こんにちは、ITプロマガジンです。
フリーランスとして活動するにあたって法人化を検討している人や、株式会社と合同会社どちらを設立しようか迷っている人も多いのではないでしょうか。
合同会社は株式会社に比べて知名度は低いものの、株式会社よりも費用面・手続き面で設立のハードルが低い点がメリットです。
今回は、合同会社のメリット・デメリットや設立の流れを解説します。個人事業主との比較も紹介しているので、そもそも法人化するかどうか迷っている人もぜひご確認ください。
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目次
フリーランスは合同会社を設立できる?

前提として、フリーランスが合同会社を設立することは可能です。合同会社は1人だけでも設立でき、実際にフリーランスで合同会社を立ち上げて活動している人もいます。
もちろん、フリーランスとして活動する際、必ずしも合同会社などの法人を設立しなければならないわけではありません。個人事業主として活動するフリーランスも多数います。
しかし、一定の条件を満たす場合は法人を設立した方が税務上のメリットが得られることもあります。そのため、法人化を検討する条件やタイミングをあらかじめ整理し、事業の利益や取引状況に応じて判断することが重要です。
そもそも合同会社とは
合同会社は、出資者である「社員」が会社の所有と経営を担う持分会社です。社員は全員が有限責任を負い、原則として各社員が業務を執行しますが、定款で一部の社員だけを業務執行社員に定めることもできます。株式会社のように株式を発行する仕組みはありません。
また、持分を第三者へ譲渡する場合は原則として他の社員の承諾が必要です。外部から出資を受けること自体が不可能なわけではありませんが、株式会社とは出資や経営参加の仕組みが異なります。少人数で経営ルールを柔軟に設計しやすい点が合同会社の特徴です。
株式会社との違い
| 項目 | 合同会社 | 株式会社 |
|---|---|---|
| 出資者と経営 | 社員が原則として経営 | 株主が出資、取締役が経営 |
| 定款認証 | 不要 | 原則必要 |
| 登録免許税 | 資本金×0.7%、最低6万円 | 資本金×0.7%、最低15万円 |
| 決算公告 | 株式会社と同じ公告義務なし | 原則必要 |
| 役員任期 | 法定任期なし | 取締役に法定任期あり |
| 利益配分 | 定款で柔軟に定められる | 原則として株式保有割合に応じる |
| 株式発行・上場 | できない | できる |
合同会社と株式会社は、いずれも法人ですが、出資者と経営の仕組みが異なります。合同会社は出資者を「社員」と呼び、原則として社員が経営にも関わる仕組みです。株式会社は株主が出資し、取締役が業務を執行します。
合同会社の定款は公証人による認証が不要で、設立登記の登録免許税は資本金額の0.7%、最低6万円です。株式会社は原則として定款認証が必要で、登録免許税は同率ながら最低15万円です。合同会社には株式会社と同じ決算公告義務や取締役の法定任期がなく、利益配分を定款で柔軟に定められます。一方、合同会社は株式を発行できず、そのまま株式上場することもできません。将来の資金調達や共同経営の方針も含めて選びましょう。
個人事業主との違い
| 項目 | 合同会社 | 個人事業主 |
|---|---|---|
| 法人格 | あり | なし |
| 設立手続 | 定款・登記が必要 | 開業届など |
| 税金 | 法人税等と役員個人への課税 | 所得税等 |
| 社会保険 | 代表者1人でも原則適用事業所 | 原則国保・国民年金。従業員を雇う場合は別途確認 |
| 責任範囲 | 社員は原則有限責任 | 個人が事業上の債務を負う |
| 会計・申告 | 法人の会計・税務申告 | 個人の確定申告 |
| 契約名義 | 会社名義 | 個人名義 |
合同会社は法人格を持つため、事業の契約や資産を会社名義で管理できます。個人事業主は個人として事業を営み、開業届の提出と法人の設立登記では手続きや費用も異なります。
税金も、合同会社には法人税等、個人事業主には所得税等が適用され、利益額だけで有利不利を決められません。法人の事業所は代表者が1人でも原則として健康保険・厚生年金保険の適用対象です。
個人事業主は通常、国民健康保険と国民年金を利用しますが、従業員を雇う事業所は業種や人数などにより社会保険の適用対象となる場合があります。合同会社の社員は原則として出資額を限度とする有限責任、個人事業主は事業上の債務を個人として負います。信用度や節税効果を一律に比べず、取引条件や総負担で判断しましょう。
フリーランスが合同会社を設立するメリット

フリーランスが合同会社を設立する場合、以下のようなメリットがあります。
- 節税になる場合がある
- クライアントからの信用度アップが期待できる
- 有限責任になる
- 株式会社より設立費用・手間を抑えやすい
- 決算公告や役員任期の更新が不要
- 経営の自由度が高く意思決定しやすい
以下ではそれぞれについて解説します。
節税になる場合がある
フリーランスが合同会社を立ち上げると、所得税ではなく法人税が適用されるようになり、節税になる場合があります。
法人税率は最大でも23.2%ですが、所得税率は最大で45%です。一般的には年収が800万円を超えるなら法人化した方が節税効果が高いといわれており、このタイミングで合同会社を立ち上げることを検討してみるとよいでしょう。
また、合同会社を設立して法人化すると、経費に計上できる項目も増えます。フリーランスが経費にできる項目はこちらの記事で解説していますが、同じ収入でも、法人の方が経費が多くなるため課税金額が減り、節税になることがあるのです。
例えば、以下の項目は個人事業主の場合は経費に計上できませんが、法人の場合は経費に計上できます。
- 経営者本人の給与・賞与・退職金
- 福利厚生費用
- 健康診断費用
- 社会保険料・生命保険料
- 出張時の手当
- 住宅費
なお、法人の支出なら何でも損金にできるわけではなく、役員給与や保険料などには個別の要件があります。
クライアントからの信用度アップが期待できる
合同会社を立ち上げて法人化すると、クライアントからの信用度も個人事業主の時よりアップする可能性があります。
たとえ1人で活動している点は同じでも、個人事業主として個人で活動しているのと、合同会社を立てて法人の代表者として活動しているのとでは、印象が違うからです。したがって、個人事業主の時には受注しにくかったような大きな仕事も受けやすくなる可能性があります。また、個人事業主とはあまり取引をしないような大手企業の仕事も受けられるかもしれません。
また、合同会社を立ち上げると、金融機関からの信用度もアップしやすい可能性があります。資金繰りがしやすくなるという点でも、事業に良い影響が生まれるでしょう。
有限責任になる
合同会社を設立すると有限責任になります。有限責任とは、会社が倒産した時に出資額を限度として責任を負うことをいいます。
つまり、万が一合同会社が倒産しても、会社に対して出資していた金額を失うだけで、それ以上の負債を抱えることはありません。この点は、株式会社も同様です。
一方、個人事業主として活動している場合は無限責任となります。事業が立ち行かなくなって廃業することになった場合、投下したお金が戻ってこないうえに、その時点で抱えていた負債を返さなければならないのです。
例えば個人事業主として初期投資などで借金をしていた場合、廃業してもその借金は返さなければなりません。借り入れをしながら事業する場合は特に、合同会社を設立して有限責任にしておいた方が安心でしょう。
株式会社より設立費用・手間を抑えやすい
| 項目 | 合同会社 | 株式会社 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 資本金×0.7%、最低6万円 | 資本金×0.7%、最低15万円 |
| 定款認証 | 不要 | 原則必要・手数料あり |
| 紙の定款 | 印紙税などが必要 | 印紙税などが必要 |
| 電子定款・専門家 | 準備費用や報酬を別途確認 | 準備費用や報酬を別途確認 |
合同会社の設立登記にかかる登録免許税は、資本金額の0.7%で、算出額が6万円未満なら6万円です。株式会社も税率は0.7%ですが、最低額は15万円です。また、合同会社の定款には公証人による認証が不要なのに対し、株式会社では原則として認証が必要で、手数料がかかります。このため、登記と定款の手続きだけを比べれば、合同会社のほうが費用と準備の負担を抑えやすいでしょう。
なお、紙の定款を作成する場合は印紙税がかかり、電子定款の準備費用、専門家へ依頼する報酬などは別に発生する可能性があります。
決算公告や定期的な重任登記が不要
株式会社は原則として、事業年度ごとの貸借対照表などを公告する義務があります。合同会社には、株式会社と同じ決算公告の義務はありません。また、株式会社の取締役には法定の任期がありますが、合同会社の社員や代表社員には同様の任期が設けられていません。
そのため、任期満了による重任登記や公告の準備にかかる手間を抑えられます。ただし、代表社員の交代や本店移転など登記事項を変更した場合は、必要な登記を行わなければなりません。会計や税務申告まで不要になるわけではない点にも注意しましょう。
経営の自由度が高く意思決定しやすい
合同会社は、社員の業務執行や利益配分に関するルールを、法律の範囲内で定款により柔軟に決められます。株式会社の株主総会や取締役と同じ機関設計を前提としないため、1人会社や少人数の事業では意思決定を進めやすいでしょう。例えば、出資と実務への貢献を踏まえ、利益の分け方や重要事項の決議方法を設計できます。
一方、共同経営では意見が分かれることもあります。誰が日常業務を決めるか、どの事項に全員の同意が必要かを設立時に明確にしておくことが大切です。
フリーランスが合同会社を設立するデメリット・注意点
フリーランスが合同会社を設立する主なデメリット・注意点は以下の6つです。
- 会計・税務など各種手続きの手間が増える
- 社会保険への加入が必要
- 赤字でも払う税金が発生する
- 株式会社と比べて信用面で不利になる場合がある
- 株式による資金調達や上場ができない
- 複数人で設立すると経営方針・利益配分で対立する可能性がある
それぞれについて順番に解説します。
会計・税務など各種手続きの手間が増える
フリーランスが合同会社を設立する場合、個人事業主として活動するよりも各種手続きの手間が増えます。
会計処理・確定申告の作業が個人事業主の時よりも複雑です。税理士に各種手続きを任せれば経理周りの手間は省けますが、税理士選びや税理士とのやり取りといった手間は残ります。
それに伴い税理士費用も必要になるというように、個人事業主の時にはかからなかった費用・手間が発生する点には要注意です。なかには「個人事業主として1人で確定申告などをしている方が楽だった」と感じる人もいるでしょう。
また、合同会社を立ち上げると、企業の資金と個人の資金は明確に区別されます。個人事業主の場合は仕分けさえきちんとすれば、事業用資金から生活費を引き出すなどしても問題ありませんが、合同会社では丁寧に手続きしなければならないのです。
社会保険への加入が必要
合同会社を設立して給与・報酬が発生すると、代表社員1人だけの法人事業所であっても、原則として健康保険と厚生年金保険の適用事業所になります。役員報酬を支払う場合は、加入手続きや保険料の納付が必要です。保険料は標準報酬月額などを基に計算され、会社と本人がそれぞれ負担します。
一方、個人事業主として加入する国民健康保険や国民年金の負担額は、所得や自治体、家族構成などに左右されます。そのため、法人化すれば必ず保険料が高くなる、あるいは安くなるとはいえません。役員報酬の額、税金、会社側の社会保険料を合わせて試算し、手取りと資金繰りを確認しましょう。
赤字でも払う税金が発生する
合同会社を立ち上げて法人化すると、赤字の事業年度でも法人住民税の均等割が発生するのが一般的です。
法人住民税には所得に応じて金額が決まる「法人税割」と、所得には関係なく資本金などによって決まる「均等割」があります。このうち均等割は、赤字・休眠状態でも支払わなければならないのです。休業する場合は休業届を提出したうえで、役所などに相談してみましょう。
また、消費税の納税義務は、赤字か黒字かだけで決まるものではありません。課税事業者に該当するか、課税売上と仕入れがどうなっているかなどで判断します。
株式会社と比べて信用面で不利になる場合がある
合同会社の社会的信用度は、個人事業主に比べると高い一方、株式会社に比べると低い傾向にあります。
先述の通り合同会社を設立するハードルは、費用の面でも手続きの面でも株式会社より低いです。よって、合同会社を「株式会社よりも簡易的な法人」というイメージで捉えている人もいます。
実際には合同会社も株式会社も登記によって国に認められた法人ですが、大手企業との取引や資金調達を重視する場合は、取引先が法人形態を条件としているか、金融機関がどのような情報を審査するかを事前に確認しましょう。
株式による資金調達や上場ができない
合同会社には株式会社のような株式がないため、新株の発行によって投資家から資金を集めることはできません。また、合同会社のままでは株式市場へ上場することもできないため注意が必要です。
ただし、金融機関からの融資や社員による追加出資など、資金調達の方法が全くないわけではありません。自己資金と融資を中心に事業を育てるなら合同会社も選択肢です。将来、外部投資家から大規模な出資を受けたり、上場を目指したりする計画があるなら、株式会社の設立や組織変更を含めて検討しましょう。
複数人で設立すると経営方針・利益配分で対立する可能性がある
1人で設立する合同会社では意思決定体制がシンプルですが、複数人で共同経営する場合は、事業方針や利益の分け方をめぐって意見が対立する可能性があります。合同会社は利益配分や業務執行のルールを定款で柔軟に決められるため、自由度が高い分、最初の設計が重要です。
出資割合だけでなく、誰が日常の業務を執行するか、設備投資などの重要事項をどの方法で決定するか、利益と損失をどう扱うかを話し合いましょう。将来の退社や持分の譲渡、代表社員の交代が起きた場合の手続きも、設立時に整理しておくとトラブルを防ぎやすくなります。
フリーランスが合同会社の設立を検討するタイミング

合同会社を設立するタイミングは、売上が一定額を超えた時だけではありません。利益が安定して増えてきた時や、法人との取引を増やしたい時、人を雇って事業を広げたい時なども検討しやすいタイミングです。ここでは、合同会社の設立を検討しやすい主なタイミングを紹介します。
事業の利益が継続して増えてきた時
事業の利益が継続して増えてきたら、合同会社への法人化を検討するタイミングです。個人事業主の所得税は所得が増えるほど税率も高くなるため、利益が大きくなると法人化した場合との負担差が出やすくなります。
判断する時は、一時的に売上が伸びたかではなく、経費を差し引いた利益が今後も続きそうかを見ることが大切です。直近1年だけでなく、今後2〜3年の売上や利益を見積もり、個人事業主のまま続ける場合と法人化する場合を比較すると判断しやすくなります。
法人との取引を増やしたい時
法人との取引を増やしたい場合も、合同会社の設立を検討しやすいタイミングです。企業によっては社内の取引ルール上、法人との契約を基本としていたり、個人事業主との新規契約に制限を設けていたりすることがあります。
特に、大手企業との直接取引や業務委託の規模を広げたい場合は、法人化によって選択できる取引先が増えることがあります。営業先から法人化を求められるケースが増えてきたら、今後獲得したい案件も含めて設立を検討するとよいでしょう。
人を採用・共同経営する必要が出てきた時
一人で対応できる仕事量を超え、人を採用して事業を広げたいと考え始めた時も法人化を検討する時期です。法人にすれば、会社として雇用契約を結び、従業員を含めた組織として事業を運営しやすくなります。
また、他の人と一緒に事業を経営したい場合も、合同会社なら出資者や利益配分、意思決定の方法などを定款で定められます。一人で仕事を請け負う段階から、複数人で事業を運営する段階へ移る時が、法人化を考える1つの目安です。
税金・社会保険料などを試算して法人化のメリットが出る時
個人事業主と法人の税金・社会保険料を比較し、法人化した方が負担を抑えられる見込みが出てきた時も検討のタイミングです。
個人事業主では所得税や住民税、個人事業税、国民健康保険料などを負担します。一方、法人化すると法人税等に加え、役員報酬に対する税金や健康保険・厚生年金保険料などが発生します。利益額や役員報酬をいくつかのパターンで試算し、設立費用や維持費を含めても法人化するメリットが見込めるなら、具体的に設立を検討するとよいでしょう。
フリーランスが合同会社を設立する方法・手順
合同会社を設立する際は、会社の基本事項を決めたうえで、定款作成、出資金の払込み、設立登記を進めます。主な流れは以下の5ステップです。
- 商号・事業目的・本店所在地などを決める
- 資本金・社員・代表社員を決める
- 定款を作成する
- 資本金を払い込む
- 法人設立登記を申請する
登記後は、税務署・自治体への届出や社会保険、法人口座などの手続きが続きます。これらは後述する「合同会社の設立後に必要な手続き」で解説します。
1.商号・事業目的・本店所在地などの決定
まず商号、事業目的、本店所在地を決めます。商号は取引先が識別しやすく、将来の事業にも使える名称を選びましょう。
事業目的は、現在行う業務に加え、近い将来予定する業務を検討し、定款と登記の内容を揃えます。本店所在地は登記簿に載り、税務上の管轄や許認可にも関わるため、実際に事業を管理できる場所を選ぶことが大切です。自宅を本店にする場合は、賃貸借契約や管理規約で事業利用・登記が認められるか確認します。
2.資本金・社員・代表社員の決定
資本金の額と出資する社員、代表社員を決めます。合同会社は1人でも設立できますが、複数人の場合は誰がどの額を出資し、業務を執行するかを決めましょう。代表社員は、会社を代表して契約を結ぶ立場です。
資本金は設立時の運転資金だけでなく、信用、許認可の要件、登録免許税の額なども踏まえて設定しましょう。出資額と利益配分を同じにする必要があるとは限りませんが、異なる扱いにするなら定款でルールを整理します。
3.定款の作成
合同会社を設立するなら、まずは定款の作成をしましょう。定款とは、会社の基本事項や会社を経営していくうえでの決まりをまとめたものです。
合同会社の設立では定款の認証は必要ありませんが、定款自体は登記の際に必要です。
また、金融機関との取引、「法人設立届出書」の提出、許認可や補助金・助成金の申請などでは定款の写しが必要になるので、内容をまとめて書面の形にしておきましょう。
合同会社の場合、以下のような内容は必ず盛り込みます。
- 社名
- 事業目的
- 本店所在地
- 出資者の氏名・住所
- 出資者を有限責任にすること
- 出資者の出資目的と価額
もし不備があれば法務局から修正(補正)を求められ、設立完了日も延びる可能性があるため、あらかじめチェックしておくことをおすすめします。
4.資本金の払込み
続いて、資本金の払込みをしましょう。
まだ法人口座がない状態なので、払込み先は個人口座で問題ありません。入金したらその旨が分かるよう通帳のコピーをとり、登記の際に提出してください。
5.法人設立登記の申請
法人設立登記の申請に移ります。
法人所在地を管轄する法務局に提出するべき主な書類には以下があります。
- 合同会社設立登記申請書
- 定款
- 出資金の払込証明書
定款は、提出用の他に会社保存用も用意しておきましょう。
上記に加え、定款に代表社員や資本金、本店所在地の記載がない場合は、「代表社員就任承諾書」「本店所在地及び資本金決定書」も必要です。
書類の提出方法は、法務局への持ち込み、郵送、オンラインの3種類です。書類提出後、登記が完了するまで1〜2週間程度かかりますが、合同会社の設立日は書類の提出日となります。
合同会社の設立後に必要な手続き

登記が完了しても、税務・社会保険・事業運営の手続きは続きます。提出先と期限を一覧にし、個人事業からの切り替えが必要な契約や資産も確認しておきましょう。
税務署・自治体への届出
設立後は、税務署へ法人設立届出書を提出し、給与の支払いを始めるなら給与支払事務所等の開設届出書なども確認します。青色申告の承認を希望する場合は、所定の期限内に申請が必要です。
地方税についても、都道府県や市区町村への法人設立・設置届を確認しましょう。自治体によって様式や提出期限が異なるため、本店所在地の案内で最新の手続きを確かめます。インボイス登録や消費税の扱いも、個人事業から自動的に引き継がれるとは考えず、事業の状況に応じて確認してください。
年金事務所での社会保険の手続き
合同会社は、代表者1人だけでも原則として健康保険・厚生年金保険の適用事業所です。設立後は管轄の年金事務所へ新規適用届などを提出し、役員や従業員の資格取得手続きを進めます。加入日や提出期限、必要な添付書類は日本年金機構の最新案内で確認しましょう。
従業員を雇う場合は、雇用保険や労災保険など別の手続きも発生します。個人事業主として加入していた国民健康保険や国民年金からの切り替えも忘れずに確認し、保険料の会社負担分を資金計画へ織り込みます。
法人口座の開設
会社名義の売上入金や経費支払いを整理するため、法人口座の開設を検討しましょう。金融機関の審査では、登記事項証明書、定款、代表者の本人確認資料、事業内容が分かる資料などを求められることがあります。
必要書類や審査日数は金融機関によって異なるため、取引開始に間に合うよう早めに確認するのがおすすめです。口座ができたら、請求書の振込先や継続課金サービスの引き落とし先も順次変更しましょう。
個人事業の資産・契約の法人への移行
個人事業で使っていた設備、在庫、知的財産、ドメインなどを法人へ移す場合は、何をどの方法で移すかを整理します。名義を変えるだけで済まない資産もあり、譲渡や現物出資などの方法によって税務・会計上の扱いが変わります。クライアントとの契約も、個人事業主から法人へ自動で移転するとは限りません。
相手方の同意を得て契約を結び直す、または地位の移転を合意するなど、契約条件に沿って手続きします。請求・入金が旧名義と新名義にまたがる期間は記録を残し、必要に応じて専門家へ相談しましょう。
個人事業主の廃業届の提出
法人で事業を続け、個人事業を終了する場合は、税務署へ個人事業の開業・廃業等届出書を提出します。青色申告をしていた場合の取りやめ、消費税やインボイス登録に関する届出なども、該当するか確認しましょう。
廃業の年も、個人として得た事業所得について確定申告が必要になることがあります。法人設立日と個人事業の廃業日、資産や契約の移行日を整理し、売上や費用の帰属を混同しないようにします。すべての業務を移すわけではなく、個人事業を一部続けるなら届出の要否を税務署に確認してください。
まとめ
合同会社は、定款認証が不要で、株式会社と比べて設立登記の登録免許税の最低額も低いため、設立時の費用・手間を抑えやすい会社形態です。一方、法人化後は社会保険への加入や法人の会計・税務申告、赤字でも生じる法人住民税の均等割などの負担があります。
法人化を判断する際は、一律の売上・年収だけを基準にせず、今後の利益見込み、取引先の条件、採用・共同経営の予定、税金・社会保険料・維持費などをまとめて比較しましょう。必要に応じて税理士や社会保険労務士へ試算を依頼すると判断しやすくなります。
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