こんにちは。ITエンジニア・webディレクター・webデザイナーなどのIT人材の自立・キャリアを支援するITプロパートナーズの木村です。
弊社では、独立精神旺盛な優秀なエンジニアの方々の独立・起業サポートや、フリーランス支援を行っています。
こちらでは、日々の現場でサポートさせていただいている中での、プロの目線で、エンジニアに役立つお話をしてまいります。
改めて言うほどのことでもありませんが、ここ数年、AIが注目されています。
それに従い、AIに特化したエンジニアであるAIエンジニアにも注目が集まっています。
多くの皆さんが、AIエンジニアは求められるスキルも高い分、年収も高いのだろうな、と漠然と考えているかと思います。
実際のところはどうなのでしょうか。
具体的なデータも交えながら、AIエンジニアのスキルや年収について、ご紹介したいと思います。
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AIエンジニアの需要って?
モノの価格は需要と供給で決まります。
供給量に対して需要が高ければ、その分、モノの価値は高くなり、値段も高くなります。
AIエンジニアの年収もこのロジックの通りに価格が決まります。
ということで、まずはAIエンジニアの需要について見ていきましょう。
ITエンジニアについて、信用できる調査報告として、2016年に経済産業省がリリースした「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」というものがあります。
それによると、AIエンジニアも含めてITエンジニアは2016年時点で約90万人いましたが、その時点でも約17万人もの不足が発生していました。
つまり、ITエンジニア10人のニーズに対して、実際は8人か9人しかいないということを意味しています。
ITエンジニアのうち今回、特に注目したいAIエンジニアについては、IoTやビッグデータ等に携わるエンジニアと一緒にされて“先端IT人材”というカテゴリーになっています。
この先端IT人材カテゴリーの中だけで見ると、2016年時点で約9.7万人のエンジニアがおり、約1.5万人が不足しているということになっています。
このカテゴリー分野においても10人のニーズがあっても、実際は9人もいない、ということを意味しています。
思いのほか、先端IT人材もいるように感じる方もいらっしゃるかと思います。
しかし、このデータはあくまで2016年時点のものです。
AIやクラウドなどの先端IT技術を利用する企業は年々増えていますよね。
「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」も未来予測をしており、2020年の段階では先端IT人材は約12.9万人と増加するものの、それ以上にニーズが拡大しており、結果、約4.8万人も不足しているという予想がされています。
この数字は、先端IT人材10人のニーズに対して、3人も不足していることを意味します。
このようにAI人材の需要が高まっている理由は大きく分けて二つあります。
一つは、AIによる新しいサービスの開発・展開の競争が激しくなっている点が挙げられます。
車の自動運転や議事録作成ソフトなど、AIの登場によって実現可能となった、新たなサービスの開発競争について、今更、詳しく述べる必要もないかと思います。
もう一つはAIによる既存業務のコストダウン・改善です。
例えば、人材採用活動における書類選考のAI活用による効率化や、ファイナンシャルプランナーやトレーダーなどの高単価人材のAIへの置き換えなどが良く言われます。
人間の労働者がAIに取って代わられる、という衝撃の2045年問題が実現するかどうかはともかくとして、AIを活用することで生産性を上げつつ、コストカットをしたいという考えを持った経営者が増えているのは間違いありません。
そして、なによりも重要なのは新サービスの開発にしても、業務のコストダウン・改善にしても、IT業界はもちろんとして、IT業界以外からのニーズが多いことも注目です。
AIエンジニアには今までのIT人材以上に、活躍のフィールドが広がっている、と言えます。
フリーランスとしてAIエンジニアをやることについては「Aiエンジニアはフリーランスでやっていける?将来性や仕事内容を調査!」で紹介していますので、こちらも参考にしてみてください。
次に、そんな需要の高いAIエンジニアの、皆さんが気になるであろう年収について見ていきましょう。
AIエンジニアの年収って?
ここまで見た通り、AIエンジニアのニーズは高まっているにも関わらず、AIエンジニア全体数は不足しています。
そこで起きるのは、人材獲得競争です。
優秀なAIエンジニアを獲得するために、好待遇、もっと言えば、高額な報酬を提示する企業は少なくありません。
職種のカテゴリーとしてAIエンジニアの1タイプと言える機会学習エンジニア(MLエンジニア)という職種のある、アメリカの求人サイトがありますが、そのサイトによると機会学習エンジニアの平均年収は約13万ドル、日本円にして1300万円と1000万円以上となっています。
優秀なAIエンジニアであれば、30万ドル(3000万円)~50万ドル(5000万円)の年収をうけとっているとも言われます。
また、アメリカだけでなく中国でも好待遇で人材を迎え入れる例が増えており、テクノロジー関連の求人サイトによると、すでにAI開発に関わった経験のある転職者であれば、120万元(2000万円)を超えることは普通で、大学院卒の新卒でも60万元(1000万円)に届くことがあるそうです。
日本は諸外国に比べて、ITエンジニア全体の地位が低く、報酬も低いとされます。
AIエンジニアにおいても、諸外国並みの好待遇を得られる保証はありません。
が、現在、特に大きな資金を投入して、AI開発に力を入れてエンジニアの獲得に取り組んでいる日系企業の多くは、日本を代表するような大企業です。
例えば、SONY、富士通、日立製作所、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、トヨタ自動車、そういった大企業がAI開発に乗り出しています。
その企業的には“普通の年収・待遇”であっても、世間一般の標準からすれば、決して低くないどころか、好待遇であることは容易に想像できます。
トヨタ自動車は大卒以上であれば、通常、30代半ばで1000万円に届くといわれています。
日立製作所(大卒以上)や三井住友銀行などのメーカー系や金融系でも40代~50代でしかるべき地位に就いて1000万円プレーヤー入りのようです。
従業員に年収1000万円以上支払う文化がすでにある企業であれば、会社の経営に大きな影響を与えてくれると考えられる優秀なAIエンジニアに対しても、年収1000万円以上提示することも十分考えられます。
なお、日本でも「ZOZO TOWN」の運営会社であるスタートトゥディのグループ会社、スタートトゥデイテクノロジーズが最高1億円の報酬を掲げてAIエンジニアを募集したことが、話題となりました。
「7人の天才と50人の逸材」募集と銘打ったこのキャンペーンは、天才と認められたAIエンジニアは1000万円~1億円、逸材と認められたAIエンジニアは400万円~1000万円で採用するというものです。
それぞれ人数制限があり、天才は7人まで、逸材は50人までとなっています。
ZOZO TOWNの例は極端と言えば、極端ですが、AIエンジニアを獲得するためにお金を積む企業がある、ということが良く分かる例です。
読者の皆さんの中にはすでに、AIエンジニアとして実践的に働けるスキルを持っている人がいるかも知れません。そのような方は積極的に幅広い業界で案件に関わり、より優秀なエンジニアを目指してもいいかも知れませんね。
一方で、以下では、これからAIエンジニアを目指そうという方に必要なスキルを紹介します。
AIエンジニアに必要なスキルとは?
さて、これまでの説明を聞いて、自分もAIエンジニアになりたいと思った方も少なくないと思います。
そこで、最後にAIエンジニアに必要なスキルについて、見ていきたいと思います。
そもそもとして、AIエンジニアに大きく分けて、二種類のタイプがいます。
一つ目が、海外の求人サイトのところでご説明した、機会学習エンジニアです。
人工知能とは、「人間のような思考ができる機械」のことを指しますが、人間のように思考する能力を持たせるために必要なのが機会学習です。
つまり、機会学習エンジニアとは、AIの構築で特に貢献するエンジニアという理解で良いかと思います。
ただ、AIも構築さえすれば終わりというものではありません。
分析対象を与え、AIがはじき出した分析結果を評価し、AIのロジックに問題があると判断すれば調整したり、分析用データの精査も含めた別のアプローチを検討するなど、AIを利用する専門家も必要となります。
このAIを利用する専門家のことを、データサイエンティストと呼ぶことが多いです。
機会学習エンジニアとデータサイエンティストでは求められるスキルが多少異なりますので、そこにも注意しながら、AIエンジニアのスキルについて見ていきたいと思います。
第一に共通して求められるスキルは「AIとはなにものか」を理解していることです。
当たり前ですが、AIとはなにか、機械学習とはどういったもので、なにができるのか、なにができないのかを知っていること、そして、AIが出力した結果を見て、統計学的に“使える結果”か“使えない結果”か、悪い結果であれば、なにをどうすれば“使える結果”が出力可能か理解しておくことの二点が非常に常用です。
構築側であっても利用する側であっても、本質をしっていることが重要です。
二つ目は、利用されている機会学習用ライブラリを含めたプログラミング知識です。
利用する側のデータサイエンティストよりも構築する側の機会学習エンジニアの方が深く知っている必要がありますが、データサイエンティストも調整のために必要なスキルとなります。
なお、多くのAIはライブラリの拡充からPythonを利用しています。
機会学習エンジニアもデータサイエンティストもPythonは必須だと考えてください。
さらに、機会学習エンジニアを目指す方は、Python に次いで、人工知能開発に使われることが多いC言語(C/C++)も習得しておくべきです。
三番目のスキルは、数学的知識です。
AIの仕事は結局のところ、与えられたデータに統計学的な処理を加えることです。
ある問題を分析するためにはどういったデータを与えるべきなのかを検討したり、AIの出力結果が妥当なのかを判断するためには統計学的知識が必須です。
また、統計学的処理を行うためのロジックには、微分や積分、確率など大学受験レベル以上の数学的知識が使われています。
数学的知識がなければ、ある問題を分析するための適切なロジックがどれか分からない、という事態になってしまうかもしれません。
データサイエンティストの方は数学的知識がなければ仕事にならないのです。
機会学習エンジニアの方も、ライブラリなどを使えばある程度の人工知能を開発できますが、ライブラリのロジックが分からず、デバッグできない、同じライブラリを使って開発した他社のAIと差別化できないなどの問題もあるため、出来る限り数学的知識を身に付けておくべきです。
まとめ
今回はAIエンジニアのスキルや年収についてご紹介いたしました。
AIエンジニアの将来性は非常に高く、諸外国に比べると低いと言えども、日本国内においても、高額な年収を期待できます。
そんな、AIエンジニアという仕事に魅力を感じた方が多いかと思います。
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