ITストラテジスト試験の難易度は?合格率・勉強時間・勉強方法も解説

こんにちは、ITプロマガジンです。

経営戦略とITを結びつける「戦略家」として位置づけられるのが「ITストラテジスト」資格です。ITコンサルタントやDX推進の分野で活躍したいと考える方に親和性が高い国家資格ですが、その一方で高度資格でもあり「試験の具体的な難易度はどのくらい?」「どのように試験対策すればよい?」といった疑問を持つ方も少なくないでしょう。

本記事では、ITストラテジスト試験の難易度や合格率、試験の流れ、勉強時間の目安、さらには資格取得のメリットまでを体系的に解説します。実務に即した勉強方法や合格のためのポイントも紹介するので、受験を検討している方はぜひ参考にしてください。

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ITストラテジストとは?

ITストラテジスト試験」は、情報処理技術者試験の最上位にあたるレベル4に位置づけられています。難易度が高い理由は、単なるIT知識ではなく「経営戦略とIT戦略を結びつける力」が問われるからです。午前試験では幅広いIT知識や経営理論が出題され、午後Ⅰ・Ⅱでは記述式・論述式の問題に対応する必要があります。

特に午後Ⅱは論文形式で、情報戦略の立案について、経営的な視点を持ちながら論理的にまとめる力が要求されます。例えば、「クラウド移行におけるリスク評価」や「新規事業におけるデータ活用戦略」といったテーマが問われることがありますが、単なる知識暗記では太刀打ちできず、日頃から経営層や情報システム部門の橋渡し役として経験を積んでいる人が有利です。

ITストラテジスト試験の難易度はどのぐらい?

前述の通り、ITストラテジストは情報処理技術者試験のなかでもトップクラスの難易度です。高度な経営視点・IT戦略に基づく思考と記述力が求められ、知識だけでは対応できません。ITストラテジスト試験は、単なる理論詰め込み型の試験ではなく、現場経験と経営感覚を統合した実践的な対応力が鍵となるからです。以下では試験の合格率や他の試験と比較した難易度を紹介します。

過去の試験の合格率

ITストラテジスト試験の合格率はおよそ15%前後で推移しており、高い難易度を示しています。以下は、直近5年分の推移です。

年度受験者数合格率
2021年春期3,78315.30%
2022年春期4,45014.80%
2023年春期4,97215.50%
2024年春期5,32715.80%
2025年春期5,58615.00%

引用:情報処理推進機構(IPA)

他の試験との難易度の違い

ITストラテジスト試験はITスキル標準(ITSS)の7段階評価でレベル4に位置し、情報処理技術者試験のなかでも高度区分に属します。単なる知識試験ではなく、経営戦略とITを結びつけて実行可能なプランに落とし込む力を評価する試験だからです。

なお上記の「ITスキル標準(ITSS)」は、スキルレベルや試験の難易度を考えるうえで土台となる概念です。ITSSは、経済産業省とIPAが策定したスキル評価の基準で、2008年に公開されたV3ではキャリアフレームワークの考え方が取り入れられました。従来の「SE」「プログラマ」といった包括的な呼び方ではなく、「コンサルタント」「プロジェクトマネジメント」「ITスペシャリスト」など11の職種に細分化し、さらに35の専門分野を定義しています。そのうえで各分野に対して7段階のレベルを設定し、英国の「SFIA(Skills Framework for the Information Age)」を参考に、実務経験や成果に基づいた客観的な評価を可能にしています。

以下は、ITSSにおける情報処理技術者試験の対応レベルです。

試験区分ITSSレベル
ITパスポート試験(IP)レベル1
基本情報技術者試験(FE)レベル2
応用情報技術者試験(AP)レベル3
高度試験(ST・PM・AUなど)レベル4

このようにITストラテジスト試験は「レベル4」に相当し、他の試験よりも難易度が高いといえます。

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ITストラテジスト試験の合格に必要な勉強時間

公式には標準的な学習時間の定義はありませんが、実務経験者でもおよそ200時間程度の学習が必要とされており、未経験者や論述に慣れていない人はさらに時間を上積みする必要があります。

まずはシラバスに沿った知識整理や経営・法務の要点学習といったインプットをした後、過去問の記述練習や論文演習といったアウトプット中心に切り替えるサイクルを意識するのが現実的です。

午後Ⅰは「設問要求を分解して要素ごとに記述するスキル」、午後Ⅱは「与えられたテーマのなかで、専門知識・経験をもとに、実現可能性・パフォーマンスを意識した戦略を策定し、論理的にアウトプットするスキル」が必須であり、200時間の学習を計画的に配分することが合格への鍵となります。

ITストラテジスト試験の出題形式・試験の流れ

ITストラテジスト試験は、午前・午後に分かれた複数の試験区分で構成されており、それぞれで異なるスキルが問われます。午前Ⅰ・Ⅱでは幅広いIT知識と応用力、午後Ⅰでは課題解決力と論理的な記述力、午後Ⅱでは経営視点を踏まえた戦略立案力が試されます。ここでは、2025年秋時点における試験区分ごとの出題形式と流れを整理します。

午前Ⅰ

項目内容
試験時間50分
出題形式四肢択一(多肢選択式
出題数30問
解答数30問
基準点60点/100点

午前ⅠはITストラテジスト試験の最初の区分で、情報処理技術者として必要な基礎知識を確認するという位置づけです。応用情報技術者試験など一定の資格合格者には免除制度があり、条件を満たした時点から2年後の同時期試験まで有効となります。そのため、すでに基礎力を証明している受験者は午前Ⅰを受験せずに次の区分に進むことができます。

午前Ⅰは50分間で30問出題される四肢択一の多肢選択式です。問題は情報処理技術全般を広くカバーし、ハードウェアやソフトウェア、ネットワーク、セキュリティ、経営や法務など幅広い分野が対象です。出題数が多いため、知識の網羅性が重要になります。

採点は100点満点で行われ、基準点は60点に設定されています。免除を利用しない場合、この区分で基準点を下回ると試験全体が不合格になります。そのため、免除を利用できない受験者は確実に突破しなければならない重要なパートです。

午前Ⅱ

項目内容
試験時間40分
出題形式四肢択一(多肢選択式)
出題数25問
解答数25問
基準点60点/100点

午前Ⅱは、午前Ⅰからさらに実務に直結する応用的な知識を測る区分です。IT戦略やマネジメントから最新のテクノロジー動向まで幅広い内容が出題され、「経営とITについて統合的に理解しているか?」が問われます。

午前Ⅱは40分間で25問出題される多肢選択式(四肢択一)です。範囲は「経営戦略」「システム戦略」「プロジェクトマネジメント」「サービスマネジメント」「テクノロジ系(ハードウェア・ソフトウェア・ネットワーク・セキュリティ)」など多岐にわたります。時事的なテーマも含まれるため、最新のIT動向に対応できる知識が求められます。

採点は100点満点、基準点は60点です。午前Ⅰ免除があっても午前Ⅱは必ず受験する必要があります。

午後Ⅰ

項目内容
試験時間90分
出題形式記述式
出題数3問
解答数2問選択
基準点60点/100点

午後Ⅰは記述式問題で、文章を用いて論理的に考えを整理し、IT戦略や課題解決策を具体的に表現できるかを測るパートです。経営課題やシステム導入に関する問題が多く、与えられたケーススタディを分析して解答します。

午後Ⅰは90分で3問出題され、そのうち2問を選択して解答します。設問では課題抽出、対策、効果、リスクなどの観点が求められるのが特徴です。具体的なビジネスシーンを想定し、システム戦略や投資判断に関する実務的な問いが中心になります。

採点は100点満点で、基準点は60点です。午後Ⅰでは記述の専門性に加えて論理性・一貫性も評価ポイントとなります。

午後Ⅱ

項目内容
試験時間120分
出題形式論述式
出題数2問
解答数1問選択
基準点ランクA以上

午後Ⅱも論述式問題です。受験者自身の経験をもとに、経営視点でのIT戦略立案や提言を一貫したストーリーとして論じる力が試されます。

午後Ⅱは120分で2問出題され、そのうち1問を選択して論述します。問題は「新規事業」「業務改革」「クラウド移行」など、経営戦略やIT投資に直結するテーマが中心です。背景の把握、課題整理、解決策、効果・リスクの提示まで一貫して構成する力が求められます。

午後Ⅱは点数制ではなく、A~Dランクで評価されます。Aランクが合格水準であり、午後ⅡがBランク以下の場合は他区分の得点が基準を満たしていても不合格となります。

ITストラテジスト資格を取得するメリット

ITストラテジストは、経営とITを結びつける戦略家としての知識と経験を証明できる国家資格です。単なる技術力ではなく、経営視点を備えた専門人材であることを示すため、キャリアアップや案件獲得の面で大きな武器となります。

ITコンサルタントを目指しやすくなる

ITストラテジスト資格は、ITコンサルタントを目指すうえで役立つ資格です。ITコンサルタントは、企業の経営課題を整理してITを活用した戦略や仕組みを提案・実現サポートする職種であり、高度な専門性を武器に活躍して高い収入を目指せます。

IPAの公式サイトでも「経営とITを結びつける戦略家」として位置づけられており、単なるシステム開発スキルにとどまらず、事業戦略や投資判断に携わるスキルが問われます。この資格を持っていることで、経営層と直接対話しながらDX推進や新規事業支援を担うコンサルタント職への道が広がります。

実際にコンサルティング会社や大手SIerの求人でも、資格保持者を優遇するケースもあり、キャリア転換を目指す方にとって大きなメリットといえるでしょう。

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コミュニティに参加できる

ITストラテジスト資格を取得すると、「日本ITストラテジスト協会(JISTA)」の正会員として活動できるようになります。JISTAは、戦略立案やIT経営に携わる専門家が集まるコミュニティであり、全国に支部を持ち、勉強会・シンポジウム・研究会などを定期的に開催しています。

ここに参加することで、最新のIT経営事例を学べるだけでなく、同じ立場のプロフェッショナルとの情報交換や人脈づくりが可能です。コミュニティ内でのネットワークは案件紹介や協業のチャンスにつながるため、特にフリーランスや独立を考える人にとっては副次的メリットといえるでしょう。

フリーランスとして案件を獲得しやすくなる

フリーランスとして活動する場合、クライアントは即戦力を求めるため、スキルを客観的に証明する資格や実績が不可欠です。ITストラテジストは情報処理技術者試験のなかでも最難関クラスに位置づけられる資格であり、アピール材料となります。

特に高単価案件では「戦略立案や上流工程に対応できる人材」が重視されるため、高度資格を保有しているだけで信頼度が増し、他のフリーランスとの差別化につながるでしょう。

実際に案件マッチングサービスやフリーランスエージェントでも、ITストラテジスト資格を保有していることが歓迎要件に挙げられるケースがあります。

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ITストラテジスト試験の勉強方法

ITストラテジスト試験は、知識の暗記だけではなく、実務的・専門的な観点から提案を行い、論理的に整理し文章化する力が求められます。そのため科目別に特徴を理解し、シラバスの知識整理に加えて過去問演習を組み合わせて学習することが合格の近道です。

午前Ⅰ試験の傾向と対策

午前Ⅰは基礎的なIT知識を問う多肢選択式(30問・50分)で、応用情報技術者試験レベルの問題が中心です。シラバスに沿って、ハードウェア・ネットワーク・セキュリティ・マネジメントなど幅広い分野から出題されるため、過去問5年分を最低3回転させることが効果的です。

免除対象でない場合は、頻出分野を重点的に潰し、解答スピードを高める勉強方法がよいでしょう。実際の試験時間は短いため、1問あたり1分強で解答する感覚を模試や演習で掴むと安心です。

午前Ⅱ試験の傾向と対策

午前Ⅱは応用的な知識を問う多肢選択式(25問・40分)で、経営戦略・システム戦略・テクノロジー分野など実務寄りの内容が多く出題されます。特にクラウド・AI・セキュリティ法制など最新の動向が含まれるため、IPAシラバスと直近の白書(情報通信白書・DXレポートなど)を併用して補強することが重要です。

過去問は解答だけでなく選択肢の正誤理由を必ず言語化し、知識を体系的に整理する訓練を行いましょう。毎日1セット解く習慣をつけることで、午後問題の読解力強化にもつながります。

午後Ⅰ試験の傾向と対策

午後Ⅰは記述式(3問中2問選択・90分)で、ケーススタディを読み取り「課題抽出・施策・効果・リスク」などを記述する力が問われます。各設問の解答文字数は数十文字程度と短めですが、設問要求を外すと大幅減点になるため、「設問を分解して、要素ごとに短文で回答する」というトレーニングが有効です。

過去問演習では答案用紙の行数に合わせ、「主張→根拠→具体例→効果」の小サイクルで段落を作る習慣をつけましょう。さらに、想定読者を経営層か情報部門に設定し語彙を統一することもポイントです。これにより、論理性だけでなく「伝わりやすさ」も評価されます。

午後Ⅱ試験の傾向と対策

午後Ⅱは論述式(2問中1問選択・120分)で、受験者の実務経験をもとに戦略立案から提言までを、合計2,000文字程度の長文で記述する形式です。最大のポイントは、「経営者・IT専門家の視点で一貫したストーリーを展開できるか」です。背景・課題・施策・効果・リスクを「因果関係のある流れ」として記述し、定量評価やKPIに触れると説得力が増します。

対策としては、事前に3〜4テーマ(新規事業、クラウド移行、業務改革など)の経験を棚卸しし、骨子テンプレを作っておくのが有効です。本番では「骨子作成10分→本文記述→推敲」の時間配分を徹底し、記述の精度を高めることが合格への鍵になります。

まとめ

本記事では、ITストラテジスト試験の概要や難易度、合格率、学習時間の目安、出題形式の詳細、そして資格取得によるメリットについて解説しました。ITストラテジストは情報処理技術者試験のなかでも最難関に位置づけられる資格で、合格には午前試験の知識整理に加え、午後Ⅰ・午後Ⅱでの論理的な記述力と実務経験の活用が不可欠です。

資格を取得することで、経営とITを結びつける戦略的な視点を持つ専門家であることを証明できます。ITコンサルタントとしてのキャリアを目指しやすくなり、専門コミュニティに参加できたり、フリーランスとして高単価案件を獲得しやすくなったりといったメリットもあります。

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