こんにちは、ITプロマガジンです。
フリーランスで生活をしていくうえで重要になるのが、国民年金との付き合い方です。日本在住の20歳以上60歳未満の人は、国民年金への加入が法律で義務付けられており、保険料を支払う必要があります。
国民年金の基礎知識を理解していないと、将来、大きく後悔する可能性があります。そこで今回の記事では、フリーランスが理解しておきたい国民年金の基礎知識やもらえる金額目安、注意すべきポイントなどを解説します。将来の備えとして今からできる対策も紹介するのでぜひ参考にしてください。
なお、フリーランスの税金については「フリーランスが支払う税金の種類」の記事を、健康保険については「フリーランスが入れる保険の種類」を併せて参考にしてください。
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目次
フリーランスが知っておくべき国民年金の基礎知識
フリーランスは会社員と異なり、年金の手続きを自分で行わなければなりません。そのため、年金の基礎知識を身につけておくのが重要になります。ここでは「そもそも国民年金とは」というトピックから、国民年金の基礎知識を解説します。
そもそも国民年金とは
国民年金は公的年金制度の1つです。公的年金制度とは、高齢になった人や障害を負った人を、働いている世代で支えようという仕組みです。若い時に公的年金制度に加入し、保険料を払うことで、いざという時に自分も年金を受け取れます。
2021年度、国民年金第1号被保険者や新加入被保険者の保険料は、1ヶ月あたり1万6,610円です。会社員であれば給料から天引きされますが、フリーランスの場合は、自分で国民年金保険料を納める必要があります。
国民年金を払わない選択はできる?
国民年金の保険料は安くはないため、「保険料を払わない」という選択肢を考えている人もいるかもしれません。しかし国民年金は、制度上加入しなければならないものです。
具体的にいえば、日本国内に在住している20歳以上60歳未満の人は、国民年金への加入が法律で義務付けられています。原則、保険料を一定期間納めなければ、将来年金を受け取れません。ただしどうしても保険料を支払えない方のために、保険料減免制度があります。
フリーランスと会社員の年金制度の違い
フリーランスと会社員の年金制度にはいくつかの違いがあります。フリーランスは自分で国民年金加入の手続きを行い、保険料を納付しなければなりませんが、会社員は給料から天引きされます。
また会社員は国民年金と、公務員や会社員が加入できる厚生年金の2種類の年金に加入しています。将来は国民年金と厚生年金の両方の年金がもらえる設計になっている、いわゆる「二階建て」の年金制度です。
保険料の負担量も、個人と会社で半分ずつです。そのため会社員の年金は、フリーランスに比べて金額的にお得といえます。
フリーランスの扶養家族の年金の扱い
厚生年金の被保険者の配偶者は、追加の保険料を負担することなく、「第3号被保険者」として制度に加入できます。
ただしフリーランスの場合、そのような特例は用意されていません。フリーランスの配偶者も国民年金の保険料を支払う必要があります。会社員とは異なり、支払う保険料が2人分になるので注意が必要です。
国民年金への切り替え方法
会社を退職し、しばらく次の会社に入社しない場合、国民年金を納めなければなりません。扶養している60歳未満の配偶者がいる場合は、配偶者も国民年金への加入が必要になります。
国民年金に切り替えるためには、退職後14日以内に、区役所や各事務所の保険年金係で手続きが必要です。その際に以下の書類を用意しましょう。
- 本人確認のできるもの(マイナンバーカードや免許証など)
- 基礎年金番号が分かるもの(年金手帳や基礎年金番号通知書など)
- 退職日が分かるもの(雇用保険被保険者離職票や退職証明書など)
国民年金加入のフリーランスが将来もらえる年金額はいくら?
フリーランスが国民年金の保険料を支払い続けた場合、将来的にいくら年金額がもらえるのか紹介しましょう。
将来もらえる年金額の目安
国民年金を40年間払い続けた場合、もらえる年金額の目安は、年間78万(月額6万5,000円)です。
以前まで国民年金を受け取るためには、最低でも25年間、保険料を支払わなければなりませんでした。しかし受給資格を見出せない人が相次ぎ、支払い期間が最低10年に縮まっています。
会社員の場合、年金の支払いは強制なので、将来は厚生年金と国民年金を合わせて受け取ることになります。平均で月額10万円以上はもらえる計算になるため、先述の通り会社員の方が金額的に有利といえます。
繰上・繰下げ受給する場合の年金額の目安
繰上げ受給とは、年金を早めにもらい始めることであり、繰下げ受給はその反対です。もちろん繰上げで年金を受給したら、そうしない場合よりも受給額が低くなります。反対に繰下げで受給した場合は、より高い受給額となります。
例えば国民年金を70歳まで繰り下げ受給した場合、年間にもらえる年金額は110万円となります。60歳、65歳からもらい始めた場合と比較すると、以下の表のようになります。なお、以下の金額は40年間保険料を払った場合を想定しています。
年金受給開始時の年齢 | 年金額(1年あたり) |
---|---|
70歳 | 約110万円 |
65歳 | 約78万円 |
60歳 | 約54万円 |
生活費や国民年金額から考えるフリーランスに必要な老後の備えとは?
老後の生活を豊かにするためには、ある程度の貯蓄が必要です。しかし生活のスタイルによっては、なかなか貯蓄が上手くいかない方も多いでしょう。そのため、貯蓄できない場合の備えがあれば安心です。
生命保険文化センターが行った意識調査によれば、老後の生活費の目安は以下の通りです
- 最低日常生活費用は月額で平均22.1万円
- ゆとりある老後生活費は平均で36.1万円
一方、フリーランスとして将来期待できる年金額は、国民保険の月額6万5,000円です。そのため、最低日常生活費用で計算しても、月で15万5,000円の赤字になります。貯蓄があった場合でも、それを切り崩して生活しなければなりません。
フリーランスで老後を快適に生きるためには、この月15万5,000円をいかに用意できるかがポイントになるでしょう。
将来の備えとしてフリーランスにおすすめのその他年金・共済制度
フリーランスが入る国民年金の支給額だけでは、老後の生活は出来ないというお話をしましたが、フリーランス向けに任意で入れる保険があります。
ここでは、フリーランスが加入できるおすすめの保険を紹介します。
国民年金基金
国民年金基金とは、厚生年金のように国民年金に上乗せできる保険です。
国民年金基金の良いところは、掛け金の全てが所得控除になり節税対策にもなる点です。
さらに、掛け金に応じて将来の受給額が確定している点もおすすめですね。
しかし、基本的に国民年金基金は一度加入すると、自己都合で支払いを止めることができない点には注意が必要となります。
後に紹介するiDeCoとの掛け合いで、1ヶ月の掛け金の上限は月額6万8,000円までと決まっています。
iDeCo(個人的確定拠出確定年金)
iDeCoとは、掛け金で金融商品を運用し、60歳以降に年金として受け取れる仕組みです。
他と違う点は、掛け金を運用するので、金額が減ることもある点です。
iDeCoも国民年金基金と同様に掛け金が全額控除となり、節税にも役立ちます。
満期時にも受け取った年金は控除対象額となります。
良いこと尽くしですが、iDeCoに加入する際には、口座開設手数料や月額口座管理費などが発生するため、きちんと見極めてから加入するかしないか決めたほうがいいでしょう。
付加年金制度
付加年金制度は、月額400円払うことで年金にプラスされて還元されます。
受取額は「200円×納付した月数」なので、20年間欠かさず納付した場合には、合計4万8,000円になり、月額に4,000円がプラスされます。
金額は少ないですが、約2年で元が取れるので、入ってみるのもよいと思います。
ここで注意して欲しいのは、国民年金基金との併用はできないということです。
小規模企業共済
小規模企業共済は、個人事業主・フリーランスが加入できる、積み立ての退職金制度です。毎月決まった掛け金を積み立て、廃業時に共済金を受け取れる仕組みになっています。掛け金は毎月1,000〜7万円から選択できるため、「少額から積み立てたい」人も「大きく積み立てたい」人も利用しやすい制度です。
利率を1%で考えた場合、毎月10,000円を40年間積み立てれば、70歳の時におおよそ590万円を受け取れます。また積み立てた金額は全額所得控除になるため、節税効果も抜群です。フリーランスであればぜひ利用したい制度となっています。
経営セーフティ共済
経営セーフティ共済は、中小企業を対象とした共済制度です。取引先が倒産して資金繰りが悪化した場合、掛け金の最大10倍までの範囲で、無利子・無担保・保証人なしで貸付が受けられます。
概要を見ても分かるように、中小企業の連鎖倒産を防ぐ目的で設立されました。経営セーフティ共済には以下のメリットがあります。
- 掛け金を全て「必要経費」にできる
- 40ヶ月以上掛け金を納付すれば、100%の解約手当金を受け取れる
こちらは中小企業を対象としたものなので、フリーランスの方は利用できませんが、法人成りを考えている場合はぜひ検討してください。
フリーランスも利用できる国民年金保険料免除・納付猶予制度とは
フリーランスが加入する国民年金保険料は、保険料の支払いが難しい人のために、保険料の減免制度が設けられています。ここではその仕組みを紹介します。
事情に応じて保険料免除・納付猶予になる場合もある
国民年金は、基本的に国民全員が加入を義務付けられています。しかし、どうしても保険料を支払えない場合もあるでしょう。その際は、事情に応じて保険料免除や納付猶予の措置を受けられる可能性があります。昨年の所得に応じて「全額・4分の3・半分・4分の1」のいずれかが適用されます。
新型コロナでの減収を理由とする免除・猶予制度もある
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、収入が減ってしまったフリーランスの方も多いでしょう。このような新型コロナでの減収を理由とする、免除・猶予制度もあります。
令和2年5月1日から、新型コロナの影響により国民年金保険料納付が困難となった場合の、臨時特例免除申請の受付手続きを開始しています。必要な書類を添付し、住民登録をしている市役所や区役所・年金事務所に郵送すれば、申請完了です。
保険料免除の場合は将来の年金額が減る
保険料を免除された場合は、免除期間に保険料を支払っていないことになるため、将来の年金額も減ります。年金保険料は過去にさかのぼって支払いができるため、もし懐に余裕ができたら、支払っていない分を納めるようにしましょう。
フリーランスが国民年金保険料について注意すべきポイント
国民年金と厚生年金が給料から天引きされる会社員とは異なり、フリーランスは年金に関して高い自由度があります。その分、国民年金保険料について注意すべきポイントも多いでしょう。ここではその注意点を3つのトピックに分けて解説します。
保険料の支払いが困難な場合は年金窓口に相談する
先ほども解説したように、年金保険料の支払いが難しい場合は、まず年金窓口に相談しましょう。国民年金料は、その人の収入にかかわらず一律で徴収され、「どうしても保険料を納められない」ケースが出てきます。
保険料は、事情に応じて免除や猶予をしてくれる可能性もあるため、窓口に相談してみるとよいでしょう。年金保険料の未払いを続けていると、将来になって「年金が少ししかもらえない」と後悔する可能性もあるので、なるべく早めに行動しましょう。
催告の無視は絶対に避ける
年金保険料を支払わないままでいると、年金窓口から「督促」や「催告」を受けることになります。「どちらにしろ今は支払えないから無視すればよい」と考え、督促や催告を無視しようかと考える人もいるかもしれません。
しかし年金窓口からの督促や催告を無視すると、「訪問による納付の案内」のほか、以下のペナルティが発生する可能性もあります。
- 延滞金の発生
- 各種給付の制限
- 財産の差し押さえ
催告の無視は絶対に避けるようにしましょう。
確定申告時に保険料控除を忘れない
確定申告時に保険料控除を忘れないのも重要です。フリーランスと切っても切り離せないのが確定申告でしょう。会社員であれば、税金に関する作業は全て会社がやってくれます。しかしフリーランスの場合は、自分で確定申告を行い、所得に応じた税金を支払わなければなりません。
この確定申告の際に、社会保険料控除の申告ができます。自分の国民年金保険料だけでなく、家族の保険料も納付している場合は、家族宛に送付された「社会保険料控除証明書」も添付するようにしましょう。
まとめ
今回の記事では、フリーランスの年金を解説しました。フリーランスは会社員と異なり、年金保険料の支払いを自分で行わなければなりません。国民年金の基礎知識を整理し、適切に対応できるよう準備しておきましょう。
もし国民年金保険料が支払えない場合は、役所や年金事務所に相談するのが大切です。事情に応じて保険料免除や納付猶予の措置を受けられます。新型コロナでの減収を理由とする免除・猶予も実施されていますので、困っていれば窓口に相談してみましょう。
- 高額案件を定期的に紹介してもらいたい
- 週2日、リモートワークなど自由な働き方をしてみたい
- 面倒な契約周りはまかせて仕事に集中したい
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