フリーランスは事務所を借りるべき?自宅で十分?仕事場事情を調査

こんにちは、ITプロマガジンです。

フリーランスとして活動されている人のなかには「仕事場として事務所を借りるべきかどうか」で悩んでいる人も多いのではないでしょうか。

今回は、フリーランスが事務所を借りる時のメリット・デメリットから、そのほかの仕事場事情までまとめて紹介します。どこで仕事をすればよいのか迷っている人は、ぜひ仕事場選びの参考にご一読ください。

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目次

フリーランスの仕事場事情

まずは、フリーランスが一般的にどこで仕事をしているのかみていきましょう。

フリーランスの仕事場は「自宅」が多数

日本政策金融公庫「フリーランスの実態に関する調査」によると、フリーランスが仕事をする場所は、「自宅の居室」が61.1%、「自宅併設の事務所・作業場等」が17.0%。職住が一致しているフリーランスは75.3%でした。つまり、8割近いフリーランスが、在宅で仕事をしているということです。

他方で、自宅と独立した事務所・作業場で仕事をしている人も、14.8%と一定数いることが分かりました。

フリーランスの自宅・事務所以外の仕事場

フリーランスの場合、自宅や事務所以外でも仕事ができます。例えば、「レンタルオフィス」「シェアオフィス」です。レンタルオフィスとは、比較的小さな個室をレンタルするスペースです。一方で、シェアオフィスとは利用者がオフィス機能を共有できるスペースを指します。

飲食店や公共施設を利用する場合もありますが、仕事をするためのスペースではないため、長期的・長時間の利用には向きません。

業務内容によって取引先に常駐することもある

仕事内容によって、クライアントから仕事をする場所や使用機器を指定されることもあります。特にIT関連業務については、クライアント企業に常駐して、社内システムの開発・運用に携わることが多くあります。

先ほどの「フリーランスの実態に関する調査」によると、フリーランスの23.0%は、「顧客から指定された場所」で仕事を行っています。

フリーランスが事務所を契約する7つのメリット

それでは、多くのフリーランスが自宅で仕事をするなか、わざわざ事務所を契約する必要はあるのでしょうか。ここからは、フリーランスが事務所を契約するメリットをみていきましょう。

1.事業者としての信用を得やすい

個人事業主含むフリーランスは、どうしても法人よりも社会的信用が得にくい現状があります。しかし、事務所を構えていることで、事業に対する熱意を示すことができるため、社会的信用を獲得しやすくなります。

なお、個人間取引や個人事業主の関与が多いビジネスでは、仕事場が自宅でも事務所でも信用面がそれほど重視されないこともあります。一方、BtoBの場合や、高い信頼性が求められる業種・職種の場合は、事務所を構えることで信用を獲得しやすいでしょう。

2.個人情報を非公開にできる

プライベートな情報を公にしなくてもよいことも、事務所を借りるメリットです。

自宅で仕事をすることになると、自宅の住所や電話番号をクライアントに公開することになります。個人情報が漏れることに抵抗を感じる人もいるでしょう。一方で、事務所を借りれば、クライアントに伝える連絡先や住所を事務所のものにすることができます。

3.オン・オフが切り替えやすい

自宅とは別に仕事場を設けることで、プライベートモードと仕事モードのオン・オフを切り替えやすくなります。

フリーランスになると、自分を監督する上司や一緒に働く同僚の目がなくなります。すると、仕事に集中できずに業務効率が悪くなったり、反対に働き過ぎて体調を崩したりすることがあります。

プライベートを過ごす場所と仕事をする場所を物理的に分けることで、うまく切り替えながら日々の業務をこなすことができるでしょう。

4.自分に合う快適な仕事場作りができる

自分で事務所を借りれば、理想的な職場環境を作ることができます。

自宅では、プライベートな空間と、仕事のものを分けることが難しいものです。しかし事務所では、照明やインテリアから、オフィス家具、インターネット回線、OA機器に至るまで全て自由に決めることができます。理想の仕事場作りが実現するでしょう。

5.情報漏洩のリスクを減らしやすい

セキュリティ対策をした自分や事業関係者以外しかいない事務所であれば、情報漏洩のリスクも減らすことができます。

なかには図書館やカフェなどで仕事をする人もいますが、公共の場での仕事は情報漏洩のリスクがあります。特に、フリーWi-Fiを利用すると、パソコンがウイルスに感染したり、通信が盗聴・のぞき見されたりする危険性も高まるでしょう。自宅でも、仕事に関係のない人が訪ねてきたり、家族がPCを触ったりと一定のリスクが考えられます。

6.事業関係者を招きやすい

事務所を借りることで、気軽に同業者と一緒に作業をしたり、クライアント打ち合わせをしたりすることができます。

自宅で仕事をしている場合、外での作業・打ち合わせが難しいと、どうしても事業関係者を家に招かなければならなくなります。プライベートな空間を見られることに抵抗を感じたり、家族がいて仕事が捗らなかったりすることもあるでしょう。

7.経費の計算が簡単になる

フリーランスの場合、仕事場の確保にかかる費用は経費として計上することができます。事務所を借りる場合は、賃貸料が全額経費となるため、会計業務の負担が減ります。

自宅で仕事を行う場合、家賃のうち事業にかかった分の費用を割り出し経費として計上する「家事按分」をする必要があります。仕事に使用している広さや、仕事をしている時間などから、「家賃のうち何%を事業で使用しているのか」を計算しなければなりません。家事按分をする場合、事務所を借りる時より、経費計上が複雑になってしまいます。

フリーランスは家賃を経費にできる?計算方法や割合・目安を解説

フリーランスが事務所を契約する4つのデメリット

フリーランスとして事務所を借りるメリットは多数ありますが、デメリットもいくつか存在します。それぞれ確認していきましょう。

1.まとまったイニシャルコストが必要になる

事務所を借りる場合、入居時に敷金・礼金、仲介手数料、内装工事、業務設備など初期費用が発生します。ある程度まとまった金額となるため、フリーランスとして独立したばかりだったり、収入が安定していなかったりすると、契約のハードルは高いといえるでしょう。

2.ランニングコストがかかる

物件を賃貸するには、当然ながら賃貸料や光熱費、管理費、通勤費などのランニングコストがかかります。

事務所を借りた場合、業績や業務量にかかわらず、たとえ事務所を使っていなくても、賃料がかかり続けます。場合によっては、事務所の維持費が事業運営の負担になってしまう可能性もあるため、よく検討してから契約したいところです。

3.設備備品を新たに揃える必要がある

事務所を借りる場合、事務所内で使う設備や備品も新たに揃えなければなりません。

快適に仕事ができ、クライアントを呼べるようなおしゃれな空間を作るためには、費用も時間もかかります。オフィス家具は一般的に自宅で使う家具よりも、大きく重いものが多く、退去する時に処分に困ることもあります。

4.仕事と家事・育児を両立しにくい

プライベートな空間と仕事を切り離せることは、自宅とは別に事務所を借りるメリットであり、デメリットでもあります。特に、家事や育児、介護をしながら仕事をしたくても、両立は難しくなってしまいます。

「仕事と家のことを両立できる」「家族と過ごす時間を作りやすい」ことは、フリーランスになるメリットでもあります。事務所を借りないほうが、働きやすいという人もいるでしょう。

フリーランスが知っておきたい事務所以外の仕事場の特徴

続いて、自宅で働く場合と、レンタルオフィスやシェアオフィスを借りる場合のメリット・デメリットも比較しておきましょう。

自宅で働く

自宅で働くフリーランスが多いことからも分かるように、多くのフリーランスにとって、ほかの仕事スペースを利用するよりも、自宅のほうが仕事をしやすいでしょう。

自宅で働くメリット

自宅で働く主なメリットは以下の通りです。

  • 通勤時間がない
  • 好きな時間に仕事ができる
  • 家事や育児と両立できる
  • 交通費を抑えられる
  • 賃料や光熱費を一部経費にできる

自宅で仕事をすれば、余計な時間・出費を抑えて仕事ができます。仕事に必要な設備・備品さえあれば、すぐにでもフリーランスとして働き始められるでしょう。

家事按分は、作業自体は少々面倒ですが、自宅の家賃や光熱費の一部を経費として計上できるため、節税となるのは確かです。また、育児や介護があって出勤するのが難しい人でも、自宅であれば自分のペースで働くことができます。

自宅で働くデメリット

自宅で働く主なデメリットは以下の通りです。

  • 仕事とプライベートが曖昧になる
  • 自宅情報が漏れやすい
  • 打ち合わせなどで利用しにくい

先述の通り、自宅で働くとプライベートな空間・時間と、仕事の空間・時間が曖昧になります。事業関係者を自宅に呼びにくく、職種や業務内容によっては、思うように事業運営ができないこともあるでしょう。

また、自宅の情報についても、プライベートと仕事で共有することになるため、個人情報が外に漏れ、トラブルに巻き込まれるリスクも考えられます。

レンタルオフィス・シェアオフィスを借りる

レンタルオフィスやシェアオフィスは、仕事スペースに特化していることが特徴です。事務所よりも気軽に借りられるため、自宅以外で働きたい人にとっては有力な選択肢といえるでしょう。

レンタルオフィスで働くメリット

フリーランスがレンタルオフィス・シェアオフィスを借りる主なメリットは以下の通りです。

  • 仕事しやすい環境や設備が整えられている
  • 初期費用を抑えて借りられる
  • 好立地でもリーズナブルに仕事場を確保できる
  • フリーランス仲間と知り合える

レンタルオフィスやシェアオフィスでは、仕事をするための設備・備品の多くが揃っているうえ、月額定額での支払いが一般的なため、初期費用を抑えて仕事専用のスペースを確保することができます。また、借りるスペースが小さい、またはほかの人とシェアすることから、好立地でもリーズナブルな価格設定になっていることが多く、ランニングコストも抑えやすいといえます。

会議室や雑談スペースを利用すれば、事業関係者との打ち合わせはもちろん、フリーランス仲間と情報交換をすることも可能です。

レンタルオフィスで働くデメリット

フリーランスがレンタルオフィス・シェアオフィスを使う主なデメリットは以下の通りです。

  • 賃料がかかる
  • 通勤が発生する
  • 家事や育児と両立しにくい
  • 周囲が気になって集中しにくい

レンタルオフィスやシェアオフィスのデメリットは、事務所をレンタルする場合とほぼ同様です。ただし、事務所は自分だけの仕事空間であることに対し、レンタルオフィスやシェアオフィスはほかの人とスペースを共有するため、周囲の目や気配が気になるという人にとってはマイナスポイントとなるでしょう。

フリーランスの事務所選びで重視したいポイント

事務所を借りて働く場合、働きやすさはもちろん、ひいては事業の成功に向けても物件選びがポイントになってきます。ここからは、事務所を選ぶ時に重視したいポイントをまとめて確認しましょう。

立地

自宅から遠いと、通勤に時間もお金もかかるうえ、通うのが億劫になってしまいます。そのため、まずは自宅から通いやすい距離にある物件を選びましょう。

また、事務所があるエリアの雰囲気や街のイメージも重要です。治安が悪かったり、歓楽街に近すぎたりすると、クライアントに悪印象を与えかねません。

さらに、ビジネス街のエリアであればどこでもよいわけではなく、同業界の企業や、主要な取引先、見込み顧客が集まるエリアを選ぶことで、案件獲得につながりやすくなります。通勤やクライアントの来訪のしやすさを考えると、駅近であるほうがよいでしょう。

コンセントの数・場所

見落としがちなのが、コンセントの数や場所です。コンセントが少なかったり、使いにくい位置にあったりすると、内装のレイアウトが限られてしまいます。また、延長コードが延びていたり、配線がごちゃごちゃしていたりすれば見栄えが悪くなる可能性もあります。

使いやすさと見栄えを考え、コンセントの数が多く、使いやすい場所に設置されている物件を選ぶようにしましょう。

ビルの管理・設備

事務所選びでは、ビルの管理や設備の状態について、オフィス内はもちろん共有部まで確認しましょう。新築に近い物件でも、管理が悪ければ快適に仕事ができる環境が保てない可能性があります。

空調設備が古い、またはメンテナンスがされていなければ、入居後にトラブルが発生する可能性もあり、快適な職場環境を維持できないかもしれません。

壁の薄さや、防音性も要チェック。建物の構造によっては、外や近隣オフィスの音が気になったり、室内の音が外に漏れ出て情報漏洩につながったりすることも考えられます。

フリーランスが事務所を借りる時の注意点

事務所を借りる時は、物件選びのほかにも注意したいポイントがあります。

入居審査に通りにくいため収入証明書が必要になる

個人事業主であるフリーランスは、収入が不安定になりやすいこともあり、社会的信用が高くありません。そのため、事務所を借りる時は、入居審査に通りにくい傾向があります。

あらかじめ、収入が証明できる書類を用意しておくようにしましょう。収入を証明できる書類とは、課税証明書や地方税納税の証明書、所得税の納税証明書などです。課税証明書・地方税の納税証明書は市町村役場で、所得税の納税証明書は税務署で発行してもらえます。

また、物件の管理会社やオーナーによっては、前年度確定申告の控えの提出を求められることもあります。

フリーランスは賃貸契約が難しい?審査通過のコツや必要書類を紹介

賃貸物件では事務所利用・登記が不可の場合がある

賃貸物件は、居住用と事業用の2種類があり、事務所として借りるのであれば基本的には事業利用ができる物件しか借りることができません。事務所として使用するのに、黙って住居用の物件を借りると、契約違反として違約金が発生したり、退去が必要になったりするリスクがあります。

自宅で仕事をするという場合にも注意が必要です。自宅を事務所として利用する場合は、オーナーや管理会社に使用許可を得るようにしましょう。事業利用ができる物件であっても、「商号登記や法人登記は不可」などの制約が設けられている場合もあるため、よく確認が必要です。

連帯保証人が必要になる物件が多い

多くの賃貸事務所では、家賃保証会社とは別に、連帯保証人が求められます。連帯保証人は、借主が賃料を滞納した際に、代わりに支払う責任を負います。賃料滞納があれば、連帯保証人の財産も差し押さえられる可能性があるため、かなり親密な関係な間柄でも頼みにくい実情があります。

連帯保証人が用意できない場合は、家賃保証会社に保証料を多く支払って保証人代行を依頼するか、保証人扶養の物件を探す必要があります。

フリーランスが事務所を借りるか迷ったら?

フリーランスにとって仕事場は、仕事の獲得から、普段の仕事に対するモチベーション維持まで、事業の安定した運営に大きくかかわる要素です。自宅で仕事をするのか、事務所やレンタルスペースを借りるのか迷う人もいるでしょう。

迷った場合は「人を呼ぶ必要性があるのか」「事業用に住所が必要なのか」の2点から、仕事場を選ぶのがおすすめです。いずれも「必要なし」という場合は、自宅での作業が向いています。反対に、いずれも「必要あり」という場合には、事務所を借りてもよいでしょう。

ただし、事務所を借りるとコストがかなりかかるため、独立後すぐ、安定して収入が得られる目処が付いていないという場合は、レンタルオフィスやシェアオフィスの利用から始めるのがおすすめです。

まとめ

本記事では、フリーランスの事務所選びや、仕事場事情についてお伝えしました。多くのフリーランスは自宅で仕事をしているものの、業界や職種、希望の働き方によっては事務所を借りることも1つの選択肢です。今回紹介した内容を参考に、どこで働くのか検討してみてください。

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