こんにちは、ITプロマガジンです。
一般的に、会社員と比べフリーランスは住宅ローンの審査が通りづらいと言われています。そのため、家を買いたいけれど、なかなか購入に踏み出せないと悩んでいる人も多く見受けられます。
本記事では、フリーランスが住宅ローンを組む際のポイントや注意点を徹底解説します。さらにフリーランスでも審査が通りやすいとされる「フラット35」のメリット、デメリットなどもご紹介します。
フリーランスだから住宅ローンが組めないと悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。なお、フリーランスに関する基本的なノウハウについては、「フリーランスとは?」の記事も併せて参考にしてください。
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目次
フリーランスでも住宅ローンは組める!
結論から伝えると、フリーランスでも住宅ローンを受けることは可能です。安定した収入と借入金額に無理がなければ、フリーランスや個人事業主、自営業の方でも住宅ローンを組めます。
住宅ローンの審査は返済能力の有無で判断されるため、しっかり準備しておくことが大切です。ただし、冒頭でお伝えしたように、フリーランスは会社員と比べると審査に通りずらいのは事実です。
フリーランスが住宅ローンの審査に通りづらい理由
フリーランスが住宅ローンの審査に通りづらい理由は2つあります。
- 社会的信用が低い
- ケガや病気で収入がゼロになるリスク
2つの内容を解説します。
社会的信用が低い
まず挙げられる大きな理由が、フリーランスの社会的信用の低さです。
住宅ローンは毎月安定した収入がある人向けの金融商品です。この点から、毎月必ず給与がもらえる会社員の場合、返済能力が高いとみなされ審査に通りやすくなります。
一方、毎月の収入の変動が大きいフリーランスは不利になります。景気や自分・家族の状況によっては、毎月安定した収入があるとは限りません。金銭面での社会的信用でいうと、どうしても会社員より低くなってしまいます。
ケガや病気で収入がゼロになるリスク
フリーランスはケガや病気を患った場合、収入がゼロになるリスクがある点もポイントです。会社員なら、万が一ケガや病気で休養中になっても傷病手当金がもらえます。休職中で働けない期間であっても、本人とその家族分の生活費はある程度保障されます。
一方フリーランスは、病気やケガをして休んだ期間は収入がなくなってしまいます。
前述のとおり、住宅ローンの審査通過のポイントは、毎月の返済能力が確実にあるかどうかです。その点、病気やケガで収入が激減する可能性が高いフリーランスは、審査の通過の観点で不利になってしまうのです。
フリーランスと会社員の住宅ローン審査の違いは?
フリーランスと会社員は収入の安定性が異なるため、住宅ローンの審査に違いがあります。会社員は、年収を示すための前年度の源泉徴収が必要になりますが、フリーランスの場合は収入にバラツキがあるため、会社員より多くの書類を用意する必要があります。
具体的には以下の通りです。
- 所轄税務署の印がある確定申告書の控え
- 収支内訳書
- 青色申告決算書
- 納税証明書
上記4枚の書類は、金融機関が求める年数分必要です。また他にローンを組んで返済している場合、返済予定表や返済口座の通帳も用意します。
他にも本人確認書類や、売買契約書など購入する物件に関する書類も用意しなくてはなりません。このように、フリーランスは会社員よりも用意する書類の数が多くなるので、あらかじめ整理しておくと良いでしょう。
フリーランスが住宅ローン審査を通過するための6つのポイント
上記の理由を見ていくと、やはりフリーランスは住宅ローン審査において不利なことがわかります。しかし、フリーランスでも住宅ローン審査に通ることは可能です。通過するためにはいくつかポイントを押さえる必要があります。具体的に見ていきましょう。
1.収入の安定性を証明する
社会的信用を上げるため、大切なのは安定した収入の証明です。会社員と同様に毎月安定した収入があることがわかれば、フリーランスでも返済能力が高いとみなされ、審査に通過しやすくなります。
フリーランスは収入ではなく「所得」が重要
フリーランスの収入を証明する際に重要なのが「所得」です。
住宅ローン審査の際、金融機関が確認するのはあくまでも所得額です。所得とは収入(売り上げ)から諸経費を引いた金額のことです。所得の金額が多く、安定していればフリーランスでも審査に通りやすくなります。
反対に、もし収入(売り上げ)が高くても、出費が多く所得が少なくなってしまえば、安定した収入とはいえません。
特にフリーランスは、節税対策で経費を増やす意識をしている方が多いです。あまりにも経費を増やしすぎると所得が減り、その結果ローンの審査に通りづらくなる可能性が高まるため、注意が必要です。
過去3年分の所得が安定している
多くの金融機関が直近3年分の確定申告書から所得を確認します。
重要なのは、3年連続で所得が黒字であることです。1年でも赤字の年があると収入が不安定とみなされ、審査が下りない可能性が高まります。
税金や保険料、借金等の滞納はNG
税金や保険料などの未納があると審査には通らない可能性が高いので注意しましょう。
住宅ローンの審査時には、金融機関に納税証明書を提出します。こちらも確定申告書と同じく直近3年分を提出することが多いです。
特に、年金や保険料を自動引き落としではなく、手動支払いにしている場合は要注意です。うっかり1ヶ月払い忘れているなどあるかもしれません。
提出する前に、必ず払い忘れがないことを確認してから納税証明書を発行しましょう。
2.自己資金を用意する
自己資金とは住宅ローン以外に自分で用意する現金のことです。主に頭金や諸経費に使われます。頭金として先に高額の費用を払えば、独立して日が浅かったとしても審査に通りやすくなる可能性があります。
3.ローンの返済比率をチェックする
返済比率とは、年収のなかで占めるローンの返済額の割合です。
返済比率が高くなるほど金銭的なゆとりはなくなります。年収に対して一定額以上のローンが組めないように、金融機関は返済比率の上限を定めています。
一般的には20%〜30%が適性と言われている
ローンの返済比率は、一般的に年収の20%〜30%の金額が適性と言われています。
金融機関が設定する返済比率の上限は、35%~40%が一般的です。しかし限度額いっぱいまで借りてしまうと、毎月の返済に追われ生活が苦しくなってしまうため、限度額よりも低い返済比率である20%〜30%に留めて置くのが賢明でしょう。
自動車ローンなどがある場合は注意が必要
気を付けたいのが、すでに自動車ローンなど他のローンがある場合です。
自動車ローン支払いをしていても、住宅ローンの申し込みは可能です。しかし、金融機関が設定する返済比率の限度額は、自動車ローンと住宅ローンを合わせた金額となります。
例えば、年収500万円の方が30%の返済比率でローンを組む場合、年間150万円を返済に充てることになります。すでに30万円分の自動車ローンを毎年返済している場合は、120万円分のみ住宅ローンの返済に充てることが可能です。
上記のように、ローンを併用すると購入できる住宅の選択肢を狭める可能性があります。そのため、他のローンはすべて完済後に、住宅ローンを申し込むのが望ましいです。
4.住宅の用途
住宅ローンはあくまでも住居用のローンなので、事業目的(店舗や事務所)としての借り入れは基本的に不可です。
ただし、年間所得金額が3,000万円以下の方の場合、物件の床面積が50㎡以上ありその50%以上が住居部分であれば、住宅ローン控除の対象になります。
ちなみに住宅ローン控除の条件は2021年に改正され、床面積が40~50㎡の場合でも控除の対象になりました。この場合は年間所得金額が1,000万円以下という条件がつきます。
5.年齢
住宅ローンを申し込む際の年齢もポイントです。住宅ローンは何十年もかけて毎月返済していくものなので、最終的な完済時年齢が決められています。
定年や年金生活を考えると、完済時年齢があまり高いのは現実的ではありません。年齢が上がるほど完済年齢までの期間が短くなり、申し込みの難度は上がってしまいます。
6.健康状態
住宅ローンは完済できることが重要なので、健康であることも重要視されます。健康状態で懸念点があれば、今後何十年も安定して働くことが難しいと判断されることもあるからです。
「団体信用生命保険」という生命保険の加入が義務付けられており、もし住宅ローンの契約者(返済者)が完済前に亡くなってしまったり、病気などでまったく働けなくなったりした際に、保険金からローンを返済します。
フリーランスが利用しやすい「フラット35」とは?
このように、フリーランスが住宅ローンを申し込むには、会社員よりもさまざまなポイントに気をつけて返済力があることを明示しなければなりません。
そこでおすすめしたいのが「フラット35」です。
フラット35とは、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供している住宅ローンです。全期間固定金利制なのが大きな特徴で、最長35年まで借り入れできるので「35」とついています。
フリーランスでも審査に通りやすい住宅ローンとして知られています。フラット35とはどのようなものなのか、具体的に解説します。
フリーランスがフラット35を利用するメリット
まず、フラット35がフリーランスにとってどのようなメリットがあるのか解説します。
所得の審査対象は直近の1期のみ
一般的な住宅ローンでは、所得の証明として過去3年間分の確定申告書を提示する必要があります。しかしフラット35では過去1年分の提出で済みます。
フリーランスになり3年間経過していない場合や、過去2〜3年前に赤字がある場合でも審査に通りやすい点がメリットです。
所得制限がない
収入の変動が激しいフリーランスにとって、所得制限がないのは大きな利点です。フラット35では最低所得金額に関する制限がありません。
ただし、年収に見合った返済負担になるように、総返済負担率が年収400万円未満なら30%以下、400万円以上なら35%以下になるよう設定されます。
毎月の返済額が固定で返済計画が立てやすい
フラット35の大きな特徴は、ずっと固定金利という点です。最初の資金受け取り時に完済までの借入金額と金利が確定し、その金利のまま固定されます。
そのため毎月の返済額に変動がなく、長期間の返済計画が立てやすくなります。
保証人・手数料が不要
保証人や繰上返済手数料は不要です。
通常住宅ローンを組むときは、保証会社に保証金を支払います。ペアローンを利用する場合は保証人が必要になります。
しかしフラット35なら保証人は不要です。返済期間中に繰上返済をしたり、返済方法を変更したりする際にかかる繰上返済手数料が不要なのもうれしいポイントです。
フリーランスがフラット35を利用するデメリット
反対に、フリーランスがフラット35を利用する際のデメリットも確認しておきましょう。3つのデメリットをご紹介します。
金利が高い傾向にある
フラット35の金利の範囲は、2022年2月現在下記のとおりです。
フラット35の金利 | ||
---|---|---|
返済期間 | 15~20年 | 21年~35年 |
金利の範囲 | 年1.230%~2.150% | 年1.350%~2.270% |
最頻金利 | 年1.230% | 年1.350% |
引用元:借入れをご検討の方:長期固定金利住宅ローン 【フラット35】
変動金利型の住宅ローンの金利は、0.37%~0.65%程度に設定されている例が多いため、それと比べるとフラット35は、金利が高いと言えそうです。
市場金利が下がっても、金利は固定のまま
フラット35の金利が固定されているのはメリットでもありますが、反対に返済期間中に市場金利が下がっても返済額は減りません。資金受け取り時に確定された金利で返済し続ける必要があるため、固定金利がデメリットになることもあります。
すべての住宅が対象なわけではない
フラット35は民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供しています。そのためローンを申し込む物件は、住宅金融支援機構が定めている技術基準に適合していなければなりません。
適合すべき技術基準は、省エネルギー性や耐震性、耐久性などです。第三者機関である検査機関によって現場検査や設計検査がなされ、基準を満たしているかチェックされます。
上記基準に満たない物件では、そもそもフラット35は利用できないので注意しましょう。
【年収別】フリーランスの借入れ限度額をシミュレーション
ではフリーランスが実際にフラット35を活用すると、どのくらいの額を借り入れられるのでしょうか?年収別に借入限度額をシミュレーションしてみましょう。
- 固定金利:1.5%
- 返済期間:35年
- 返済方法:元利均等返済(毎月の返済額が一定)
年収 | 借入限度額(概算) |
---|---|
300万円 | 2,449万円 |
400万円 | 3,810万円 |
500万円 | 4,762万円 |
600万円 | 5,715万円 |
700万円 | 6,668万円 |
800万円 | 7,620万円 |
900万円 | 8,000万円 |
1,000万円 | 8,000万円 |
フラット35の貸付上限は8,000万円なので、この金額を超えるとすべて8,000万円になります。よって年収900万円と1,000万円は同じ限度額になっています。
借入申し込みをするときは、借入限度額を考慮し無理のない返済計画を立てるようにしましょう。
フリーランスが住宅ローンを組む為に今からやっておくべきこと
フリーランスが住宅ローンを組むために今からやっておくべきことは以下の5つです。
- 滞納しないように気を付ける
- 節税をしすぎないようにする
- 地方銀行や信用金庫でヒアリングする
- 他のローンを組んでいないかチェックする
- 適正借入額の目安を把握する
5つの内容を詳しく解説します。
滞納しないように気を付ける
普段から支払いを滞納しないよう注意しなくてはなりません。万が一支払いが滞り、自己破産になると税金の回収が優先され、銀行は債務者からお金を回収できない可能性があります。
このような事情から、特に税金や国民健康保険料の滞納は厳しくチェックされます。普段から税金を滞納しないよう注意してください。
節税をしすぎないようにする
フリーランスは確定申告する際、電子申告などで所得を減らして節税できます。しかし節税をしすぎてしまうと、ローン審査で重要な課税所得の部分を減らしてしまうため、過度に節税をしすぎないよう注意しましょう。
地方銀行や信用金庫でヒアリングする
住宅ローンを申し込む際、メガバンクではなく地方銀行や信用金庫でヒアリングすると良いです。なぜなら、地方銀行や信用金庫は一人ひとりの状況をしっかり見てくれる傾向があるからです。
金融機関によって審査基準が異なりますが、住宅ローンの審査に不安を抱えるフリーランスは地方銀行や信用金庫で相談してみると良いでしょう。
他にローンを組んでいないかチェックする
他にローンを組んでいると、ローンと合算したうえで借入可能な金額が判断されます。一人が借入できる金額には上限があるからです。そのため、住宅ローンを審査を受ける前に他に組んでいるローンの金額についても確認しておきましょう。
適正借入額の目安を把握する
住宅ローンには適正借入額があります。適性借入金額は年収を基準にするため、どのくらいの金額を借入できるか目安を確認しておきましょう。前述の通り、フラット35の公式サイトで年収から借入可能額を計算できるため、シミュレーションをすると良いです。
フリーランスの住宅ローンに関するよくある質問
フリーランスの住宅ローンに関するよくある質問を紹介します。
- フリーランスは住宅ローン控除を受けられる?
- フリーランスは住宅ローンを経費に計上できる?
2つの質問に回答していきます。
Q1.フリーランスは住宅ローン控除を受けられる?
フリーランスは事務所兼住宅の場合、居住用部分が50%以上であれば住宅ローン控除の対象になります。しかし事業用部分が50%以上だと、住宅ローン控除は適用されないため注意してください。
Q2.フリーランスは住宅ローンを経費に計上できる?
住宅ローンの元金自体を経費にすることはできません。しかし利息分は、経費として計上できます。
まとめ
フリーランスにとって住宅ローンはハードルが高いイメージがありますが、押さえるべきポイントをクリアしていれば問題なく申し込めます。
住宅ローン返済は今後長く付き合っていくものなので、情報を集めて最良の方法を選びましょう。なお、フリーランスの賃貸契約に関して知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
- 高額案件を定期的に紹介してもらいたい
- 週2日、リモートワークなど自由な働き方をしてみたい
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