フリーランスができる節税対策4選!効果的な方法と注意点を解説

こんにちは、ITプロマガジンです。

フリーランスとして独り立ちをしてからの心配事の一つに「税金」があります。「せっかく苦労して稼いだお金も、税金で持っていかれたらたまらない」と思っている人も多いのではないでしょうか。

そこで、ここではフリーランスが知っておくべき節税方法とその際の注意点について解説します。節税は事業経営の基本です。要点をしっかり押さえて、資金をなるべく多く手元に残せるように努めましょう。

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フリーランスが納める税金4種

まずはフリーランスが収める税金の種類をおさらいしましょう。フリーランスが納めるべき税金は、以下の4種類です。

  • 所得税
  • 消費税
  • 個人事業税
  • 住民税

それぞれの特徴について説明していきます。

所得税

所得税は個人の所得に対してかかる税金で、1年間のすべての所得から所得控除を差し引いた残りの課税所得に、所定の税率をかけて税額を算出します。

また、2013年から2037年までは「復興特別所得税」が所得税とあわせて課税されます。

消費税

消費税は商品の販売やサービスの提供などの取引に対して課税される税で、消費者が負担し、事業者が納付します。

なお、消費税は原則として前々年の売上が1,000万円を超えた場合に課されるものです。

住民税

住民税は地方税の一つです。教育、福祉、消防・救急、ゴミ処理などの生活に身近な行政サービスの多くは、地方自治体が担っています。地方税はこうしたサービスをまかなうためのお金で、その地域に住む人たちが負担するものです。

個人事業税

個人事業税も地方税の一つで、都道府県に納めます。課税対象となるのは法律で定められた70の業種で、事業所得が290万円までであれば納税の必要はありません。

また、個人事業税は経費計上できる税金です。税金の種類については、以下の記事でより詳しく解説しているので参考にしてください。

フリーランスが支払う税金の種類とは?対策や払わないリスクも紹介

フリーランスが節税する時の基本的な考え方と計算方法

税金の計算方法を知ると、節税の方法もおのずと理解することができます。所得税の計算方法は以下のようになります。

  • 所得=売上-経費
  • 課税所得=所得-各種所得控除
  • 所得税=課税所得×税率

節税のポイントは課税所得をなるべく少なくすることにあります。そのためには①経費を正しい範囲内で最大化すること、②各種所得控除をもれなく活用することが肝要です。

給与所得者(会社員)は源泉徴収によって自動的に税金が課税されますが、フリーランス(個人事業者)は確定申告を通じて自ら税金を納めなければなりません。フリーランスに税金の知識が必須なのはそのためです。

税金の計算方法について更に詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

フリーランスの税金計算方法まとめ!所得税・住民税など種類ごとに紹介

フリーランスができる節税方法4選

では、本題である節税方法について紹介します。フリーランスができる節税方法は主に以下の4つになります。

  • 1.適切に経費を計上する
  • 2.所得控除を活用する
  • 3.青色申告で確定申告する
  • 4.高所得の場合は法人化を検討する

それぞれの方法や注意点について詳しく見ていきましょう。

1.適切に経費を計上する

経費とは、事業による収入を得るために必要となる費用のことを指します。経費として計上可能なものをすべて算入することによって、課税所得を少なくすることができ、節税につながります。

適切に経費を計上しなければ、脱税を疑われてしまう可能性があるため、注意が必要です。

経費にできる支出一覧

事業を行う上で使用した費用は、基本的にすべて経費として計上できます。多種多様なものが経費となりますが、一例を表にしてみましょう。

勘定科目概要
消耗品費帳簿、文房具、用紙、包装紙、
ガソリンなどの消耗品購入費、
使用可能期間が1年未満か
取得価額が10万円未満の什器備品の購入費
租税公課個人事業税、固定資産税、自動車税など
荷造運賃商品の包装材料費、
荷造りのための運賃など
水道光熱費水道料金、電気代、ガス代 など
旅費交通費電車賃、バス代、タクシー代、
出張時の宿泊代など
通信費電話料、はがき、切手代など
公告宣伝費メディアへの公告出稿費用、
チラシ作成費用など
接待交際費取引先を接待する飲食代など
地代家賃オフィスの賃料など

経費についての詳しい解説は、こちらの関連記事をご覧ください。

フリーランスが経費にできるものは?どこまで計上できるかも解説

自宅で仕事をしている場合は家事按分もチェック

自宅で仕事をしていると、私用の生活費と事業費用の区別がつかない状態となることがあります。全体の家事関連費のうち事業にかかった経費を私用分と事業分に切り分けることを「家事按分」と呼びます。

家事按分によって事業用とした費用については、すべて経費として計上できます。代表的なものとしては、家賃、水道光熱費、通信費などがあります。

家事按分は、居室の40%を事業として使用しているので家賃の40%を経費計上する、などの合理的な計算をしましょう。

フリーランスは家賃を経費にできる?計算方法や割合・目安を解説

2.所得控除を活用する

所得控除とは、各自のさまざまな事情を加味して税負担を調整する制度です。所得から一定の金額を差し引くことができます。

控除できる所得の種類

所得控除は全部で15種類あります。一覧表にすると以下のようになります。

控除の種類概要
雑損控除災害、盗難など、生活上の資産に被害があった場合に受けられる控除
医療費控除1年間に支払った医療費が一定額を超えるとき受けられる控除
社会保険料控除健康保険、年金などの社会保険料を1年間支払った場合、その全額を控除できる
小規模企業共済等掛金控除小規模企業共済や、個人型確定拠出年金などに加入している場合、その全額を控除できる
生命保険控除生命保険や民間の個人年金に加入している場合、一定の金額を控除できる
地震保険料控除地震や津波などを原因として発生した火災・損壊に対する保険に加入している場合に受けられる控除
寄附金控除国や地方自治体、認定NPOに寄附した場合に受けられる控除
障害者控除自身や扶養家族が障害者の場合に受けられる控除
寡婦(夫)控除夫や妻と死別、離婚した場合などに扶養している親族がいる場合などに受けられる控除
ひとり親控除ひとり親であるとき受けることができる控除
勤労学生控除中学・高校・大学・指定された専門学校に通う学生が受けられる控除
配偶者控除給与収入が103万円以下の配偶者がいる場合に受けられる控除
配偶者特別控除配偶者の給与収入が103万円以上あっても一定の条件のもとで受けられる特別控除
扶養控除扶養している家族がいる場合に受けられる控除
基礎控除確定申告をする人は誰でも受けられる控除
引用元:国税庁 所得控除のあらまし

iDeCoや小規模企業共済も控除の対象

個人型確定拠出年金(iDeCo)や小規模企業共済も所得控除の対象になります。iDeCoは、掛金を拠出し、自分で運用方法を選ぶ私的年金制度です。自営業者、企業年金制度のない会社員、専業主婦(夫)が加入できる制度です。

小規模企業共済とは、小規模企業の経営者や役員、個人事業主などのための積立による退職金制度です。国の機関である独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しています。退職金の積立だけでなく、専門家派遣制度や融資などの経営支援サービスも充実しています。

ふるさと納税も節税になる

ふるさと納税とは、都道府県、または市区町村への寄附を指します。給与所得者には確定申告が不要な「ワンストップ特例制度」がありますが、フリーランスは確定申告で寄附金控除を行います。

ふるさと納税では、原則として自己負担額の2,000円を除いた全額が控除の対象となります。一般的には、ふるさと納税をするとその自治体から返礼品がもらえますので、節税と同時に各地の名産品を得ることができるお得な制度といえます。

3.青色申告で確定申告する

事業所得などがある人の確定申告の方法には、「青色申告」と「白色申告」の2つがあります。

記帳方式が簡易簿記(単式簿記)と簡単で、申告手続きも簡単なのが白色申告です。青色申告は提出書類・保存帳簿・保存書類が多く、申告手続きも煩雑になりますが、様々な税務メリットを受けることができます。

フリーランスが節税を考えるのであれば、青色申告にチャレンジすることをおすすめします。

青色申告は節税効果が高い

青色申告にはいくつかの税務メリットがありますが、特筆すべきは最大65万円の青色申告特別控除です。

これを受けるには、以下の要件が必要になります。

  • 1.複式簿記(日々の取引を借方・貸方という2面で捉える簿記方式)で記帳する
  • 2.青色申告決算書(貸借対照表と損益計算書)を添付する
  • 3.申告期限内に提出
  • 4.e-Taxによる申告(電子申告)または電子帳簿保存を行う

その他青色申告には、赤字を繰り越せる(個人事業主は最長3年)、家族への給与支払いを経費計上できる、貸倒引当金を経費にできる、30万円未満の資産を取得した場合一度に経費計上できる、などのメリットがあります。

青色申告は要件が厳しい

以上のようにメリットの多い青色申告ですが、その分要件が厳しいことが挙げられます。

まず、青色申告をするためには、「所得税の青色申告承認申請書」をその年の3月15日までに所轄の税務署に提出しないといけません。フリーランスとして仕事をしているのであれば、開業届を提出していると思いますが、それとは別に所得税の青色申告承認申請書が必要となります。

青色申告の注意点

青色申告を利用できる所得は、事業所得、不動産所得、山林所得の3つに限られます。その他の所得、たとえば雑所得や配当所得、譲渡所得などでは青色申告はできません。それらの所得は、白色申告のみになりますので注意が必要です。

4.高所得の場合は法人化を検討する

フリーランスの仕事が順調で、収入も高額になることが見込まれる場合は、法人化も検討しましょう。個人事業主が法人を設立することで、大きな節税効果を期待できます。

1つは、自身への給料を役員報酬とすることで、法人の課税所得を圧縮することができます。個人の役員報酬には所得税がかかりますが、法人と個人とで所得を分散することで、節税になるのです。

所得税が最大40%なのに対し、法人税は最大23.4%の税率です。そのため、自身の収入が高くなり所得税が高いと感じる場合に、法人設立することで節税することが可能です。

2つ目は、自身への退職金が損金として認められ、法人所得の圧縮ができることです。個人事業主の場合は、自身への退職金は経費にできません。

3つ目は、赤字の繰越控除可能期間が長くなることです。個人事業主の場合は最長3年ですが、法人になると最長10年まで繰越控除が使えます。

ただし、法人設立には登録免許税や司法書士報酬など一定の初期費用がかかり、毎年の決算のための税理士報酬などのランニングコストも発生しますので、そうした費用も含めてお得になるタイミングを見極める必要があります。

フリーランスが法人化する7つのメリットと最適なタイミングの目安

フリーランスが節税する際の注意点

以上、フリーランスが節税する方法について解説してきましたが、当然注意点もあります。

そもそも税金とは、国や自治体が提供する公共サービスのために、その費用を国民みんなで負担しているものです。これを故意に逃れる行為は「脱税」となり、ペナルティとして重加算税が課されることがあります。

不適切な経費計上はNG

事業を行う上で使用した費用は経費となりますが、逆にいうと事業に関係のない私的な支出は経費として計上できません。

フリーランスの場合、事業のための経費と私的支出が混在してしまう傾向にありますが、仮に後日税務署の調査が入っても「これは事業に使用したものです」と説明ができるものを経費としましょう。また、そのためにも領収書やレシートを必ずとっておくようにします。

フリーランスの領収書の発行方法と書き方・管理方法ともらい方まとめ

所得も漏れなく申告する

事業所得のあるフリーランスには確定申告を行う義務がありますが、これを行わない無申告には厳しいペナルティがあります。それが無申告加算税で、本来納めるべき税金に加算して、納税額の15~20%の加算税がかかります。

うっかりミスなどで、所得を過少に申告する過少申告を税務署に指摘された場合には、過少申告税が課されます。

確定申告は遅滞なく行う

2022年の確定申告は、2月16日(水)から3月15日(火)までとなります。3月15日の期限までに申告と納税を行わないと延滞税が発生します。

また、3月15日の期限内に申告したとしても、延滞税が課せられる場合があります。期限後に確定申告の誤りが見つかり、修正申告・更正手続きをして、税額が増えた場合がそれに当たります。

そのため、確定申告には余裕を持って臨みましょう。

フリーランスの確定申告のやり方は?必要ないケースや節税のコツも紹介

会計ソフトの活用で節税の手間をカットする

フリーランスにとって確定申告はとても面倒なものです。特に青色申告の場合は、複式簿記での記帳が義務付けられ、貸借対照表や損益計算書などの作成も行わなれければならず、その手間はかなりのものがあります。

そんな悩みを抱えるフリーランスの強い味方が、freeeマネーフォワード弥生などの会計ソフトです。

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様々な計算も自動で行えますし、確定申告書や貸借対照表、損益計算書への出力も簡単にできます。確定申告にかかる時間をカットして本業に専念するために、会計ソフトを導入しましょう。

まとめ

フリーランスは、確定申告によって税金のコントロール、すなわちタックス・マネジメントが必要になります。

納税は国民の義務ですが、支払う必要のない税金まで納めるのは非合理です。適正な節税は、事業の発展に大きく寄与することでしょう。

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