エンジニアがMacを使うメリットとは?開発環境などWindowsと比較

こんにちは、ITプロマガジンです。

MacとWindowsは、それぞれ異なる機能や操作性を持ち、利用シーンや目的によって向き不向きが異なります。そこで「Macのメリットが知りたい」「MacとWindowsの違いが知りたい」「どちらが自分に合っているのか迷っている」という方も多いのではないでしょうか。

本記事では、MacとWindowsの主な違いから、Macを使うメリット・デメリット、さらにエンジニアが開発用にMacを選ぶ理由について詳しく解説します。最後に、それぞれのPCが向いている人の特徴についてもまとめているので、ぜひ参考にしてください。

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MacとWindowsの主な違い

項目MacWindows
OS・Apple独自のmacOS
・最新バージョンは「Sequoia」
・Microsoft製のWindows
・最新バージョンは「Windows 11」
アプリケーション・「Pages」や「Keynote」などApple独自のアプリが充実
・音楽・動画制作ツールも豊富
・「Microsoft 365」はじめ幅広い対応アプリケーション
・特にゲーム分野で優勢
キーボード・「command」キーや「option」キーが特徴的
・ジェスチャー操作との連携が快適
・用途別に豊富なキーボードが選べる
PC端末の種類Apple製に限定(MacBook、iMacなど)・多様なメーカーから選択可能
・ゲーミングPCやビジネス向けモデルも豊富
カスタマイズハードウェアやOSのカスタマイズは制限が多いハードウェア交換やソフトウェア調整が容易で自由度が高い

※いずれも2024年12月時点の情報

MacとWindowsは、設計思想をはじめ異なる特徴があります。以下では、OSやアプリケーション、ハードウェアといったポイントの違いを詳しく解説します。

OS

MacはApple社が開発した独自OSである「macOS」を採用しており、2024年時点での最新バージョンは「Sequoia」です。

一方、「Windows」は世界で最も普及しているMicrosoft社製のOSであり、現在の最新バージョンは「Windows 11」となっています。

後述のように数多くの違いがありますが、近年話題のAI機能については、macOSでは「Apple Intelligence」が、Windowsでは「Copilot」が利用可能です。

アプリケーション

アプリケーションの種類も大きな違いがあります。

macOSは「Pages」「Numbers」「Keynote」などApple独自のアプリが標準搭載されており、これらを使い慣れたユーザーから支持されています。そのほか、音楽制作の「Logic Pro」や動画編集の「Final Cut Pro」など、プロフェッショナル向けのツールも元々はMac向けです。

一方、Windowsは市場シェアが大きいことから、対応しているアプリケーションが非常に豊富で、特にゲーム分野ではWindows専用のものが多くあります。

キーボード

MacとWindowsではキーボード配列にも違いがあります。

Macのキーボードは「command」キーや「option」キーを採用しており、ショートカット操作も特徴的です。Windowsのキーボードは「Alt」キーや「Ctrl」キーが標準的で、世界中で広く使用されています。

Macのキーボードはデザインの洗練度やトラックパッドとの一体感が魅力である一方、Windowsでは多様なメーカーからキーボードが販売されており、選択肢が豊富です。

PC端末の種類

MacのPCはApple社製品に限定されており、MacBook、iMac、Mac Miniなどがラインナップされています。これに対し、WindowsはさまざまなメーカーがPC端末を製造しており、ノートPCからデスクトップPC、ゲーミングPCまで選択肢が豊富です。

MacはApple社がデザインした洗練されたPCであるのに対して、Windowsはカスタマイズ性に優れた拡張PCや特定の用途に特化したモデルも揃っています。

カスタマイズ

カスタマイズ性も両者で大きく異なります。

Macは、ハードウェアの部品交換やOSの内部的なカスタマイズに制限があるため、購入時に選択した仕様を基本的にそのまま使うスタイルが一般的です。

Windowsは、端末によってはCPU交換やメモリ・ストレージの増設・変更もできます。そのため、カスタマイズの柔軟性を求める人にはWindowsが適しています。

MacのPCを使う主なメリット

MacのPCには多くのメリットがあります。ここでは、PCのライトユーザーからフル活用したいユーザーまで押さえておきたい、MacのPCを使うメリットを紹介します。

デザインが洗練されている

MacのPCは、総じてApple社によって設計されており、美しいデザインに仕上げられています。

ボディはアルミ素材でスタイリッシュに設計されており、iMacではカラーバリエーションも用意されています。Macを仕事用で使う場合はモチベーションになり、プライベートで使う場合でもインテリアとして魅力的です。

特にMacBook Airは軽量かつコンパクトな設計となっており、持ち運びにも向いています。

標準スペックが高めに設定されている

MacのPCは標準のスペックが高めに設定されているため「どのモデルを選んでもハズレがない」という安心感があります。

従来、Macはインテルのチップを採用していましたが、2020年頃から独自のAppleシリコン(「M1」以降のシリーズ)を搭載するようになり、処理性能の高さと電力消費の低さで注目を集めました。日常的な事務タスクはもちろん、システム開発やデータ分析といった比較的重めのタスクでも快適にこなすことができ、上位のチップを選べば動画編集やAI開発といった負荷の高いタスクも問題なく処理できます。

操作性が高い

Macは直感的で快適な操作性を実現している点でも優れています。

特に、マウス不要のマルチタッチトラックパッドは多くのユーザーから高く評価されており、スワイプやズームなどのジェスチャー操作がスムーズに行えます。

さらに、macOS独自のショートカットキーを活用することで、キーボード操作だけでさまざまな処理が可能です。例えば、「control」キーと組み合わせるショートカットでは、ホームポジションを崩すことなくカーソルの移動や1文字単位での文字の削除ができ、タイピングのストレスを軽減できます。

macOSの6つのメリット

MacのPCが搭載しているmacOSにはWindowsと比較してさまざまなメリットがあります。ここでは主な6つのポイントを紹介します。

システム設定が充実

macOSはシステム設定が充実しており、自分好みにさまざまな設定ができます。

特に、歯車のマークでなじみのある「設定」アプリでは以下のように豊富な項目のカスタマイズが可能です。

  • ディスプレイ
  • 音声
  • キーボード入力
  • スクリーンセーバー
  • 背景
  • セキュリティ

また、ウィジェットのカスタマイズも可能で、「時計」や「メモ」といった頻繁に使うアプリに手軽にアクセスできます。

macOSではシステム設定を直感的に操作でき、初心者からヘビーユーザーまで、ストレスなくOSを使用可能です。

再起動後に前回の状況を復元可能

macOSでは、再起動後に前回の作業状況を簡単に復元できる機能があります。ブラウザのタブやその他アプリの状態は保存されており、再起動後も再現することが可能です。

PCのクラッシュやバッテリー残量の低下といった原因で予期しないシャットダウンが発生しても、再起動すればスムーズに作業を再開できます。

Windowsの場合、システムをシャットダウンするとアプリの状態がリセットされることが普通ですが、この点はmacOSの方が利便性が高いと言えます。

独自アプリケーションが豊富

macOSでは、日常的なタスクやクリエイティブな作業に便利な独自アプリが豊富です。

例えば、「Pages」「Numbers」「Keynote」といったデフォルトで搭載されているアプリがあり、それぞれMicrosoft社の「Word」「Excel」「PowerPoint」に相当するもので、決して劣らない使いやすさや直感的な操作性から、Macのアプリを支持する人もいます。

クリエイティブな作業をしたい人向けには、動画編集用の「Final Cut Pro」や音楽制作の「Logic Pro」「GarageBand」といった高品質なアプリも活用できます。

複数ユーザー・デスクトップの切り替えがスムーズ

macOSはユーザーや仮想デスクトップの切り替えもスムーズです。

指紋認証機能「Touch ID」を活用すれば、ワンタッチでユーザーアカウントの切り替えが可能なので、家族でmacOSを共有したり、仕事とプライベートを分けて利用したいケースにも向いています。

また「Mission Control」では作業中のアプリを別の仮想デスクトップに瞬時に移動でき、仕事用とプライベート用のデスクトップを分けたい場合に便利です。

iPhoneとの連携がスムーズ

macOSではiPhoneやiPadといった他のApple製品とスムーズに連携できます。

「写真」「メモ」といった日常的に使用するアプリのデータは簡単に同期可能です。また、「AirDrop」を使えば、写真やファイルを共有でき、Handoff機能を利用すると、「iPhoneで書きかけのメールをMacで続けて編集する」といったシームレスな連携もできます。「メッセージ」アプリはデータが一元管理されているため、macOSからでもiPhoneからでもやりとりが可能です。

プライバシー保護に強み

macOSはプライバシー保護にも力を入れており、安全に利用できる設計がなされています。

「Safari」ブラウザにはトラッキング防止機能があり、第三者によるクッキーや閲覧履歴の取得をブロック可能です。Apple社が提供しているAIサービス「Apple Intelligence」を使用する際も、オンデバイス処理の仕組みによりデータを外部に送信せずに完結できるようになっています。

一方で、パスワードを管理する「パスキー」機能もあり、セキュリティを維持しながらパスワードを適宜活用できます。

エンジニアが開発用にMacのPCを使う5つのメリット

MacのPCは、開発を行いたいエンジニアにも便利です。特にターミナル環境やiOSアプリ開発への対応、モジュール管理の利便性、AI開発への活用、そしてスペックの高さなど、多くの魅力があります。以下で詳細を解説します。

ターミナル環境が充実

MacのPCはターミナル環境が充実しており、エンジニアが環境構築や開発をする際に便利です。

標準の「ターミナル」や高度なカスタマイズが可能な「iTerm2」といったアプリがあり、Linux/Unixに近い操作感で「zsh」「bash」といったシェル環境や「vim」「nano」といったエディタも使用できます。

もちろん主要なLinux/Unixコマンドにも標準で対応しているため、Web開発やインフラ関連のタスクもスムーズに進行できるのです。

iOSアプリ開発が可能

iOSアプリを開発できる点もメリットです。

Apple社提供の統合開発環境(IDE)である「Xcode」は、iOS/macOSアプリを開発するために必要不可欠ですが、これはMacでしか利用できません。iOSアプリを開発する際には「Objective-C」「Swift」といったプログラミング言語が有名ですが、これらの言語でiOS/macOSアプリを開発するにはXcodeを使用する必要があり、そのためにはMacのPCが不可欠です。

モジュール管理が容易

MacのPCでは「Homebrew」というパッケージ管理ツールが活用でき、モジュールの管理が非常にスムーズです。

システム開発においては、さまざまなモジュールをダウンロードし、それらのバージョンや依存関係を適切に管理する必要があります。エンジニアとして開発をしていると、モジュールが増えるのに伴って依存関係が複雑になり、管理が大変になることは少なくありません。

しかし、Homebrewを使うと、インストール、アップデート、アンインストールといった操作も簡単で、依存関係に起因するトラブルが発生しにくくなります。そのため、モジュール管理に時間を取られることなく、開発に集中することが可能です。

AI利用・開発に便利

AIの活用や開発がしやすいという点も、MacのPCがエンジニアに選ばれる理由の1つです。

AppleシリコンにはGPUが内蔵されており、機械学習モデルのトレーニングやシステム開発、AI利用にも適しています。

なおApple独自の「Apple Intelligence」は、文章作成やタスク管理を支援するAIシステムで、開発用ドキュメントの管理などに役立ちます。MacがこういったAIを活用するための設計になっているという点も、AIの利用や開発に向いていることを裏付ける理由です。

スペック面で安心

MacのPCは、スペックの高さという点でもエンジニアにとって魅力的です。

Appleシリコンは、処理性能が高いだけでなく、消費電力を抑える省エネルギー設計も特徴です。Webアプリの開発、機械学習モデルの開発・予測、さらには動画編集のような負荷の大きい作業もスムーズにこなせます。

また、標準モデルでは物足りないという人に向けて、「MacBook Pro」や「Mac Studio」などの上位モデルも用意されており、さらに高負荷のタスクも処理できます。

Macを使うデメリット

MacのPCには多くの魅力がありますが、Windowsとの互換性やカスタマイズ性、本体価格といった点でデメリットもあります。以下で詳しく解説します。

Windowsネイティブのアプリが使いにくい

Macでは、Windows専用に作られたアプリが使いにくい場合があります。

一部のアプリは「macOSに対応していない」「対応しているがWindows向けに最適化されており使用感が悪い」といった問題があるのも事実です。

Windows専用アプリをMacで使用するには「VMware」などを使って仮想環境を構築する方法がありますが、これには手間がかかり、動作効率や利便性の点でWindowsには劣ります。そのため、Windowsアプリの使用頻度が高い場合は注意が必要です。

カスタマイズがしにくい

MacのPCは、ユーザーが後からカスタマイズすることを考慮していない設計になっています。

WindowsのPCでは、メモリの増設やCPUの交換が可能なモデルも多く、ハードを全て自作することも可能です。しかし、MacではメモリやSSD/HDDの交換・増設に対応しておらず、購入時に選択したスペックを変更するのが難しい場合があります。

Windowsとの互換トラブルが発生する

Macは、Windowsとの互換性に起因するトラブルが発生することがあります。

例えば、「Macで作成したWordやExcelファイルをWindowsで開くと文字化けが起きる」「Windowsにしかないフォントを含むファイルをMacで開くと、Macのフォントに置き換えられ、ファイルのレイアウトが崩れる」といったケースがあるのです。

Windowsと頻繁にデータのやり取りをする場合には不便な可能性があります。

本体価格が高め

MacのPCは、Windows PCと比べると本体価格がやや高いことがあります。

ケースによって異なりますが、同じCPU性能やメモリ容量、ストレージ容量のPCを比較した場合、Macは1割から2割ほど価格が高くなるのが目安です。

また、Apple公式ストアで購入する際に、メモリやストレージを増量するオプションを選ぶと、オプションごとに1万円以上の追加料金が発生することもあります。そのため、予算を抑えたい場合は注意が必要です。

Macを使うのが向いている人

エンジニアが開発用にPCを使いたい場合、以下に当てはまればMacが向いているでしょう。

  • 高いスペックが必要な人
  • iOS/macOSのアプリ開発をする人
  • 開発環境をスムーズに構築したい人

Appleシリコン搭載モデルは、処理速度・省電力性を両立しておりシステム開発はもちろんAI開発、データ分析などの負荷の大きい作業にも便利です。また、iOS/macOSアプリの開発にはmacOSのXcodeが必須であるほか、ターミナルやHomebrewで快適に開発環境を構築できる点も魅力でしょう。

Windowsを使うのが向いている人

エンジニアが開発用にPCを使う場合、次のような人にはWindowsが向いているでしょう。

  • カスタマイズをしたい人
  • ネイティブアプリをスムーズに使いたい人
  • コストを抑えたい人

WindowsのPCは、メモリやCPU、ストレージの交換が比較的容易で、PCの自作も可能なため、柔軟にスペックを調整したい人にはおすすめです。また、Windows専用のアプリを使う可能性があったり互換性の問題が気になったりする場合にはWindowsが無難でしょう。さらに、Macと比較すると、同等のスペックを持つPCの価格が安価であることが多く、コストを抑えながら必要な性能を確保したい人にも適しています。

まとめ

本記事では、MacとWindowsの違いや特徴、そしてそれぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説しました。

Macは、デザイン性や操作性の高さ、開発環境の充実度から、特にエンジニアやクリエイターに人気があります。一方、Windowsはカスタマイズ性や互換性が高く、幅広い用途に対応できる点が強みです。

どちらのPCを選ぶかは、用途や重視するポイントによって異なります。エンジニアやデザイナーとして開発・制作作業に特化したい方にはMacが向いていますが、一般的なビジネス用途やコストパフォーマンスを重視する方にはWindowsがよいでしょう。

自身に合ったPCを探す際は、こういったポイントで比較してみることをおすすめします。

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