Linuxを普段使いするメリットとおすすめディストリビューション5選

こんにちは、ITプロマガジンです。

WindowsやmacOSと比較されることが多い「Linux」。プログラマーやエンジニアの経験がある人なら、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?

本記事では、Linuxを普段使いしてみたいと考えている人のために、Linuxに関する知識やメリット・デメリットについてご紹介します。WindowsやmacOSとは異なる特徴を持っているため、違いを理解したうえで利用するようにしましょう。

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Linuxの基礎知識

ここではLinuxを理解するための基本的な情報を解説します。WindowsやmacOSとどのように違うのかチェックしておきましょう。

LinuxOSとは

Linuxとはオペレーティングシステム(以降、OS)の一種です。OSとはコンピュータ全体を管理・制御するためのソフトウェアのこと。具体的にはアプリケーションなどの「ソフトウェア」とパソコンやスマホなどの「ハードウェア」を仲介する役割を持っており、例えばパソコンでできる以下のような機能はOSによって実現されています。

  • キーボードに入力した文字がパソコンの画面に表示される
  • メモ帳の保存ボタンを押すと、パソコン内に情報が保存される
  • 入力した情報をプリンタに出力する

Linuxは大きく分けて「Linuxカーネル」と「Linuxディストリビューション」の2種類があります。前者はOSの根幹となるもので、後者はLinux上て動く各種アプリケーションをパッケージ化したものです。基本的にLinuxカーネルだけではユーザーが操作することはできないため、Linuxディストリビューションをインストールして利用できるようにします。

WindowsOSやmacOSとの違い

パソコンのOSと聞いてまず思いつくのは、WindowsやmacOSでしょう。これらもLinuxと同じOSの一種です。ではLinuxと、WindowsやmacOSではどのような違いがあるのでしょうか。

LinuxがWindowsやmacOSと大きく違う点は「オープンソース」であることです。オープンソースとはソースコードが無償で公開されていて、誰でも自由に利用・修正・再頒布が可能なプログラムを指します。ソースコードが公開されておらず利用にあたってライセンス料がかかるWindows/macOSと比べて、コストを抑えてOSを利用することができるのです。

操作方法にも違いがあります。Linuxでは、基本的に操作はコマンドで行います。コマンド操作とは「コマンド」と呼ばれる命令文を入力してコンピュータを操作する方法です。CUI(Character-based User Interface)という画面を用いてコマンドを入力します。

これに対してWindowsやmacOSではGUI(Graphical User Interface)での操作がメインです。GUIとはウィンドウ・アイコン・ボタン・プルダウンメニューなどを用いた視覚的な画面のこと。コマンドを入力することなくマウスやタッチパネルなどで操作できるため、パソコン初心者でも直感的に使うことができます。

Linuxを普段使いする9つのメリット

普段使っているパソコンのOSをLinuxに変えることでどのようなメリットがあるのでしょうか?ここではLinuxを普段使いする代表的なメリットを紹介します。

1.ディストリビューションが豊富

前述したとおり、Linux上で動く各種アプリケーションをパッケージ化したものです。Linuxディストリビューションは種類が豊富なので、自分の使い方や好みに合ったディストリビューションをインストールして利用することができます。

代表的なディストリビューションの特徴については後述しますので、チェックしてみてください。

2.搭載ソフトウェアが多い

Linuxのディストリビューションには、最初から便利なソフトウェアが収録されています。無料でインストールできるディストリビューションがほとんどなので、コストをかけずに便利なソフトウェアを入手することが可能です。

3.開発環境を整備しやすい

Linuxでアプリケーション開発を行いたいという方もいるでしょう。Linuxは、開発環境を整備しやすいというメリットもあります。主要なLinuxディストリビューションであれば開発に必要な環境はすべて搭載されているので、Windowsのように別途準備する必要がありません。このような理由から、Linuxはエンジニアに人気のあるOSなのです。

4.OSのカスタマイズ性が高い

Linuxはデスクトップの見た目や操作方法を柔軟にカスタマイズすることができます。WindowsやmacOSではこれらのカスタマイズは限定的なので、パソコンを自分仕様にしたい方にはLinuxがおすすめです。

5.ライセンスが無料

前述のとおり、Linuxは無償でインストールできるオープンソースのOSです。この点はWindowsやmacOSとの最大の違いです。

家電量販店などでパソコンを購入する場合、WindowsやmacOSがすでにセットされて売られていることが多いのでライセンス料を支払っている感覚がない方もいるかもしれませんね。しかしこのような場合、パソコンの購入代金にWindowsやmacOSのライセンス料が含まれているのが一般的です。

そのためパソコン本体とOSを分けて購入したい人やパソコンを自作したい人は、LinuxのOSを利用することでコストを抑えることができます。

6.セキュリティ面で有利

コンピュータウィルスは基本的にユーザー数の多い層を狙ってきます。そのため現在はWindowsをターゲットにしたウィルスが主流で、ユーザー数の少ないLinuxを狙ったウィルスは比較的少ないのが現状です。またLinuxでは、rootと呼ばれる管理者権限がないとシステムを改竄したり破壊したりすることは難しい仕組みになっています。このような点からセキュリティ面としてはWindowsより有利と考えられています。

しかしLinuxをターゲットとしたウィルスが全くないわけではありません。「Linuxはセキュリティ対策が不要」というわけではないので、何らかのセキュリティ対策ソフトをインストールしておくことをおすすめします。

7.古いPCでも動作する

LinuxはWindowsやmacOSと比べて、古いパソコンやスペックの低いパソコンでもサクサク動作するというメリットがあります。その理由はWindowsやmacOSと比べて、GUIがシンプルで必要最低限のアプリケーションしか搭載されていないためです。

OSのサポートが終了している古いパソコンを持て余している方は、Linuxに入れ替えてみるのもおすすめですよ。

8.周辺機器と連携しやすい

Linuxは高いハードウェア認識機能を持っています。そのためLinuxに対応した周辺機器(プリンタ、マウス、イヤホンなど)であれば、自動で周辺機器を使えるように設定してくれます。

ただしLinuxに対応していない周辺機器もあり、そのような場合はLinux用のドライバを準備しなければなりません。

9.参考情報が多い

Linuxはインターネット上に参考情報が多いことも特徴の1つです。基本的な知識はもちろん、実際の業務に利用できる情報まで見つけることができます。インターネット上での情報収集に慣れている方であれば、分からないことがあっても基本的な問題はすぐに解決できるでしょう。

Linuxを普段使いする4つのデメリット

Linuxを普段使いするにあたってはいくつかのデメリットもあります。Linuxを使い始めてから困ることがないよう、事前に確認しておきましょう。

1.ネイティブアプリが少ない

Linuxのアプリケーションは英語圏で開発されたものが大半です。そのため日本語に対応していないものも多くあります。英語の読解に不安がある方は、日本語に対応したアプリケーションやディストリビューションを選ぶとよいでしょう。

2.ブラウザ機能が一部制限される

Linuxでは一部のサイトの動画が視聴できないという声があります。とくにYahoo!ニュースやAmazonプライムビデオの動画が見られないという情報が多いようです。

またWindowsが提供するブラウザゲームではDirectXというAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)が必要で、LinuxにはこのDirectXは搭載されていないため、一部のブラウザゲームは利用できないことがあります。

このようにLinuxでブラウザ機能が制限される場合でも、インターネット上に解決方法が載っていることがあります。どうしても視聴したい動画やプレイしたいゲームがある場合は情報を探してみると解決の糸口が見つかるかもしれません。

3.開発で不利な面もある

Linuxでは、WindowsやmacOSのネイティブアプリは基本的に動作しないため、仮にWindowsやmacOSのネイティブアプリを開発しようとすると不都合が生じることがあります。

例えば、開発中のアプリを動作確認したくても、動作確認はWindowsなど別のOSで行わなければならない、というケースが挙げられるでしょう。

4.外部ソフトの扱いが困難

Webサイトなどから外部ソフトをインストールする場合、LinuxではWindowsやmacOSのように簡単にはいきません。WindowsやmacOSのソフトには通常インストーラーが搭載されており、それを起動することでソフトが利用できる状態にセットアップしてくれます。しかしLinuxでは自分でコンパイルが必要になるため手間がかかります。コンパイルとは、プログラミング言語で書かれたソースコードを、コンピュータが解釈できるオブジェクトコードに変換することです。

コンパイルを実行するためにはCUI画面でコマンドを入力する必要があるため、コマンド操作に慣れていない方にはハードルが高いでしょう。自分でコンパイルするのが難しい場合は、必要なソフトが搭載されているディストリビューションをインストールするとよいでしょう。

Linuxの主要ディストリビューションの系統

Linuxを操作するためには、何らかのディストリビューションをインストールする必要があります。Linuxのディストリビューションには初心者向けから上級者向けまでさまざまな種類があるため、どのディストリビューションを使えばよいか迷う方もいるでしょう。ここではLinuxの主要ディストリビューションを系統別にご紹介します。

1.Slackware系

最も古い歴史を持つSlackwareをベースとしたディストリビューションです。以下で紹介するRedHat系やDebian系よりシンプルでカスタマイズしやすいといった特徴がありますが、その反面初心者には少々難易度が高い傾向にあります。

代表的なディストリビューション
  • Plamo

2.RedHat系

RedHat系とはアメリカのRedHat社が開発しているディストリビューションです。RedHat系のディストリビューションは基本的に有償ですが、以下で紹介するCentOSとFedoraは無償で利用できます。

代表的なディストリビューション
  • CentOS
  • Fedora

3.Debian系

Debianはボランティアが中心になって開発を進めているディストリビューション。Debian系はそれをベースとして開発されているディストリビューションで、その種類は豊富です。

代表的なディストリビューション
  • Debian
  • Ubuntu

普段使いにおすすめのLinuxディストリビューション5選

ここでは普段使いに向いているLinuxディストリビューションをご紹介。用途やスキルレベルに応じて自分に合ったディストリビューションを見つけましょう。

1.Ubuntu

UbuntuはDebian系のディストリビューションです。パソコンを普段使いする場合に一番はじめに上がるディストリビューションで、シンプルなデスクトップ画面が特長です。日本語での説明も充実しており、Linux初心者にも使いやすいディストリビューションの1つです。

Ubuntuは英Canonical社から資金提供を受けて開発していることもあり、資金面も安定しています。また将来にわたって無償で提供していくと宣言しているため、長く利用したいユーザーにはおすすめです。

2.Debian

DebianはUbuntuの元となっており、ボランティアが中心になって開発を進めています。ユーザフレンドリーな考え方があって、初心者にも使いやすいディストリビューションの1つです。

日本語対応も問題なく、インターネット上に情報が豊富な点も初心者向けと言えるでしょう。

3.CentOS

CentOSはRedHat系のディストリビューション。RedHat社が開発するRedHatLinuxの有償部分を取り除いたクローンOSで、無償で提供されています。

GUI操作よりコマンド操作に向いているディストリビューションなので、プログラミングに抵抗のない上級者向けのディストリビューションと言えるでしょう。またCentOSは、企業サーバーでも採用されることが多いため、仕事で使うためにLinuxを覚えたいという方におすすめです。

なおCentOSの開発元は公式ブログで、最新バージョンである「CentOS 8」は2021年12月31日でサポートが終了すると発表。CentOS8に代わるディストリビューションとして「CentOS Stream 8」への移行を推奨しています。

4.Fedora

Fedoraは、同じくRedHat系のディストリビューションで、最新技術を積極的に取り入れているという点が特徴的です。こちらも無償で提供されています。

ユーザーレベルとしては中級者やチャレンジャー向けのディストリビューションです。

5.Plamo

PlamoはSlackware系のディストリビューションです。こじまみつひろ氏によって開発されている国産ディストリビューションで、当初は「初心者でも簡単に日本語環境を構築できる」ことを目指して開発されてきました。しかし現在は、初心者向けの部分は商用ディストリビューションに任せ、極力シンプルで見通しのよい環境の保持に努めています。

またユーザ自身で自分好みの環境を作り上げていくというLinuxならではの特徴を大切にしていることから、UbuntuやDebianのような初心者向けディストリビューションより難易度は高いでしょう。

Linux向けのおすすめアプリケーション

Linuxで普段使いをしたいなら、ブラウザやテキストエディタ、表計算など基本的なアプリケーションは入れておくと便利です。以下はLinux向けの代表的なアプリケーションの例です。

  • ブラウザ(Google Chrome、Firefox)
  • デスクトップ環境(KDE、GNOME、Xfce)
  • テキストエディタ(Vim、Atom、Gedit)
  • 表計算、ドキュメント作成など(OpenOffice、LibreOffice)

インターネット検索に欠かせないブラウザは普段使いのアプリとして入れておくと便利です。Linux向けのブラウザとしてはGoogle ChromeやFirefoxが代表的です。

またLinuxではデスクトップ環境をインストールすることで、WindowsやmacOSのようにGUI画面で操作することができます。KDEやGNOMEが人気ですが、古いパソコンでもさくさく動かしたいなら軽量のXfceがおすすめです。

Linuxで開発を行いたいならテキストエディタも必須です。多くのプログラミング言語に対応していたりカスタマイズ機能が充実していたりするエディタが多数あるので、用途に合わせて使いやすいエディタを選びましょう。

表計算やドキュメント作成、プレゼン資料作成のアプリケーションが欠かせないという方もいるでしょう。Microsoft Officeのアプリケーションを使い慣れた人なら、互換性のあるOpenOfficeLibreOfficeがおすすめです。Excel、Word、PowerPointなどのアプリケーションと同じような機能を利用することができます。

Linuxを普段使いにするために必要な知識・スキル

ここではLinuxを普段使いするための知識やスキルについてご紹介します。「OSをLinuxに変えてみたものの使いこなせない…」ということがないよう、事前に把握しておくことをおすすめします。

基本的なPCの知識

Linuxを使いこなすためには、大前提として基本的なPCの知識は必要です。操作方法は違っても、普段使いするような機能自体はWindowsやmacOSと変わりありません。そのため、何らかのOSでドキュメント作成やメールの送受信、インターネット検索などの最低限の基本操作は問題なくできる必要があります。

またWindowsやmacOSと異なり、Linuxが初めからインストールされているパソコンは少ないので、自らインストールする必要があります。インストールとは、ソフトウェアをパソコン上で操作できるようにする作業のこと。そのため、最低でも「ハードウェア」と「ソフトウェア」の違いを区別できる程度の知識は必要です。

情報収集力

Linuxの情報はインターネット上に豊富に散らばっているため、分からないことがあっても調べて解決できます。しかし必要な情報を的確に入手するためには、インターネット上での情報取集に慣れている必要があります。

書籍のように体系的に必要な情報がまとまっているとは限らないので、的確なキーワードで検索して目的の情報を見つけるという「情報収集力」が求められます。

コマンドスキル

LinuxではCUI画面でのコマンド操作が基本となります。プログラミングの経験がある方は抵抗なく操作できるかと思いますが、そうでない方はコマンド操作に慣れる必要があります。

パソコンのコマンド操作をしたことがない方は、Windowsのコマンドプロンプトなどを利用してコマンドでパソコンを操作する感覚を掴んでおくことをおすすめします。

まとめ

WindowsやmacOSにはないメリットが豊富なLinux。自分仕様にパソコンをカスタマイズしたい人にとっては、LinuxはおすすめのOSです。今のOSでは物足りないと考えている方は、基礎知識や特徴をふまえたうえで、Linuxの普段使いにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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