こんにちは、ITプロマガジンです。
近年働き方の多様化や長期的キャリア形成の必要性などから、今の仕事を辞めて新しい道へ進もうとする人が多くなっています。ただし、仕事を辞めるなら、生活費や税金などを支払うための貯金を用意しなければなりません。
一体どの程度の貯金があればいいのでしょうか?100万円あればいいのか、300万円あれば大丈夫なのか、気になっている人も多いでしょう。
そこでこの記事では、仕事を辞める際に必要な貯金額を一人暮らし、世帯持ちなどケース別で具体的に紹介します。また、アーリーリタイアするには、どのくらいの貯金が必要なのかも解説します。ぜひ、参考にしてください。
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目次
仕事を辞めるなら最低3ヶ月分の生活費の貯金が必要
仕事を辞める場合、最低でも3ヶ月分の生活費を貯金しておかなければなりません。仕事を辞めたあとの生活を維持するための資金が必要だからです。
よって、実際にはほとんどの人が転職先を決めてから仕事を辞めています。ただし、転職先を決める前に仕事を辞める人も一定数いるようです。
ここでは、転職先を決めてから仕事を辞める人と、転職先を決める前に仕事を辞める人のそれぞれの状況について見てみましょう。
8割程度は転職先が決まってから仕事を辞める
ほとんどの人は転職先が決定したうえで仕事を辞めることがわかっています。「転職活動」実態調査によると、「在職中に転職活動を行なう」と答えた人の割合は86%です。
転職先が決まらないまま仕事を辞めると生活費を捻出できなくなる可能性が高いため、多くの人が転職活動を経たうえで退職を決意しています。
約4人に1人が転職先が決まってない状態で仕事を辞めているデータも
転職先を確保してから仕事を辞める人が大半ですが、約4人に1人は転職先が決まらないうちに仕事を辞めるという結果も出ています。厚生労働省のデータによれば、直前の勤め先を退職するまでに転職活動をしなかった人の割合は25.8%です。
転職先が決まる前に転職すべきかどうかは、状況によっても異なるでしょう。ただし、仕事を辞めたあとにかかる費用について理解し、資金的な問題が発生しないようにする必要があります。
仕事を辞めたあとに必要になる費用は?
仕事を辞めたあとはさまざまな費用がかかります。仕事を辞めるまえに、どのような費用がかかるのか確認しておくことが大切です。ここでは、仕事を辞めてから具体的にどのような費用が必要になるのか解説します。
生活費や保険料・税金等
仕事を辞めたあとは、生活費をまかなうための資金が必要です。また、保険料や税金なども自分で支払わなければなりません。ここでは、仕事を辞めたあとに必要になる生活費や保険料・税金の詳細を説明します。
生活費
仕事を辞めると収入が途絶えますが、日々の暮らしにかかる費用は基本的に変わりません。そのため、退職後も自分の生活を維持するために生活費を用意しておく必要があります。最低でも3ヶ月はそれまでと同じ生活を維持できる貯金をしておきましょう。
国民健康保険料
仕事を辞めたあとは、自分で国民健康保険に加入して保険料を支払う必要があります。
なお、働いていた会社が加入している健康保険組合の健康保険を任意継続するのもひとつの方法です。ただし、退職後は全額を自己負担する必要があるため、注意しましょう。
国民年金保険料
国民健康保険と同じく、退職後は年金も自分で支払う必要があります。そのためには、国民年金保険に加入する手続きも行わなければなりません。
介護保険料
40歳以上の人は、介護保険料の支払いも必要です。介護保険は介護が必要な人を支えるための公的制度であり、40歳以上の人には介護保険料を納める義務があります。
住民税
住民税は、都道府県と市町村に対して納める税金です。その年に支払う住民税は、前年の所得に対して発生した分です。そのため、仕事を辞めて今年収入が発生していなくても、住民税が発生する可能性があります。住民税の支払いに困らないようにするには、事前に資金を確保しておかなければなりません。
転職活動費用
転職活動を行うためにはさまざまな費用がかかります。具体的には、面接の際に着用するスーツ、履歴書、面接会場までの交通費などの費用が必要です。
リクナビNEXTの調査によれば、転職活動のために10万円未満の費用がかかったと答えている人が過半数を占めています。
それぞれにかかる費用は数千円程度でも、積み重なるとまとまった金額になる可能性があるでしょう。転職活動をスムーズに進めるためには、どの程度の費用がかかるか転職活動を始める前にイメージしておくことが大切です。
会社を辞めたら入ってくる可能性がある資金
一定の条件を満たしていれば、退職すると資金を受け取れる場合もあります。具体的には、失業保険や退職金などです。ここでは、それぞれの詳細について解説します。
失業手当
失業手当を受け取れるのは、会社で働いていたときに雇用保険に加入していた人です。失業手当を受け取るための条件は、退職の理由が自己都合なのか会社都合なのかによって異なります。また、受け取れる期間や失業手当の金額にも違いがあるので、自分の状況を考慮して確認することが大切です。
退職金
退職金を受け取れるかどうかは、それぞれの企業の取り決めによって異なります。退職金の制度がある場合、会社が定める基準に沿って一定額が支払われます。
退職金の制度を設けていない会社に勤めていた場合、退職時に退職金は受け取れないため注意が必要です。
【世代別】仕事をやめる際にいくら貯金が必要なのか?
仕事を辞める場合は最低3ヶ月分の資金が必要です。ただし、実際にいくら必要であるかは、生活の状況によっても大きく異なります。ここでは、仕事を辞める際に必要な貯金の金額について、世代別・家族構成別の例を紹介します。
20代一人暮らしの場合
20代一人暮らしの場合、1ヶ月に必要な生活費と税金・保険料の合計は15万2,354円です。さっそく細かな内訳をみていきましょう。
家計調査によると、20代の一人暮らしにおいて1ヶ月に必要な生活費は以下のとおりです。
費用 | 金額 |
---|---|
住居費 | 3万7,863円 |
食費 | 3万5,563円 |
光熱費 | 7,648円 |
被服費 | 5,338円 |
通信費 | 8,666円 |
交際費 | 6,406円 |
合計 | 10万1,484円 |
また、1ヶ月あたりの税金や保険料の金額は以下のとおりです。
税金・保険 | 金額 |
---|---|
住民税 | 2万625円 |
国民年金保険料 | 1万6,610円 |
国民健康保険料 | 1万3,635円 |
合計 | 5万870円 |
住民税は自治体によって異なりますが、ここでは江東区のの計算例をもとにし、年額を12ヶ月で割って算出しました。国民年金保険料は日本年金機構に基づく令和3年度の保険料です。国民健康保険料は新宿区の計算例に基づいて記載しています。
全てを合計すると、1ヶ月に必要な生活費と税金・保険料は15万2,354円です。6ヶ月で計算すると、91万4,124円の貯金が必要となってきます。
30代実家暮らしの場合
30代実家暮らしの場合、1ヶ月に必要な生活費と税金・保険料の合計は11万7,218円です。
一人暮らしとは異なり、実家に頼れば住居費、食費、光熱費などを支払わなくても生活できる可能性があります。
家計調査をもとにすると、30代の単身者が1ヶ月に必要な生活費は以下のとおりです。
費用 | 金額 |
---|---|
被服費 | 5,338円 |
通信費 | 8,666円 |
交際費 | 6,406円 |
実家に入れるお金 | 3万円 |
合計 | 5万410円 |
さらに、1ヶ月あたりの税金や保険料の金額は以下のとおりです。
税金・保険 | 金額 |
---|---|
住民税 | 2万625円 |
国民年金保険料 | 1万6,610円 |
国民健康保険料 | 2万9,573円 |
合計 | 6万6,808万円 |
住民税は20代一人暮らしの場合と同様、江東区の計算例をもとに年額を12ヶ月で割って算出しています。国民年金保険料は日本年金機構に基づく令和3年度の保険料です。国民健康保険料は松戸市が公開している保険料の早見表を参考に、年額を12ヶ月で割って算出しました。
全てを合計すると、1ヶ月に必要な生活費と税金・保険料は11万7,218円です。6ヶ月分を計算すれば、70万3,308円の貯金が必要だと分かります。
40代家族ありの場合(4人家族)
40代で4人家族で生活している場合、1ヶ月に必要な生活費と税金・保険料の合計は24万7,199円です。こちらも細かな内訳を確認していきましょう。
家計調査によれば、40代で家族とともに暮らしている家庭で1ヶ月に必要な生活費は以下のとおりです。
費用 | 金額 |
---|---|
住居費 | 1万5,319円 |
食費 | 8万7,071円 |
光熱費 | 2万4,121円 |
被服費 | 1万2,095円 |
通信費 | 1万6,807円 |
交際費 | 1万633円 |
合計 | 16万6,046円 |
さらに、1ヶ月あたりの税金や保険料の金額は以下のとおりとなっています。
税金・保険 | 金額 |
---|---|
住民税 | 1万7,108円 |
国民年金保険料 | 1万6,610円 |
国民健康保険料 | 4万7,435円 |
合計 | 8万1,153円 |
住民税は多摩市の計算例をもとにしており、年間の税額を12ヶ月で割って算出しています(自治体によって異なる)。国民年金保険料は日本年金機構に基づく令和3年度の保険料で、ここでは一人分とします。国民健康保険料は新宿区の計算例を参考にしています。
全て合計すると、1ヶ月に必要な生活費と税金・保険料は24万7,199円です。6ヶ月で計算すると、148万3,194円の貯金が必要となってきます。
アーリーリタイアするにはいくら必要?
早期退職によりアーリーリタイアするためには、どの程度の貯金が必要なのでしょうか。ここでは具体的に解説します。
一般的には50歳時点で1億円程度が必要と言われている
50歳の時点でアーリーリタイアして90歳まで生きると仮定すると、40年分の資金が必要です。1ヶ月あたり30万円を使うなら年間で必要な金額は360万円であり、40年分を計算すると1億4,400万円になります。
ただし、65歳になれば年金が支給されるため、年金の分を差し引いて資金を確保しておけば問題ありません。令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況によると、厚生年金の受給権者の1ヶ月あたりの年金受給額は14万4,268円です。年金を65歳から90歳までの25年間受け取れば、4,328万400円になります。40年分の資金として必要な1億4,400万円からこの金額を差し引くと、およそ1億円です。50歳でのアーリーリタイアを目指すなら、最低でも1億円程度を用意する必要があります。
1000万・2000万程度の貯金では絶対に無理?
貯金が1000~2000万円程度でも、リタイアが絶対に不可能というわけではありません。一切働かずに暮らすのは難しいですが、セミリタイヤなら実現可能です。たとえば、早期退職後にアルバイトや資産運用を行い、最低限の収入を確保して生活している人もいます。
早めのリタイアを目指すなら、どうすれば必要な資金を確保できるか考えることが大切です。
貯金がなくて仕事を辞められないときの5つの対処法
貯金がなくて仕事を辞められないときは4つの対処法があります。以下で具体的に説明します。
1.転職先を見つけてから退職する
十分な貯金がなく、仕事を辞めると資金が不足しそうな場合は、退職前に転職先を見つけましょう。冒頭で説明したとおり、多くの人が転職活動によって次の働き口を見つけたうえで仕事を辞めています。転職活動にもある程度の費用がかかるため、働いているうちに転職活動を進めたほうが何かと安心です。
在職中に転職活動を進めれば、焦らずに自分にあう転職先を見極められるでしょう。転職活動を始めてから内定を獲得するまでには時間もかかります。早めに転職活動を始め、スムーズに仕事を辞められるようにするのがおすすめです。
2.一旦実家に戻る
仕事を辞めて、一旦実家に戻るのもひとつの方法です。家庭にもよりますが、実家に住めば家賃や光熱費などを負担しなくて済むケースも多いでしょう。そのため、生活費としての支出を大幅に減らせる可能性があります。
ただし、転職を考えていて、実家が地方にある場合は転職先の候補が限られる恐れもあるため注意が必要です。首都圏での再就職を目指すとしても、面接のために出向くとなると決して安くはない交通費がかかります。転職活動への影響も考慮したうえで、実家に戻るかどうか決めましょう。
3.退職金・ボーナスをもらってからやめる
退職金制度がある企業に勤めている場合、勤続年数に応じて退職金を受け取れる可能性があります。少しでも貯金を増やすためには、退職金をきちんと受け取って仕事を辞めましょう。また、ボーナスの時期を考慮し、ボーナスをもらったうえで退職することも重要なポイントです。
4.副業・短期バイトで収入を増やす
貯金がないなら、会社を辞めてから副業や短期バイトに取り組んで収入を増やすのもひとつの方法です。たとえば、以下の方法があります。
クラウドソーシングで稼ぐ
クラウドソーシングとは、仕事をして欲しい人と仕事を探している人をオンラインでマッチングするためのサービスです。基本的にインターネットだけで仕事が完結するため、空いている時間を活用して働けます。
不用品を売る
自宅で使用していない不用品がある場合、売却すると資金を得られる可能性があります。リサイクルショップや質屋などで売却するだけでなく、フリマアプリを活用してもよいでしょう。
5.国が用意している制度を利用する
国民健康保険料や国民年金保険料は、一定の条件を満たすと免除や減免などの措置を受けられる可能性があります。納付の猶予を受けられるケースもあるため、保険料の支払いが困難な場合は一度相談してみましょう。
仕事を辞める際の注意点
仕事を辞めるときは、気をつけるべきこともあります。ここでは、具体的な注意点について解説します。
曖昧な計画のまま辞めない
仕事を辞めるときは、明確な計画を立てることが重要です。生活費としていくら必要なのか計算し、退職後にどうやって暮らすか決めておきましょう。資金を確保するためには、ボーナスの時期も考慮したうえで退職日を検討する必要があります。
離職期間が長くなると転職が難しくなる可能性も
退職後に転職しようと考えている場合、離職期間が長くなりすぎないように気をつけましょう。貯金がたくさんあれば生活には困らないものの、離職期間が長いと転職活動の際に悪い印象を与えてしまう恐れもあります。転職したいなら、先のことまで考えたうえで退職しましょう。
まとめ
仕事を辞めるなら、生活に必要な金額を把握して十分な貯金を蓄えておく必要があります。転職先を見つけてから仕事を辞めるケースが多いですが、そうでない場合はお金について特によく考えておかなければなりません。生活費だけでなく、保険料や税金も発生するため注意が必要です。
副業、アルバイト、資産運用などに取り組むなら、貯金がそれほど多くない人でもアーリーリタイアが可能です。退職後に必要な資金を考慮し、スムーズに生活できるようにしましょう。
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