こんにちは、ITプロマガジンです。
近年、エンジニア人材への需要は年々高まりを見せ、またITスキルを武器にサービスを立ち上げて成功する事例も増えてきています。「将来は会社から独立して起業したい」あるいは「実際に起業した」というエンジニアの方も多いのではないでしょうか。
しかし、起業してみたものの、なかには失敗してしまうエンジニアもいます。この記事では、エンジニアが起業に失敗する主な原因について解説します。さらに失敗を避けるためのポイントや、起業のためにやることなども紹介していますので参考にしてください。
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フリーランス市場は売り手市場であるものの、いまだに正しいノウハウが確立されておらず、多くの方が案件探しに苦労されています。
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目次
エンジニアが起業に失敗する7つのよくある原因
エンジニアが起業するにあたって、事業計画を立てて収益を見積もるなどの準備を行ったとしても失敗することがあります。失敗の可能性を抑えるにはよくある原因を知っておくことが重要です。ここではエンジニアが起業に失敗する7つの原因について解説します。
マーケティング活動がおろそかになってしまう
エンジニアという職業柄、開発に注力してマーケティング面がおろそかになり失敗につながることがあります。起業をするには経営者としての視点も必要です。事業を回しながら収益化もしていかなければなりません。
戦略を立てずに開発してしまい、競合との差別化など売り上げにつながる要素にフォーカスできず、上手く収益が出せないといった状況が続けば、ビジネスとして成り立たないでしょう。
また、技術にこだわるあまり完璧主義・エンジニアリング主義になりやすいのも注意したい点です。丁寧に作り上げることは大切ですが、肝心の成果物や市場のニーズをおろそかにしては継続した仕事の獲得が難しくなります。
起業仲間との関係性の悪化
エンジニア仲間で共同起業した場合、関係性の悪化による失敗も起こりがちです。例えば、事業の方向性や収益分配などで揉めるケースが多く見られます。
特に利益分配は、経営が軌道に乗り収益化が進むと起こりやすい問題です。それまでは事業の成功に向けて良好な関係であっても、分配をめぐってこじれると、関係が一気に悪化してしまうことがあります。
もし、この点に不安があるなら、エンジニアの場合「一人起業」がおすすめです。人間関係をめぐるトラブルを回避しやすく、また少ない資金で始められるというメリットもあります。
優先順位の低い作業に時間を取られる
優先順位の低い作業にばかり時間を割いてしまうケースも、失敗につながる原因の1つです。細かい技術にこだわるあまり、「ユーザーのメリットにつながらない要素」の開発に集中してしまうと収益化は難しくなります。
また、自分でサービスを開発する場合は誰かに強制された納期がないため、いつまでもクオリティを追求した結果、リリースが遅れて収益化に失敗するといったパターンも挙げられるでしょう。
エンジニアとしてのクオリティ追求にばかり集中せず、経営者としての目線を忘れず、優先順位を間違えないように行動することが重要です。
明確な目標やビジョンがない
目標やビジョンがなく、起業自体が目的になっている場合も失敗しやすくなります。本来なら起業するにあたって「社会貢献」や「自分らしい働き方の実現」など何かしらの目標があるはずです。
会社からの逃げや単にお金儲けだけが目的になっていると、強い意志を持って起業したわけではないため思うような成果を出せずに失敗してしまうこともあります。
モチベーションを保ってビジネスを継続するには、例えば自社サービスで勝負するなら「そのサービスが儲かりそう」というだけでなく「なぜ自分がそのサービスを世に出したいのか」といった明確な思いが必要です。
資金調達・資金繰りに失敗する
資金調達が上手くできず、倒産に至ってしまうケースも挙げられます。エンジニアは1人でも起業できるうえに、パソコン1つあれば作業ができるため初期費用はさほどかかりません。
しかし、収入が安定せずとも通信費や備品などに月々の経費はかかるため、十分な資金がないまま起業してしまうと早い段階で資金不足に陥ります。起業後に必要なランニングコストを把握し、売り上げの減少などにも備えて運転資金を準備しておくことが重要です。
また、黒字倒産のリスクを防ぐために資金繰りの計画を立てておくのもよいでしょう。
事業が波に乗るまでは週2〜3日程度で受託案件を受けるのも1つの手です。弊社ITプロパートナーズでは、フルタイム案件はもちろん、週2〜3日稼働の案件も数多く扱っています。ほとんどがエンド直の高単価案件となっているので、興味のある方はぜひお気軽にご相談ください。
法務の知識不足・対策が甘い
起業する分野に関連する法律について勉強不足で、トラブルを起こしてしまうパターンもあります。個人で仕事をする場合、さまざまな契約を自分自身で精査・締結しなければなりません。
例えば、仕事の委託契約はもちろん、オフィスの賃貸や資金調達時のローンなどにも契約が必要です。しかし、知識が乏しいと違反行為や損害賠償問題といった失敗につながる可能性があります。
会社員の時は、トラブルが発生したとしても会社側のサポートが期待できますが、起業すると全てが自己責任です。安易な契約は避け、法務の知識に不安があるなら専門家に相談してみるのもよいでしょう。
自己管理・メンタルケアが上手くできない
「悩みを相談する相手がいない」「キャパシティを超えて仕事を請けてしまう」といった背景から、精神的に落ち込んだり過労に陥ったりして仕事がままならない状態になってしまう失敗例もあるようです。
起業すると1人でさまざまな業務をこなさなければなりません。スケジュール調整や作業の進捗だけでなく、バックオフィス・経営面にも意識を向ける必要があります。
起業を成功させたいがために無理な働き方をしてしまうと体調を崩しやすくなります。仕事とプライベートの区別をつけるようにして、リフレッシュできる時間を持つことが大切です。
エンジニアの起業で失敗を避けるためのポイント
エンジニアが起業で失敗する原因についてお伝えしてきましたが、では失敗を避けるためにはどのような点に気をつけるとよいのでしょうか。ここでは起業で失敗を避けるための3つのポイントを紹介します。
副業からスタートしてみる
退職してから起業するのではなく、会社員エンジニアとして働きながら副業で起業するという方法があります。平日の夜や土日祝だけの稼働でも、起業は十分に可能です。
起業には多かれ少なかれリスクを伴いますが、会社員として安定収入を得ながら副業をすることで精神的な余裕が生まれますし、失敗のリスクも抑えられます。また、副業である程度の収入の目処が立ってから退職すれば、起業後に収入が急減して生活苦に直面するリスクも避けられます。
仮に上手くいかなかったとしても、軌道修正ややり直しがしやすいのもメリットです。
モチベーションの大切さを忘れない
モチベーションの低下が失敗に直結することを意識しましょう。「何のために起業するのか」といった目標やビジョンを明確にして、それを見失わないことが重要です。
起業後には経営判断を迫られる場面もあるでしょう。その際に軸となる目標・ビジョンが明確であれば、判断を誤る可能性が低くなります。
また、体調管理・メンタルケアの徹底も忘れてはなりません。起業は多忙になりやすく、1人で悩みを抱え込みやすいため、勤務時間上限の設定や休日の確保などをして自己管理を徹底しましょう。
マーケティング戦略を十分に計画する
エンジニア起業の失敗でよくある「マーケティング活動がおろそかになってしまう」という状態を避けるために、戦略面を十分に計画することが大切です。
前述したように、「プロダクトの細かい機能の開発」などエンジニアとしての仕事にばかり集中しすぎると収益につながらず、結果的に失敗しやすくなります。
売り上げを伸ばし、事業を成長させるためには、ユーザーや市場のニーズを捉えたサービスの提供が不可欠です。技術からビジネスを考えるのではなく、ニーズに基づいて技術を当てはめる考え方が重要になります。
マーケティングにはSNSやブログを積極的に活用するとよいでしょう。マーケティングではさまざまな分析を行いますが、インターネットを通して需要をリサーチするのも1つの方法です。
また、素晴らしい事業やプロダクトがあっても、知ってもらえなければ意味がありません。積極的に発信して多くの人に認知してもらいましょう。
エンジニアが起業することのメリット
エンジニアが起業すると、収入面や働き方などでメリットが得られます。ここからは、エンジニアが起業によって得られる3つのメリットについて解説します。
収入アップが期待できる
エンジニアが起業することで、会社員の時よりも収入アップが期待できます。エンジニアは、仕入れや流通などに費用がかからないため収益性の高い職種です。また、幅広い業界のDXに伴い、需要が多い点も理由として挙げられます。
会社員の給与にはある程度の上限がありますが、起業の場合は売り上げ次第で高収入を得られる点がメリットです。フリーランスエンジニアとして起業する場合も、成果が収入に直結するためスキル次第では会社員より収入アップできるでしょう。
自由な働き方ができる
自由に働けるのもエンジニアが起業するメリットの1つです。
起業すると、会社員のように時間や場所に縛られることなく、柔軟な働き方が実現できます。例えば勤務先で決められた時間を拘束される必要はありませんし、インターネットがあれば自宅や事務所以外からも作業ができます。作業環境を自分の好きなように整えたり、最もパフォーマンスが上がる時間帯に仕事をしたりすることも可能です。
クライアントから開発案件を受注する受託開発をメインに起業する場合も、自分の得意分野を選んで勝負できるという魅力があります。
さまざまなスキルを磨ける
エンジニアが起業すると、スキル向上にも役立ちます。
会社員は自分の意思だけで仕事内容を選べないことも多いでしょう。一方、起業すると自分の意思で案件を選ぶことができ、強みを活かしてスキルを磨いたり、新たなスキルを習得したりする自由度があります。
また、経営者としてのスキルも同様です。事業を成功させるためには、経営スキルやマーケティングのノウハウ、資金繰り方法、人材採用のコツなど、技術以外のスキルが必要になりますが、起業することでこれらのスキルを磨けるというメリットがあります。
エンジニアが起業することのデメリット
エンジニアの起業には、収入の不安定さや社会的信用の低下といったデメリットも挙げられます。それぞれについて解説します。
収入が不安定になることがある
エンジニアに限りませんが、起業や独立をすると収入が不安定になる場合があります。事業が軌道に乗れば会社員よりも高い収入を得られる可能性はありますが、仕事がなくなると収入減少に直結するのも起業の特徴です。
会社員のように毎月給与を受け取れるわけではないため、複数の案件を確保しておくなどのリスク対策が必要といえます。また、会社員と比べて福利厚生に不安がある点もデメリットといえるでしょう。
会社員は社会保険料の半分を会社が負担してくれますが、独立起業すると全額自己負担となります。給与がアップすれば保険料も上がるうえに、会社員よりも保障が十分ではないため任意保険などに加入するのも1つの方法です。
確定申告などの事務作業が必要になる
起業するとエンジニアとしての業務以外に、さまざまな事務作業をこなす必要があります。例えば、以下のような作業です。
- 帳簿の作成
- 経費の支払い
- 確定申告
- 法人登記(法人化の場合)
会社員の時には会社が税金を納付し、年末調整も行ってくれましたが、起業では事業に関わるあらゆる作業を自分で行わなければなりません。
特に確定申告などの税務関係は手間がかかりますが、事業を行ううえで適切な手続きや処理が必要になりますので知識を身につけておくとよいでしょう。どうしても自分で作業するのが難しい場合は、税理士などの専門家に依頼するという方法もあります。
各種審査で不利になる場合がある
起業や独立をすると社会的信用度が低くなることから、クレジットカードやローンの審査などで会社員よりも不利になる場合があります。
これは、クレジットカードやローンの審査では勤め先の規模・勤続年数・収入などに基づく「支払い能力」が問われるとされているためです。収入が不安定になりやすい人は、審査に通りにくいといわれています。
ただし、法人・個人事業主向けのクレジットカードなどもあるので、必ずしも作れないわけではありません。とはいえ、リスクに備えて「会社員のうちにクレジットカードを作っておく」あるいは「必要なローンを組んでおくなど」対策をしておくのがおすすめです。
エンジニアが起業するためにやること
エンジニアとして起業する際には、さまざまな手続きや準備が必要です。起業するためにやるべきことを4つお伝えします。
事業計画書の作成
事業を具体的にするために事業計画書を作成しましょう。事業計画書とは、事業の内容や戦略などについてまとめた資料のこと。頭のなかのイメージを整理し、起業の目的や戦略を明確にする「設計図」としての役割があります。
起業時に作成を義務づけられているわけではありませんが、融資を受ける際に提出する資料としても使えますので作成しておくとよいでしょう。
事業計画書に盛り込む項目には以下のようなものが挙げられます。
- 代表者の概要
- ビジョン・理念・目的
- 事業内容
- 自社サービス概要
- 市場環境・競合について
- マーケティング戦略
- 生産方法
- 財務計画
事業計画書に決まった様式はないため自由に作成できますが、上記のような項目を軸に記載するのが一般的です。
資金調達
起業のための資金を調達しましょう。前述した通り、エンジニアの起業ではやり方次第で費用を抑えることは可能ですが、事業が軌道に乗るまでの当初資金を用意しておくと安心です。
外部から資金を調達する方法として、主に3つが挙げられます。
- 民間金融機関
- 日本政策金融公庫
- 地方自治体の補助金や助成金
民間金融機関は、審査時に実績や信用が必要になることから起業時の融資には不向きといえます。一方、日本政策金融公庫や地方自治体など公的機関からの融資は、支援を目的としているため実績が少ない経営者でも審査に通りやすく低金利な点が特徴です。
人的リソースの確保
人的リソースの確保も検討しましょう。エンジニアは1人でも起業できますが、自分にはないスキルを持つ人材と協力することで仕事の幅が広がり、失敗の確率を抑えられるというメリットがあります。
将来的に事業規模の拡大も考えている場合、「優秀な人材をどのように確保するか」は重要な課題です。仲間を探す方法としては、次のような手段が挙げられます。
- 起業家向けのマッチングサービス
- ビジネスSNS
- 異業種交流会
- 知人・友人の紹介
特に起業家向けのマッチングサービスは、IT分野に特化したサービスもあり、効率的に人材を探せるのでおすすめです。
開業届の提出
起業するには個人事業主、もしくは法人としての開業届を提出する必要があり、エンジニアが1人で起業する場合も同様です。ただし、個人と法人では提出する書類や手続きが異なります。
必要書類 | 提出期限 | 提出先 | |
---|---|---|---|
個人事業主 | 個人事業の開業・廃業等届出書 | 開業後1ヶ月以内に提出 | 税務署 |
法人 | 法人設立届出書 | 会社設立(設立登記の日)から2ヶ月以内に提出 | 税務署・都道府県税事務所・市区町村役場 |
青色申告を希望する場合は、開業届と一緒に「所得税の青色申告承認申請書」を提出すると手続きがスムーズです。
また、法人は開業届に付随して、法人登記や年金事務所への届け出などさまざまな手続きが必要になります。
まとめ
エンジニアの起業が失敗する主な原因として、「マーケティング不足や技術にこだわりすぎて収益化につながらない」などが挙げられました。また、「起業自体が目的化している」「目的やビジョンがはっきりしない」「見通しが甘い」といった場合も失敗しやすいといえます。
これらの原因を意識することで失敗を回避できるかもしれませんが、会社員として働きながら低リスクの副業から始めるのも1つの方法です。また、事業を成功させるためには、継続して案件を獲得する必要があるため複数の獲得手段を用意しておくとよいでしょう。
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