Webエンジニアは増えすぎ?将来性や生き残り戦略を未経験者に解説

こんにちは、ITプロマガジンです。

IT業界は人手不足だという話を耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。経済産業省による2019年の「IT人材需給に関する調査」では、2030年時点で最大79万人ものIT人材が不足すると発表され、業界内外に衝撃を与えました。

その一方で、Webエンジニアに限れば「増えすぎでは」という声があるのも事実です。人数が増えることで人員が過剰になれば仕事の奪い合いとなり、収入が下がったり職を失ったりする可能性があります。

この記事では、Webエンジニアが増えすぎといわれる理由や実情、IT業界で生き残っていくためのポイントを解説します。

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目次

Webエンジニアが増えすぎと言われる理由

Webエンジニアについて「増えすぎ」という声があがるのには、それなりの理由があります。まずは、どのような根拠があるのかを紐解いてみましょう。

エンジニアのなかでも人気の高い職種だから

ITエンジニアには「システムエンジニア」「プログラマー」などさまざまな職種がありますが、WebエンジニアをはじめとするWeb系の職種は特に人気があります。2021年にブレイバンステクノロジーズが実施した調査によると、ITエンジニアを目指す学生が希望する職種として最も多かったのが「Webエンジニア(開発エンジニア)」でした。

人気が高い、つまり多くの人が「Webエンジニアになりたい」と考えていることから、同業者の増加によって仕事を獲得するのが難しくなっていくのではないかという見方があります。

学習のハードルが下がっているから

Webエンジニアになるにはスキルを身につけなくてはなりませんが、オンラインで気軽に学べるプログラミングスクールが多数存在するなど、学習環境が充実しているのは事実です。

また、プログラミングを知らない人でもノーコードでWeb開発できるツールが登場しているため、学習内容自体の難易度が下がっているという意見もあります。ツールを活用する場合はツールの使い方さえマスターしてしまえばよく、プログラミングそのものの知識はさほど必要ありません。この他に、1ヶ月あたり1,000円前後で利用できるような格安のレンタルサーバーもあり、個人でWeb開発に取り組みながら学習しやすい点も大きいでしょう。

さらに、人材不足を補う目的で未経験者を採用してから教育する企業も多く、「就職して働きながら学ぶ」という方法も選択しやすいと言えます。

将来性がないという意見があるから

Webエンジニアには将来性がなく、今から目指すのにはリスクがあるという声も存在します。その背景にあるのが、専門知識不要で簡単にWebサイトを作れるツールの登場やAI(人工知能)の進化などです。

ツールやAIを駆使することで、誰もが簡単にWebアプリケーションを作れるようになってしまえば、専門職に回ってくる仕事は少なくなってしまうでしょう。ニーズが減る可能性があるにもかかわらず、Webエンジニアの人数は増えすぎなのではという見方があります。

本当にWebエンジニアは増えすぎ?将来性や業界の実態

Webエンジニアに増えすぎという声があることは否定できませんが、IT業界やWebエンジニアをとりまく実情も知っておきましょう。データをもとに実態をご紹介します。

IT業界は慢性的な人手不足

転職情報サービスの「doda」が公開している「転職求人倍率レポート」によると、IT・通信系の求人倍率は慢性的に高い水準にあります。

例えば2022年10月のデータによると、職種別の求人倍率で「エンジニア(IT・通信)」は10. 45倍。全体の2.23倍と比較すれば、その差は歴然です。エンジニア1人あたり10件以上の求人がある状態は、とても人手が足りているとは言えないでしょう。IT業界は慢性的な人手不足であり、実態はこういった数字にもあらわれています。

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Web業界は将来的に高い需要が見込める

便利なツールやAIの登場によってWeb制作のハードルが下がってきたとはいえ、Web業界全体の需要は依然として高く、将来性が期待できます。

総務省の「令和2年版 情報通信白書」によると、「インターネット附随サービス業」の売上高は右肩上がりで、2011年度には1.5兆円、2018年度には2.7兆円と成長を続けています。

ショッピングやさまざまな手続きをインターネット上で済ませることが当たり前になった現代では、Webサービスが必要不可欠です。Web関連業の需要が大きく減る可能性は低いと見込まれます。

未経験からWebエンジニアになる難易度と実情

学習のしやすさやニーズの高さに魅力を感じ、未経験からWebエンジニアが増えています。ライバルが増えれば、Webエンジニアとして生計を立てる難易度が上がるのは避けられません。未経験からWebエンジニアを目指すことの難しさや実情について解説します。

誰でも優秀なWebエンジニアになれるわけではない

どれだけ学習環境が整っていても、志望する人全員が「引く手あまたの優秀なエンジニア」になれるかどうかは別の話です。エンジニアとひと言でいっても、経歴やスキルは個人によって大きく異なります。特にフリーランスのWebエンジニアの場合、実績や豊富なスキルがなければ採用されないことがほとんどです。

Webエンジニアの総人数が増えたとしても、企業が求める優秀なエンジニアはその一部にすぎません。一方、仕事を長く続けて経験を重ね、自らのスキルを磨いていけば、Web業界で生き残っていくことは十分に可能です。

継続的に新しい技術にキャッチアップする必要がある

Webエンジニアが扱うプログラミング言語は、サーバーサイドであれば古くからある「PHP」や「Java」、フロントサイドであれば「HTML」「CSS」「JavaScript」などが定番です。

その一方で、次々と新しいプログラミング言語やフレームワークなどが生み出されるのが当たり前の業界であり、トレンドも移り変わっていきます。従来は広く使われていた技術や開発方法が変化したり、過去は希少価値があった開発手法が陳腐化したりすることも珍しくありません。

仮に未経験の状態から1年を費やして基礎的な技術を習得できたとしても、その時点でトレンドとなっている新たな技術にキャッチアップしなければ、実際の案件で活躍することは難しいでしょう。エンジニアは一度スキルを身につければ終わりというわけではなく、常にスキルアップし続けなければならないのです。

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働き方の自由度は会社・案件によって異なる

Webエンジニアは「リモートワークがしやすそう」「フレックス勤務に理解がありそう」など、働き方の自由度が高いイメージを持つ人もいるのではないでしょうか。

確かに、フリーランスのWebエンジニアであれば、フルリモートや勤務時間不問の案件を選ぶことで自由な働き方を実現可能です。自由に仕事を選べるのが、フリーランスの魅力だと言えるでしょう。

しかし会社勤めの場合は、基本的に会社が定める勤務時間や勤務場所、規則に従わなければなりません。また、フリーランスであってもWebエンジニアはチームで仕事をすることが多く、結果的には多くの人が働いている平日の日中を仕事に充てることになりがちです。

Webエンジニアのメリット

Webエンジニアを目指す人が多いのは、仕事内容や働き方に魅力があるからという側面もあります。Webエンジニアとして働くメリットを解説します。

キャリアパスの選択肢が多い

Webエンジニアに必要なプログラミングスキルやWeb開発に必要な知識・ノウハウなどは、他の職種でも活用できることが多いため、キャリアパスの選択肢が豊富にあります。時間をかけて身につけたスキルや築きあげた実績は、決して無駄になりません。将来的に、Webエンジニアから次のキャリアを目指す時にも生かしやすいのがメリットです。

詳しくは「Webエンジニアのキャリアパス・働き方の選択肢」の段落をご参照ください。

副業・リモートで働きやすい

Webエンジニアは基本的に、パソコンとインターネット回線さえあれば自宅やコワーキングスペースなどでも仕事ができます。リモートワークがしやすいため、副業にも向いていると言えるでしょう。

Webエンジニアは副業で稼げる?案件獲得方法と未経験者の始め方

本業をこなしながら軽めの案件で副収入を得たり、家族の世話をしながら自宅で働いたりと、自由度の高い働き方ができるのもWebエンジニアの魅力です。通勤を負担に感じる人にとっても、大きなメリットがあります。

フリーランスとして独立しやすい

Webエンジニアは、フリーランスを目指す人にもおすすめできる職種です。これはリモートワークしやすいことからフリーランス向けの案件が多数存在し、自分に合った仕事を見つけやすいからです。

会社に縛られないフリーランスは、働き方の自由度が高いことはもちろん、スキルや実績次第で収入アップを実現できたり、参画する案件を自由に選べたりと、会社員とは異なるさまざまなメリットがあります。万が一会社に何かあった時にも、身につけた技能だけで生計を立てられます。

フリーランスのWebエンジニアについては、こちらの記事でもメリット・デメリットをチェックしてみてください。

Webエンジニアがフリーランスになるには?独立メリットや年収・必要スキル

Webエンジニアとして生き残っていくために必要なポイント

Webエンジニアは、目指す人やなりたいと考えている人が多い職業です。ライバルの一歩先を行き、業界内で生き残るために重視すべきことを解説します。

スキルの幅を広げる・常に学習する

日進月歩のWeb業界では、研鑽を怠らず常にスキルアップを続けることが重要です。「フロントエンドの仕事だけできれば問題ない」など現状に甘んじることなく、幅広い技術を身につけることを心がけましょう。例えば需要の高い言語を学ぶのも良い方法です。

エンジニアに求められるスキルは「勉強すれば終わり」というものではありません。一度学んだことがいつまでも通じる業界ではないことを常に意識し、最新情報のキャッチアップを怠らず、知識を最新のものに更新していくことを心がけましょう。

こちらの記事では、フリーランスエンジニアが稼げるプログラミング言語について解説しています。

フリーランスエンジニアが稼げるプログラミング言語おすすめ10選

案件の獲得方法の工夫をする

フリーランスエンジニアの場合、少しでも条件のよい案件に出会えるよう、仕事の獲得方法も工夫しなくてはなりません。十分なスキルがあっても、営業方法や案件の探し方が悪ければ、いつまで経っても好条件の案件に出会えないでしょう。

「営業に自信がない」「なかなか好条件の案件を見つけられない」といった時に特におすすめの方法は、エージェントを利用することです。

顧客との信頼関係を大切にする

フリーランスとして活躍するなら、クライアントと信頼関係を構築していくスキルも重要です。「この人に任せておけば大丈夫」と思ってもらえるような信頼関係が、新しい依頼や別案件の紹介につながっていきます。

小さな仕事であってもクオリティーにこだわり、丁寧なコミュニケーションを意識しましょう。Webエンジニアはチームで動くことも多いため、人間関係を乱す原因になってしまうような振る舞いをすれば、いくら優秀でも仕事が減ってしまいかねません。

未経験からWebエンジニアになる方法3選

Webエンジニアは未経験からでも目指せる職業です。ゼロからWebエンジニアになる方法について解説します。

転職サポート付きのスクールを利用する

これからエンジニアの勉強を始めるのであれば、仕事探しの支援をしてくれる転職サポートが付いたプログラミングスクールを利用するのがおすすめです。

Webエンジニア向けのコースはオンラインで完結できるタイプも多く、時間が取れない人や近くにスクールがない人でも勉強しやすいのが特徴です。例えば、未経験からフリーランスエンジニアを目指せる「tech boost」には、独立や転職をサポートする「キャリア支援」があります。

自主制作で実績を作る

自主制作でWebサイトなどを開発し、最初の実績としてアピールの材料にするという方法もあります。クラウドソーシングなどで案件を探す際にクライアントに提示すれば、自分のスキルでできることをダイレクトに伝えられるでしょう。

自主制作は「実務経験必須」という条件の仕事をする場合には不十分ではあるものの、クライアントによってはスキルを評価してもらえる可能性もあります。複数のWebサイトを開発し、ポートフォリオとしてまとめておくのも1つの方法です。

未経験歓迎の求人に応募する

「未経験可」「未経験歓迎」などと表記されている求人に応募し、転職や就職をしたうえでスキルを磨く方法もあります。企業に雇用されることで、スキルを身につけながら収入を得られるのがメリットです。また、現場での経験ができるのも大きいでしょう。先輩エンジニアの働き方や仕事のこなし方には、学ぶべきことがたくさんあります。

Webエンジニアとして就職・転職する際の注意点

Webエンジニアを目指すために、企業へ就職・転職をする際に注意したい点を解説します。

ポートフォリオと志望理由を明確にする

未経験からWebエンジニアを目指す場合、採用する企業にとって懸念材料となるのは主に「それなりのスキルがあるか」と「長く続けてくれるかどうか」の2点です。

「未経験からWebエンジニアになる方法3選」の段落でご紹介したように、まずはスクールなどで可能な限りスキルを身につける必要があります。そのうえで実績をポートフォリオとしてまとめ、採用担当者にアピールできるようにしておきましょう。

また、長期的にWebエンジニアとして働く意思があることを示すためには、「なぜ未経験からこの仕事をしたいのか」といった志望動機を明確に説明できるようにしておくことが大切です。

Webエンジニアとしてのスキル・知識を身につけられる会社を選ぶ

会社によっては、必ずしもエンジニアとしての仕事に集中できない場合もあります。例えばクライアントの対応や保守対応、資料作成などの業務がメインになってしまうと、エンジニアとしての経験・知識はなかなか蓄積できません。

働きながらスキルを身につけるには、入社前に仕事内容や職場環境をよく確認し、Webエンジニアとして実践的な経験が積めるかどうかを見極めることが大切です。また、OJTや研修制度など、スキルや知識を身につけられる環境が整っているかどうかも重要なポイントです。

自分の目指す分野の経験を積めるか見極める

「Webエンジニア」とひとまとめにしても、個々の仕事内容や分野は多岐にわたります。

仕事内容に関しては、Webサイトの設計に関わるのか、デザイン部分に注力したいのか、それともHTMLやJavaScriptといった言語を扱うコーディングのプロになりたいのかで、何を勉強すべきかが変わってきます。

分野については、「コーポレートサイトをはじめとするBtoBなのか」それとも「ECサイトやポータルサイトといったBtoCなのか」というだけでも、チーム編成や仕事の進め方が異なるものです。場合によっては扱う言語やフレームワークも違ってくるため、自分の志向と合う会社かどうかを確かめましょう。

Webエンジニアのキャリアパス・働き方の選択肢

Webエンジニアとして身につけたスキルは、キャリアアップやキャリアチェンジにも役立ちます。Webエンジニアのキャリアパスと、それぞれのキャリアに必要なスキルについて解説します。

プロジェクトマネージャー

Web開発のプロジェクトを統括するマネージャーは、技術を学べば誰でもできる類いの仕事ではありません。エンジニアとしての知識に加え、マネジメントスキルや卓越したコミュニケーションスキルが求められるからです。

チームをまとめつつプロジェクトを問題なく完遂できるマネージャーは、Web業界内でも希少価値が高く、Webエンジニアより収入も高めの傾向があります。

ITコンサルタント

ITコンサルタントとは、クライアントが抱えるITに関する課題の解決を手助けする仕事です。Web開発の経験やスキルが活かせるうえ、収入アップも期待できます。

とはいえWeb開発だけを知っていればできるものではなく、IT全般やマーケティング、会社経営についての知識なども求められます。また、クライアント企業が属する業界の知識も求められるため、エンジニア以上に勉強が必要です。

フリーランスエンジニア

すでにご紹介したように、Webエンジニアはフリーランスとして活躍しやすい職業です。フリーランスになれば「Webエンジニア」という肩書きに縛られる必要はありません。技術面全般を担う「フルスタックエンジニア」として活躍したり、AI系のスキルを学んで「AIエンジニア」になったりなど、さまざまなキャリアパスが選べます。

この他にも講師としてプログラミングを教えたり、書籍や記事を執筆したりと、自分に合った仕事で活躍できるのが大きな魅力です。

まとめ

Webエンジニアは「増えすぎでは」といわれることもある職種です。その背景には、将来性の高さや学習のしやすさがあります。ライバルに負けず生き抜いていくにはまず、クライアントから「この人に任せれば大丈夫」と思ってもらえるエンジニアになることが重要です。エンジニアとしての技術やコミュニケーションスキルなどを磨き、差別化を図りましょう。

これからWebエンジニアを目指す際は、エンジニアになったのちにどのような仕事がしたいかを考えつつ、スキルや実績を積み上げられる方法を選ぶことが大切です。業界内で埋もれてしまわないよう、常に最新情報をキャッチアップすることも忘れないようにしましょう。

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