こんにちは、ITプロマガジンです。
フリーランスとして活動するにあたって法人化を検討している人や、株式会社と合同会社どちらを設立しようか迷っている人も多いのではないでしょうか。
合同会社は株式会社に比べて知名度は低いものの、株式会社よりも費用面・手続き面で設立のハードルが低い点がメリットです。
今回は、合同会社のメリット・デメリットや設立の流れを解説します。個人事業主との比較も紹介しているので、そもそも法人化するかどうか迷っている人もぜひご確認ください。
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目次
フリーランスは合同会社を設立できる?
まず前提として、フリーランスが合同会社を設立することは可能です。合同会社は1人だけでも設立でき、実際にフリーランスで合同会社を立ち上げて活動している人もいます。
もちろん、フリーランスとして活動する際、必ずしも合同会社などの法人を設立しなければならないわけではありません。個人事業主として活動するフリーランスも多数います。
しかし、一定の条件を満たす場合は法人を設立した方が税務上のメリットが得られることもあります。よって、フリーランスとして活動するなら「こういった状況になったら合同会社などの法人を立ち上げる」という目安を考えておくことがおすすめです。
そもそも合同会社とは
合同会社とは、出資者全員が経営者となる会社です。
例えば株式会社の場合、出資者と経営者は分けられます。会社の経営者でも従業員でもない人が株式会社の株を買って株主(出資者)になれるのはこのためです。
一方、合同会社では出資者と経営者が同じなので、部外者がその会社に出資することはできません。フリーランスが合同会社を経営する場合、株主に経営方針を説明したり、株主の意向も考慮しながら事業を進めたりする必要はないのです。
このように自分で自由に事業ができる点は、株式会社と比較した時の合同会社のメリットです。また、株式会社よりも設立費用が安い点も、1人で活動するフリーランスにとっては嬉しい点でしょう。
株式会社との違い
合同会社と株式会社の主な違いは、以下の通りです。
合同会社 | 株式会社 | |
---|---|---|
意思決定の条件 | 総社員の同意 | 株主総会での承認 |
出資者と経営者 | 原則として同じ | 原則として別 |
役員・役職の任期 | なし | 最長10年 |
決算公告 | 不要 | 必要 |
定款の承認 | 不要 | 必要 |
利益配分 | 自由に規定 | 出資比率に応じる |
設立費用 | 約6万円〜 | 約18万円〜 |
合同会社と比べた時の株式会社の特徴として、以下の2点が挙げられます。
- 株主総会が必要
- 出資者と経営者が原則として別
株式会社の場合、株主に対して経営方針などの承認を求める必要があります。手間はかかりますが、経営に関する重要な決定について、外部の視点も交えた客観的な判断がしやすい点はメリットです。
合同会社だと社員全員が同じ方向を向いていればスピーディな意思決定ができますが、内部の人間だけで物事を決めていくため意見が偏っていく可能性があります。
また、「出資者と経営者が原則として別」という点には、資金調達がしやすいというメリットもあります。
合同会社の場合は会社に出資すると経営者にならないといけないため、まず「経営に携わってもらいたい人、経営陣の一員になっても問題ない人」を見つけ出し、出資都経営への参画を頼まなければなりません。
しかし、株式会社なら出資者と経営者は別なので「経営には携わらないけれど応援として出資したい」という人からも出資を受けられ、資金調達がしやすいのです。
フリーランス1人でも株式会社の設立は可能です。ここで解説した内容も踏まえ、株式会社の方がメリットがある場合は株式会社の設立を検討してみましょう。
個人事業主との違い
個人事業主とは、法人を作らずに個人で活動する人のことを指します。合同会社と個人事業主の違いは以下の通りです。
合同会社 | 個人事業主 | |
---|---|---|
開業・設立 | 最短でも7〜10日程度かかる | 開業届の提出のみで済む |
社会的信用 | 高め | 低め |
節税効果 | 大きい | 小さい |
赤字の場合に生じる税金 | ・消費税 ・法人住民税 | 消費税 ※課税事業者の場合 |
責任の範囲 | 有限 | 無限 |
経理の難易度 | 高い | 低い |
厚生年金への加入 | 強制加入 | 任意 ※適用業種かつ常時5人以上の従業員を雇用している場合を除く |
合同会社と比べた時の個人事業主のメリットは、何よりも「事業開始に費用と手間がかからない」点です。
合同会社を設立する場合は、さまざまな書類を用意して各種手続きをしなければなりません。その際、費用もかかかります。
しかし、個人事業主は開業届さえ出せば事業を始められ、費用もかかりません。こうした手軽さは個人事業主の大きなメリットです。また、節税効果は合同会社の方が大きいものの、赤字が生じた場合にかかる税金が少ない点や、経理の難易度が低い点も、個人事業主のメリットです。
個人事業主の場合、赤字だと所得税や住民税は支払わなくてよくなり、課税事業者の場合は消費税の支払いのみで済みます。一方、合同会社は赤字であっても消費税に加えて法人住民税の一部を支払わなければなりません。
また、個人事業主の経理は自力、あるいは会計ソフトで十分対応できることが多いため、税理士を雇う費用も不要です。こうした面でも、個人事業主のメリットは大きいといえます。
フリーランスが合同会社を設立するメリット
フリーランスが合同会社を設立する場合、以下のようなメリットがあります。
- 節税になる場合がある
- クライアントからの信用度アップが期待できる
- 有限責任になる
- 株式会社より設立のハードルが高い
これらの点について、詳しく解説します。
節税になる場合がある
フリーランスが合同会社を立ち上げると、所得税ではなく法人税が適用されるようになり、節税になる場合があります。
法人税率は最大でも23%ですが、所得税率は最大で45%です。一般的には年収が800万円を超えるなら法人化した方が節税効果が高いといわれており、このタイミングで合同会社を立ち上げることを検討してみるとよいでしょう。
また、合同会社を設立して法人化すると、経費に計上できる項目も増えます。フリーランスが経費にできる項目はこちらの記事で解説していますが、同じ収入でも、法人の方が経費が多くなるため課税金額が減り、節税になることがあるのです。
例えば、以下の項目は個人事業主の場合は経費に計上できませんが、法人の場合は経費に計上できます。
- 経営者本人の給与・賞与・退職金
- 福利厚生費用
- 健康診断費用
- 社会保険料・生命保険料
- 出張時の手当
- 住宅費
クライアントからの信用度アップが期待できる
合同会社を立ち上げて法人化すると、クライアントからの信用度も個人事業主の時よりアップします。
たとえ1人で活動している点は同じでも、個人事業主として個人で活動しているのと、合同会社を立てて法人の代表者として活動しているのとでは、印象が違うからです。
個人事業主の時には受注しにくかったような大きな仕事も受けやすくなる可能性があります。また、個人事業主とはあまり取引をしないような大手企業の仕事も受けられるかもしれません。
合同会社を立ち上げてクライアントからの信用が上がれば、このように仕事の幅が広がり収入も増えることが期待できるのです。
また、合同会社を立ち上げると、金融機関からの信用度もアップしやすい可能性があります。資金繰りがしやすくなるという点でも、事業に良い影響が生まれるでしょう。
有限責任になる
合同会社を設立すると有限責任になります。有限責任とは、会社が倒産した時に出資額を限度として責任を負うことをいいます。
つまり、万が一合同会社が倒産しても、会社に対して出資していた金額を失うだけで、それ以上の負債を抱えることはありません。この点は、株式会社も同様です。
一方、個人事業主として活動している場合は無限責任となります。事業が立ち行かなくなって廃業することになった場合、投下したお金が戻ってこないうえに、その時点で抱えていた負債を返さなければならないのです。
例えば個人事業主として初期投資などで借金をしていた場合、廃業してもその借金は返さなければなりません。借り入れをしながら事業する場合は特に、合同会社を設立して有限責任にしておいた方が安心でしょう。
株式会社より設立のハードルが低い
合同会社のメリットには、設立費用や設立にかかる手続きなどに関して株式会社よりハードルが低いという点もあります。
まず、合同会社と株式会社で設立にかかる費用を比較してみましょう。
費用項目 | 合同会社 | 株式会社 |
---|---|---|
登録免許税 | 6万円〜 | 15万円〜 |
定款の印紙代 | 4万円 ※電子定款なら不要 | 4万円 ※電子定款なら不要 |
定款の認定手数料 | 不要 | 3万〜5万円 |
合計 | 6万円〜 | 18万円〜 |
上記表の通り、合同会社の場合は登録免許税が株式会社より低額です。また、定款の認証手続きや毎年の決算公告も不要なので手間が省け、そのための費用もかかりません。
以上の点から、費用面でも手続き面でも、合同会社は設立のハードルが低いといえます。
フリーランスが合同会社を設立するデメリット・注意点
フリーランスが合同会社を設立する場合、メリットがある一方で以下のようなデメリットも生じます。
- 各種手続きの手間が増える
- 厚生年金への加入が必要
- 赤字でも払う税金が発生する
- 株式会社よりも信用度が低い
上記のデメリットについても確認しておきましょう。
各種手続きの手間が増える
フリーランスが合同会社を設立する場合、個人事業主として活動するよりも各種手続きの手間が増えます。
会計処理・確定申告の作業が個人事業主の時よりも複雑になるため、基本的には税理士への依頼が必要になります。税理士に各種手続きを任せれば経理周りの手間は省けますが、税理士選びや税理士とのやり取りといった手間は残ります。
それに伴い税理士費用も必要になるというように、個人事業主の時にはかからなかった費用・手間が発生する点には要注意です。なかには「個人事業主として1人で確定申告などをしている方が楽だった」と感じる人もいるでしょう。
また、合同会社を立ち上げると、企業の資金と個人の資金は明確に区別されます。会社からお金を借りる場合はきちんと手続きをしなければ、横領と見なされてしまうこともあります。
個人事業主の場合は仕分けさえきちんとすれば、事業用資金から生活費を引き出すなどしても問題ありませんが、合同会社ではしっかり手続きしなければならないのです。
厚生年金への加入が必要
たとえ1人会社であっても、合同会社を立ち上げると国民年金・国民健康保険から厚生年金・健康保険に切り替わります。この結果、社会保険料の負担が多くなってしまいます。
例えば国民年金の保険料は月1.6万円程度で固定されていますが、厚生年金の保険料は給与額に応じて計算されます。多くの場合、国民年金より保険料が高額になるでしょう。
ただし、厚生年金への加入は必ずしもデメリットとは言い切れません。国民年金から厚生年金に切り替え、より多くの保険料を納めることで、将来受け取れる年金額が増えるためです。
個人事業主のままでは基本的に退職金もないため、厚生年金に入って保険料が増えたとしても、長い目で見た時にメリットがあるともいえます。
赤字でも払う税金が発生する
合同会社を立ち上げて法人化すると、赤字でも「法人住民税」や「消費税」が発生します。
法人住民税には所得に応じて金額が決まる「法人税割」と、所得には関係なく資本金などによって決まる「均等割」があります。このうち均等割は、赤字でも支払わなければならないのです。
また、消費税は消費者から預かっている税金であるため、赤字の有無に関係なく支払う必要があります。なお、法人住民税の均等割は、会社が休眠状態にある場合でもかかります。休業する場合は休業届を提出したうえで、役所などに相談してみましょう。
株式会社よりも社会的信用度が低い
合同会社の社会的信用度は、個人事業主に比べると高い一方、株式会社に比べると低い傾向にあります。
先述の通り合同会社を設立するハードルは、費用の面でも手続きの面でも株式会社より低いです。よって、合同会社を「株式会社よりも簡易的な法人」というイメージで捉えている人もいます。
実際には合同会社も株式会社も登記によって国に認められた法人ですが、合同会社がどういうものかといった知識は、まだ世間一般に十分理解されているとはいえません。
こうした背景から、合同会社は社会的信用の点で株式会社に劣ることがあるのです。
フリーランスが合同会社を設立する方法・手順
フリーランスが合同会社を設立する方法・手順は次の通りです。
- 定款の作成
- 会社用の印鑑の作成
- 資本金の入金
- 法人設立登記
- 税・社会保険・地方自治体などでの手続
それぞれのフェーズについて、詳しく解説します。
1.定款の作成
合同会社を設立するなら、まずは定款の作成をしましょう。定款とは、会社を経営していくうえでの決まりをまとめたものです。
合同会社の設立では定款の認証は必要ありませんが、定款自体は登記の際に必要です。
また、金融機関との取引、「法人設立届出書」の提出、許認可や補助金・助成金の申請などでは定款の写しが必要になるので、内容をまとめて書面の形にしておきましょう。
合同会社の場合、以下のような内容は必ず盛り込みます。
- 社名
- 事業目的
- 本店所在地
- 出資者の氏名・住所
- 出資者を有限責任にすること
- 出資者の出資目的と価額
もし不備があれば法務局から修正(補正)を求められ、設立完了日も延びる可能性があるため、あらかじめチェックしておくことをおすすめします。
2.会社用の印鑑の作成
合同会社の設立では、登記のために会社用の印鑑(実印)も必要になります。法人所在地を管轄する法務局で手続きをしましょう。ただし、オンラインで登記の申請をする場合は必須ではありません。
なお、合同会社を設立するなら、法人口座の開設などで必要になる銀行印、領収書や請求書の発行で必要になる会社印も準備しておきましょう。
3.資本金の入金
続いて、資本金の入金をしましょう。
まだ法人口座がない状態なので、入金先は個人口座で問題ありません。入金したらその旨が分かるよう通帳のコピーをとり、登記の際に提出してください。
合同会社の資本金は1円から可能です。だたし、資本金が少なすぎると社会的信用が上がりにくいので、事業を3ヶ月続けるために必要な金額を目安とするとよいでしょう。
4.法人設立登記
続いて、法人設立登記に移ります。
法人所在地を管轄する法務局に、以下の書類を提出してください。
- 定款
- 印鑑届出書
- 代表社員の印鑑登録証明書
- 払込証明書
- 登記用紙と同一の用紙またはCD-R
- 登録免許税納付用台紙
- 合同会社設立登記申請書
定款は、提出用の他に会社保存用も用意しておきましょう。
上記に加え、定款に代表社員や資本金、本店所在地の記載がない場合は、「代表社員就任承諾書」「本店所在地及び資本金決定書」も必要です。
書類の提出方法は、法務局への持ち込み、郵送、オンラインの3種類です。書類提出後、登記が完了するまで1〜2週間程度かかりますが、合同会社の設立日は書類の提出日となります。
5.税・社会保険・地方自治体などでの手続
法務局で法人設立登記が済んだら、税金や社会保険などに関する手続きもしましょう。主な手続き先は以下の通りです。
- 税務署
- 年金・社会保険事務所
- 地方自治体
税務署では、法人税に関する手続きを、年金・社会保険事務所では厚生年金・健康保険に関する手続きを、地方自治体では法人地方税に関する手続きをします。
各届出先への提出物と、提出期限は以下の通りです。
提出先 | 提出物 | 提出期限 |
---|---|---|
税務署 | ・法人設立届出書 ・青色申告の承認申請書 ・給与支払事務所等の開設届出書 ・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 設立日から5日〜2ヶ月以内 |
年金・社会保険事務所 | ・健康保険・厚生年金保険新規適用届 ・健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届 ・健康保険被扶養者(異動)届 | 設立日から5日以内 |
地方自治体 | ・法人設立届出書 ・定款のコピー ・登記事項証明書 | 地方自治体による |
従業員がいる場合は労災保険や雇用保険への加入も必要なので、労働基準監督署やハローワークでの手続きも済ませましょう。
まとめ
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