こんにちは、ITプロマガジンです。
業務委託契約を結ぶ際に、交通費の扱いをどうするかは意外と見落とされがちです。請負契約と準委任契約では交通費の支給条件が異なります。「交通費は発注者に負担してもらえるのか」「報酬にはすでに交通費が含まれているのか」などの確認を怠ると、後になってトラブルにつながるかもしれません。
また、発注者に交通費をどのように請求するか、勘定科目はどうなるかといった経理面のポイントも押さえておきたいところです。
本記事では、業務委託契約における交通費の基本的な考え方から、契約時に確認すべきことや、請求書の書き方まで解説します。状況ごとの交通費のルールを把握し、トラブルを未然に防ぎましょう。
「必要以上に安売りをしてしまう」「市場感より高い単価で参画してしまいトラブルになる..」
フリーランス市場は売り手市場であるものの、いまだに正しいノウハウが確立されておらず、多くの方が案件探しに苦労されています。
ですが、現在の市場感や企業側に刺さる経験・スキルを理解し正しく案件探しをすれば、誰でも自身のバリューを活かし単価を伸ばすことができる、というのも事実です。
ITプロパートナーズでは、
・9割がエンド直案件のため、高単価
・約6割が週3-4案件のため、柔軟に働ける
・約7割がリモートのため、働く場所を選べる
などの魅力的な案件を数多く保有し、マッチング能力の高い即戦力エージェントが完全サポートします。
初めてのフリーランス、情報収集段階でも大丈夫です。あなたの働き方にマッチし、単価も高く、最もバリューを発揮できる案件を探しませんか?
目次
業務委託とは?

契約ごとの交通費の扱いを理解するために、業務委託契約の種類について知っておく必要があります。業務委託契約は主に、請負契約と準委任契約の2種類です。それぞれの概要や種類について解説します。
なお、法律行為を扱う「委任契約」は、弁護士や税理士などの専門職に限定されるため本記事では取り上げていません。
請負契約
請負契約は、受注者が特定の成果物を完成させることを約束し、その成果物に対して発注者が報酬(委託料)を支払う契約形態です。請負契約では、業務の進行方法よりも最終的な成果物の出来映えが重視されます。
システムやアプリ、記事などの成果物を納品できなければ、請負契約では報酬が支払われません。また、納品する成果物は、契約で定められた仕様や納期を満たしている必要があります。
準委任契約
準委任契約は、受注者の労務提供に対して発注者が報酬を支払う契約形態です。準委任契約では成果物の完成よりも労務提供自体に焦点が当てられ、時間単位や月単位で報酬が支払われます。
例えば、システム保守、コンサルティングなどの業務は一般的に準委任契約が締結されるでしょう。また、成果物の完成が予定されるWeb制作やアプリ開発であっても、時給制で進める場合は準委任契約となる点に注意してください。
準委任契約は業務内容や期限について柔軟性があり、状況に応じて調整可能です。また、受注者は必ずしも、成果物の完成を保証する必要はありません。
業務委託の交通費の扱いはどうなる?
業務委託での交通費の扱いは、契約形態によって異なります。また、契約の締結前の費用は双方折半となるのが基本です。以下では、民法の内容を引用しつつ、業務委託の交通費の扱いを解説します。
契約形態によって扱いは異なる
請負契約と準委任契約のいずれかで、交通費の扱いは変わります。詳細を見ていきましょう。
請負契約の場合
請負契約において、受注者(請負人)は債務者の立場です。民法485条の原則に従い、交通費は受注者が負担します。
第四百八十五条 弁済の費用について別段の意思表示がないときは、その費用は、債務者の負担とする。ただし、債権者が住所の移転その他の行為によって弁済の費用を増加させたときは、その増加額は、債権者の負担とする。
引用元:民法 | e-Gov 法令検索
「弁済の費用」には、債務を履行するために必要となる、交通費を含むさまざまな費用が含まれます。
準委任契約の場合
準委任契約においては、民法第650条に従い発注者(委任者)が交通費を負担します。
第六百五十条 受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。
引用元:民法 | e-Gov 法令検索
受注者(受託者)が一時的に交通費を立て替えるケースもありますが、最終的な負担者は発注者となります。
契約の締結前に発生した費用は双方折半
民法第558条により、業務委託契約を締結する前に発生した交通費は、双方の折半となります。
第五百五十八条 売買契約に関する費用は、当事者双方が等しい割合で負担する。
引用元:民法 | e-Gov 法令検索
契約にあたって交通費の支出は欠かせないものであったと双方が納得した場合、交通費は「売買契約に関する費用」に含まれます。
業務委託の交通費における契約のポイント

業務委託契約で、交通費に関するトラブルを避けるポイントを紹介します。
交通費が支給されるかどうかを確認する
業務委託契約を結ぶ際に、交通費の支給有無を明確にしましょう。特に頻繁に現地へ出向いたり、一回の移動距離が長かったりする案件では、交通費が自己負担となると実質的な収入が大幅に減少してしまいます。
また、具体的な移動手段と実際に発生する金額について事前に双方で詳細を検討し、合意を交わしてください。例えば、公共交通機関を利用する場合と、自家用車を利用する場合では、費用が大きく変わります。曖昧な部分を残したまま業務を進めるとトラブルが発生しやすくなるでしょう。
交通費の支払い方法を相談する
交通費が支給される場合でも、支払われ方によって実際に受け取れる金額に差が生じるため注意が必要です。交通費が実費で支払われるか、すでに報酬に含まれているかを確認してください。
例えば「報酬10万円に交通費が含まれている」という条件で契約した場合、移動費が1万円の人は9万円、2万円の人は8万円が実質的な報酬となります。
移動回数が多い、または移動距離が長い業務ほど、交通費の出費は深刻です。移動にかかる実費と報酬のバランスを検討し、実際に手にする金額が期待を下回る場合は、交通費の支払い方法について改めて協議しましょう。
契約内容や合意事項を書面に残しておく
口約束による取り決めは後々のトラブルの原因となりやすいため、信頼関係がある相手でも業務委託契約書の締結は必須です。
契約段階で条件を明文化することで、安心して業務に専念できる環境を整えられます。「交通費別途支給」「上限◯円まで実費支給」といった具体的な記載により、双方の認識を統一しましょう。
業務委託の交通費に関する注意点
不利益を被らないように、業務委託契約を結ぶ際は契約内容を吟味しましょう。不安があれば専門家への相談も検討すべきです。業務委託の交通費に関する注意点を解説します。
曖昧なまま契約を進めない
交通費の取り扱いについて、不明確な部分があるまま契約を締結してはいけません。「交通費については後で相談」「状況に応じて支給」といった曖昧な表現は、後に認識の相違を生む原因となります。
上限金額・使用が認められる交通手段・支払い時期など、具体的な内容を事前に確認し、双方が納得できる形で明文化してください。不明な部分は遠慮せずに質問し、全てにおいて明確な合意を得てから契約を進めることで、将来的なトラブルを防止できます。
不安なら専門家に相談する
契約内容について判断に迷う場合は、弁護士や行政書士などの専門家への相談をおすすめします。専門家に依頼すると、契約書の文言が適切か、交通費の支給条件が妥当か、法的なリスクはないかなど、素人では見落としがちな重要なポイントをチェックしてもらえるためです。
また、フリーランスエージェントなどの仲介サービスを利用して発注者と契約すると、契約時の交渉についてサポートを受けられる場合もあります。
業務委託における交通費の勘定科目

業務委託における交通費の勘定科目は「立替金」または「旅費交通費」です。正しく仕訳しておけば、節税につながるだけではなく、発注者とのトラブルも未然に防ぎやすくなります。それぞれの違いや使い分けのポイントを見ていきましょう。
交通費を業務後に請求する場合
交通費を業務後に発注者へと請求する場合は「立替金」として経費計上します。経理処理の際は、実際に支払ったタイミングで交通費を立替金として記帳してください。領収書のコピーを取って保存した後で原本を発注者に渡し、経費精算後に立替金として相殺します。
交通費が報酬に含まれている場合
報酬に交通費が含まれている場合は、交通費を「旅費交通費」として経費計上してください。交通費を含んだ全額が売上として記帳され、源泉徴収税の対象となる点に注意が必要です。
実際の処理では、移動にかかった実費を自己負担したものとして取り扱い、後から経費として控除する形になります。なお、旅費交通費には電車代やバス代などの交通費に加え、業務上必要となった宿泊費も含めることが可能です。
業務委託における交通費の請求書の書き方
業務委託における交通費を請求する場合、請求書が必要です。請求書の詳細な書き方や注意点を解説します。
金額や移動区間などの詳細を記載する
交通費を請求する際は、交通費という項目を使用し、金額や移動区間などの詳細が分かるように請求書に記載してください。
例えば、日付・品目・単価(税込)・数量・金額(税込)などの項目を使って以下のように記載します。
2行×5カラム
請求期間内の交通費を合算して記入するのではなく、1回の移動ごとに行を分けて記載してください。往復の場合は「往復」、片道の場合は「片道」を明記しましょう。
消費税の二重課税に注意する
「内税」は、表示されている金額にすでに消費税が含まれている状態です。バスをはじめとする公共交通機関の料金は、基本的に内税として設定されています。二重課税とならないように、請求書作成時には注意してください。発注者に対して実際よりも高い金額を請求してしまうと、信頼関係に影響するリスクがあります。
例えば、バス代が420円だったとしましょう。420円には既に消費税が含まれているため、さらに10%を上乗せして462円で請求する行為は二重課税となります。
移動の証明となる書類を添付しておく
請求書には、移動の証明となる書類を添付する必要があります。交通費を立て替える際に、交通機関などに依頼して領収書を交付してもらいましょう。
ただし、電車やバスなどでは、個別の領収書発行が難しいかもしれません。その場合は、事前に発注者の合意を得られれば、交通系ICカードの利用履歴や乗車券の半券でも証拠書類として利用可能です。
どうしても領収書を入手できなかった場合には、「出金伝票」の活用も検討しましょう。自身で勘定科目、摘要、金額を記載した出金伝票は、証拠書類として認められます。
まとめ
業務委託における交通費は、請負契約の場合は受注者が、準委任契約の場合は発注者が負担するのが基本です。契約を締結する際には、まず交通費の有無を確認します。そのうえで交通費の取り扱いについて契約書に明文化し、不利益を被らないように注意してください。
また、交通費の勘定科目は、立替金または旅費交通費となります。交通費を立て替えた際は、消費税の二重課税に気をつけて分かりやすく請求書を作成し、発注者に提出してください。
- 高額案件を定期的に紹介してもらいたい
- 週2日、リモートワークなど自由な働き方をしてみたい
- 面倒な契約周りはまかせて仕事に集中したい
そのような方はぜひ、ITプロパートナーズをご利用ください!
まずは会員登録をして案件をチェック!