こんにちは、ITプロマガジンです。
フリーランスにとって帳簿は、取引や経費といったお金の流れを把握するために必要なものです。確定申告においても作成・保存が義務付けられており、申告方法によって必要な帳簿は異なります。また正しく作成すれば、税金の払いすぎなどを防ぐメリットも得られるのです。
本記事では帳簿の基本ポイントや必要な帳簿の種類と保存期間まで解説し、専門知識がなくても簡単に帳簿を作成できる会計ソフトについても紹介しています。なお、税金の基礎知識を知りたい方は、「フリーランスが支払う税金の種類や対策」をご覧ください。
弊社では、数多くの方にフリーランス案件を獲得していただいています。経験とスキルさえあれば、週2日から高収入案件をご紹介できます。まずは無料登録をして色々な案件をみて見てください。弊社からおすすめの案件をご紹介することも可能です。
「必要以上に安売りをしてしまう」「市場感より高い単価で参画してしまいトラブルになる..」
フリーランス市場は売り手市場であるものの、いまだに正しいノウハウが確立されておらず、多くの方が案件探しに苦労されています。
ですが、現在の市場感や企業側に刺さる経験・スキルを理解し正しく案件探しをすれば、誰でも自身のバリューを活かし単価を伸ばすことができる、というのも事実です。
ITプロパートナーズでは、
・9割がエンド直案件のため、高単価
・約6割が週3-4案件のため、柔軟に働ける
・約7割がリモートのため、働く場所を選べる
などの魅力的な案件を数多く保有し、マッチング能力の高い即戦力エージェントが完全サポートします。
初めてのフリーランス、情報収集段階でも大丈夫です。あなたの働き方にマッチし、単価も高く、最もバリューを発揮できる案件を探しませんか?
目次
フリーランスが知っておくべき帳簿の5つの基本
フリーランスが作成すべき帳簿には「主要簿」と「補助簿」があり、付け方にもルールがあります。
そもそも帳簿とは
帳簿とは、取引や経費といったお金の流れを記録するための台帳です。取引や経費支出の日時および内容、あるいは保有する固定資産などを管理します。確定申告の方法によって必要な帳簿は異なりますが、税務署への提出は必要ありません。しかし、作成は義務付けられており、保存期間も定められています。
フリーランスが扱う帳簿の種類
帳簿には、大きく分けて「主要簿」と「補助簿」の2種類があり、さらに細かく分類されています。
フリーランスが扱う帳簿の種類 | ||
---|---|---|
主要簿 | ・仕訳帳 ・総勘定元帳 |
|
補助簿 | 補助記入帳 | ・現金出納帳 ・当座預金出納帳 ・仕入帳 ・売掛帳 ・買掛帳 |
補助元帳 | ・商品売高帳 ・仕入先元帳 ・得意先元帳 ・固定資産台帳 |
主要簿は青色申告の際に必要な帳簿です。補助簿は主要簿を補助するためのものであり、取引内容に応じて必要な帳簿のみ作成します。帳簿の詳細については別項で詳しく解説します。
フリーランスに帳簿作成が必要な理由
フリーランスが帳簿を作成すべき理由は、次の2点です。
- 確定申告
- 金銭の流れを自身で把握する
フリーランスは自分で1年間の収入・所得税を計算し、税務署に申告しなければなりません。これが確定申告であり、提出書類の作成時は取引や経費を記した帳簿をベースとします。
また、日々の取引を記録しておくことで、金銭や資産の流れを把握することにもつながるのです。
発生主義と現金主義の違い
フリーランスの帳簿は、原則「発生主義」です。現金主義との違いは以下になります。
- 発生主義:報酬の支払いや受け取りが確定した日で計上する
- 現金主義:実際に支払いや報酬の受け取りがされた日で計上する
発生主義は請求書などを発行し、金額が確定したタイミングで計上します。年末年始で請求と入金に時差がある場合は、確定申告に影響するため注意が必要です。二重計上にならないように気をつけましょう。
確定申告の方法によって帳簿の決まりが異なる
確定申告には「青色申告」と「白色申告」があり、どちらの申告方法を選択するかによって、必要な帳簿の種類や記帳方法などが異なります。
おすすめは最大65万円の特別控除が受けられる青色申告です。一方の白色申告は帳簿付けがシンプルで手間がかからない点がメリットでしょう。それぞれの詳しい特徴について、次項で解説します。
フリーランスが白色申告する際に必要な帳簿と保存期間
白色申告は必要な帳簿数が少なく、事前の届け出も必要ありません。帳簿付けもシンプルなため手間がかからない点がメリットといえますが、特別控除が受けられないため注意しましょう。
白色申告の特徴・仕組み
白色申告は事前の届け出が不要で、確定申告書のほかに必要な提出書類は収支内訳書と控除関連の書類のみとなるため、申告手続きが簡単です。従来は帳簿付けの義務化はされていませんでしたが、法改正により2014年から収支内訳書の提出が必要になりました。
記帳方法も、取引の内容と収支を記録するだけの単式簿記でよいため、とてもシンプルです。ただし、特別控除を受けられず、赤字を3年間繰り越すこともできないため、青色申告よりも税負担が重くなる場合があります。
白色申告で使う単式簿記の特徴
白色申告で認められている単式簿記は簡易簿記とも呼ばれ、取引を1つの勘定科目で記録する方法です。例を挙げてみましょう。
例:500円の筆記具を購入した場合
日付 | 勘定科目 | 金額 | 摘要 |
---|---|---|---|
令和4年○月○日 | 消耗品費 | 500円 | 筆記具 |
お小遣い帳や家計簿も単式簿記の1つで、収入と支出を記録すればよいため初心者でも記帳しやすいといえます。ただし、金銭の増減や残高は把握できますが、増減の理由を把握するためには別途集計が必要です。
白色申告に必要な帳簿の種類
白色申告に必要な帳簿は「法定帳簿」と「任意帳簿」の2つです。法定帳簿とは収入・経費を記録したもので、確定申告の際は法定帳簿をもとに収支内訳書を作成します。書式に決まりはありませんが、収支内訳書と同じような項目で作成しておけば、転記する時にスムーズです。
任意帳簿は、業務に関して任意で作成する帳簿です。売掛帳や固定資産税帳などが該当します。任意であるため必ずしも必要ではありませんが、現金出納帳や預金出納帳は作成しておくと把握しやすいでしょう。
白色申告の帳簿の保存期間
帳簿には保存期間が定められています。白色申告では以下の通りです。
- 法定帳簿:7年
- 任意帳簿:5年
- 取引関係書類:5年
取引関係書類には請求書や領収書などが含まれます。確定申告時に帳簿類の提出は必要ありませんが、税務調査が行われる際に帳簿と領収書のチェックがされるため、きちんと保存しておきましょう。
フリーランスが青色申告する際に必要な帳簿と保存期間
青色申告では最高65万円の特別控除を受けられるほか、30万円未満の備品を経費とできる「少額減価償却資産の特例」が利用できます。ただし、事前に申請書を提出しなければならず、複式簿記による記帳が必要です。
青色申告の特徴・仕組み
青色申告をするためには、「青色申告承認申請書」を税務署に提出しなければなりません。開業から2ヶ月以内、もしくはその年の3月15日までに申請しましょう。税制優遇措置は2種類ありますが、65万円の特別控除を受けるには以下の要件を満たす必要があります。
- 複式簿記による記帳
- 貸借対照表と損益計算書の添付
- 期限内申告
- e-Taxによる申告(電子申告)又は電子帳簿保存
単式簿記も選択できますが、その場合の控除額は10万円になります。
青色申告で使う複式簿記の特徴
青色申告で65万円の特別控除を受けるためには、複式簿記による記帳が必須となります。複式簿記は取引を「借方」と「貸方」2つの面から記録し、金銭の出入りと財産の増減の両方を見られる仕組みです。例を挙げてみましょう。
例:現金で500円の筆記具を購入した場合
日付 | 借方勘定科目 | 借方 | 貸方勘定科目 | 貸方 | 摘要 |
---|---|---|---|---|---|
令和4年○月○日 | 消耗品費 | 500円 | 現金 | 500円 | 筆記具 |
この例では「費用の発生」を借方に、「費用の減少」を貸方に記録しています。
青色申告に必要な帳簿の種類
青色申告に必要な帳簿は次の6つです。
- 総勘定元帳:取引を勘定科目ごとにまとめたもの
- 仕訳帳:取引を日付順に記載したもの
- 現金出納帳:現金のやりとりをまとめたもの
- 売掛帳:売掛金に関する取引を取引先別に管理したもの
- 買掛帳:買掛金に関する取引を取引先別に管理したもの
- 固定資産台帳:減価償却する固定資産を管理したもの
「総勘定元帳」と「仕訳帳」は主要簿、そのほかは補助簿です。確定申告の際は主要簿をもとに「青色申告決算書」を作成します。
青色申告の帳簿の保存期間
青色申告は白色申告に比べ、帳簿・書類の保存期間が長く設定されています。
- 帳簿:7年
- 決算関係書類(損益計算書、貸借対照表など):7年
- 現金預金取引等関係書類(預金通帳、領収証など):7年
- 取引関係書類(請求書、見積書など):5年
現金預金取引等関係書類は、前々年分所得が300万円以下であれば保存期間は5年です。
フリーランスが帳簿を付ける基本的な流れ
帳簿を付ける流れは、大きく4つのステップに分けられます。確定申告前にまとめて行うよりも1ヶ月、あるいは数ヶ月ごとなど習慣づけて進めたほうがスムーズです。流れに沿って詳しく説明していきましょう。
1.取引内容を記録する
保管しておいた領収書やレシート、通帳をもとに取引内容を記録していきましょう。現金出納帳や預金出納帳への記載がメインになります。
未記帳の領収書やレシートはクリアファイルなどで管理しておくと、分かりやすく紛失の心配もありません。記帳が終わったものについては、事業年や科目ごとに分類しておくと、探す際に便利です。
2.仕訳帳・総勘定元帳を付ける
仕訳帳は基本となる帳簿であり、全ての取引を日付順に記録するため、時系列で確認したい時に役立ちます。書式に決まりはありませんが、以下の項目を記入しましょう。
- 日付
- 勘定科目
- 金額
- 摘要(取引先や内容など)
さらに仕訳帳をもとに総勘定元帳にも記帳します。勘定科目ごとに取引をまとめることで、残高の確認や経営状態の把握が可能です。損益計算書や貸借対照表は総勘定元帳をもとにして作成することになり、所得税を算出する時のベースとなります。
3.補助簿を付ける
青色申告の場合は、売掛帳・買掛帳・固定資産税帳もそれぞれ記帳します。売掛帳は売上の未収状況を記録するもので、請求書を発行したタイミングで記入します。買掛帳は未払い状況を記録するものなので、支払いが確定した時に記録しましょう。それぞれ未入金や未払金の確認がしやすくなりますが、売掛や買掛が発生しない事業であれば不要です。
4.決算書・収支内訳書を付ける
青色申告の場合は青色申告決算書、白色申告の場合は収支内訳書を作成しましょう。青色申告決算書は、日々記録した帳簿の結果を記入する書類で、以下の4枚から構成されています。
- 損益計算書:3枚
- 貸借対照表:1枚
損益計算書の2枚目には月別の売上や仕入れ、3枚目には減価償却費や地代などを記入します。貸借対照表はバランスシートとも呼ばれ、財政状態を把握するための書類です。これらをもとに確定申告書を作成し、提出します。
帳簿の作成方法は3つ
帳簿の作成方法は主に以下の3つに分けられます。
- ノートなどに手書きで記帳する
- Excelに記帳する
- 会計ソフトに記帳する
それぞれの作成方法と特徴を確認していきましょう。
ノートなどに手書きで記帳する
1つ目の方法は、ノートなどを使って手書きで帳簿を作成する方法です。ノートを使用するので、すぐに帳簿をつけ始められる点と自分の好きな形式で帳簿を作成できる点がメリットです。
一方で、帳簿の基本的な書き方を知らないと作成するのが難しく、取引量が多いとすべて手書きするのが大変といったデメリットもあります。
Excelに記帳する
2つ目は、Excelを使って帳簿を作成する方法です。Excelはある程度自分の好みにあった帳簿づけができ、取引量が増えても柔軟に対応できる点がメリットです。また、フォーマットが完成すれば、同じ形式を翌年以降も使い回すことができます。
一方で、帳簿づけのフォーマットを作成するのに知識が必要であったり、自己流すぎる結果、単なる集計表となり帳簿として認められないといったデメリットに注意しなければいけません。インターネット上に、Excelを使った帳簿のフォーマットを紹介したサイトもあるので、参考にしてみましょう。
会計ソフトに記帳する
最後は、会計ソフトを活用して帳簿を作成する方法です。会計ソフトを使用すると、仕訳の入力をするだけで簡単に帳簿を作成することができます。また、帳簿から申告決算書や確定申告表を作成するのもスムーズです。
ただし、費用がかかってしまう点と帳簿づけの知識が深まらない点には注意しましょう。会計ソフトは、帳簿づけだけでなく確定申告などの書類作成にも役立つので、フリーランスにはおすすめのツールです。
フリーランスの帳簿付けにおすすめの会計ソフト3選
帳簿付けは簿記の知識がなければ、手間と時間がかかる作業ですが、会計ソフトを使うことで大幅に効率化することが可能です。ここからは、フリーランスが帳簿を付ける際におすすめの会計ソフトを3つ紹介します。
freee
freeeは青色申告・白色申告の両方に対応しており、銀行口座やクレジットカードとの連携もできる会計ソフトです。
スマホアプリを使用すればレシートを撮影するだけで、日付や金額を自動取り込み。電子帳簿保存法にも対応済みです。
確定申告は〇×形式の質問に答えるだけで必要書類の作成が可能なうえ、e-Taxにも対応しています。
MoneyForwardクラウド
MoneyForwardクラウドは確定申告に必要な機能が揃った会計ソフトです。
日々の入力から確定申告書類の作成・提出まで一貫してサポート。2,400以上の金融機関やサービスに対応しており、日々の明細データを自動で取得し、AI(人工知能)による自動仕訳も可能です。
青色申告と白色申告の両方に対応し、月々980円から利用できます。
弥生会計
弥生会計の弥生オンラインは、個人事業主専用の確定申告ソフトです。
青色申告と白色申告それぞれに専用クラウドアプリが用意されています。知識不要で日々の入力から確定申告までをサポート。データを自動仕訳してくれるので、入力と仕訳の手間が省けます。
1年間無料で機能が試せるのも嬉しいポイントです。
フリーランスが効率よく帳簿をつけるポイント
フリーランスの方は、次の3つのポイントを実践することで効率よく帳簿をつけれらるようになります。
- プライベート用と事業用の口座を分ける
- 領収書や請求書を整理して管理しておく
- 帳簿はこまめにつける
それぞれを詳しく確認していきましょう。
プライベート用と事業用の口座を分ける
フリーランスの方は、プライベート用の口座と事業用の口座を使い分けると帳簿がつけやすくなります。事業用の口座を作ることで、事業に関わったお金だけを確認することができ管理が簡単です。
領収書や請求書を整理して管理しておく
領収書や請求書は、後からでも確認しやすいように整理して管理しておきましょう。帳簿をつける際に、領収者や請求書がバラバラの状態でまとまっていると、整理し直す作業から開始しなければなりません。
管理する際は、クリアファイルなどの小分けにできるものに、月ごとに日付順で並べておくと、帳簿がとてもつけやすくなります。
帳簿はこまめにつける
帳簿はまとめてつけようとせずに、なるべくこまめにつけるようにしましょう。領収書の帳簿をつける際に、時間が経っていると何に使用したのかわからなくなってしまうケースも少なくありません。
取引の量によって頻度を変えても良いですが、週1回や月1回ほどのペースで帳簿をつけることをおすすめします。
フリーランスもチェックしておきたい電子帳簿保存法
2022年1月より電子帳簿保存法が施行されました。これにより、従来は紙で保存する必要があった帳簿や取引書類(請求書や領収書など)を、要件を満たせば電子データでも保存できることとなりました。
帳簿を付け確定申告する必要があるフリーランスにとっては、ペーパーレス化促進、業務効率化、保存場所や印刷にかかるコスト削減につながり、知っておいて損はない制度です。
まとめ
フリーランスの帳簿は、確定申告や金銭の流れを把握するために必要です。青色申告と白色申告のどちらを選択するかによって、必要帳簿や記帳方法、保存期間が異なります。青色申告に必要な複式簿記は難しいように感じますが、会計ソフトを利用すれば簿記の知識がなくても、スムーズな帳簿付けが可能です。
ITプロパートナーズの「ITプロトータルサポート」は、保険・税金・契約などに不安を感じているフリーランスをサポートするサービスです。保険やトラブルの相談に加え、税理士による確定申告無料相談も行っています。
- 高額案件を定期的に紹介してもらいたい
- 週2日、リモートワークなど自由な働き方をしてみたい
- 面倒な契約周りはまかせて仕事に集中したい
そのような方はぜひ、ITプロパートナーズをご利用ください!
まずは会員登録をして案件をチェック!