こんにちは!
ITエンジニア・webディレクター・webデザイナーなどのIT人材の自立・キャリアを支援する、
ITプロパートナーズの木村です。
弊社では、独立精神旺盛な優秀なエンジニアの方々の独立・起業サポートや、フリーランス支援を行っています。
こちらでは、日々の現場でサポートさせていただいている中での、プロの目線で、エンジニアに役立つお話をしてまいります。
フリーで活躍されている、もしくはこれからフリーとして活動していきたいとお考えになっている人は多いのではないでしょうか?
フリーランス実態調査によると、フリーランスで活躍されている日本人は1122万人いるのだそうです。多くの人が自分の働き方を自ら選択していく中、知っておかなければならないこと、知っていた方が得なことが多くあります。
例えば、準委任契約という言葉をご存知でしょうか?おそらくわからない人の方が多いかと思います。
フリーとして働いていく上で知っておいた方がいい言葉ですので、今回は準委任契約についてお話ししていきます。
この記事を読み終えた時、準委任契約について明確に理解することができるでしょう。
それでは順番に見ていきましょう!
Contents
準委任契約とは?

準委任契約とは委託者が事務を委託する契約のことを指します。IT業界ではSES契約という呼ばれ方をしている場合もあります。
フリーランスのエンジニアを例にとって説明すると次のようになります。
- エンジニアは事務を受託する受託者
- エンジニアに作業を依頼する会社が委託者
エンジニアは設計・開発・テストなど必要な事務作業を契約した期間行うことで報酬を得ることができます。
また報酬の支払いも一定期間ごとであるためフリーランスのエンジニアにとっては向いている契約と言えるでしょう。
ただの委任契約はないの?
準委任契約についてお話ししましたが、そもそも「準」のつかない委任契約は無いのでしょうか。
委任契約ももちろんあります。委任契約は法律行為の事務を委託する契約のことです。
ここでいう法律行為とは弁護士、公認会計士、税理士、司法書士といった専門家が行う事務の事を指します。
準委任契約との違いは法律行為を行う事務なのか、そうでないのか、という部分です。
次に準委任契約のメリットとデメリットについて見ていきましょう!
準委任契約のメリット、デメリット

最後に準委任契約のメリット・デメリットの比較をしましょう。
一口にメリット・デメリットといっても委託者と受託者では立場が違います。このブログの読者の方はITエンジニアやIT分野での起業を目指す方が多いと思いますので、受託者の目線でメリット・デメリットの比較を行います。
メリット
- 定期的に収入を得られる
一定期間ごとに収入を得ることができるので、資金的な猶予のないスタートアップやフリーランスのエンジニアに向いています。請負契約にした場合は成果物の納品後に報酬が支払われるのが一般的なので、報酬を得るまでの時間が長くなってしまいます。 - 瑕疵担保責任が無い
請負契約では成果物の納品後に不具合を改修する必要が生じますが、準委任契約では契約期間満了後に対応が必要になることはありません。 - 多くの現場を経験できる
契約期間の長さにもよりますが、様々な会社や現場を経験することがあります。必要に応じて新しいスキルを身につける必要もあり、エンジニアとして豊富な経験を積むことができます。 - 会社員とくらべて高い報酬を得られる
同じスキルレベルの会社員と比べると高い報酬を得ることが可能です。その分色々な現場で即戦力となれるようにスキルを磨き続けて自分の市場価値を高める努力が必要です。
デメリット
- ビジネスの意思決定に深く関われない
基本的にビジネスの根幹の意思決定は常駐先の社員が行うことが多いです。自分の意見を提案することはできると思いますが、新規プロジェクトを発足したりといったチャンスに恵まれることはあまり期待できないでしょう。 - 定期的に案件を探す必要がある
準委任契約は期間を定めた契約なので、契約期間満了後にお互い延長の意思がなければエンジニアは次の案件を探さなくてはなりません。
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準委任契約について理解できたところで、他の契約についても理解しておいたほうが、今後フリーランスとして活躍する上でタメになるのではないでしょうか?
そこで、準委任契約とよく比較される「請負契約」と「派遣契約」についても知っておきましょう!
請負契約とは

準委任契約とよく比較されるのが請負契約です。
請負契約は成果物を完成させ納品する完成責任があります。
エンジニアの仕事に関していうと、決められたソフトウェアのプログラムの開発を完了し納品する必要があるということになります。
成果物を納品後、委託者の検収作業が終了して報酬を得ることができます。開発期間が長いほど報酬を得るまでの期間が長くなってしまうので、フリーランスや小規模なスタートアップの企業では少し苦しい部分がありますね。
また検収終了後から一定期間は瑕疵担保期間と呼ばれ、その間に発生した不具合などを無償で改修する必要があります。
この点から見ても人的リソースの少ないフリーランスにはあまり向いていないでしょう。
準委任契約と請負契約の違い

準委任契約と請負契約の違いを理解するには、先ほど記載した、「完成責任」と「瑕疵担保責任」について理解する必要があります。簡単に見ていきましょう!
完成責任とは
請負契約では成果物を完成させ納品する必要があります。
一方、準委任契約では成果物を完成させ納品する完成責任がありません。契約した期間、専門知識をもったエンジニアとして事務作業を遂行する事を約束する契約になります。
瑕疵担保責任とは
ITの分野でよく耳にする法律用語に瑕疵担保責任という言葉がありますね。瑕疵担保責任とは納品した成果物に不具合があった場合などに、納品から一定期間内は無償で不具合を改修する必要があるというものです。
請負契約では瑕疵担保期間があり瑕疵対応を行う必要がありますが、準委任契約ではこの瑕疵担保責任がありません。
改めて、準委任契約と請負契約の違いについてまとめると次のようになります。
項目 | 準委任 | 請負 |
---|---|---|
完成責任 | 無し | 有り |
瑕疵担保責任 | 無し | 有り |
報酬 | 一定期間ごとに発生 (主に1ヶ月) |
委託者の検収完了後 |
フリーランスのエンジニアとしては準委任契約の方が望ましいですね!
次に準委任契約と派遣契約の違いについて見ていきましょう。
準委任契約と派遣契約との違い

準委任契約と派遣契約、どちらも客先で作業をすることが多いので違いが分かりにくいですよね。
しかしこの2つの契約には多くの違いがあります。
違いを理解してどちらが自分にとって最適な契約形態なのか理解して契約しましょう。
項目 | 準委任 | 派遣 |
---|---|---|
報酬 | 一定期間ごとに発生 (主に1ヶ月) |
主に時給制 |
指揮命令権 | 本人 | 常駐先 |
契約 | 案件ごとに企業と契約 | 派遣会社との雇用契約 |
期間 | 契約で定めた期間 | 契約で定めた期間 同一事務所で3年が上限 |
税金 | 本人が確定申告で行う | 派遣会社が行う |
年金・健康保険 | 本人が手続きを行う | 派遣会社が行う |
福利厚生 | 無し | 派遣会社準拠 |
いくつか気になるポイントをピックアップして違いをみていきましょう。
報酬
準委任も派遣も1ヶ月ごとに報酬が支払われることが一般的です。
準委任は月額で固定の報酬か、一定の業務時間の幅を設けて設定した業務時間から過不足した分を時給換算で精算するという方式が多いです。
一方派遣の場合は完全に時給制で業務した時間に応じて、報酬が上下することもあります。
どちらも一概には言えないので契約する前に事前に確認しておくとよいでしょう。
多くは契約の段階の前に報酬についての話があるので、あまり心配しすぎる必要はありません。
税金・年金・健康保険
準委任契約で働く場合は会社に雇用されずフリーランスになるので、税金、年金、健康保険料などの納付は本人が手続きをして納付する必要があります。
派遣として働く場合は派遣会社と雇用契約を結ぶことになるので、税金、年金、健康保険料の納付は派遣会社が行います。
給与からこれらの税金や社会保険料が差し引かれた金額が支払われます。
今、「準委任契約」「請負契約」「派遣契約」の3つについて見ていきましたが、
この3つの契約をフェーズごとに使い分けることができます。
それを多段階契約と言います。
これについても知っていて損はないので、見ていきましょう!
多段階契約とは

さて、ここまで準委任契約について話してまいりましたが従来のウォーターフォール型のプロジェクトでは、準委任契約に向いている段階と、請負に向いている段階があります。
多段階契約とは
多段階契約とはシステムの要件定義・設計・開発・テスト・・・といった各段階を、それぞれ別の契約にすることをいいます。
システム開発はどうしても仕様が決まりきらなかったり、変更されたりと流動的になることが多いです。このような状況で要件定義〜納品までの全てを一括で○ヶ月、○円と見積もることは難しいですし、正確性にも欠けます。
多段階契約にすることでシステム開発の各工程ごとに見積もりが行なえ、請負か準委任かといった契約の変更も可能となり、予測困難な状況に柔軟に対応できるようになります。
準委任契約に向いている段階は?
やるべき事がはっきりと分かっていない段階では準委任契約が向いていると言えるでしょう。
大規模なウォーターフォール型の開発でいえば、要件定義や設計といった段階が向いています。
要件定義や設計は関係各所との調整なども多く委託者が具体的な作業を依頼しにくいためです。
一方、要件定義や設計がきっちりと決まった後の開発・テストなどは、やるべきことが決まっているので、請負契約で依頼されることが多いです。
ただしこれらはプロジェクトの規模や、そのプロジェクトの責任者の移行などもあるので必ずしもこの通りになってはいません。特に最近ではアジャイル開発を取り入れ、全て準委任契約でエンジニアを集めてプロジェクトを進めていくこともあります。
契約携帯について見てきましたが、最後に契約する際の注意点について見てみましょう。
契約する際の注意点

契約書には準委任契約や請負契約といった契約の種類が明記されていないこともよくあります。
ご自身が契約しようとしている契約の実態が、準委任契約なのか請負契約なのかをしっかりと見極めて契約するようにしましょう。
「フリーランスで準委任契約だと思って仕事をしていたら、実は請負契約で半年後に瑕疵対応の開発をすることになる」といった状況に陥らないように、契約の内容を把握しておきましょう。
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まとめ

準委任契約についてみてきましたが、いかがでしたでしょうか。
フリーランスのエンジニアにとっても、スタートアップの企業にとっても報酬を得るうえで契約を結ぶことは必要です。
後々のトラブルを避けるためにも、準委任契約、請負契約、派遣契約について基礎的な知識を身につけておきましょう。

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