フリーランスに退職金はある?代わりとなる小規模企業共済制度とは

こんにちは、ITプロマガジンです。

フリーランスとして働くうえでは、将来への備えも気になるポイントです。フリーランスの収入は一定ではないうえに、会社員とは違って厚生年金にも加入できません。将来にわたって安心して過ごすためには、早いうちから情報収集して対策に取り組むことが重要です。

この記事では、フリーランスに退職金があるのか解説します。将来に備えるために活用できる小規模企業共済制度を含め、さまざまな制度についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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フリーランスに退職金はある?

基本的にフリーランスに退職金はありません。一般企業で退職者に支払われる退職金は、各社が独自に用意している制度です。フリーランスも一般企業から案件の依頼を受ける場合がありますが、雇用契約を結んで働くわけではないため、退職金の支給対象にはなりません。

ただし、フリーランスであっても、退職金の代わりとして利用できる制度があります。自ら準備する必要があるため、退職後にまとまった資金を受け取りたいと考えている場合は早めに着手しましょう。フリーランスが退職金の代わりとして利用できる制度の詳細については、以下で解説します。

フリーランスの退職金代わりになる「小規模企業共済制度」とは?

フリーランスが退職金の代わりに利用できる制度は、小規模企業共済制度です。国の機関である中小機構が運営しています。毎月任意で定めた金額を積み立て、退職または廃業する際に受け取れます。

小規模企業共済制度に加入できるのは、個人事業主や小規模企業の経営者などです。加入するには必要書類を入手し、必要事項を記入して窓口へ提出する必要があります。申込から約40日が経過する頃に小規模企業共済手帳や加入者のしおりが届き、積立を開始できます。

フリーランスが利用できる小規模企業共済制度のメリット

小規模企業共済制度はフリーランスの退職金の代わりになるだけでなく、さまざまなメリットがあります。ここでは、具体的にどのようなメリットがあるのか解説します。

掛金の全額が所得控除の対象

小規模企業共済制度で積み立てた掛金は、全額が所得控除の対象になります。所得控除とは、税金を計算する際のもとになる所得の金額から一定額を差し引ける制度です。所得税を計算する際は売上から経費を引いた所得の金額をもとにするため、所得が高いほど税金も高くなります。小規模企業共済制度に加入して掛金が所得控除の対象になれば、その分だけ税金を低く抑えられます。

掛金は自由に増減できる

小規模企業共済制度の掛金の金額は、自分で自由に設定可能です。月額1,000円から7万円の範囲で設定できるため、各自が無理なく加入できます。ただし、設定できるのは500円単位となっています。掛金の増減も自由に行えるため、加入してから時間が経って状況が変化しても安心です。なお、掛け金の納付方法は、月払い、半年払い、年払いからの3パターンから選べます。

貸付制度で資金繰り対策ができる

小規模企業共済制度の加入者は、万が一の場合に事業資金の借入れができます。迅速に資金を調達しやすく、資金繰り対策に役立ちます。

借入れできる金額は掛金の7〜9割の範囲で、10万円以上2,000万円以内で5万円単位です。借入れ期間は借り入れる金額によって決まっており、たとえば100万円以下なら6ヶ月または12ヶ月となっています。年利は1.5%です。

加入前にシミュレーションができる

小規模企業共済制度への加入を検討している場合、中小機構のホームページから加入についてのシミュレーションができます。将来受け取る共済金の金額を計算できるだけでなく、加入した場合にどの程度の節税効果を期待できるかについても試算が可能です。

加入前にシミュレーションを行うには、課税所得金額や毎月の掛金の予定額などを入力する必要があります。あらかじめ確認や検討を済ませておけば、画面にそれぞれの情報を入力するだけですぐに加入後についてのシミュレーション結果をチェックできます。

フリーランスが利用できる小規模企業共済制度のデメリット・注意点

フリーランスが小規模企業共済制度を利用する場合、気をつけたい部分もあります。ここでは、小規模企業共済制度のデメリットや注意点について解説します。

掛け捨てのリスクがある

小規模企業共済制度の加入期間によっては、掛け捨てになるリスクもあります。具体的には、共済金A・Bについては、加入期間が6ヶ月未満だと掛け捨てになります。共済金Aは廃業や加入者が死亡などに伴って請求できる共済金、共済金Bは65才以上になると受け取れる老齢給付です。

また、準共済金や解約手当金については、加入期間が12ヶ月未満なら掛け捨てになります。準共済金は、個人事業主を法人成りし、加入資格がなくなって解約する場合に受け取れる共済金です。一方、解約手当金は、何らかの理由により解約した場合に受け取れる共済金です。

加入して間もないうちに予期せぬ事態が発生すると、加入期間の条件により掛け捨てになる可能性もあるため、注意しましょう。

20年未満(240か月未満)での途中解約は元本割れする

小規模企業共済制度は、加入期間が20年未満(240ヶ月未満)で解約すると元本割れします。すでに触れた通り、加入期間が12ヶ月未満なら掛け捨てとなり、加入期間が12ヶ月以上の場合も支給割合は8割にとどまります。

ただし、加入期間が20年未満(240ヶ月未満)で元本割れするのは、あくまでも自己都合で途中解約した場合です。自己都合の途中解約でなければ、返戻率は100%以上となる可能性があります。

共済の受け取り時は課税対象になる

小規模企業共済の掛金を支払う際は全額が所得控除の対象になるものの、共済金を受け取る際は支給額に対して課税が行われます。具体的には、退職所得または雑所得としての課税です。退職所得なら他の所得と分けて税金を計算でき、負担が重くならないよう配慮されています。

小規模企業共済制度以外にフリーランスが利用したい制度

フリーランスがリスクや将来に備えるために利用できる制度は、小規模企業共済以外にもさまざまあります。ここでは、フリーランスにおすすめの制度について、概要やメリットなどを解説します。

iDeCo

iDeCoとは、公的な個人型確定拠出年金です。国民年金や厚生年金とは別に任意で加入でき、申し込みや掛金の運用などもすべて自分で行う必要があります。金融商品を自分で選択するため、場合によっては拠出した金額よりも将来受け取る金額が多くなる可能性もあります。ただし、運用成績によっては、将来受け取る金額が少なくなるリスクもあるため、注意が必要です。

会社員でも加入できますが、フリーランスは設定できる掛金の上限がより高くなっています。掛金の積み立てを行う際だけでなく、運用中や受け取り時にも税制優遇を受けられます。積み立てたお金は原則として60歳まで引き出せないため、無理のない範囲で掛金を設定しましょう。

付加年金

付加年金とは、国民年金の保険料に毎月400円をプラスして収めると、将来年金を受け取る際に「200円×付加保険料の納付月数」が上乗せされる制度です。2年以上年金を受給すれば納めた付加年金と同額以上を受け取れます。毎月の負担が比較的小さいながらも、将来受け取れる年金を着実に増やせるため、おすすめです。

国民年金基金

国民年金基金は、任意で加入できる私的年金です。フリーランスの場合、国民年金に上乗せして加入すると将来受け取れる年金を増やせます。また、iDeCoは最終的な運用結果に基づいて受け取れる総額が決まるのに対し、国民年金基金は終身年金であり、生涯一定額の受け取りが可能です。

ただし、国民年金基金に加入すると、付加年金は利用できなくなります。また、国民年金基金に一度加入すれば、任意での途中解約は認められません。

経営セーフティ共済

経営セーフティ共済とは、取引先の倒産による連鎖倒産や経営難に陥るリスクに備えるための制度です。加入者は、売掛金の回収が困難になった場合に共済金を無利子で借り入れられます。借入れの際は担保も保証人も必要ないため、困難な状況に陥った際に頼りになります。

また、取引先が倒産していない場合でも、解約手当金の95%を上限として一時貸付金の借入れが可能です。利率はその時の状況に応じて変化します。

経営セーフティ共済はフリーランスの退職金にあたるものではないものの、安定的に働き続けるために役に立つ制度です。

所得補償保険

フリーランス向けの各制度の中には、所得保障保険もあります。所得保障保険とは、フリーランスが何らかの事情によって働けなくなった場合に、通常見込まれる所得にあたる金額を保険金として受け取れる制度です。ケガや病気などにより働けなくなっても、所得保障保険に加入していれば生活費の心配をせず治療に専念できるでしょう。

所得保障保険があるフリーランス向けのサービスとしては、たとえばフリーナンスフリーランス協会などがあります。フリーナンスは、所得保障保険以外にも屋号やペンネームで登録できる口座や請求書の買取などに対応しています。一方、フリーランス協会は、フリーランスの活動全般を支援する団体です。その活動の一環として所得保障保険や賠償責任保険などを提供しています。

フリーランスなら退職金以外にも貯蓄や収入アップの意識も重要

フリーランスとして安心して働くためには、小規模企業共済制度や今回紹介した制度の利用も大切です。ただし、より重要なのは、普段から計画的な貯蓄を意識することです。

将来や万が一の事態に備えて各種保険やサービスを利用するには掛金がかかるため、手元のお金に生活費以外の余剰資金がなければ加入できません。突発的な事態に備えるには、手元のお金にもある程度の余裕をもたせておく必要があります。

フリーランスが老後に必要な貯金額は?目安金額と今からできる対策

たとえば、節税対策により手取りを増やすのも1つの方法です。また、そもそもの収入アップも目指しましょう。フリーランスが高単価案件を受注するには、エージェントを利用すると効果的です。

弊社ITプロパートナーズはエンドクライアントとの直接契約が約9割であり、高単価案件を中心に紹介しています。週3日の勤務が可能なフルタイム以外の案件も豊富なので、自分に合う働き方がしたい人にもおすすめです。

まとめ

フリーランスには基本的に退職金がないため、将来に備えるには自分で対策する必要があります。フリーランスが退職や廃業に備えて準備できる制度として、小規模企業共済制度があります。掛金を自由に設定できるうえに全額が所得控除の対象になるため、フリーランスとして活動しているうちからメリットを得ることが可能です。

今回紹介した通り、フリーランス向けの制度はさまざまあります。状況に応じて利用を検討しましょう。各制度を利用するには掛金が必要になるため、そもそもの収入を増やすことも大切です。エージェントもうまく活用しながら、フリーランスとして活躍しましょう。

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