こんにちは、ITプロマガジンです。
フリーランスの求人票で「精算幅」という言葉を見つけた経験のある人は、多いのではないでしょうか。精算幅を理解しておかないと、手違いで受け取れるはずの報酬が支払われなかった時に、損をしてしまうかもしれません。
本記事では、精算幅の概念や報酬の計算方法を解説します。日割りで働いた時の月単価や精算幅の計算方法、精算幅のある案件を受けるメリットなども解説するので、ぜひ参考にしてください。
「必要以上に安売りをしてしまう」「市場感より高い単価で参画してしまいトラブルになる..」
フリーランス市場は売り手市場であるものの、いまだに正しいノウハウが確立されておらず、多くの方が案件探しに苦労されています。
ですが、現在の市場感や企業側に刺さる経験・スキルを理解し正しく案件探しをすれば、誰でも自身のバリューを活かし単価を伸ばすことができる、というのも事実です。
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初めてのフリーランス、情報収集段階でも大丈夫です。あなたの働き方にマッチし、単価も高く、最もバリューを発揮できる案件を探しませんか?
目次
フリーランスが知っておきたい精算幅とは?
精算幅とは「クライアントが提示した月単価に必要な稼働時間(時間幅)」のことです。そもそも業務委託契約は、請負契約・委任契約・準委任契約の3つに大別され、精算幅は主に準委任契約で用いられます。
準委任契約を探していると、「月単価:70万円、精算幅:140~180時間」のように、月単位で月単価と精算幅がセットで提示されている求人票をよく見かけるでしょう。この条件の場合は、140時間を下回ると月単価から報酬が引かれ、180時間を超えると月単価に報酬が上乗せされます。
ちなみに「140~180時間」は、精算幅として定番です。平日8時間のペースで月20日間働くと、月の稼働時間は160時間。160時間を基準に幅を持たせると「140~180時間」となります。
クライアントが精算幅を設ける理由
クライアントが精算幅を設ける理由は、営業日数が少ない月にフリーランスに支払う報酬を減らすためです。精算幅を下回る稼働時間の時は月単価を減らせるため、クライアントは損失を回避できます。
準委任契約の稼働時間は、クライアントの営業日数によって変わります。正月休み・お盆休み・ゴールデンウィークなどで長期間クライアントが休みを取れば、準委任契約を結んだフリーランスも稼働時間が短くなりがちです。稼働時間が精算幅を下回った月は、報酬が月単価を下回ると理解しておきましょう。
精算幅における超過単価・控除単価とは?それぞれの計算方法
月の稼働時間が精算幅を超えた時に使用される時間単価を「超過単価」と呼びます。対して、精算幅を下回った時に適用される時間単価が「控除単価」です。
例えば、精算幅の上限を160時間としましょう。実働が170時間だった場合、月単価に加え10時間分の超過単価が支払われます。
超過単価・控除単価は、以下の2とおりの方法で計算可能です。
- 上下割
- 中間割
それぞれの計算方法について、具体的な数字を使って解説します。
上下割
上下割とは、月単価を精算幅の上限・下限で割る計算方法です。以下の条件で、超過単価・控除単価を計算します。
- 月単価:70万円
- 精算幅:140〜180時間
- 超過単価:月単価70万円÷180時間(精算幅の上限)=3,888円(小数点切り捨て)
- 控除単価:月単価70万円÷140時間(精算幅の下限)=5,000円
上下割の特徴は、超過単価と控除単価が異なるところです。控除単価の方が高いため、稼働時間が少ない時は報酬が大きく減ります。また、稼働時間が長い月でも、割増分が少ないと感じるかもしれません。
中間割
中間割とは、月単価を時間幅の中央値で割る計算方法です。以下の条件で、超過単価・控除単価を計算します。
- 月単価:70万円
- 精算幅:140〜180時間
- 超過単価または控除単価:月単価70万円÷160時間(精算幅の下限)=4,375円
中間割は、超過単価も控除単価も同額です。フリーランスにとっては、上下割よりも中間割の方が報酬面ではありがたいといえるでしょう。上下割と比較した時の中間割は、精算幅を下回る時の報酬の減りを抑えられ、精算幅を上回る時は多くの報酬をもらえるためです。
精算幅の日割りでの計算方法
月の途中から参画したフリーランスには、月単価を日割り計算したものが支払われます。月単価と精算幅、2種類の計算が発生するためやや計算方法は複雑です。日割りで働いた時の月単価と精算幅の計算方法を、以下に示しました。
- 日割りで働いた時の月単価:案件の月単価×(稼働日数÷営業日数)
- 日割りで働いた時の精算幅:案件の精算幅×(稼働日数÷営業日数)
分かりやすいように、具体例を挙げて日割りで働いた時の月単価と精算幅を計算してみましょう。
- 月単価:70万円
- 精算幅:140〜180時間
- 営業日数:20日
- 稼働日数:15日
- 日割りで働いた時の月単価:70万円×(15日÷20日)=52万5,000円
- 日割りで働いた時の下限の精算幅:140時間×(15日÷20日)=105時間
- 日割りで働いた時の上限の精算幅:180時間×(15日÷20日)=135時間
日割りで働くと、稼働日数が少ないため月単価が減額。また、積算幅は縮小されます。
先方との契約時に精算幅と合わせて確認したい項目
契約時に精算幅と合わせて確認したい項目は、作業時間単位と先方の営業日数です。
作業時間単位
作業時間単位は、「1分、10分、15分、30分、60分」など、案件やクライアントによって設定されています。作業時間単位が大きいと、損をしてしまう可能性があるため気をつけましょう。
例えば、作業時間単位が1分単位と、60分単位の案件を比較します。1日8時間55分働いたとして、作業時間単位が1分なら、8時間55分丸ごと稼働時間としてカウントしてもらうことが可能。一方、作業時間単位が60分なら、8時間分しかカウントされません。
先方の営業日数
クライアントによって営業日数は異なるため、控除が発生しやすい時期を確認し、事前に収入を予測しておきましょう。営業日数が少なくても精算幅の範囲であれば、稼働時間が少なくても一定報酬を得られるため安心です。可能ならば余った時間を利用してほかの案件を掛け持ちできると、収入を増やせるでしょう。
一方、営業日数が精算幅の下限を下回る月は、受け取れる報酬が減ってしまいます。収入が減る分ほかの案件でカバーしたり、割り切って勉強にあてたりして計画的に行動しましょう。
そのほか業務委託契約における注意点や確認しておきたいことは、以下の記事でも解説しています。
精算幅と固定精算との違い
固定精算とは、月あたりの稼働時間に関係なく決まった報酬が支払われる方法のことです。固定精算では、精算幅のように稼働時間の基準がありません。そのため、クライアントの都合などで稼働時間が少なくなった月でも、いつもと同じ額の報酬を受け取れます。
早く仕事を終わらせられるほど時間単位の報酬が増えるため、固定精算だとスキルアップのモチベーションが高まるでしょう。反面、トラブルが発生して長時間労働しても、固定精算では月単価以上の報酬を受け取れません。働き損を防ぐには、精算幅の方が公平な契約といえるでしょう。
特に、ステップアップするつもりで新しいジャンルの仕事を受ける時は、慣れるまで多大な時間がかかる可能性があります。時間をかけた分の報酬が気になる場合は、精算幅のある案件の方が安心かもしれません。
フリーランスが精算幅契約で働くメリット
前述のように超過時間分の報酬をもらえる点は、フリーランスが精算幅のある契約で働くメリットといえます。精算幅のある契約で働くメリットとして、以下も見ていきましょう。
- 成果物の納品が不要
- 精算幅の範囲なら突然の休暇もとりやすい
成果物の納品が不要
精算幅の記載がある案件は主に準委任契約のため、成果物の納品が不要です。業務委託契約には、請負契約・委任契約・準委任契約の3種類があります。準委任契約は、仕事の質を問わず稼働時間に対して報酬を支払う契約です。
一方、請負契約の場合は、成果物を納品しなければ報酬がもらえません。しかも、クライアントが求めるレベルを満たせなかった場合は、納品しても報酬を受け取れない場合がある点に注意してください。
働いた分だけ報酬を受け取れる点から、精算幅の記載がある準委任契約を選びたい人も多いと考えられます。
精算幅の範囲内なら突然の休暇もとりやすい
精算幅のある契約では、基本的にクライアントの営業日に合わせて働きます。ただし、体調不良や家庭の事情などで突発的に休みたい時、クライアントと相談して許可が出れば、精算幅の範囲内で休暇を取得可能です。
月の稼働時間がすでに精算幅の下限を超えていれば、稼働時間を調整しなくても月単価どおりの報酬が支払われます。一方、休むことで精算幅の下限を下回る場合は、精算幅内に稼働時間を調整しなければ決まった報酬を受け取れません。調整を試みても稼働時間が精算幅の下限を下回る場合は、控除単価×不足時間分が報酬から差し引かれます。
精算幅つきの案件の獲得ならエージェントへの相談がおすすめ
精算幅つきの案件に興味があれば、エージェントへの相談をおすすめします。フリーランスが契約を結ぶ際には、契約が精算幅かどうか以外にもさまざまな項目を確認しなくてはいけません。分からない部分を確認したり、契約条件を交渉したりする手間も発生します。しかし、契約に時間がかかるほど、本業にあてる時間は削られるでしょう。
エージェントなら契約交渉を代行してもらえるうえに、キャリアの相談から契約獲得までサポートしてもらうことも可能です。スムーズに契約して働けるように、エージェントを活用しましょう。
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まとめ
精算幅とは、クライアントが提示した月単価に必要な稼働時間のことです。精算幅内に稼働時間を納めると決まった月単価を受け取れ、超過分は報酬を上乗せしてもらえます。ただし、稼働時間が精算幅の下限を下回ると、報酬が減額されるため注意が必要です。
フリーランスが精算幅つきの案件を獲得する際は、エージェントの活用がおすすめです。契約ではさまざまな項目を確認しなければいけません。経験・ノウハウが豊富なエージェントのサポートを受け、スムーズに契約を結びましょう。
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