こんにちは、ITプロマガジンです。
個人事業主として独立を考えている方のなかには、「開業届を提出するのに費用がかかるのか気になる」「開業届を提出するためにどのような手続きが必要かわからず不安」と考えている方も多いのではないでしょうか。
個人事業主の開業届は何度も提出するものではないため、費用がわからず手続きも難しく感じる人も多いでしょう。結論、開業届自体には費用がかからず、実際の手続きもそれほど難しくありません。ただし、開業するのであればそれ以外に用意しておくべき資金についても理解しておく必要があります。
この記事では個人事業主の開業届などの書類提出や、その他発生する費用や手続きの流れ、注意点まで解説します。開業時の手続きをスムーズに進めるための参考にしてください。
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目次
個人事業の開業届の費用はいくら?
開業届の手続き自体は完全に無料です。手数料や印紙税などの費用は一切かかりません。かかるとすれば、提出するための郵送代や封筒代、書類のコピー代といった諸費用のみです。
どのくらいの諸費用が発生するかは、手続きの方法によって異なります。基本的にまとまった金額を用意する必要はありませんが、どういった費用が発生するのかを知っておきましょう。手続き方法ごとにかかる費用について解説します。
窓口で手続きする場合はコピー代や印刷代のみ
開業届は管轄の税務署へ提出する書類です。税務署の窓口で手続きすること自体は無料ですが、以下のような多少の諸費用が発生します。
- 開業届の印刷代(紙代・インク代)
- 開業届の控えのコピー代
- 窓口までの交通費
開業届の書類は税務署の窓口に行けば無料でもらえますが、国税庁のWebサイトからダウンロードして印刷する場合は紙代やインク代などがかかります。
書類は1枚のみですが「提出用」の他に「控え」が必要です。通常は1枚目に記入し、コピーして控えを作成します。大量に印刷やコピーするわけではないため、負担はそれほど大きくないでしょう。
郵送で手続きする場合も切手や郵送料のみ
開業届や青色申告承認申請書を出すこと自体にお金はかからないものの、郵送で手続きをする場合は次のような費用が発生します。
- 提出書類を印刷するための紙代と印刷代
- 郵送料
- 返信用の封筒代と切手代
- マイナンバーカードおよび本人確認書類のコピー代
このうち返信用の封筒は届出書類の控えを送ってもらうために必要です。必ず同封しなければならないものではなく、入れ忘れても届け出自体は受理してもらえます。
ただし、控えはさまざまな手続きで必要になってくる重要なものであるため、返送してもらうことをおすすめします。
e-Taxの場合も無料
開業届は、「e-Tax」(電子申告・納税システム)を使って無料で提出することもできます。この場合に発生する諸費用は以下の通りです。
- ICカードリーダ・ライタの購入費用
- マイナンバーカード読み取りができるスマートフォンの購入費用
公式の「e-Taxソフト」で申請する場合は、Windows搭載のパソコンとICカードリーダ・ライタが必要です。ICカードリーダ・ライタは家電量販店やインターネットショップなどで購入できます。
e-Taxソフトでの申請はやや煩雑で難易度が高めですが、「freee開業」など無料の開業支援サービスを使えば、スマホ1台で簡単にできます。この場合は、マイナンバーカード読み取りができる「NFC対応」のスマートフォンが必要です。
NFCはキャッシュレス決済などに使われる技術で、Android・iPhoneを問わず、多くの機種がNFCに対応しています。手元のスマホがNFC対応にしていれば、開業届提出のために新たに購入する必要はありません。
「freee開業」のような開業支援サービスは、会計ソフトの付随サービスです。会計ソフトそのものを使うには料金がかかりますが、開業届の提出のみであれば基本的に無料で利用できます。
税理士に依頼すると費用が発生するが依頼する必要はない
開業届は税理士に提出を代行してもらうこともできます。この場合は事務手続きを全て任せられますが、依頼費用が発生します。費用の相場は1万~2万円程度です。
開業届は書類1枚の記入で済む簡単な手続きであり、自分で済ませる人が少なくありません。あえて税理士に依頼するメリットは、税務にまつわる相談ができる点です。開業をきっかけに税理士を探したい時や、経理に関する不安がある時などは検討してもよいでしょう。
個人事業の開業時に必要なその他の手続き費用もすべて無料
個人事業を開業する時は、必要に応じて開業届の提出以外にも税務署で行う手続きがあります。主な手続きは以下の表でご確認ください。いずれも手続き自体は無料です。
手続名 | 説明 |
---|---|
所得税の青色申告承認申請 | 確定申告で節税効果の高い青色申告をするために必要な申請で、事業を開始した年の3月15日まで(開業が1月16日以降の場合は開業日から2ヶ月以内)に提出する |
青色専業者給与に関する届出 | 青色申告をする際に、家族に支払う給与を必要経費に算入するための届出で、算入したい年の3月15日まで(開業や家族を従業員にしたタイミングが1月16日以降の場合は開業日から2ヶ月以内)に提出する |
給与支払事務所等の開設届出 | 従業員を雇って給与を支払うことになった場合に必要 |
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請 | 従業員が常時10人未満で、源泉所得税の納付を年2回にする特例を利用する場合に提出する |
消費税課税事業者選択届出 | 消費税の免税事業者が課税事業者になるための届出で、インボイス制度対応の適格請求書を発行するために必要 |
減価償却資産の償却方法の届出 | 減価償却方法を選択する場合の届出 |
棚卸資産の評価方法の届出 | 在庫の評価方法を選択する場合の届出 |
このうち、「所得税の青色申告承認申請」は確定申告で適用できる控除額に大きく影響するため、特に重要です。詳しくは「青色申告の控除要件を知っておく」の項目を参照してください。
開業届の提出は義務?
開業届(個人事業の開業届出・廃業届出等手続)とは、個人で事業をスタートさせた際、税務署にその事実を届け出るためのものです。提出期限は「事業開始から1ヶ月以内」と定められています。提出基準は「事業を始めた事実」で、収入の金額は関係ないため、副業であっても提出する必要があります。実際に個人で仕事を請ける前に、書類を準備しておくとよいでしょう。
開業届を提出しなかった場合や、提出が遅くなった場合でも罰則はありません。ただし未提出のまま事業を行うと青色申告ができないため、節税という点では不利になるケースがあります。
副業をする際の開業届については、こちらの記事も合わせてご覧ください。
個人事業主になるには開業資金がいくら必要?
開業届の手続きそのものに多額の費用がかかることはないものの、それとは別に開業資金が必要なのはいうまでもありません。個人事業主になる際に、どの程度の費用を用意しておけばいいのかを解説します。
500万円未満で開業するケースが多い
まずは全体の傾向を知るために、データをチェックしてみましょう。日本政策金融公庫総合研究所が公表している「2021年度新規開業実態調査」によると、2021年度は42.1%の人が「開業資金は500万円未満」と回答しています。
開業費用が500万円未満のケースが多い理由として、パソコンさえあれば開業できる仕事が増加していることが考えられます。大がかりな施設や設備が必要ないエンジニアやコンサルタントなどは、開業に多額の資金を必要としません。
なお平均額は941万円であり、「2,000万円以上」と回答した人も約1割にのぼります。開業に必要な費用は業種や職種によるところが大きく、必要な金額を見極めることが大切だといえるでしょう。
余裕分として運転資金も必要
開業する際は、開業資金に加えて運転資金もある程度準備しておきましょう。どのような業種でも、開業してすぐに黒字にできるとは限りません。
また、商品の仕入れが必要な場合は先に支払いを済ませる必要があります。さらに思うように売り上げが立たなくとも、水道光熱費や通信費といった経費は毎月かかってきます。開業資金のみで事業をスタートさせてしまうと、これらの対応が苦しくなってしまうでしょう。
さまざまな事態に備えるために、開業する際は少なくとも3ヶ月分の運転資金を用意しておくことをおすすめします。開業資金と運転資金以外の費用としては、家賃や食費といった生活費も必要です。
個人事業主の開業に必要な費用・資金
開業時には、物件や通信環境の整備、その他備品を揃えるためにさまざまな費用がかかります。そのため、どのような費用が必要になるか気になる人も多いでしょう。ここでは開業時にかかる主な項目や目安となる費用について解説します。
物件関連費用
物件関連費用は個人事業主が店舗やオフィスを借りる場合にかかる費用です。敷金・礼金や保証料がかかり、オフィスの場所や広さ、設備によって費用の相場は変わります。好立地な物件ほど高額なため、事前の貯蓄が必要です。自宅開業の場合、これらの費用はかかりません。
店舗として借りる場合にはリフォームに別途費用が必要です。オフィスとして借りる場合も、状況によってはリフォームが必要になる場合があります。
店舗のリフォームの場合には、数十万〜数百万の費用がかかることもあるでしょう。自宅開業の場合はリフォームが不要なことがほとんどですが、場合によっては必要になります。
事業の内容にもよりますが、オフィスを立ち上げるのは費用負担が非常に大きいため、自宅と別にオフィスが必要かどうかは慎重に検証する必要があるでしょう。
端末・通信関連費用
仕事をするための、パソコンや複合機、タブレット、スマートフォンなどの設備を購入またはリースするための費用も必要です。また、これらを使えるようにするために、インターネット回線の工事費用、ルーター、回線など費用が必要になることもあります。
個人が所有しているもので代用できる場合もありますが、事業内容によっては家庭用では十分に対応できず、新しい機器を購入しなければいけない場合があります。
必要な備品にもよりますが、例えばパソコンであれば、1台あたり10万円から30万円ほどの予算が必要です。特に高額なのが複合機で、高いものでは数十万円のものもあります。
これらを全て現金でまかなうのは難しいため、必要な場合はリースを利用する方法もおすすめです。複合機のリース契約は月1万〜2万円ほどで利用できるケースが多く、費用負担を抑えられます。個人事業であれば数十万円程度で大部分は収まるでしょう。
備品設備関連費用
オフィスを借りる場合は、机や椅子、文房具などの備品も必要になります。また、事務所に応接スペースを作る場合はそのための費用も考えなければなりません。オフィスの備品はグレードにもよりますが、安いものであれば1人あたり5万円、高ければ20万円を超える場合もあります。
雇う社員の数が多ければその分だけ費用は高額になり、リフォームの代金と合わせて大きな負担になりがちです。自宅で行う事業の場合は、備品のほとんどを家庭にあるもので代用できるため、費用は大幅に抑えられるでしょう。
広告宣伝関連費用
開業後は、広告宣伝にも費用がかかることがあります。例えば、チラシ作成・配布、ホームページ制作、インターネット広告などです。チラシの作成には数万円程度かかります。具体的にはデザイン費として2万円から8万円、原稿制作に2万〜4万円、チラシの印刷費に1部あたり5万〜15円ほどが相場です。写真撮影が必要な場合は、別途費用が発生します。
ホームページ制作はサイトの規模にもよりますが、10万円以上の費用が必要です。それに加えホームページ制作会社はドメインの取得費用やサーバーのレンタル費用もかかります。そのため、初期投資に加え、ランニングコストもかかります。
コストを抑える方法としては、自身で制作する方法もあります。ホームページはしっかりとしたものを作ると費用が高額になるため、事業規模が小さい場合は自分で作ってみるのも選択肢です。
運転資金
開業する際は、開業資金に加えて運転資金もある程度準備しておきましょう。どのような業種でも、開業してすぐに黒字にできるとは限りません。
また、商品の仕入れが必要な場合は先に支払いを済ませる必要があります。さらに思うように売り上げが立たなくとも、水道光熱費や通信費といった経費は毎月かかってきます。開業資金のみで事業をスタートさせてしまうと、これらの対応が苦しくなってしまうでしょう。
さまざまな事態に備えるために、開業する際は少なくとも3ヶ月分の運転資金を用意しておくことをおすすめします。開業資金と運転資金以外の費用としては、家賃や食費といった生活費も必要です。
個人事業の開業時の資金調達方法4選
開業資金が不足している場合は、何らかの方法で調達しなくてはなりません。一般的に広く使われているのが、金融機関の融資や公的な助成金を活用する方法です。資金調達に使える4つの方法をご紹介します。
日本政策金融公庫からの融資
「日本政策金融公庫」とは、国が100%出資している政府系の金融機関です。開業や会社設立に向けてお金が必要な人にさまざまな融資を行い、金銭的なサポートをしています。
数ある金融商品のなかで、これから事業を始めたい人向けに用意されているのが「新規開業資金」です。実績がない状態でも借りやすく、融資のハードルが低めというメリットがあります。さらに「35歳未満または55歳以上」「女性」「Uターンなどにより地方で新たに事業を始める」などの条件に当てはまれば、よりお得な特別利率が適用される点も大きいでしょう。
開業資金が不足している場合は、まず日本政策金融公庫の利用を検討することをおすすめします。
地方自治体の制度融資
「制度融資」とは、各自治体と金融機関、信用保証協会の3者が実施している融資のことです。金利が低めで長期間の借入ができ、実績や信用がない状態でも融資が受けやすいというメリットがあります。さらに担保や保証人なしで利用できるケースも少なくありません。制度融資は起業する人をサポートし、起業を促進していくという役割を担っています。
制度融資の詳細は自治体によって多少の違いがあるため、対象となる自治体の制度を確認しておきましょう。例えば東京都には、新規で起業した人向けの制度として「東京都中小企業制度融資『創業』」があります。こちらはこれから起業する人だけでなく、創業した日から5年未満の人も利用可能です。
銀行からの融資
銀行や信用金庫からプロパー融資を受けるという方法もあります。ただし銀行は、積み重ねてきた信用や過去の実績を重視する傾向があるため、これから事業を始めるという段階で融資を受けることは困難だといわざるを得ません。金利は低いものの、実際に融資を受けるためのハードルは高いといえるでしょう。
銀行からの融資を検討する際は、全国に支店があるメガバンクではなく、地方銀行や信用金庫の利用がおすすめです。こういった地域密着型の金融機関は地域創生という理念を掲げていることに加え、小規模な事業者との取り引きが多く、比較的融資してもらいやすい傾向があります。ただ金利は、一般的にメガバンクよりも高めに設定されています。
補助金・助成金
起業する際は、地方自治体が用意している補助金や助成金も上手に利用しましょう。補助金や助成金は借り入れではないため、基本的に返済する必要がないのが大きなメリットです。ただし「申請して審査をパスし、実際に行動を起こして必要な費用については立て替えておき、後日精算する」という後払いのシステムになるため、一時的な出費は覚悟しておかなくてはなりません。
起業時に利用できる補助金や助成金には「創業補助金」や「小規模事業者補助金」などがあります。補助金に関する情報は、各自治体や中小企業庁、経済産業省などのWebサイトなどで入手可能です。申請や手続きに手間がかかるものが多いため、早めに調べておくことをおすすめします。
個人事業主の開業届の手続きをする手順
開業届の手続き自体はさほど難しくありません。必要な書類を揃えれば1日で完了します。ここでは、実際に開業届を提出する手順を解説します。
必要書類の記入・準備
まずは以下の必要書類を用意しましょう。
- 個人事業の開業・廃業等届出書
- 本人確認書類の写し
本人確認書類については、マイナンバーカードを持っているか否かで必要なものが異なります。
- マイナンバーカードを持っている場合:マイナンバーカード
- マイナンバーカードを持っていない場合:マイナンバーの番号が確認できる書類(通知カードなど)と、身元確認書類(免許証・健康保険証など)
また、本人確認書類の写しが必要なのは郵送で届け出る場合のみです。税務署の窓口に提出する場合は写しを持参する必要はなく、提示するだけで完了します。e-Taxを使って提出する場合もマイナンバーカードで本人確認を行うため、写しは不要です。
開業届の記入方法については、こちらの記事を参照してください。
書類の提出
開業届を提出するには、すでにご紹介した通り3つの方法があります。
- 窓口
- 郵送
- e-Tax
提出先は納税地の所轄税務署です。税務署の場所は国税庁のWebサイトにある「税務署の所在地などを知りたい方」のページから調べられます。直接窓口へ持っていく場合は、月曜日から金曜日の午前8時30分から午後5時までの開庁時間内に手続きをしてください。書類の書き方についてわからないことがあれば、税務署で相談できます。ただし税務署での相談は予約が必要なケースもあるため、事前に確認しましょう。
郵送する場合は普通郵便で構いません。心配な時は、特定記録郵便などを使って送付するのがおすすめです。
e-Taxで提出する場合は、公式の「e-Taxソフト」をインストールするか、「freee開業」などの開業支援サービスを活用します。画面の指示に従って設定し、必要事項を入力すれば完了です。
控えの受け取り
開業届の控えは、事業用の口座開設やクレジットカード申し込みなど、さまざまな場面で必要になることがあります。提出して受理されたら、控えを受け取っておきましょう。
窓口で手続きする場合はコピーを一緒に提出し、受領印を押印してもらったものを受け取るだけです。郵送の場合は、コピーと切手を貼った返信用封筒を同封すれば返送してもらえます。
e-Taxの場合は、直接控えをもらうことはできません。送信済みのデータを印刷したものと、開業届の「受信通知」を印刷したものを控えとして使用するのが一般的です。
控えを紛失した場合は再発行してもらえますが、手数料がかかります。なくさないように注意して保管しておきましょう。
個人事業を開業した人が手続きで注意すべきポイント
個人事業の開業届の手続きは難しいものではありません。しかし開業届を出してきちんと青色申告できるようにするためには、注意すべき点もあります。
提出期限に注意する
開業届の提出期限は、事業の開始から1ヶ月以内です。なお、提出期限が土日祝日の場合は、これらの日の翌日が提出期日となります。提出期日を過ぎても罰則はありませんが、遅れれば遅れた分だけ青色申告の承認も遅れてしまいます。結果的に確定申告での青色申告ができなくなるケースもあるため、注意が必要です。個人で事業を始めると決めたら、いつでも提出できるように必要なものを準備しておくとよいでしょう。
健康保険の扶養から外れる可能性がある
配偶者の扶養者として健康保険を利用している場合、開業届を提出し個人で収入を得ることで扶養から外れる場合があります。事業として売上が少なく、収入が少ない場合は、扶養を外れると損してしまう可能性が高いでしょう。
ただし開業してしっかり稼ぐ見込みがある場合は、扶養を外れることで得になることも少なくありません。
扶養に入り続けるには、一定の収入を超えないよう仕事をセーブする必要があります。扶養から外れるか否かは、今後の収入の見込みやライフプランなどを、さまざまな面から考慮しましょう。
タイミングによっては再就職手当を受け取れない場合がある
開業届を出すことで再就職手当を受け取りたい場合は、開業届を提出するタイミングに注意が必要です。
再就職手当とは、雇用保険の基本手当を受け取る資格がある人が再度仕事についた時に受け取れる手当のことです。企業への再就職だけでなく、開業した場合も支給の対象となります。
ただし受け取るには、いくつかの条件を満たさなくてはなりません。その1つが再就職のタイミング、つまり開業届の提出日です。個人事業主の場合、開業届を提出した日が再就職した日とみなされます。開業届を出すのが早すぎると再就職手当を受け取れないことに注意しておきましょう。
開業届を提出してよいタイミングは、退職理由によって変わります。
- 退職理由が会社都合:7日間の待期期間満了後
- 退職理由が自己都合:7日間の待期期間+1ヶ月後
いずれの場合もまずはハローワークへ行く必要があるため、ハローワークでの手続きを最優先にしましょう。
詳しくはこちらの記事を合わせてご覧ください。
青色申告の控除要件を知っておく
青色申告ができると青色申告特別控除として最大65万円の控除が受けられます。ただし、この控除を適用させるためには、いくつかの要件があるため、それらを守らなければなりません。これが守られていない場合、青色申告が承認されていても、自動的に10万円の控除しか受けられなくなります。
また、青色申告のなかでも55万円の控除が受けられる要件と、65万円の控除が受けられる要件は異なるため、注意が必要です。55万円の控除の要件は以下のようになっています。
- 不動産所得または事業所得を生じるべき事業を営んでいること
- 所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること
- 貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載して、法廷申告期限内に提出すること
また、65万円の控除を受ける場合は、上記の要件に加え以下の要件のいずれかを満たさなければなりません。
- その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について、電子帳簿保存していること
- その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表及び損益計算書等の提出を、提出期限までにe-Tax(国税電子申告・納税システム)を使用して行うこと
これらの要件を守って申請しましょう。
経費処理を正しく把握しておく
経費処理の仕方を把握して開業時点から経費処理を適切に行なっていると、確定申告などの申請が楽になり慌てず手続きが進められます。特に開業費のなかでも経費にできるものについて把握しておき、領収書などを管理するとその後の経費処理がスムーズです。開業費に含まれるものの例としては以下のものがあります。
- 開業を目的としたセミナーの参加費用
- 事業に関わる旅費やガソリン代
- 通信費
- 打ち合わせ費用
- 関係先へのお土産
- 開業までの借入金の利子
- 広告宣伝費(ホームページやチラシなど)
- 備品の購入費用
なお、条件を満たしている場合には、開業日以前に発生したものも開業費として認められます。
まとめ
開業届や青色申告承認申請書の書類の提出手続きは、事前に確認しておけばそれほど手間をかけることなく完了します。早めに提出して経費処理の準備までしておけば、青色申告によって高い節税効果を得られるため早めに手続きしておきましょう。
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