こんにちは、ITプロマガジンです。
スキルアップや収入アップのため副業をしたいと考えている人も多いのではないでしょうか。また、趣味の延長として本業以外にやってみたい仕事があるという人もいるかと思います。
そこで気になるのが、副業に関するルールと罰則です。法律や税制ではどこからどこまでが副業として定められているのか、また違反した場合にはどうなるのかを知っておきたいところです。
この記事では、副業の定義やルール・罰則、副業を行う時の注意点などについて紹介します。また、勤めている会社が副業を禁止しているという人に向けて、副業とみなされずに副収入が得られる方法も見ていきましょう。
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副業の定義とは?
日ごろなんとなく副業という単語を使いますが、副業の定義はあるのでしょうか。副業の意味や、副業と似ている兼業やダブルワークなどとの違いを見ていきます。
副業に明確な定義はない
「副業」は、厳密な定義はないものの、「本業+その他」というイメージが共通認識です。
中小企業庁の「兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する調査事業 研究会提言」には、「兼業・副業とは、一般的に、収入を得るために携わる本業以外の仕事を指す」と記載されています。
2018年1月には、厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を作成したことなどで副業解禁の動きが広がりました。株式会社リクルート「兼業・副業に対する企業の意識調査(2019)」によると、容認・推進している企業が3割を超えているとのことです。
兼業・複業・ダブルワークとの違いや関係
兼業や複業、ダブルワークなどという言葉もありますが、副業との違いが公に定義されているわけではありません。
一般的には兼業は専業の対義語として使われることが多く、2つ以上の事業を兼ねている状態を示します。
複業は副業とほぼ一緒ですが、副業の「副」は「主なものを補佐するもの、控え」という意味があり、あくまでもメインの本業以外のサブの仕事を指します。一方、複業は複数の仕事をするというニュアンスがあり、メインとサブの区別がなく同等の仕事を2つ以上持つ場合に使います。
ダブルワークも複業にニュアンスが近い用語です。2つの仕事を持ち、どちらかの仕事に重きがあるというよりは、2つの仕事を同等の配分で行っている状態です。
副業をめぐるルールと罰則
副業をしてみたいものの「本当に行ってよいのか」「万一、副業が認められていないにもかかわらず行った場合にはペナルティがあるのか」と気になる人も多いと思います。副業のルールと罰則について解説します。
会社員は就業規則次第
現在、法律で副業自体に関する定めはなく、会社の就業規則次第で副業の可否が決まるのが実態です。厚生労働省「モデル就業規則」(令和2年4月)の「第14章 副業・兼業」には、以下のような記述があり、各企業の就業規則のベースとなっています。
「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。
2 会社は、労働者からの前項の業務に従事する旨の届出に基づき、当該労働者が当該
業務に従事することにより次の各号のいずれかに該当する場合には、これを禁止又は
制限することができる。① 労務提供上の支障がある場合
引用元:厚生労働省
② 企業秘密が漏洩する場合
③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合
④ 競業により、企業の利益を害する場合」
違反をした場合の罰則ですが、けん責、減給、出勤停止、懲戒解雇の4つが考えられます。
どのペナルティに該当するかは、会社が定める就業規則によって変わってきます。解雇を不当とし裁判を起こすことは可能ですが、今後も円満に働いていくためには無用なトラブルは避けたいところです。
公務員は許可制
国家公務員は副業が原則禁止されており、実施するには所轄庁長の許可が必要です。
国家公務員の副業について定めているのが「国家公務員法」です。「国家公務員法 第103条第1項」では、「職員は商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない」としています。
また、同第104条では「職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する」としています。
一方、地方公務員については「地方公務員法」に定めがあり、職務専念義務や、機密情報漏洩の可能性などの理由により制限が加えられています。副業をするには任命権者の許可が必要となります。
税金は納付していれば罰則はない
就業規則では副業を禁止・制限していても、上述の通り法律上の定めはなく副業を持つことは違法ではありません。納税に関することについても、正しく申告・納付していれば問題はありません。
ただし、副業により所得が増えたにもかかわらず、源泉徴収時や確定申告できちんと処理をしていないと脱税とみなされるので注意してください。副業で所得が増えたことによって税金や社会保険料、住民税が上がりますが、正確に申告・納付を行う必要があります。
そもそも副業が禁止される3つの理由
上述のように、就業規則次第では副業が禁止される場合があります。それぞれの理由について解説していきます。
本業に悪影響がある
1つ目が本業への悪影響です。例えば、副業を遅い時間まで行っていたために、遅刻や欠勤してしまうという可能性があるからです。
また、長時間労働により体調を崩してしまった場合にも、本業に悪影響を及ぼしてしまいます。長期休養ともなれば、周囲への負担も大きくなるでしょう。
さらに、社会通念上のモラルを欠くような仕事を副業にすることも、本業に悪影響を与えると考えられます。働いていることがばれたことで、本業のイメージを悪くすると懸念されるためです。
利益相反になる
利益相反の可能性も副業禁止の理由として挙げられます。競合他社で働くことで、本業の会社の利益を損なう可能性があるからです。
例えば、本業で培われた人脈を使って仕入れた安い資材を副業で使用したり、副業で多くのシェアを獲得したために本業の利益を損なったりする可能性が考えられます。
副業そのものを許可している会社であっても、競合他社での副業は制限しているケースも多いので、注意が必要です。
守秘義務違反になる
守秘義務や情報漏洩という観点からも、副業が禁止される場合があります。ほかの企業で働くことで、自社の情報や、自社の業務のなかで知りえた顧客情報などが漏れることが懸念されます。
もし、本業の業務のなかで得たデータを使って副業をした場合には守秘義務違反となります。コンプライアンスの問題にも発展しかねないため、厳重な注意が必要となります。
また、意図的に漏らすつもりがなくても、本業で使っているパソコンを副業でも使用したために情報が洩れてしまったり、副業のスタッフやクライアントとたわいもない会話をしているつもりが、情報漏洩につながったりする場合もあります。
副業がばれる主な原因
副業が会社にばれる原因はさまざまです。例えば以下のようなことが考えられます。
- 住民税の金額に相違が起こる
- 社会保険の手続きが必要になる
- 年末調整で実際の所得が発覚する
- 関係者から通報される
住民税は前年の収入額から計算されるため納税額が上がります。そこで会社としては副業を疑います。
副業でも雇用関係を結んでいる場合、一定の労働時間・賃金を超えるなら社会保険に入らなければなりません。社会保険は2箇所で加入することはできないため、行政から本業の会社に確認の連絡が入ることで副業がばれてしまいます。
年末調整ではその年のトータルの所得を会社に申告しなくてはならず、副業分の収入が会社に分かってしまいます。
うっかり同僚に話してしまったことで、密告されてしまうこともあります。口コミで広がって上司の耳に入ってしまうかもしれません。
副業禁止でも認められやすい稼ぎ方4選
副業禁止、もしくは推奨していない企業に勤めている場合でも、トラブルを防ぎながら副収入を得られる可能性はあります。どのような副業であれば認められやすいのでしょうか。
一時的な物品・サービスの販売
月に数回などの断続的なものであれば副業とみなされない可能性があります。例えば、自分の古着や趣味で作った雑貨を販売する場合は、よほどのことがなければ自由とされています。休日に公園などで行われるフリーマーケットのほか、ファッション系の小物、食器、工芸品などを販売できるサイトもあり、それらへの出品は問題がないでしょう。
さらに、自宅を民泊として貸し出すようなシェアリングサービスも、継続的なサービスとして通年行っているわけでなければ副業とはならないケースが多いようです。
個人のスキルをお金に変えられるWeb上の「スキルシェアサービス」で、自分の知識を活用して講師やコンサルティングなどをするという方法もあります。
短時間のアルバイト・パート
アルバイト・パートは副業となりますが短期、単発、短時間であれば問題にならないことが多いようです。「業務時間が短く体力の消耗がない」「競合他社ではない」「反社会的ではない」などの場合には、本業への支障もなく、会社の信用を損なうこともないと判断されるからです。
知人や親戚、家族の仕事を手伝うという場合もあるかもしれません。お祭りなどのイベント時に知り合いの店に販売スタッフとして駆り出され、謝礼を受け取る程度であれば、本業に支障がないと考えられます。
個人的な事業
アフィリエイトなど個人規模のビジネスで収入を得ることに関しては、容認する会社が多いようです。
アフィリエイトはブログなどのWeb媒体を利用した広告の一種です。ASP(アフィリエイトサービスプロバイダ)を使ってアフィリエイトリンクをブログ内に貼り、リンクがクリックされたり、リンクを経由して商品が購入されたりすると、収入につながります。あくまでもブログを書くのは個人的な趣味にあたるので、認められるケースがあります。
資産運用
株式投資のような資産運用の場合、会社の業務に支障がない範囲であれば許容している会社も多いようです。株式以外にも資産運用の対象としては以下のようなものがあります。
- FX
- 不動産
- 投資信託
- 暗号資産(仮想通貨)
とはいえ、業務中に取引をしたり、会社のパソコンなどを使用したりした場合にはなんらかの処分を受ける可能性があります。
副業を始める際の注意点
副業をする際は、現在の職場で今後も気持ちよく働くためにも、自己の健康を守るためにもいくつかの注意点があります。現状のルールを守りながら、副業を行ってください。
勤務先のルールを確認する
まずは勤務先の就業規則のなかから、副業に関する項目を確認します。その際のチェックポイントは以下のようなものです。
- 副業に対して禁止または制限の規定がないか
- どのような副業が認められているのか、禁止されているのか
- 違反した場合の罰則
- 副業の届け出の方法
なお、就業規則に副業に関する記述がない場合があります。これは副業を想定せずに作られた就業規則である可能性があるので、後からトラブルにならないように、上司や総務・人事部門などに相談することをおすすめします。
税金・社会保険の手続きを行う
副業の収入や働き方次第では、税金や社会保険の手続きをしなくてはなりません。
日本年金機構によると、厚生年金や健康保険については、それぞれの勤め先で「週の所定労働時間が20時間以上」「賃金の月額が8.8万円以上であること」「雇用期間が1年以上見込まれること」などの被保険者要件を満たすと、両事業の報酬月額を合算のうえ、いずれかの事業所で手続きが必要になります。
また、複数の職場でそれぞれ社会保険の加入条件を満たしながら働く場合、「健康保険・厚生年金保険 所属選択・二以上事業所勤務届」を提出する必要があるので忘れないようにしてください。
所得が20万円を超えたうえで、税や社会保険料などの各種項目が給料から源泉徴収されていない場合は確定申告が必要です。20万円を超えない場合でも、住民税額を確定させるために、確定申告を行うか市区町村の役場に住民税の申告をしなくてはいけません。
自己管理を徹底する
副業の大きな心配ごとの1つは働きすぎです。労働時間は無理のない範囲に抑えることが大切です。
とはいえ自宅でできる副業の場合、周囲から管理されているわけではないため、ついついオーバーワークになりがちといえます。それで体調を崩して働けなくなっては意味がありません。
また、情報漏洩についても、セキュリティを万全にするなどの管理が必要です。万一、漏洩をしてしまうと本業も副業も失ってしまう可能性があります。
まとめ
「副業」には、厳密な定義はありませんが、「本業+その他」というイメージが共通認識として持たれています。
副業をするためにまずすべきことは、本業の勤め先の就業規則の確認です。最近は副業が認められやすい流れにはなっていますが「本業に悪影響がある」「利益相反になる」「守秘義務違反になる」場合には、副業が認められない可能性が高いので注意してください。
会社にばれないと思っていても、同僚にうっかり話してしまったことで上司の耳にまで届いてしまったり、税・社会保険の手続き関連でばれてしまったりということもあります。また、副業をする際は働きすぎて体調を崩すことがないよう、自己管理に注意しましょう。
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