フリーランスが加入できる社会保険とは?種類や保険料を抑える方法も解説

こんにちは!ITプロマガジンです。

フリーランスになると、健康保険や年金の手続きも自分で行なうことになります。会社員のときは総務がやってくれた社会保険の手続きや保険金の支払いを、すべて自分でしなければいけないのです。

しかし、フリーランスが加入できる社会保険の種類や保険料などがイマイチ分かっていないという人も多いのではないでしょうか?

そこでこの記事では、フリーランスが加入できる社会保険の種類や加入方法、保険金の額などを詳しく解説しています。保険料をできる限り抑える方法も解説するのでぜひ参考にしてください。

なお、フリーランスについて基本的なことを知りたい方は「フリーランスとは」や「フリーランスが入れるおすすめ保険」の記事も参考にしてみてください。

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まず理解すべき社会保険という言葉の意味

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社会保険は「会社員の保険」という意味で使われることがあるので、誤解したり混同したりしている人が少なくありません。まず、社会保険という言葉の意味をきちんと理解しましょう。

社会保険は会社員にもフリーランスにもある

「フリーランスには社会保険がない」と言われることがありますが、会社員にもフリーランスにも社会保険はあります。加入する保険の種類や自己負担の割合が違うだけです。会社員と比較すると、以下の通りです。

保険の種類会社員フリーランス
健康保険被用者保険国民健康保険
年金厚生年金国民年金
介護保険介護保険介護保険
失業保険雇用保険なし
労働災害保険労災保険
(全額会社が負担)
なし

「フリーランスには社会保険がない」は、正しく言うなら「フリーランスは会社員に比べて社会保険の保険料負担が重い」になります。

また、フリーランスは会社員よりも社会保険の種類が少なく、雇用保険と労災保険がありません。

2021年から特別加入制度が導入
2021年度からはフリーランスも労災保険の加入が可能になる、特別加入制度が導入される見通しです。

参考:厚生労働省

いわゆる「社保」と混同しないように注意

最も一般的に使われているであろう、いわゆる「社保」は社会保険と同義ではなく、「会社の保険」という意味です。

「社保完備」は、被用者保険や厚生年金など、会社が保険料の1/2を負担する保険はすべて加入できます、という意味です。(労災保険は会社が全額負担)

「社保か国保どちらにするか」というのは、健康保険を被用者保険にするか国民健康保険にするか、という意味になります。

自治体などでも「社会保険」を、会社で加入する健康保険の意味に使用していることがあります。例えば宮城県名取市のホームページには「社会保険に加入したら必ず国民健康保険の喪失手続きをお願いいたします」とあります。国民健康保険も社会保険の一種なのですから、正しい使用法とは言えませんね。

フリーランスが加入できる健康保険と保険料

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では、本題であるフリーランスが加入できる健康保険と保険料について説明します。

1.国民健康保険


国民健康保険は、被用者保険に入っている会社員以外の人が加入する、もっとも一般的な健康保険で、「国民皆保険」という日本社会のテーゼの基礎になっています。一世帯に一人、世帯主が加入すれば、扶養家族は全員「被保険者証」(いわゆる保険証)がもらえます。

国民健康保険に加入すると、医療費の自己負担は3割ですみます。(70歳以上の高齢者は2~1割負担)

国民健康保険の運営主体は、2016年に市区町村から都道府県に移行されました。ただし,実際に保険料の徴取や保険証の発行をするのはこれまで通り市区町村です。

国民健康保険の保険料

国民健康保険の保険料は、主として前年度の所得によって決まります(所得割)が、その他に平均割と均等割が加算されます。

所得割前年度の所得に応じて負担する金額
平均割国保に加入する全世帯が平等に負担する金額
均等割世帯あたりの国保加入者の人数に応じて均等に負担する金額

所得割、平均割、均等割の算出基準は自治体によって違いがあり、同じ所得でも住む市区町村によって年間数万円から10万円前後の大きな差が出る場合があります。

年収ごとのおよその保険料

年収による国民健康保険の保険料のおおよその金額は次のとおりです。(年収ではなく諸控除を差し引いた後の課税所得です)

  • 年収300万円(課税所得200万円)ー保険料:226,000円
  • 年収450万円(課税所得300万円)ー保険料:304,000円
  • 年収600万円(課税所得400万円)ー保険料:401,000円

※年収に対する課税所得は、経費の額や家族構成などにより変わるので、参考例としてご覧ください。

居住地別の正確な保険料を計算する「国民健康保険計算機」という便利なサイトがあります。自分が住んでいる市町村を選択して、年収や年齢などを記入すると、保険料が自動的に計算されます。

2.社保の任意継続

会社員を辞めた人は、被用者保険から国民健康保険に移行しますが、希望すれば2年間は会社員時代の健康保険を継続することができます。ただし、保険料の1/2の会社負担はなくなり、全額自己負担になります。

任意継続の制度は会社を辞めて無職になった場合に、前年度(会社員時代)の所得を基に計算された国民健康保険の保険料を払うのが困難な場合があるからです。在職中の月収が28万円以上あった場合は、任意継続を選択する方が保険料が安くなります。

3.国民健康保険組合

国民健康保険組合とは、個人事業主(フリーランス)が加入できる業種別の健康保険で、加入すると医療費の自己負担は3割になります。健康保険組合がある業種は、弁護士、医師、土木業、理美容業、小売業、芸能人など数多くあります。

クリエイティブ関連では「文芸美術国民健康保険組合」があります。Webデザイナー、イラストレーター、Webライターなどは、この保険に入れる可能性があります。

「文芸美術国民健康保険組合」に加入するには、自分が所属している業界団体が組合に加盟していることが条件になります。

【文芸美術国民健康保険組合に加盟している団体の例】
・デザイナ-健保会
・東京イラストレーターズ・ソサエティ
・東京グラフィックデザイナーズクラブ
・東京コピーライターズクラブ
・日本アニメーション協会
・日本イラストレーション協会
引用元:http://www.bunbi.com/dantai.html

国民健康保険組合の特徴は、収入に関わらず保険金が一律だということです。文芸美術国民健康保険組合の場合は月額19,900円で、家族は月額10,600円です(令和2年度)。

フリーランスが加入できる年金制度と料金

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フリーランスは必ず国民年金に加入しなければなりません。しかし、国民年金の支給額(月額6万5000円ほど)だけでは老後の生活に十分ではないので、それを補てんするために、任意で加入できる年金制度があります。

国民年金

国民年金には、20歳以上60歳未満のすべての人が加入しなければなりません。会社員は国民年金ではなく厚生年金だと言われますが、実はいわゆる厚生年金は「国民年金(基礎年金)+厚生年金」の二階建てになっています。「厚生年金なら老後は安心だが、国民年金では足りない」と言われるのはこのためです。

国民年金の保険料は収入や年齢に関係なく一律で、2020年度は月額16,540円でした。保険料は物価の変動などに合わせて毎年見直されます。最近では下記のように毎年少しずつ高くなっています。

  • 2018年度:16,340円
  • 2019年度:16,410円
  • 2020年度:16,540円

フリーランスの国民年金の保険料を家族単位で見るなら「月額保険料×20歳以上60歳未満の家族の人数」が、毎月支払う保険料になります。

会社員の場合は、配偶者の年収が106万円以下なら、配偶者の保険料は会社員である夫(妻の場合もありますね)の保険料に含まれるので、別途に支払いは生じません。この点でもフリーランスは厳しい立場にあります。

上記の場合の配偶者は第3号被保険者と呼ばれます。フリーランスは第1号被保険者、会社員は第2号被保険者です。

第3号被保険者は、収入が106万円以上になったら、第1号または第2号被保険者に移行します。どちらに移行するかはフリーランスか会社員かによります。

付加年金

付加年金はフリーランス(第1号被保険者)が選択できる制度で、国民年金の保険料に毎月400円プラスして支払うことで、年金の受給額を増やすことができます。

付加年金を選択すると、年間支給額が「200円×付加保険料納付月数」増額されます。40年間付加年金を支払うと「200円×480月」で年額で9万6000円年金が増えます。

国民年金基金

国民年金基金もフリーランス(第1号被保険者)が国民年金を上積みするための任意制度です。

毎月の掛け金は、選択した給付の型・加入口数・加入時の年齢・性別によって決まります。掛金の上限は月額6万8,000円です。月額6,000円ほどから始めることができます。もちろん、年齢が若いころからスタートすると受給金額が大きくなります。

給付の型には、終身型や確定年金型などがあり、受給前に死亡した場合に遺族一時金が支払われる制度もあります。

会社員からフリーランスになったら必ず行うべき保険の手続き

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会社員時代は社会保険の手続きはすべて総務課がやってくれますが、フリーランスになったらすべて自分でしなければなりません。

被用者保険から国民健康保険への切り替え

会社を辞めてフリーランスになったら、退職した日の翌日から2週間以内に、住んでいる市区町村の窓口で、国民健康保険の加入手続きをしなければなりません。

手続き方法

市区町村の窓口に、印鑑・被用者保険資格喪失証明書・個人番号カード(または通知カード・写真付身分証明書を持参して手続します。

被用者保険資格喪失証明書は勤めていた会社で発行してくれますが、会社が発行してくれない場合は、居住地の管轄年金事務所で発行してもらえます。

注意点

国民健康保険に加入して保険証をもらう前に病院にかかると、医療費を一時全額自己負担しなければなりません。また、何年も国民健康保険に未加入のままにしておくと、さかのぼって保険料を納めなければならなくなります。

厚生年金から国民年金への切り替え

フリーランスになったら、退職した日の翌日から2週間以内に、市区町村の窓口で国民年金への切り替え手続きをしなければなりません。

手続き方法

市区町村の窓口に、退職日を証明できる書類(離職票、健康保険喪失証明書、退職証明書など)・年金手帳・印鑑・身分証明書(運転免許証など)を持参して手続します。

注意点

配偶者が会社員の場合は、配偶者の職場で手続きしてもらって、国民年金の第3号被保険者になることができます。しかし、フリーランスとしての年収が106万円を超えたら、改めて国民年金(第1号被保険者)の加入手続きをしなければなりません。

会社を辞めて失業した場合

フリーランスになってまだ仕事が見つからないときは、会社員のときに加入していた雇用保険(いわゆる失業保険)から、一定期間給付金を受け取れる場合があります。退職理由が会社都合の場合は、自己都合の場合に比べて支給がスムーズです。

手続き方法

ハローワークに離職票・マイナンバーカード(または通知書)・印鑑・証明写真 (縦3cm×横2.5cm)2枚・通帳通帳を持参して手続します。

注意点

雇用保険の支給は再就職する意思があり、就職活動をしていることが条件なので、ハローワークで「今後はフリーランスとしてやっていきます」と言うと、支給要件から外れることになります。

フリーランス・業務委託が失業保険を受給するには?条件と注意点

フリーランスの保険料を計算!合計でいくらかかる?

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フリーランスの社会保険「国民健康保険」と「国民年金」の保険料を合計するといくらになるのでしょうか?

国民年金は一律なのに対して、国民健康保険は、収入額や経費の額、家族構成や居住地などで変わるので、いちがいには言えませんが、おおよその目安をご紹介します。

合計金額の例

一例として、収入400万円のフリーランスの場合を見てみましょう。

営業費、機材費、通信費などの経費を100万円とすると、所得は300万円になります。この所得にかかる税金、社会保険料はおおよそ次のようになります。

  • 国民健康保険:37万8000円
  • 国民年金:19万7000円
  • 所得税:10万0000円
  • 住民税:20万5000円

【合計:88万0000円】

アバウトな目安ですが、このように収入(売上)400万円で経費100万円のフリーランスの税金・社会保険料の合計は88万円ほどになり、手取りは218万円ほどになります。

手取りは年収の6割を想定しよう

上記の例では手取り額は収入の54.5%です。売り上げの6割弱しか手取りがないのは大変厳しいと言わなければなりませんが、それがフリーランスの現実です。

扶養家族が増えるなどで控除額が大きくなっても、手取りは売上の6割台を想定して生活するのが安全です。

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フリーランスが社会保険料を抑える5つの方法

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フリーランスが社会保険料を押える方法には次のようなものがあります。

1.国民健康保険料が安い自治体に引っ越す

国民健康の保険料が高い市区町村に住んでいる人は、引っ越すことで保険料が安くなる場合があります。

国民健康保険料は住んでいる市区町村によってかなりの差があります。最も高い自治体と最も安い自治体では2倍前後の差がある場合があります。差がある理由は、その地域での医療費の大きさや自治体の財政事情などです。

もっとも保険料が高いのが広島市、神戸市、函館市、東大阪市、山形市などで、最も安いのが冨士市、豊田市、相模原市、春日井市、平塚市などです。

ほとんど医者にかからないのに健康保険料が高い自治体に住んでいる人には不公平感がありますね。リモートワークが可能なフリーランスなら、保険料が安い自治体に引っ越すことを検討しても良いかもしれません。

2.国民健康保険組合に入る

業種別の健康保険組合に入ることで保険料が安くなる場合があります。

フリーランスが加入できる健康保険の章で触れたように、業種別の健康保険組合に加入すると、保険料が収入に関わらず一定で、国民健康保険より安くなる場合が多いと言えます。

エンジニアでもWebデザインなどのクリエイティブ寄りの成果物がある場合は、上にご紹介した「文芸美術国民健康保険組合」に加盟している団体に加入することを検討してみてはいかがでしょうか。

3.ひとまず任意継続保険に加入

会社員からフリーランスになる場合は、ひとまず(2年間が限度)任意継続保険に加入することで健康保険料が安くなる可能性があります。

ただし、会社員時代のように会社が保険料の1/2を負担してくれるわけではないので、注意しましょう。国民健康保険とどちらが得かは、会社員時代の給与によります。

4.青色申告で確定申告する・経費をしっかり計上する

確定申告を青色申告ですると控除額が大きくなり、税金が安くなる可能性があります。

フリーランは毎年確定申告をしなければなりません。確定申告には白色申告と青色申告があり、青色申告を選択すると、最大で65万円の青色申告控除が受けられます。

65万円の控除を受けるには、複式簿記で帳簿をつけてe-taxで申告する必要があります。

白色申告と比べると多少手続きで面倒な部分もありますが、節税できる可能性が高いので、うまく活用すると良いでしょう。

5.クレジットカード支払いを活用

国民年金はクレジットカードで支払うことができます。国民健康保険は自治体によってクレジットカード払いができるところとできないところがあります。

クレジットカードで支払えば、ポイントが付くので実質的に保険料が安くなります。その際はポイント還元率の高いカードほどお得です。ただし、カードによっては国民年金の支払いにはポイントが付かないものがあります(三井住友カードなど)。

ちなみに、2017年から所得税・消費税などの国税もクレジットカードで支払えるようになっています。ただし、税金やのクレジットカード支払いには決済手数料がかかるので、手数料負けしないカードを選ぶ必要があります。

フリーランスから法人化した際に必要な社会保険の手続き

フリーランスが事務所を法人化するときは、社員が社長一人の場合でも、被用者保険と厚生年金の加入手続きをする必要があります。

健康保険と厚生年金に加入

従業員を雇う場合はもちろん、社長一人だけの会社でも、社長が法人に雇用されている解釈が適用されるので、被用者保険と厚生年金への加入が必要です。

ただし、社長の給料(役員報酬)報酬が保険料を下回る場合は、年金事務所から厚生年金への加入を断られる場合があり、その場合はしばらくの間、国民年金に加入することになります。

国民健康保険の脱退

会社を設立して被用者保険に加入したら、国民健康保険の脱退手続きをする必要があります。加入したときと同様に、居住地の市区町村で手続きをしましょう。

まとめ

フリーランスの社会保険について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?いろいろな面で会社員のときは恵まれていたな、と思った方もいると思います。しかし、独立独歩の道を選んだからには、それくらいのリスクや手間は引き受けなければいけませんね。

特に年金は、老後の生活を支える大切な資金を準備するものなので、しっかりと対策を考えておく必要があります。

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