちらも単価が高く、高収入が狙える職種です。例えば以下のような案件があります。
6.事務・バックオフィス系
事務員や秘書などが行う仕事を、社員ではなくフリーランスに依頼することは珍しくありません。
具体的には次のような職業の仕事が、フリーランスに依頼されています。
- 事務
- 秘書
例えば事務は記帳や請求書作成・データ入力などを行い、秘書事務はホテルの手配やスケジュール管理などを行うのです。
ワードやエクセルなどの基本的なPC操作ができれば対応できることが多いため、未経験で実績がなくても契約しやすい分野です。高収入を得ることは難しいですが、固定報酬で長期的に依頼されることも多くあります。
7.美容系
美容系の仕事にもフリーランスとしての働き方があります。フリーランスが多い美容系の職業を挙げると、次の通りです。
- 美容師
- ネイリスト
- メイクアップアーティスト
サロンなどでスタッフとしてスキルを磨き、経験を積んだうえで、独立するケースが多い業界です。種類によっては、店舗を開かずに自宅の一室をサロンとして活用できます。
例えば女性なら、自宅をサロンにすれば家事や子育てをこなしながら働くことも可能です。
8.士業系
以下のような士業系の職業でも、フリーランスの働き方があります。
- 弁護士
- 税理士
- 司法書士
士業系の仕事は、事務所に所属したり開業したりして働くのが一般的です。ただ、独立しフリーランスとして活動している人も少なくありません。
事務所を自宅と兼用し、企業や個人など客先へ訪問して対応する働き方があります。
これ以外にもフリーランスの職種はたくさんあります。詳しくは以下の記事で紹介しているので参考にしてください。
フリーランスの働き方を選ぶ人が増えている背景とは?
「フリーランスに関する実態調査 2021」(ランサーズ)によると、2021年の日本国内のフリーランス人口は過去最多の1,670万人となりました。
その3つの背景を解説していきます。
働く人の価値観の変化
日本政府が掲げた「働き方改革」などの影響で、自分に合った働き方やライフスタイルを実現できるフリーランスを選択する人が増加したようです。
その根拠として、弊社ITプロパートナーズが実施したアンケートの結果をご紹介します。
アンケートでは、フリーランスとして働く57名に対し、フリーランスとして独立した理由を尋ねました(複数回答可)。
その結果多かった回答は以下の通りです。
このように「働き方の自由度を求めて」という回答が1位となり、全体の84.2%を占めています。日本には長らく「仕事が最優先でプライベートは二の次」という価値観がありましたが、上記の調査結果からは変化が見てとれるでしょう。
リモートワークの普及
2020年からのコロナ禍で、リモートワークへの理解や環境整備が進んだことも、フリーランス増加の要因だといえます。
コロナ禍では人間同士の接触を減らすことが推奨され、多くの企業でリモートワークが導入されました。その結果、フルリモートを希望するフリーランス人材に対しても依頼をしやすい環境が整い、フリーランス向け案件数の増加につながっているとみられています。
実際に、クラウドソーシングサービスの「ランサーズ」が公表したデータによると、コロナ前と比較してさまざまな職種で案件数が大きく増加しました。これにはリモートワークの普及が影響していると推測されています。
フリーランス支援サービスの増加
フリーランスの案件獲得をサポートするサービスが増えたこともポイントです。なかでもフリーランスエージェントは案件紹介だけなく、クライアントとの契約や折衝、請求業務など、多様な支援を行います。
弊社ITプロパートナーズもフリーランス・副業エージェントの1つで、ITプロトータルサポートというフリーランスの方に向けて保険・金融・法律関連の支援を行うサービスも用意しています。フリーランスとしての案件獲得だけでなく安定・安心のためにお役立てください。
フリーランスに向いている人の特徴
フリーランスに向いている人の特徴を把握しておくことは、独立後でも参考になります。
フリーランスとして活躍しやすいのは、以下のような特徴を持つ人です。
- 仕事の計画性がある
- 生活リズムを管理できる
- 1人が苦にならない
納期までに余裕を持って仕事をする計画性は、フリーランスに必要な能力です。スケジュール的に案件を引き受けられるかどうかを判断する際にも役立ちます。
生活リズムを一定に保ち、健康管理や、休日の管理などができることも必要です。またフリーランスは1人での作業が多くなるため、それがストレスにならない人は有利だといえます。
フリーランスに向いている人と向いていない人の特徴は、関連記事で詳しく解説しているので、確認してください。
フリーランスとして活動する人の体験談
実際にフリーランスとして活動する人の体験談をご紹介します。
柔軟な働き方と、知見の拡大を実現
1人目は、フリーランスのエンジニアとして活動する柳井さんの事例です。
稼働時間を「週4日」など柔軟に調整しやすい会社と契約して活動しています。独立することが、税金・保険の知識、資金繰りなどの知見を広げることにもつながっているとのこと。
フリーランスになることが、柔軟な働き方と、知見の拡大に役立っている事例です。
社員と同等の立ち位置でプロジェクトに参加
次に紹介するのは、エンジニアとして独立された澁谷さんの事例です。
独立当初は、週2日の案件を2つ掛け持ちすることを希望されていましたが、現在では1つの会社で週4日の稼働。週1日出社し、残りはリモートによる作業で、働きやすいとのことです。
プロジェクトではクライアントの社員と一緒に働きますが、「メンバーとして同等の立ち位置」で活躍できている状況。フリーランスだからといって、プロジェクト内での立場が「社員より下になる」わけではないことが分かる事例です。
自由な時間を使ってスキルアップ
最後に紹介するのは、フリーのWebディレクターとして活動されている中野さんの事例です。
現在契約している会社では、午前の時間が自由に使えるとのこと。残った時間を使ってプログラミングスクールに通うなど、有効に活用しているそうです。
フリーランスの柔軟な働き方は、新しいスキルを学ぶ時間を作れるというメリットにつながることが分かります。
フリーランスになるには?事前準備と独立の手順
ここからはフリーランスになるための事前準備と独立に向けた手順を紹介します。税金や保険に関わる事務的な手続きも含まれるので、あらかじめ確認しておきましょう。
一定の貯金をしておく
まず、フリーランスになる前に、一定額の貯金をしておくことも大切です。収入が不定期で不安定になる可能性があるため、少なくとも数ヶ月分の生活費をカバーできるだけの貯金が理想的です。
貯金により、新しい仕事を探すための時間的余裕が生まれるだけでなく、収入が少なくても金銭的な安心感が得られます。
必要に応じてクレジットカードの作成
一般的にフリーランスは、会社員と比べてクレジットカードの審査に通りにくいとされます。よって、社会的信用が高く審査に通りやすい会社員のうちにクレジットカードを作っておくと安心です。
ただし、フリーランスでも収入が高いなど実績があり、支払延滞や債務整理などの事故情報がなければ、比較的審査に通りやすいといわれます。
また、フリーランスになる際は、生活用と事業用のクレジットカードを別々に作成すると良いでしょう。クレジットカードを別々にすることで、使用金額と用途の追跡が容易になります。クレジットカードの発行には約2週間かかることがあるので、フリーランスになる決断をしたら、早めに手続きをしましょう。
健康保険と年金の切り替え
フリーランスになる際には、必ず健康保険と年金の切り替え手続きをする必要があります。会社員時代は雇用主が健康保険や年金の手続きを行っていたかもしれませんが、フリーランスではこれらを自分で管理する必要があります。
まず健康保険については、以下の3つのパターンがありますが、「国民健康保険」への切り替え・加入が一般的です。
- 前職の健康保険の任意継続
- 国民健康保険・その他の健康保険組合への切り替え
- 被扶養者の健康保険に入る
次に、年金に関しては「国民年金」に加入することになります。国民年金は老後の生活資金を確保するための重要な制度で、定期的な納付が必要です。これらの保険や年金の手続きは、フリーランス生活を始める前に、住所地の市役所や役場で行ってください。
必要に応じて事業用口座の作成
フリーランスとして活動を開始する際には、事業用の銀行口座の作成がおすすめです。クレジットカードと同様、個人用と事業用の口座を分けることで、収支の管理がしやすくなり、経理処理も効率的に行えます。事業用口座を持つことで、ビジネス関連の取引を一元化し、税務申告の際の記録保持や財務管理をシンプルにできます。
必要に応じて開業届の提出・青色申告の手続きを行う
フリーランスとして正式に事業を開始する際には、開業届の提出をおすすめします。開業届は出さなくてもフリーランスとして活動できますが、開業届と合わせて「所得税の青色申告承認申請書」を提出することで、青色申告の手続きをおこなえるようになります。
これにより、上限65万円の特別控除を受けられるようになり、節税効果を高めることができます。また、青色申告では赤字の繰り越しも可能で、赤字を次の年の黒字化で相殺できることもメリットです。
以上のことから、開業届を提出しなくてもフリーランスとして活動できますが、経済的負担を軽減するなら、提出することをおすすめします。
フリーランスの開業届についてはこちら、フリーランスの青色申告メリットについてはこちらの記事で更に詳しく解説しているので、チェックしてみてください。
仕事に必要な備品やツールを揃える
フリーランスとして働くためには、仕事を効率的に進めるための備品やツールの準備が不可欠です。
- パソコン
- 専門のソフトウェア
- オフィス用品
- 通信機器 など
例えば、デザイナーやプログラマーは高性能なパソコンと専門的なソフトウェアが必要です。また、執筆業務では、文章作成ソフトや校正・推敲ツールがあると便利です。その他、マルチタスクを請け負う際は、タスク管理ツールなどを用意すると良いでしょう。仕事の効率化のため、これらの備品やツールは事業開始前に揃えておくことが求められます。
案件獲得の準備を行う
フリーランスにとって、継続的に案件獲得していくことは最重要項目です。
案件獲得の準備として、まず自分が持つスキルや経験を洗い出しましょう。次に、ポートフォリオや履歴書の作成を行い、過去の実績やスキルを効果的にアピールできるようにします。また、必要に応じて名刺なども作成すると良いでしょう。
これらの準備が整ったら、案件獲得に向けて動き出します。案件獲得の方法は事項で詳しく解説しますが、自分に合った仕事の探し方を把握することが重要です。スキルや経験に応じて、最適な案件の探し方は変わります。自分に合った案件の探し方を取り入れてください。
フリーランスとして仕事を獲得するための方法
フリーランスで安定した生活を送るには、案件を継続的に獲得する環境づくりが重要です。次ではフリーランスの仕事を獲得する、5つの方法を紹介します。
フリーランスエージェントを活用する
フリーランス向けのエージェントサービスに登録しておくと、自分で案件を探す手間が省けます。
希望する条件に合った案件を担当者が探してくれるので、自分で仕事を探しながらの併用も可能です。
サービスごとに取り扱う案件の種類や得意分野が異なるため、希望する職種に合ったエージェントサービスを選んで登録しましょう。
弊社「ITプロパートナーズ」は、Web・IT系の案件を豊富に取り扱っています。エンジニアやWebマーケター、コンサルタントなどの案件を探している人は、ぜひご利用ください。
クラウドソーシングを活用する
クラウドワークスやランサーズなど、クラウドソーシングを活用する方法もあります。
クラウドソーシングは、クライアントが募集する案件情報を確かめて、自分から応募する仕組みです。応募すれば必ず依頼されるものではありませんが、案件内容を見て自分が対応できるかどうか判断できるので、スキルや知識のミスマッチを防げます。
また、案件難易度に幅があるのもクラウドソーシングの特徴です。報酬は低めですが、初心者や未経験OKとして募集されている案件も多いので、慣れないうちは手始めとして対応することもできます。
繰り返しこなすことで信用がつき、高単価案件でも採用されやすくなるメリットがあるのもクラウドソーシングの魅力です。多くの案件を経験することで、クライアントからスカウトを受けるケースもあります。
知人の紹介で仕事を受ける
知人から案件を紹介してもらう方法もあります。
知人からの紹介で案件を受けるメリットは、自分のスキルや知識、経験に合った仕事をもらえることです。自分は何を得意とする人間なのかを、ある程度把握した人が紹介してくれる案件なので、スキルのミスマッチを防げます。
よい仕事ができれば、知り合いからの紹介ということもあり、継続的な依頼も期待できるでしょう。長く関わるようになれば、さらにそこから人脈が広がる可能性もあります。
会社員時代からフリーランスとして活動することを意識して人脈をつくっておけば、独立後仕事を紹介してもらえるでしょう。
直接営業する
架電や訪問など、直接営業をかける方法もあります。
直接会話できるので、自分の熱意や自分に依頼するメリットなどが伝わりやすい方法です。言葉で伝える能力も必要ですが、何ができるのか、どのような実績があるのか、など説得力のある資料を用意するのも効果的でしょう。
情報発信する
SNSやブログ、ホームページなどから情報発信し、仕事の依頼を受ける方法があります。
特にフォロワーが多いSNSや、アクセス数が多いブログを運営しているなら、効果的な方法です。SNSやブログから自分のやっている仕事内容や、仕事に対応している様子を紹介すれば、ホームページへ誘導できます。
何ができる人なのかを理解したうえでホームページにアクセスする人たちなので、効果的な案件獲得につなげられます。
長く活躍できるフリーランスの特徴とは
長期にわたり活躍するフリーランスには、特定の共通点や特徴が存在します。どのような特徴なのか見ていきましょう。
向上心が高い
長く活躍するフリーランスに共通する最も顕著な特徴の一つは、高い向上心です。フリーランスとして成功するには、常に成長し続ける必要があります。技術や知識の更新、新しいスキルの習得、業界動向の把握は、競争が激しいフリーランス市場において極めて重要です。
向上心が高いフリーランスは、自分の専門分野の最新トレンドや技術を絶えず学び、それらを自分の仕事に取り入れることで、クライアントに価値を提供しています。
積極的に行動して提案できる
長く活躍するフリーランスは、新しいアイデアや解決策を提案できる能力があります。これは、ただ待っているのではなく、積極的に新しい仕事を見つけたり、仕事に対して新しい提案をしたりすることを意味します。さらに、自分の仕事をリードする力も大切です。クライアントのニーズを予測し、それに応える価値を提供する必要があります。
また、自分からコミュニケーションを取り、クライアントと良好な関係を築くことも、フリーランスにとって大切です。このように、フリーランスとして成功するためには、積極性と提案力が鍵となります。
専門スキルがある
フリーランスとして長期にわたり活躍するためには、特定分野において専門スキルを保有していることが非常に重要です。
そもそも企業は「即戦力」の人材としてフリーランスを求めています。従って、特定分野において即戦力となる専門スキルがなければ、長期的な活躍どころか、そもそも案件を獲得することが困難です。
独立する前にまずは専門スキルを身につけ、独立後も常にスキルをアップデートし続けることで、フリーランスとして長期的に活躍していくことができます。
自分で営業できる
長期にわたる成功を収めるフリーランスにとって、自ら営業活動を行う能力は不可欠です。独立して仕事をする際、自己のサービスやスキルを積極的に市場に打ち出し、新しいクライアントの獲得が求められます。
自ら営業を行うフリーランスは、自分の専門分野や得意とするサービスを明確に理解し、それをクライアントに効果的に伝えます。市場のニーズやトレンドを把握し、自分のサービスをどのように位置づけるかを理解することも重要です。
キャッチアップのスピードが早い
フリーランスが市場で長く活躍するためには、新しい情報や技術、トレンドへの迅速な対応能力が求められます。キャッチアップが迅速なフリーランスは、変化する市場の要求に素早く適応し、常に競争力を維持できます。この能力には、継続的な学習意欲と好奇心、そして新しい情報を迅速に取り入れて実践に移す柔軟性が基盤となるでしょう。
未経験からでもフリーランスになれる?
結論をいえば、未経験からでもフリーランスになれます。
さまざまな業種で慢性的な人手不足が叫ばれるなか、人材獲得競争も激しさを増し、社員やアルバイトの確保に苦労している企業は少なくありません。そこでフリーランスのような外部の人材を活用する企業も増えています。
一例として、専門的なスキルをそれほど求められない営業や事務、パソコンさえあれば仕事ができるWebライターなどは、未経験からフリーランスになりやすいといえるでしょう。
また、プログラマーやエンジニアといったIT関連の専門職は、特に人手不足が深刻化しています。クライアント側からすれば、フリーランス経験の有無にかかわらず、業界経験者に仕事を依頼したいと考えているケースも多いのが現状です。
未経験からフリーランスになる方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
フリーランスとしての独立を計画するうえでの注意点
フリーランスとして報酬を得るには、社会人とは異なる準備や心構えが必要です。独立後に仕事をスムーズに進めるために、知っておくべき重要なポイントを4つ解説します。
自分が活躍できる分野を十分に検討する
フリーランスになる前に、すでにご紹介した「フリーランスに向いている人の特徴」に自分が当てはまるかどうかを確認しつつ、どういった分野の仕事をするのかを見きわめましょう。
フリーランスとして安定した収入を得るには、自分の強みやスキルを活かせる職種を選ぶだけでなく、仕事のニーズや将来性に目を向けることも重要です。フリーランスの場合、人手不足の分野やニーズのあるジャンルで確かな成果を上げられれば、それだけで収入アップにつながります。
自分に合う仕事探しの方法を選ぶ
ストレスなく利用できる自分に合った仕事の探し方を把握することも重要です。
Webで仕事を検索する方法としては「クラウドソーシング」「求人サイト」などがあります。気軽に閲覧できる点がメリットですが、条件のよい案件を見つけるコツが必要です。
自分で仕事を探すのを苦に感じる場合は、知り合いから紹介してもらう方法もあります。自分のスキルや経験を理解した知人の紹介なので、ミスマッチを防げるでしょう。
前述した「エージェントサービス」を使う方法もあります。エージェントサービスは、自分の働き方に合った案件を紹介してくれますが、それなりのスキルや経験を証明しなければ仕事を受けられません。これまでの経歴や実績など、上手にまとめて開示することもポイントです。
フリーランスとしての活動に挫折することを防止するためにも、自分に合った仕事の探し方を見つけましょう。
長期的な戦略を立てる
目の前の仕事をこなすだけでなく、長期的に先を見ながら必要なスキルを磨くことも重要です。
仕事内容によりますが、特にIT関連で必要なスキルは、日々新しいものが求められる傾向にあります。継続的に案件を獲得し、フリーランスとして安定した生活を送るには、スキルを磨いたり新しいスキルを覚えたりするなど、長期的な戦略も必要です。
リスクヘッジを心がける
リスクヘッジを心がけるのも重要なポイントです。
例えば、1つのクライアントから全ての案件を受けていた場合、そのクライアントの案件がストップした時、収入が途切れてしまいます。これでは安定した生活を送れないので、複数のクライアント案件を掛け持ちするなどして、リスクに備えましょう。
また、いつ仕事が途絶えるか分からないのがフリーランスの働き方です。万が一に備え、貯金しておくことも考えておきましょう。
フリーランスにおけるよくあるQ&A
フリーランスについてよくある疑問をQ&A形式で解説します。
フリーランスとして独立する人は何歳くらいが多い?
「フリーランス白書2020」の調査に回答したフリーランスのうちおよそ80%が20~40代です。特に30代〜40代の年齢層が最も多くなっています。
一方、弊社ITプロパートナーズが行ったアンケートでは、30代で独立した人に次いで20代後半で独立した人が多く、40代前半、40代後半、20代前半と続いています。独立時の平均年齢は35.2歳でした。
長い経験を積んだ人だけがフリーランスになれるものではないことが分かるデータです。フリーランスはセカンドキャリアとしてだけでなく、働き盛りの人が選ぶ働き方の1つであるといえます。
女性に人気のフリーランスの職種は?
女性に人気のあるフリーランスの職種は、会社員時代の経験を活かせる「事務職」、顧客とのコミュニケーションが重要な「サービス職」などがあります。主婦経験のある女性には、細かな作業や気遣いが求められる「家事代行」なども人気です。
とはいえ、フリーランス向けの案件は性別に関係なく取り組めるものがほとんどで、IT関連やデザインなど、幅広いジャンルで女性が活躍しています。
フリーランスの女性に人気の仕事や働き方については、こちらの記事も合わせてご覧ください。
フリーランスとして法人成りは可能?
フリーランスとして法人成りは可能です。
法人化することで、社会的信用を得られることや税金面で有利になること、経費の幅が広がることなど、さまざまなメリットがあります。
法人化するメリットやデメリット、具体的な手続きなどはこちらの記事で解説しています。
フリーランスが受けられる補償や補助金はある?
会社員と比べて補償が弱いフリーランスですが、民間の補償制度や保険に加入することで、代わりの福利厚生を整えることが可能です。
例えばフリーランス協会では、所得補償保険などフリーランス向けの福利厚生サービスをいくつか用意しています。
またフリーランスであっても、個人事業主や小規模な法人が対象の補助金や助成金を利用できることがあります。
国が提供するものだけでなく、地方自治体が提供する制度についても、条件に当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
中小企業基盤整備機構の運営する「J-Net21」というサイトで補助金・助成金の情報を検索できるので、参考にしてください。
フリーランスは増えすぎ?やめとけって本当?
本記事内で紹介したランサーズの調査からも分かる通り、フリーランスが増えているのは事実です。やめとけという意見があるのは、フリーランス増加によりライバルが増えているからでしょう。
しかし、スキルを磨いたり、ライバルとの差別化を図ったりすれば今からでも十分に活躍できます。
クラウドソーシングやフリーランスエージェントも増えており、こうしたサービスを使って人材を探す企業も多くなっているので、一概にフリーランスはやめておくべきとはいえません。
まとめ
フリーランスは、在宅で柔軟性のある働き方がしやすいというメリットがあります。安定して仕事を得るには工夫が必要ですが、収入アップも期待できる働き方です。
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