こんにちは、ITプロマガジンです。
個人事業主(フリーランス)の活動と切っても切り離せないのが、印鑑の存在です。「脱ハンコ」が掲げられている昨今ですが、現代のビジネス環境でも、やはり印鑑は欠かせません。具体的にどのような印鑑が必要なのか、疑問に思っている方も多いでしょう。
そこで今回の記事では、「そもそも個人事業主に印鑑が必要かどうか」や、印鑑作成のメリットなどを解説します。印鑑の種類や、主な使用シーンもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
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目次
個人事業主(フリーランス)は印鑑が必要?
結論から言えば、個人事業主(フリーランス)にとって印鑑は必須ではなく、個人用のものでも問題ありません。法人の場合は会社の代表印がなければ実務上支障をきたしますが、個人事業主の印鑑に関してはなくても済む場合が多く、また法律の定めもありません。
しかし個人事業主のなかにも、事業用の印鑑を作りたいと考えている方もいるかもしれません。例えば請求書などの書類に印鑑を押す場合など、個人用と事業用を分けた方がよいシチュエーションはいくつかあります。
上記の場合は、事業用の印鑑を作成するのがおすすめです。ただし印鑑には、銀行印や丸印、角印などさまざまな種類があります。最近では、業務の電子化にともない、電子印鑑も見られるようになりました。
個人事業主(フリーランス)が事業用の印鑑を作成するメリット
個人事業主(フリーランス)が事業用の印鑑を作成する主なメリットは、以下の通りです。
- 必要以上に本名を使わずに済む
- 信用度アップが期待できる
- ブランディングにつながる
それぞれのメリットを詳しく解説します。
必要以上に本名を使わずに済む
個人事業主(フリーランス)が事業用の印鑑を作成するメリットは、必要以上に本名を使わずに済むことです。例えば屋号の印鑑を使えば、契約書や請求書などの文書で、本名の認印・実印を押さずに済みます。
例えば創作活動やペンネームを用いる業種など、個人の名前と事業名を区別したい場合におすすめです。
信用度アップが期待できる
信用度アップが期待できるのも、個人事業主(フリーランス)が事業用の印鑑を作成するメリットです。当然ながら安物の個人の印鑑よりも、本格的な事業用の印鑑を使用した方が、その道のプロフェッショナルとしての印象は良くなります。特に新規の取引先との関係構築では、いかに信用を積み上げられるかが重要です。
屋号を用いて事業を行っている場合、その屋号の印鑑を使用することで、文書や契約書上での整合性が保たれるという一面もあります。
ブランディングにつながる
ブランディングにつながるのも、個人事業主(フリーランス)が事業用の印鑑を作成するメリットです。前述のように、事業用の印鑑ではペンネームや屋号を使えるため、取引先に対して自分のビジネスを印象付けられます。
例えばデザイナーの場合は、おしゃれなデザインの印鑑を作り、ポートフォリオの一部としてアピールするやり方もあります。「自分のビジネスを表現するアイテム」として、印鑑を考えてみるのもよいでしょう。
個人事業主(フリーランス)が作成する印鑑の種類
個人事業主(フリーランス)が作成する印鑑の種類は、以下の表の通りです。
事業用の印鑑の種類 | 銀行印 | 銀行取引に使用する印鑑 |
丸印 | 会社設立の際に法務局に登録し、「代表者印」として使用する印鑑 | |
角印 | 日常的な業務に使用する印鑑 | |
ゴム印(住所印) | 会社の基本的な情報がまとまった印鑑 | |
電子印鑑 | 印影を画像化した印鑑 | |
個人用の印鑑の種類 | 実印 | 居住している市区町村に届け出をし、登録した印鑑 |
認印 | 市区町村に登録していない印鑑 |
それぞれの定義、主な利用シーンを解説します。
事業用の印鑑の種類
事業用の印鑑の種類は、以下の通りです。
- 銀行印
- 丸印
- 角印
- ゴム印(住所印)
- 電子印鑑
それぞれ詳しく解説します。
銀行印
銀行印は、個人事業主(フリーランス)や会社が銀行取引に使用する印鑑です。口座開設時や振込みなど金融機関との取引で必要になります。加えて、賃貸契約など、口座引き落としをともなう契約でも必要です。
個人事業主が銀行印を発行する場合、屋号があればそれを刻印し、なければ本名を入れます。個人事業主が扱う印鑑でも特に重要なもので、紛失しないよう厳重に管理しなければなりません。なおネット銀行の場合、原則として印鑑は不要です。
丸印
通常、丸印とは、法人における「代表者印」とも呼ばれるもので、法人の代表者が持つ印鑑です。会社設立の際に法務局に登録することが義務付けられているため、基本的にはほぼ全ての会社で用いられています。名前の通り、印影が丸くなっているのが特徴です。
個人事業主(フリーランス)の場合は、屋号印や実印がこれに該当します。丸印は、対外的な書面のやり取りで使用されるのが一般的です。例えば各種契約書や登記申請書、代表者の変更などが挙げられます。
角印
角印は、「社印」「角判」とも呼ばれるもので、日常的な業務に使用する印鑑です。丸印とは異なり、陰影の形が四角になっています。会社だけでなく、個人事業主(フリーランス)も日常的に使用する印鑑です。
会社の場合は会社名を、個人事業主の場合は屋号を刻印します。主な使用シーンは、納品書や領収書、請求書など日常的に使用する書類の作成です。角印は、押印が法律で義務付けられているわけではありませんが、取引先の信頼のために使用します。
ゴム印(住所印)
ゴム印(住所印)とは、会社名や代表者名、住所、電話番号などの基本的な情報がまとまった印鑑です。複数の書類に宛名書きをする場合、手書きに比べて時間の節約になるのと、書き間違いを削減できるなどのメリットがあります。
ゴム印(住所印)の使用シーンは、日常的な書類の作成です。個人事業主(フリーランス)の場合は、主に請求書に使用します。楷書体や明朝体、ゴシック体などの書体があり、サイズもさまざまです。
電子印鑑
電子印鑑とは、印影を画像化したものです。JPGやPNGファイルになっているのが一般的で、本来押印するところに画像を配置して、印鑑を押したように見せます。個人事業主(フリーランス)は、リモートワークをする人も多いため、昨今浸透しつつある印鑑の形式です。
電子印鑑の使用シーンは、請求書など日常的な書類の作成です。業務効率化などさまざまなメリットがある一方、事前に取引先の同意を得る必要があるため、注意しましょう。
個人用の印鑑の種類
個人用の印鑑の種類は、「実印」「認印」の2つです。それぞれの定義、主な利用シーンを解説します。
実印
実印とは、居住している市区町村に届け出をし、登録した印鑑です。安価な印鑑でも実印にはできますが、セキュリティなどの観点から、個別に作成したものを実印として登録するのが一般的です。
個人事業主(フリーランス)として実印を求められるタイミングは、例えば業務用として不動産を借りる場合や、ローン契約を組む場合などが挙げられます。普段の業務では使用しないため、紛失してしまわないよう、厳重に保管しましょう。
認印
認印とは、印鑑登録をしていない印鑑です。押印に法的拘束力はなく、「確認しました」など、了承の意思を示すものとして使用されます。シヤチハタや百円ショップに売っているような印鑑でも、認印として使えます。
個人事業主(フリーランス)として認印を使用するタイミングは、各種書類の発行や簡単な契約など、日常的な業務です。開業届の提出や確定申告など、税務署関連のやり取りでも、基本的には認印を使用します。
個人事業主(フリーランス)が印鑑を使う主なシーン
個人事業主(フリーランス)が印鑑を使う主なシーンは、以下の通りです。
種類 | 利用シーン |
---|---|
事業用の印鑑 | ・見積書・請求書・領収書などを発行する時 ・事業用の銀行口座を開設する時 ・一部の税務関係書類を提出する時 |
個人用の印鑑 | ・融資を受ける時 ・不動産取引の時 |
事業用の利用シーンでは、全て個人用の印鑑を使っても問題ありません。ただし個人用の印鑑を使うシーンでは、事業用の印鑑は使えないので注意しましょう。
以下、印鑑の主な利用シーンをそれぞれ詳しく解説します。
事業用の印鑑を使う主なシーン
事業用の印鑑を使う主なシーンは、以下の通りです。
- 見積書・請求書・領収書などを発行する時
- 事業用の銀行口座を開設する時
- 一部の税務関係書類を提出する時
それぞれ詳しく解説します。
見積書・請求書・領収書などを発行する時
事業用の印鑑を使う主なシーンは、見積書・請求書・領収書などを発行する時です。法律で義務付けられているわけではありませんが、日本のビジネス慣例として、押印した方が信頼性が高まるとされています。
見積書・請求書・領収書などを発行する際は、先ほど紹介した印鑑のうち、角印を使うのが一般的です。個人事業主(フリーランス)が日常的な業務で、個人用のものを使う場合は、実印ではなく認印を使いましょう。
事業用の銀行口座を開設する時
事業用の銀行口座を開設する時も、事業用の印鑑を使うタイミングです。個人事業主(フリーランス)が屋号入りの口座を作る場合、屋号付きの印鑑(銀行印)を使えることがあります。
特に個人事業主としてビジネスを拡大させると、「個人用」「事業用」に分割するだけでなく、事業ごとに口座を分ける可能性もあります。例えばWeb制作と飲食店の事業を展開する場合、それぞれ屋号が必要になるため、口座開設のたびに事業用の印鑑が必要です。
一部の税務関係書類を提出する時
一部の税務関係書類を提出する時も、事業用の印鑑を使うタイミングです。かつては開業届の提出に印鑑が必要でしたが、2021年4月1日から、開業届だけでなく多くの書類で印鑑が不要になりました。以降、マイナンバーカードや身分証明書で本人確認を行っています。
ただし一部の書類は、例外的に印鑑が必要です。税務署によれば、印鑑が求められるのは、以下の2つです。
担保提供関係書類及び物納手続関係書類のうち、実印の押印及び印鑑証明書の添付を求めている書類
引用元:税務署窓口における押印の取扱いについて
相続税及び贈与税の特例における添付書類のうち財産の分割の協議に関する書類
個人用の印鑑を使う主なシーン
個人用の印鑑を使う主なシーンは、「融資を受ける時」「不動産取引の時」の2つです。それぞれのシーンを詳しく解説します。
融資を受ける時
前述のように、融資・ローンの契約をする際には個人の実印が必要です。融資といえば会社が受けるイメージもありますが、日本政策金融公庫や信用金庫など、個人事業主(フリーランス)向けの制度を用意しているケースもあります。
個人事業主が活用するローンとしては、主に住宅ローンとマイカーローンがあります。「人生で大きな買い物」とされるローンに関しては、基本的に個人用の印鑑が必要と考えておきましょう。
不動産取引の時
不動産取引でも、個人の実印が必要になるケースがあります。例えば個人事業主(フリーランス)が事業用として物件を購入する場合、移転登記をするために印鑑が必要です。
事業に関係なく、分譲マンションや分譲住宅を購入する場合も、移転登記の手続きが求められます。中古車の購入などにも当てはまりますが、「所有権の移転」に関する手続きは、基本的に実印が必要です。
個人事業主(フリーランス)の印鑑についてよくある疑問
個人事業主(フリーランス)の印鑑についてよくある疑問として、以下の3つをピックアップしました。
- 印鑑登録は必要?
- 屋号なしでも事業用の印鑑を作った方がよい?
- 作った方がよい最低限の印鑑は?
それぞれ詳しく解説します。
印鑑登録は必要?
「事業用の印鑑は印鑑登録をする必要があるか」という問いに関しては、「そもそも印鑑登録ができない」というのが答えになります。住民基本台帳に登録している氏名(つまり本名)の文字以外で作られた印鑑は、登録ができないためです。
個人事業主(フリーランス)として活動している場合、例えば屋号付きの印鑑などは、印鑑登録ができません。一方で自分の本名が刻印された個人印や、法人代表印であれば、印鑑登録ができます。前者の場合は市区町村、後者であれば法務局にて登録可能です。
屋号なしでも事業用の印鑑を作った方がよい?
「屋号やペンネームがなく、本名でのみ活動している個人事業主(フリーランス)でも事業用の印鑑を作るべきか」という問いに関して、必ずしも作る必要はありませんが、作っておくとさまざまなメリットがあります。
例えば請求書などに押印するため、本名の角印だけでも作っておくと役立つでしょう。もちろん請求者であれば、個人用の認印を使っても問題ありません。しかし事業用の角印であれば、請求書としての見た目が整い、取引先に良い印象を与えられます。特に個人事業主として活動を始めたばかりで、クライアントとの信頼関係を構築できてない場合は、メリットが大きいでしょう。
作った方がよい最低限の印鑑は?
結論として、個人の実印と銀行印です。実印は、不動産を借りる場合や、ローン契約を組む場合に必須です。銀行印も同様で、口座開設時や賃貸契約時など、さまざまな場面で求められます。
実印と銀行印は、同じものを使っても問題ありませんが、基本的には別々にした方がよいでしょう。必須ではありませんが、上記2つの印鑑以外にも、日常的に利用する認印があると便利です。
まとめ
個人事業主(フリーランス)は、事業用の印鑑は必須でなく、個人用の実印と認印でも問題はありません。ただしそれぞれの印鑑の定義や使用シーンを理解し、いくつか用意しておくと便利です。
少なくとも実印は、融資を受ける際やローンを組む際などに必要なので、必ず用意しておきましょう。市区町村の窓口に行き、身分証明書を提出できれば、即日での手続きが可能です。
個人事業主として活動する場合は、印鑑を揃えておくとともに、案件の探し方を多様化するのもおすすめです。特にフリーランスエージェントは、契約面でのサポートもしてもらえるため、一度相談してみるとよいでしょう。
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