フリーランスは再就職手当をもらえる?受給の条件・手順と注意点

こんにちは、ITプロマガジンです。

雇用保険は雇用されている人のための制度ですが、フリーランスにとっても無関係ではありません。会社員からフリーランスになる時に活用できるのが、再就職を促進するために設けられている「再就職手当」です。再就職手当は、就職ではなく開業を選んだフリーランスでも受け取れる場合がありますが、それにはいくつかの条件があります。

この記事では、フリーランスになる時に再就職手当を受け取る方法や満たさなくてはならない条件、さらに具体的な手順について解説します。会社員を辞めて独立・開業したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。

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フリーランスは再就職手当をもらえる?

「会社員が独立してフリーランスになった際には再就職手当をもらえるの?」と疑問を持っている方もいるかもしれませんが、結論から述べると、条件を満たすことで受給することは可能です。

詳しい条件については後述しますが、例えば「失業給付の受給手続き後、7日間の待期期間を過ぎている」など、いくつかの条件を満たさなければなりません。以下では、前提として再就職手当とは何かを確認しつつ、詳しい条件について解説します。

そもそも再就職手当とは何か

再就職手当」とは、雇用保険に含まれる手当の一種です。失業中に受給可能な雇用保険の「基本手当」(いわゆる「失業給付」)の受給資格がある人が、安定した仕事に就いた際に受け取れます。

再就職手当に関連する手当としては以下のようなものがあります。

  • 就業促進定着手当
  • 就業手当

「就業促進定着手当」は再就職したことによって下がった賃金を補うもので、「就業手当」は再就職手当を受給できる条件に当てはまらない人が対象となる手当です。

上記の手当について、フリーランスはほとんど対象外ですが、再就職手当であれば条件を満たすことで対象になります。ハローワークインターネットサービスの「就職促進給付」のページにも詳しく記載されていますので、あわせて確認しておくとよいでしょう。

フリーランスが再就職手当をもらうための条件

再就職手当は、必要な条件を満たしていなかったり手続きのタイミングを間違えたりするともらえなくなるため、注意が必要です。まずは再就職手当をもらうために満たさなくてはならない、8つの条件をチェックしておきましょう。

  1. 失業給付の受給手続き後、7日間の待期期間を過ぎている
  2. 失業給付の給付日数が3分の1以上残っている
  3. 退職した職場と金銭や人事面などでの密接な関わりがない
  4. 給付制限がある人は、7日間の待期期間ののち1ヶ月が経過している
  5. 1年以上働くことが確実
  6. 原則として雇用保険の被保険者となっている
  7. 過去3年以内に「再就職手当」または「常用就職支度手当」を受け取っていない
  8. 求職の申し込みをする前から内定していた就職先ではない

フリーランスが再就職手当を受け取る際、特に注意したいのは「1」と「4」です。

まず、7日間の待期期間中に働いたり開業届を出したりすると、待期期間と認められません。また、自己都合で退職した人は失業給付の給付制限が発生するため、7日の待期期間を過ぎてからさらに1ヶ月待つ必要があります。

「会社の倒産」や「人事整理」といった会社都合で退職した場合は、7日間の待期期間を過ぎれば開業できますが、フリーランスとして独立するという理由で退職した場合は該当しません。離職票にも退職理由が明記されているため、確認しておきましょう。

フリーランスは再就職手当をいくらもらえる?

退職後、フリーランスとして働き始めた場合に受け取れる再就職手当の金額について解説します。

再就職手当の計算方法

再就職手当の給付額は、「失業手当(基本手当)の基本手当日額」と「失業給付の残り日数」によって決まります。具体的な金額の求め方は次の通りです。

  • 給付日数が3分の2以上残っている場合:基本手当日額×残り日数×70%
  • 給付日数が3分の1以上残っている場合:基本手当日額×残り日数×60%

基本手当日額とは、労働者が雇用保険で受給できる、基本として受け取る1日当たりの手当を指します。離職日を基準として、直前の6ヶ月間に支払われた賃金を180で割った値の、50~80%程度の数値です。年齢によって異なる点も大きな特徴で、令和4年の上限額は以下のようになっています。

30歳未満6,835円
30歳以上45歳未満7,595円
45歳以上60歳未満8,355円
60歳以上65歳未満7,177円

ただしこの基本手当日額は、毎年変更になる点に注意が必要です。詳しくは厚生労働省(ハローワーク)の「再就職手当のご案内」のページを参照してください。

上記の計算方法からも分かるように、転職やフリーランスとしての開業に限らず、再就職のタイミングが早ければ早いほど多くの金額を受け取れる仕組みになっています。早めに申請を済ませればその分、受給額が増えることになりますが、手続きが早すぎると受給条件から外れてしまう場合があるため注意しておきましょう。

再就職手当のケースモデル

一例として、「失業給付の日額が4,000円」「支給を受けられるのが90日」という場合の計算式と金額をご紹介します。

再就職手当のケースモデル
給付日数が80日残っている場合
(残り日数が3分の2以上に該当)
4,000(円)×80(日)×0.7
22万4,000円
給付日数が40日残っている場合
(残り日数が3分の1以上に該当)
4,000(円)×40(日)×0.6
9万6,000円

このように、残り日数で支給額が大きく違うことが分かります。

フリーランスが再就職手当をもらうための手順

それでは実際に、フリーランスが再就職手当をもらうための具体的な手順を解説します。

1.退職する会社から離職票を受け取る

フリーランスが再就職手当をもらうためには、まずは退職する会社から離職票を発行してもらう必要があります。ただし会社側には、全ての退職者に対して離職票を発行しなければならないという義務はなく、退職者側から申し出ないと発行してもらえないこともあります。すみやかに手続きを進めるためにも、退職時に離職票が欲しいことを明確に伝えておくことをおすすめします。

離職票を受け取ったら、離職理由をチェックしておきましょう。もしも会社都合での退職なのに自己都合となっている場合は、「会社に訂正を依頼する」「ハローワークに相談する」などの対応が必要です。

2.管轄のハローワークへ行く

離職票を受け取ったら、ハローワークへ行きます。ハローワークは全国各地にありますが、雇用保険に関する手続きは住所によって決められている管轄のハローワークでないと行えません。管轄のハローワークを知りたい場合は、厚生労働省のWebサイトで確認してください。受付時間は8:30~17:15で、土日祝および年末年始は休みです。

ハローワークへ行く際に必要な持ち物は次の通りです。

  • 離職票
  • 個人番号確認書類(マイナンバーカードなど、マイナンバーが分かるもの)
  • 身分証(運転免許証やパスポートなど)
  • 印鑑
  • 銀行口座の番号が分かるもの
  • 写真2枚(縦3.0cm×横2.5cm)

3.7日間待期する

管轄のハローワークで求職の申し込みをしたら、7日間の待期期間があります。これは、失業を認定する期間です。この期間に働いたりフリーランスとして開業したりすると、失業していると認められず、再就職手当の対象になりません。開業準備や勉強、リフレッシュなどにあてましょう。

ただし実際に開業しておらず、準備をしているだけであっても、準備内容によっては開業したとみなされることがあります。詳しくは当ページの「待期期間中にできることは限られる」を参照してください。

4.雇用保険説明会に参加する

ハローワークで求職の申し込みを行うと、「雇用保険説明会」の参加日時が決まります。案内に従って出席しましょう。この時の持ち物は以下の通りです。また、会場では「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が手渡されます。

  • 雇用保険受給資格者のしおり
  • 印鑑
  • 筆記用具

雇用保険説明会はハローワーク外のセミナールームや会館が使用されることが多いため、あらかじめ開催場所も確認しておいてください。また、状況に応じてオンラインで開催される場合もあります。管轄ハローワークの指示に従いましょう。

5.自己都合退職の場合は1ヶ月間の求職活動を行う

自己都合で退職したフリーランスが再就職手当を受け取るには、「7日間の待期期間」だけでなく、待期期間が終わった後の「1ヶ月間」も失業状態でなくてはなりません。これは、「給付制限がある場合、待期期間満了後の1ヶ月間はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介で就職した場合のみが再就職手当の対象」というルールがあるためです。開業する場合は該当しないため、1ヶ月間は求職活動を行い、ハローワークでの失業認定も受けなければなりません。

6.受給満了後に開業届を提出する

離職理由が会社都合のフリーランスは「7日間の待期期間満了後」、自己都合の人は「7日間の待期期間+1ヶ月」が経過したら、税務署に開業届を提出します。

開業届に関しては以下の記事もご覧ください。

フリーランスに開業届は必要?提出のメリット・デメリットやタイミング

7.ハローワークに再就職手当を申請

開業届を提出してフリーランスとしての活動を開始したら、ハローワークに出向いて再就職手当を申請しましょう。申請に必要なものは次の通りです。

  • 再就職手当の申請書類
  • 雇用保険受給資格者証
  • 印鑑

ただし実際に受給するためには、1年を超えて勤務することが確実であることを証明する必要があります。証明用の書類として、開業届のコピーや企業との契約書などを用意してください。

再就職手当の申請期限は、原則として仕事を開始した日から1ヶ月となっていますが、時効が完成する2年以内であれば受け付けてもらえます。

フリーランスが再就職手当をもらう時の注意点

会社を退職してフリーランスになる人が再就職手当をもらうには、注意すべきポイントがあります。手順やルールがあいまいなまま手続きを進めてしまうと、再就職手当の受給要件から外れてしまうばかりでなく、場合によってはその意図がなくても不正受給になりかねません。気をつけたい注意点をまとめてご紹介します。

待期期間中にできることは限られる

受給資格の決定日から数えて7日間の待期期間中にできるのは、フリーランスとしての開業に向けた準備のみです。ただし準備といっても、実際に行動を起こして事務所を借りたり営業をかけたりすれば「事業を開始している」とみなされます。待期期間は仕事のための勉強や休息、リフレッシュなどにあてるのがおすすめです。

また、待期期間中に開業届を出したり、アルバイトをしたりすると失業しているとは認められません。これは、退職理由が自己都合であっても会社都合であっても共通です。再就職手当の対象外になってしまうケースをあらかじめ整理しておくとよいでしょう。

受給資格が決定する日は求職の申し込みをした日ですので、待期期間は管轄のハローワークに行った日から始まります。時間を無駄にしないためにも、離職票を受け取ったらすみやかに管轄のハローワークへ足を運び、求職の申し込みをしましょう。

開業届は待期期間が終了してから提出する

開業届を出すタイミングが早すぎると、再就職手当がもらえる条件から外れてしまいます。自己都合退職のフリーランスは、7日間の待期期間に加えてさらに1ヶ月待たなくてはならないため、特に注意が必要です。

  • 失業給付の給付制限なし:待期期間7日
  • 失業給付の給付制限あり:待期期間7日+1ヶ月

まずは自分に給付制限があるかどうかを確認し、そのうえで上記の期間は失業中の状態でないといけないことを覚えておきましょう。

却下された時は再度申請する

フリーランスの場合、再就職手当を申請しても「1年以上の勤務が確実ではない」とみなされ、却下されてしまう可能性があります。ただし、却下されたとしても諦める必要はありません。事業を継続し、取引実績や契約書などが揃ってから再度申請しましょう。発注書や依頼書、実際に入金があったことが分かるものなどがあれば、受理してもらえます。

不正受給の要件を知っておく

再就職手当を受給する際に何よりも気をつけたいのが、失業給付の「不正受給」です。

  • 開業したことを隠して失業中と申告する
  • 仕事をしたのに失業中だと偽る
  • 求職活動をしていないにもかかわらず、「した」と偽りの申告をする

こういった行為は全て不正受給に当てはまります。不正受給が発覚した場合、次のようなペナルティが科せられることがあります。

  • 失業給付の支給停止
  • 不正受給した金額を全額返還
  • 追加納付(不正受給した金額の2倍相当)

不正受給については以下の記事も合わせてご覧ください。

フリーランス・業務委託が失業保険を受給するには?条件と注意点

フリーランスになる際にやっておきたい他の手続き

フリーランスになる際にやっておきたい再就職手当以外の手続きとしては、青色申告の準備とエージェントへの登録の2つです。ここでは、それぞれの手続きについて解説します。手続きの詳細については、以下の記事もあわせてご覧ください。

フリーランスになるには?手順や始め方をどこよりもわかりやすく解説

青色申告の準備

再就職手当の申請と同時に、青色申告の準備として、所轄の税務署に「青色申告承認申請書」を提出しておきましょう。確定申告を行う前年の3月15日までに青色申告承認申請書を提出していないと、青色申告ができません。

例えば、2024年分について青色申告をしたい場合は、2024年3月15日(2023年分の確定申告期限)までに提出が必要となります。青色申告承認申請書は、開業届と一緒に提出するのが一般的です。確定申告のやり方については、以下の記事もあわせてご覧ください。

フリーランスが青色申告する6つのメリットと必要な手続き・やり方

エージェントへの登録

再就職手当の申請や、青色申告の準備とあわせて、仕事を安定して獲得するためにフリーランス向けのエージェントに登録しておくのもおすすめです。エージェントとは、案件を探しているフリーランスと仕事を発注したい企業との仲介役を果たし、仕事の契約を取りまとめたり請求や支払いの管理を行ったりするサービスです。

スタッフが新しいプロジェクトやクライアントを探してくれるため、安定して仕事を獲得しつつ、案件探しを効率化しやすいことが主なメリットといえます。単価交渉など、仕事以外の部分をサポートしてもらえるのも大きな利点です。

エージェントについては、以下の記事もあわせてご覧ください。

フリーランスエージェントおすすめ18選!職種別に比較して一覧紹介

フリーランスと再就職手当についてよくある疑問

ここまでフリーランスの再就職手当について整理してきました。最後に、フリーランスの再就職手当に関連して、よくある疑問とその回答を紹介します。

申請してから受給までの期間は?

フリーランスが再就職手当の申請をしてから受給までの期間について、明確な目安は公式には示されていませんが、一般的には「ハローワークで手続きを終えてから1〜2ヶ月ほどかかる」とされています。

申請してから受給までに時間がかかるのは、ハローワークが申請内容チェックして、「申請者が手当を受ける資格があるかどうか」を細かく審査しているからです。審査にかけられるリソースが限られているため、失業が増加して申請数が増えている時など、時期的な影響も少なからずあるとされています。

再就職手当と失業手当は両方もらえる?

再就職手当と失業手当は全く異なる制度であり、当然ながら「同時に」もらうことは不可能です。一般的に「失業手当」や「失業給付」と呼ばれている「基本手当」は、失業中に安定した生活を送るために支給されます。

失業手当を受け取った後に再就職手当をもらうことは可能ですが、失業手当を受け取った分だけ、再就職手当の日数が減ってしまいます。あまり深く考えすぎずに、なるべく早めに再就職のために動き出すのがおすすめです。

なお、フリーランスとして働き始めたことを隠したまま失業手当を受け取るのは明確なルール違反であり、不正受給となってしまうので注意しましょう。

フリーランスをやめる時は再就職手当をもらえる?

フリーランスをやめて会社員になる場合、再就職手当は基本的にもらえません。再就職手当は、本記事でも触れたように、雇用保険の受給資格を満たしている人が対象になるものです。

フリーランスなどの個人事業主は、雇用保険に加入できないため、再就職手当の対象にはなりません。法人化して、個人事業主から経営者になった場合でも同様です。

ただし会社を辞めて3年以内であり、なおかつフリーランスになる際に再就職手当をもらっていないなど、場合によっては「前の会社で加入していた雇用保険」の適用を受けられるケースもあります。詳しくは、厚生労働省の資料を参照してください。

まとめ

会社を退職して独立し、フリーランスになった人は再就職手当をもらえます。ただしそのためには一定の要件を満たさなくてはならず、開業したことを隠して偽りの申告をすれば不正受給に該当してしまいます。要件から外れないように注意しながら手続きを進めましょう。

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