こんにちは、ITプロマガジンです。
フリーランスエンジニアとして働き出した人や、これからフリーランスになろうと検討している人のなかには、経費について悩んでいる人もいるでしょう。経費にできるものが多いほど所得を減らせるので、納める税金が少なくなります。
本記事では、フリーランスエンジニアの経費として認められるもの・認められないもの、平均的な割合、家事按分の考え方、節税につながる控除や法人化のタイミングなど、フリーランスエンジニアが押さえておきたい実務ポイントを体系的に整理して解説します。
なお、まずフリーランスエンジニアの仕事内容や実態など基本情報を知りたい方は、以下の記事を併せて参考にしてください。
▶︎ フリーランスエンジニアとは?仕事内容や今から目指す人が知るべき実情
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目次
フリーランスエンジニアにとっての経費とは

フリーランスエンジニアにとっての経費とは、事業を行い売上を得るために要した費用のことです。PCやソフトウェアといった業務で使うものはもちろん、自宅兼事務所の家賃や通信費など、プライベートと兼用する支出であっても、業務に使用する比率を明確に区分(家事按分)すれば、その分は経費として計上可能です。
ただし、経費として認められるのは「事業の遂行上必要である」と客観的に説明できるものに限ります。節税目的で実態のない費用を計上したり、私的な支出を含めたりすることは認められません。常に使用実態と根拠をもって処理する必要があります。
フリーランスエンジニアの経費はいくらまで計上できる?
フリーランスエンジニアに限らず、経費計上に法的な上限金額はありません。「事業に必要であるか」が唯一の判断基準です。
目安として「経費率(売上に対する経費の割合)」が用いられることがありますが、これは事業形態によって大きく異なるため、一律の正解は存在しません。
重要なのは、平均値に合わせることではなく「実態に即しているか」です。経費率を気にするあまり必要な経費を計上しなかったり、逆に比率を高めるために不要な出費を無理に経費へ算入したりするのは本末転倒です。
不適切な会計処理は税務調査のリスクを高め、追徴課税などのペナルティを受ける可能性があり、正確な申告が求められます。
フリーランスエンジニアの経費率の平均

フリーランスエンジニアの経費率は、一般的に売上の10〜30%程度と言われています。エンジニアという職種は、自身のスキルを提供するビジネスモデルであり、小売業や飲食業のように商品の仕入れ(売上原価)や在庫コストが発生しません。そのため、他業種と比較して経費率は低くなる傾向にあります。
もちろん、再委託(外注)を積極的に活用する場合や、高額な機材投資を行った年は経費率が高くなります。平均値はあくまで参考程度にとどめ、自身の事業フェーズや業務内容に見合った適切な経費管理を行うことが重要です。
フリーランスエンジニアが経費にできるもの一覧
フリーランスエンジニアが経費にできるものの一覧を以下に示しました。
| 経費 | 概要・例 |
|---|---|
| 水道光熱費 | エネルギー関連の費用 ・電気 ・ガス ・水道 ・灯油 |
| 通信費 | 通信関連の費用 ・インターネット利用料 ・端末代 ・電報代 ・宅配便や郵便で支払った料金 ・ハガキ代や切手代 ・各種通信関連の工事費 |
| 消耗品費 | 消耗品にかかった費用 ・文房具 ・プリンターインク ・コピー用紙 ・日常的に使う小物類(雑貨) ・業務で使用する消耗品全般 |
| 新聞図書費 | 新聞代や書籍などに支払った費用 ・専門書 ・技術書 ・新聞購読費 ・業界誌 ・学習用の書籍購入費 |
| 広告宣伝費 | 広告宣伝のためにかかった費用 ・SNS広告費 ・Web広告(Google広告、X広告など) ・チラシ作成費用 ・名刺デザイン・印刷費 ・販促用資料の制作費 |
| 外注費 | 外注先に支払った費用 ・プログラマーへのコーディング依頼 ・デザイナーへの制作依頼 |
| 地代家賃 | 土地と建物の賃料 ・事務所賃料 ・レンタルオフィス費 ・コワーキングスペース利用料 |
| 修繕費 | 備品や機材、建物をメンテナンス・修理した時の費用 ・パソコンの修理代 ・周辺機器のメンテナンス費 ・業務で使う備品の修繕費 |
| 旅費交通費 | 出張や打ち合わせでの外出・宿泊にかかった費用 ・電車やバス、航空機など公共交通機関の利用料金 ・タクシー料金 ・高速代 ・パーキング利用料金 ・宿泊代 |
| 接待交際費 | 接待のために支払った費用 ・忘年会・新年会の費用 ・お中元・お歳暮の費用 ・慶弔金 ・お土産・差し入れ代 |
| 会議費 | 打ち合わせ関連で支払った費用 ・ランチミーティングで払った弁当代 ・打ち合わせで利用した喫茶店の飲食費 |
| 車両費 | 車両本体や移動にかかった費用 ・10万円未満の車両本体の費用 ・納車費用 ・自動車保険料 ・各種税金 ・車検費用 ・メンテナンス料金 ・ガソリン代 |
| 減価償却費 | 固定資産の価値を1年ごとに経費計上したもの ・パソコンの購入代 ・車の購入代 ・自宅の購入費用(事業利用分) |
| 給料賃金 | 役員・従業員に対する報酬・給与 ・従業員への給与・賞与 ・家族(専従者)への給与・賞与 |
| 福利厚生費 | 従業員の生活をサポートするために給与・賞与以外で支出する費用 ・健康診断の費用 ・社員旅行の費用 ・マッサージ費用(従業員向けのケア目的) |
| 雑費 | どの勘定科目にも分類できない経費 ・各種受験料 ・セミナー代 ・事務所のクリーニング代 |
ここからは、経費の詳細を解説します。
水道光熱費
水道光熱費は、業務を行う場所で発生する電気・ガス・水道などのエネルギー費用です。フリーランスエンジニアの場合、PCやモニター、サーバー稼働などで電気を使用するため、電気代の一部を経費計上するのが一般的です。一方で、ガスや水道は業務との関連性が薄いため、特殊な事情がない限り、計上しないか、ごく少額に留めるのが通例でしょう。
経費にする際は「家事按分」によって業務使用分を算出します。算出方法に厳密な決まりはありませんが、電気代であれば「業務時間(例:1日8時間÷24時間=約30%)」や「コンセントの数」、家賃であれば「床面積」など、第三者に説明できる合理的な基準を設定して計算します。
通信費
通信費は通信関連の費用で、主に以下のものが含まれます。
- インターネット利用料
- 端末代
- 電報代
- 宅配便や郵便で支払った料金
- ハガキ代や切手代
- 各種通信関連の工事費
リモートで働く案件も多いフリーランスエンジニアの経費は、通信費の割合が大きいと考えられます。ただし、インターネット利用料のようにプライベートとの区分けが難しい部分は、水道光熱費のように家事按分しましょう。
消耗品費
消耗品費とは、「使用可能期間が1年未満」または「取得価額が10万円未満」の備品にかかる経費です。主に以下のものが消耗品費に該当します。
- 文房具、コピー用紙、インク代
- 衛生用品の代金
- 包装材料の代金
- 家具・収納用品の代金
- 10万円未満のパソコン・タブレット端末
減価償却費のところで後述しますが、10万円を超えるものは減価償却費の対象となります。また、少額で滅多に買わないものについては、雑費としての経費計上も可能です。
新聞図書費
新聞図書費は、業務に必要な情報収集や学習のために支払った費用で、主に以下のものが該当します。
- 新聞代
- 雑誌や書籍の購入費
- 会員制サイトの登録料
- サブスクリプションサービスの利用料
- 図書カードや図書券の代金
フリーランスエンジニアが活用する専門書、業界情報誌などは経費になります。ただし、プライベートで楽しむものは経費計上できないため、明確に区別してください。
広告宣伝費
広告宣伝費は、不特定多数に向けて自身の事業をアピールし、案件獲得につなげるための費用を指します。フリーランスエンジニアの場合、外部に向けて自身のスキルや実績を伝える機会が多く、名刺の作成費用は宣伝目的として経費に含めることが可能です。
また、ポートフォリオサイトや個人のホームページを制作したり、ドメイン費用やサーバー費用を支払ったりする場合も、案件獲得のために利用しているのであれば広告宣伝費に計上できます。事業のPRにつながる支出は整理しておくとよいでしょう。
外注費
外注費は、業務の一部を外部の法人や個人事業主に委託した際に支払う費用です。例えば以下が該当します。
- Webデザインやロゴ制作の依頼費
- コーディングやテスト工程の再委託費
- 事務作業やライティングの代行費
業務関連で個人事業主に支払う場合には、源泉徴収が必要となるケースがあるため注意が必要です。
また、特定の相手に継続して毎月定額を支払うようなケースでは、実態として「雇用契約(給与)」とみなされる可能性があります。依頼内容と契約形態を明確に区分しておくと安心です。
地代家賃
地代家賃は、事業を行うスペースに対して支払う費用です。フリーランスエンジニアの場合、以下の支出が該当します。
- 自宅の賃貸料
- レンタルオフィス代
- 月極駐車場の料金
- マンション管理費
自宅兼事務所の場合、業務で使用する床面積や時間に基づいて「家事按分」を行い、業務利用分のみを経費計上します。なお、持ち家の住宅ローン元本は経費になりません(利息部分は経費化可能)。
また、住宅ローン控除を受けている場合、事業用割合を床面積の50%以上に設定すると、住宅ローン控除が全額適用外となるため注意が必要です。節税効果を比較し、慎重に割合を決定してください。
修繕費
修繕費は、業務で使用する設備や備品を修理・メンテナンスした際にかかる費用です。フリーランスエンジニアの場合、使用頻度の高いパソコンや周辺機器、デスク・チェアなどの作業環境の修理費用が該当します。具体的には以下の通りです。
- PCのバッテリー交換やキーボード交換
- モニターの修理
- 作業デスクの補修
- ワークスペースの壁・床の軽微な修繕
注意すべき点は、修理によって資産の価値を高めたり、使用可能期間を延長させたりする「資本的支出」との区分です。単なる現状復旧ではなく、スペックアップを伴う高額な改造などは資本的支出とみなされ、原則として減価償却が必要になります。ただし、かかった費用が20万円未満であれば、内容にかかわらず修繕費としてその年の経費に一括計上できます。
旅費交通費
旅費交通費は、出張や打ち合わせでの外出・宿泊にかかった費用で、主に以下が該当します。
- 電車やバス、航空機など公共交通機関の利用料金
- タクシー料金
- ガソリン代
- 高速代
- パーキング利用料金
- 宿泊代
公共交通機関では、領収書をもらいにくいかもしれません。領収書がない場合は、出金伝票を活用しましょう。また、ICカードやETCの利用履歴を確認すると領収書がなくても経費の内容を確認できるでしょう。
接待交際費
接待交際費は、取引先や事業関係者との円滑な関係構築のために要した費用です。具体的には以下の支出が該当します。
- 忘年会・新年会の費用
- お中元・お歳暮の費用
- 慶弔金
- お土産・差し入れ代
経費として認められるのは、あくまで「事業の遂行上必要であるもの」に限られます。友人との飲み会や家族旅行などは対象外です。税務調査で指摘されやすい項目のため、領収書の裏面に「誰と(相手先)」「何の目的で」行ったかをメモし、事業との関連性を説明できるようにしておくことが不可欠です。
会議費
会議費は、業務上の打ち合わせや商談に伴って発生した飲食費や会場費です。接待交際費との違いは、目的が「接待・慰安」ではなく「会議・商談」にある点です。例えば以下のものは会議費に該当します。
- ランチミーティングで払った弁当代
- 打ち合わせで利用した喫茶店の飲食費
また、フリーランスエンジニアがカフェ等の飲食店で一人で作業を行う場合のコーヒー代なども、会議費(または雑費)として計上するケースがあります。ただし、単なる休憩や食事は経費として認められないため、常識的な範囲内で処理する必要があります。
車両費
車両費は、業務で車を使用する際にかかる費用を計上する科目です。主に以下が該当します。
- 10万円未満の車両本体の費用
- 納車費用
- 自動車保険料
- 各種税金
- 車検費用
- メンテナンス料金
- ガソリン代
車両費も家事按分の対象です。プライベートと兼用している車の場合、走行距離や使用日数などを基準に業務利用割合を算出し、その分だけを経費とします。また、車両本体価格が10万円以上(青色申告の場合は30万円以上)の場合は消耗品ではなく固定資産となり、減価償却資産として数年にわたり費用化します。
減価償却費
減価償却費は、取得価額が10万円以上かつ使用可能期間が1年以上の固定資産を、数年に分けて経費化する科目です。フリーランスエンジニアの場合、以下のような支出が減価償却の対象になります。
- パソコンの購入代
- 車の購入代
- 自宅の購入費用(事業利用分)
減価償却には「減価償却資産」「一括償却資産」「少額減価償却資産」などの区分があり、資産の金額や利用用途に合わせて適切な方法を選択します。高額な設備を購入する際は計上方法が税額に影響するため、事前に確認しておくと安心です。
給料賃金
雇用形態に関係なく従業員を雇用する時は、給料賃金として給与や賞与を経費にできます。支払いの対象例は次の通りです。
- 従業員への給与・賞与
- 家族(専従者)への給与・賞与
一般の従業員を雇用している場合は、その給与を給料賃金として問題なく経費計上できます。家族を雇う場合は、「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出しない限り、支払った報酬を経費計上できません。届出書を出したのちに、家族への支払を経費計上する時は専従者給与として仕訳しましょう。
福利厚生費
福利厚生費は、従業員の慰安や健康維持のために支出する費用です。該当する支出例は次の通りです。
- 健康診断の費用
- 社員旅行の費用
- マッサージ費用(従業員向けのケア目的)
最も重要な点は、「個人事業主本人」や「専従者(家族)のみ」の場合は福利厚生費が認められないということです。これは「従業員全員が公平に利用できる制度」であることが要件とされているためです。
たとえ健康診断であっても、従業員を雇っていないフリーランスの場合は「個人的な支出(事業主貸)」となり、経費にはなりません。従業員を雇用している場合のみ使える科目と認識しておきましょう。
雑費
雑費は、他のどの勘定科目にも当てはまらない少額の費用、または一時的な支出を処理する科目です。雑費の一例を以下に示しました。
- ソフトの費用
- 各種受験料
- セミナー代
- 事務所のクリーニング代
定期的に発生する場合は、雑費よりも他の勘定科目で仕訳することをおすすめします。
フリーランスエンジニアが経費にできないものの例

原則として、事業に関係のないプライベートな支出は経費として認められません。また、個人事業主と法人では経費の認定範囲が異なるため、自身の事業形態に合わせた判断が必要です。以下に、経費計上できない代表的な例を挙げます。
友人・家族との飲食代
友人や家族との飲食代は、私的な支出であるため経費にはなりません。たとえ配偶者や親族を「青色事業専従者」として雇用していたとしても、家族間での飲食は「生計を一にする者同士の生活費」とみなされ、会議費や交際費としては認められないのが通則です。
経費にできるのは、あくまで「取引先との商談」や「業務上の接待」など、事業収益に直結する根拠がある場合に限られます。
個人での健康診断・人間ドック
個人事業主として受けた健康診断や人間ドックの料金は、経費になりません。一方、法人化していれば福利厚生費の名目で従業員に健康診断などを受けてもらえます。また自分の分も、社長の福利厚生費として経費計上可能です。
なお、福利厚生費で健康診断・人間ドックを受ける際は、従業員を雇用していることが前提です。いわゆる一人起業には福利厚生費が認められないケースが多いと知っておきましょう。
所得税・住民税
個人にかかる税金は「事業経費」ではなく「個人的な債務」であるため、経費計上できません。所得税、住民税のほか、延滞税や加算税などのペナルティ、交通反則金なども対象外です。
一方で、事業にかかる税金(租税公課)は経費として計上できます。代表的なものは以下の通りです。
- 個人事業税
- 事務所の固定資産税
- 事務所の登録免許税・印紙税
- 事務所の不動産取得税
税金は種類によって扱いが大きく異なるため、事前に区分を整理しておくと確実です。
フリーランスエンジニアが経費を計上する手順
フリーランスエンジニアが経費を正しく計上するには、日々の記録から確定申告まで一連の流れを理解しておく必要があります。ここでは、実務で押さえておきたい基本手順を整理します。
領収書やレシートを保管する
経費計上の大前提は、支出を証明する証憑(領収書・レシート・請求書)の保管です。税法上、原則として7年間の保存が義務付けられています。
特に注意が必要なのは、2024年1月より完全義務化された「電子帳簿保存法」への対応です。Amazonやクラウドサービスの利用料など、データ(PDFやメール)で受け取った領収書は、紙に出力せずデータのまま保存しなければなりません。
一方、紙で受け取ったレシートは「紙のまま保存」するか、所定の要件を満たしたうえで「スキャンして電子保存」するかを選択できます。いずれにせよ、確定申告後も証拠書類として長期保管が必要です。
経費の詳細を帳簿に記載する
帳簿とは、経費や売上など事業に関する取引内容を記録する書類のことです。フリーランスは自分で管理する必要があるため、領収書を保管するだけでなく、日付・内容・金額・勘定科目などを帳簿に記入しておきます。帳簿が整っていないと、後から経費の根拠を示せないだけでなく、確定申告の作業も大幅に増えてしまいます。
作業を効率化するには、会計ソフトを利用してこまめに入力するのが最も現実的です。銀行口座やクレジットカードと連携できるサービスも多く、これらを使えば記載漏れを防ぎやすくなります。
確定申告を行う
帳簿が整ったら、1年間の収支をもとに確定申告を行います。確定申告では、売上から経費や各種控除額を差し引いた所得を計算し、税額が確定します。源泉徴収がある場合には、還付金を受け取れることもあります。確定申告はフリーランスエンジニアが正しく税金を納めるための重要な手続きです。
確定申告の時期は、毎年2月16日〜3月15日が一般的な提出期間です(年により変動あり)。提出方法は、e-Taxを使ったオンライン申告、税務署への持参、郵送の3つが選べます。特にe-Taxは還付が早く、控除の適用範囲も広がるため利用する人が増えています。
フリーランスエンジニアの経費における家事按分の考え方

プライベートで使うものを経費にする時は、家事按分しなければいけません。フリーランスエンジニアの家事按分の考え方を解説します。
家事按分とは?
家賃や電気代、パソコン、通信費などを経費計上する時は、家事按分します。家事按分とは、業務・プライベートに兼用しているものにかかった支出について、業務に使用する比率を明らかにすることです。
例えば、家賃は以下の観点で家事按分可能です。
- 業務時間とプライベート時間の比率
- 全体スペースのうち、業務用スペースが占める面積の割合
また、電気代は以下の観点で家事按分可能です。
- 業務時間とプライベート時間の比率
- 使用しているコンセント数の比率
家事按分の計算例
以下の条件で家事按分を計算してみましょう。
- 家賃9万円
- 全体スペース:60㎡
- 業務用スペース:15㎡
全体スペースのうち、業務用スペースが占める割合は25%です。家事按分すると、経費計上できる金額は、9万円×25%を計算して2万2,500円となります。
家事按分の注意点
家事按分は、基本的にフリーランスエンジニア自身が決めたルールで行います。しかし、家事按分が認められるには客観性が非常に重要です。計算に使った資料などは保管しておき、税務署から指摘を受けた際には、家事按分の理由を合理的に説明できるようにしておきましょう。
フリーランスエンジニアが経費計上する際の留意点
フリーランスエンジニアが経費計上する際の留意点を紹介します。
- こまめに経費を計上する
- 計上漏れや不備がないか入念にチェックする
- 経費にできるか分からないものは専門家に相談する
こまめに経費を計上する
確定申告直前に領収書やレシートを整理しようとすると大変です。作業自体時間がかかりますが、詳細を覚えていない時もあるでしょう。ため込まずに都度計上する意識が大切です。帳簿付けが苦手な人は、会計ソフトを利用すると経費計上を効率化できます。
計上漏れや不備がないか入念にチェックする
計上漏れや不備があるとペナルティを科される恐れがあるため、入念にチェックしてください。特に経費の水増しなどの不正をすると、重加算税の対象になり、本来納めるべきだった税金の35%に相当する重加算税が科されます。無申告の場合は40%も科されるため、大きな痛手となるでしょう。
経費にできるか分からないものは専門家に相談する
支出には経費にできるかどうか分かりにくい、グレーゾーンのものがあります。例えば、プライベートでも使うスーツや家電製品などは要注意です。調べても分からないからといって無理に計上すると、前述したペナルティを受ける場合があります。税理士や会計士などの専門家に相談しましょう。
あわせて知っておきたいフリーランスエンジニアの節税対策

節税対策すると納める税金を減らせるので、手元に多くのお金を残せます。フリーランスエンジニアの節税対策を紹介します。
青色申告を採用する
青色申告を採用すると、所得から青色申告特別控除(最大で65万円)を差し引けます。青色申告特別控除を受けるには、まず青色申告承認申請書を提出しましょう。提出期限は「承認を受けようとする年の3月15日まで」か、1月16日以後に開業した場合は「承認を受けようとする年の3月15日まで」です。
55万円の青色申告特別控除を受けるには、正規の簿記の原則で記帳した書類を確定申告書に添付し、控除を受ける金額を記載して確定申告期限を守って出す必要があります。
65万円分控除を受けるには、さらに、e-Taxによる電子申告か、電子帳簿保存を行うことのいずれかを満たすことが必要です。
計上できる各種控除を確認する
節税というと経費の見直しに意識が向きがちですが、「控除」を正しく活用することも有効です。控除とは、所得(課税の対象となる金額)から差し引ける金額のことで、適用できる項目が多いほど税負担を抑えられます。
例えば、生命保険料や地震保険料など、個人事業主では経費にできない支出でも、控除としてなら適用できるものがあります。控除の種類は多岐にわたるため、国税庁が公開している一覧を確認し、確定申告で漏れなく反映させることが重要です。
以下は、国税庁が示す代表的な所得控除です。
雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除
引用元:国税庁
適切なタイミングで法人化する
フリーランスが法人化すると、経費にできる範囲が広がります。法人化すると自分は給与所得者になるため、給与や退職金を経費計上可能。しかも給与所得控除や退職金控除を差し引けるため、実質二重で経費計上できる計算です。そのうえ、法人化して最初の2年間は、原則消費税が免除されます。
法人化はタイミングが重要です。以下のタイミングで法人化を検討しましょう。
- 課税所得が800万円を超えた時
- 課税売上高が1,000万円を超えてから2年後
課税所得が900万円を超えると、個人事業主のままでは税率が大きく上昇します。課税所得や売上規模に応じて検討する必要がありますが、最適なタイミングは事業状況や今後の方針によって異なります。詳細は以下の解説も参考にしてください。
フリーランスエンジニアの経費におけるQ&A
経費の考え方は複雑で調べてみても分からないことも多いのではないでしょうか。フリーランスエンジニアが悩みがちな経費における疑問と回答を紹介するので、参考にしてください。
フリーランスエンジニアが経費にできるものは少ない?
フリーランスエンジニアは、事業に関連する支出であれば幅広く経費として計上できます。パソコンやソフトウェアの購入費、書籍・研修費、通信費、クラウドサービスの利用料、自宅作業スペースの家賃按分など、業務に必要である根拠を示せるものは経費として認められます。
一方で、私的な飲食や生活費のように業務との関連性を説明できない支出は経費になりません。「エンジニアは経費にできるものが少ない」というより、事業に必要であることを客観的に説明できるかどうかがポイントです。用途を明確にし、領収書とあわせて記録を残しておくと判断しやすくなります。
カフェ代は経費にできる?
コーヒーなどの飲み物代は経費になりますが、スイーツなどの食べ物は経費計上できません。食事が経費に認められるには、「食事関連の取材で注文した」「クライアントとの打ち合わせを兼ねた食事会だった」など業務と関連づける必要があります。
フリーランスエンジニアにとって、食べ物が業務に関係することは少ないと考えられるでしょう。食べ物は仕事に関係なく生活のために必要なものです。経費として認めてもらいたい時には相応の理由が必要です。
開業前の支出は経費にできる?
開業前の支出でも、以下のように事業開始に向けた準備のために必要だったものは「開業準備費」として経費計上できます。
- パソコン周辺機器代
- 開業に必要な書籍代
- 名刺作成費
- サイト制作費
- クラウドサービスの利用料
ただし、以下のものはフリーランスの開業準備費として認められません。
- 10万円以上するもの
- 敷金礼金のように、事務所の契約にかかった費用
- 水道光熱費や仕入費のように、経常的に発生する費用
これらの項目は法人・個人事業主で扱いが異なることがあるため、実際に申告を行う際はあらかじめ調べることが大切です。
領収書がない・紛失した場合はどうする?
領収書をもらえなかった、紛失してしまったなどの場合は、自分で出金伝票を書いて対応しましょう。出金伝票には以下の内容を記載します。
- 取引が発生した日付を記入します。
- 取引相手
- 勘定科目
- 摘要(具体的な取引の内容)
- 取引金額
まとめ
本記事では、フリーランスエンジニアが経費として計上できる項目や判断基準、家事按分の方法、必要な書類管理、確定申告までの流れを整理して紹介しました。経費にできる範囲を正しく理解することで、税負担を抑えつつ事業の実態に合った適切な会計処理ができます。税務処理にあたっては、控除の活用や法人化の判断など、節税につながる仕組みを知っておくことも重要です。
経費計上するためには正確に確定申告する必要がありますが、直前にまとめて作業すると大変です。便利な会計ソフトを活用して、日常的に経費を記帳する習慣をつけましょう。
- 高額案件を定期的に紹介してもらいたい
- 週2日、リモートワークなど自由な働き方をしてみたい
- 面倒な契約周りはまかせて仕事に集中したい
そのような方はぜひ、ITプロパートナーズをご利用ください!
まずは会員登録をして案件をチェック!
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