管理職を育成する上で重要なポイント4選と役立つ研修プログラム

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管理職は部下を育てたり、経営理念を現場に共有・浸透させたりと、企業の存続・発展を支える重要な役割を担っています。新型コロナウイルスや働き方改革といった社会情勢が変化し、テレワークの普及や価値観の多様化に対応できる管理職が求められるようになりました。

「管理職が部下を上手く育てられない」「管理職の役割を十分に理解できていないため、管理職の能力が基準に達しない」など、悩みを抱える企業も少なくありません。

今回の記事では、管理職の役割や管理職を育成する方法に加え、管理職の研修プログラムの具体例についてご紹介します。

企業における管理職育成の重要性とは?

管理職の育成により、下記のような効果が期待できます。

  • チーㇺの一体感を醸成する
  • 連携不足による業務の滞りを防止
  • 企業が管理職に求めている役割を的確に果たす

管理職はチームをまとめて目標達成に向けて行動を促すのが仕事です。管理職としてのスキルが足りないと、チームが上司を信用できず、チームがバラバラになるリスクがあります。

また、管理職は経営層と現場の橋渡しをしなければなりません。管理職にコミュニケーションを取る力がないと、経営層の理念や戦略が現場に届かず、現場の従業員の不満にもつながるでしょう。組織の関係者としっかりコミュニケーションが取れるよう、管理職を育成することは、業務を円滑に進める重要なポイントの1つです。

管理職が自身の能力を発揮し、管理職の業務を適切に行えるようにするためには、「管理職が企業から何を求められているか」といった管理職の役割を知っておく必要があります。管理職研修を通して、管理職の役割を理解してもらい、役割が十分に発揮できるよう土台を整えましょう。

管理職の役割をおさらい

管理職を育成するには、企業や人事担当者が「管理職の役割」を正しく把握して、適切な方向へ導くことがポイントです。管理職に求められる3つの役割を本章で確認していきましょう。

業務管理

自身の業務はもちろん、チーム全体の業務を管理するのは管理職の重要な役割の1つです。管理職は業務量の調整や誰に仕事を任せるかといった判断を行い、スムーズに業務がまわるように全体を俯瞰して業務管理をしなければなりません。

もし業務が目標達成に至らなければ、課題を洗い出して次回に向けた解決策を打ち出すことも必要です。業務管理を適切に進めるには、深く業務内容を理解することと、チーム間の連携を強くすることがポイントになります。

部下の育成

企業の成長・発展には従業員の育成が欠かせません。事業規模を大きくするという意味合いに留まらず、社会情勢や外部の環境に適応できる組織を作ることも含まれます。部下が育てば管理職の業務負担が軽減され、より重要な業務に専念できます。

従業員一人ひとりが能力を発揮できるよう、部下に合った育成方法を選択しなければなりません。部下の育成は、企業が繁栄して存続するために管理職が行う大切な役割です。

経営層の考え方の浸透

管理職は、経営層と現場を繋ぐかけ橋です。従業員の能力が秀でていても、現場が経営理念や組織の戦略を理解していなければ、間違った方向に進んでしまうリスクがあります。

企業と従業員が同じ方向に向かって成長するには、「企業が何を目指しているのか」といった経営層の考えをチームに共有・浸透させることが重要です。そのためには、管理職が経営方針やビジョンを正しく理解した上で、適切な言葉を選んで従業員に伝えていかなければなりません。

管理職を育成する方法と成功ポイント4選

管理職は自分自身の仕事をこなすだけではなく、経営理念や組織運営を理解して部下たちの成長を促さなくてはなりません。企業が期待する能力を発揮できる管理職を育てるには、具体的に何をすべきでしょうか。ここからは、管理職をどのように育成すれば良いのか、また成功させるためにポイントをお伝えします。

1.管理職の役割や業務の把握

管理職が自身の責任を果たすには、「経営層から何を求められているか」を知っておくことが重要です。管理職を育成する際は、管理職の役割を事前に明示しましょう。そして、管理すべき業務が把握できるよう、部下と組織全体の業務についても理解を促すことが大切です。

2.管理職研修の活用とサポート体制の構築

管理職候補者に地位を与えただけでは、スキルや経験値不足により能力が発揮できない可能性もあるでしょう。管理職となる人材にはあらかじめ研修を行い、常にサポートできるよう環境づくりをしてください。

管理職の研修プログラムについて詳細は後述しますが、代表的なものとしてはコミュニケーション研修やフィードバック研修、リスクマネジメント研修などが挙げられます。外部の講師を呼んだり、経営大学の通学も視野に入れ、管理職がスキルを伸ばせる機会を提供しましょう。

3.現場でマネジメント経験を積ませる

プレマネジメントとは、管理職となる前に、管理職の疑似体験をすることです。近年ではプレマネジメント経験を得ず、いきなり管理職となる人材は少なくありません。プレマネジメント経験を通して管理職の業務に触れておけば、昇格後のプレッシャーを軽減できます。

またプレイヤーと管理職では必要とされる能力が異なるという点も学べるのも、大きな魅力と言えるでしょう。

4.適切なフィードバック

管理職はチームをマネジメントし、目標達成にむけて従業員一人ひとりに働きかけなければなりません。管理職に就いたといって任せきりにせず、上司が適宜フィードバックをして適切な成長を促し、必要であればフォローをしましょう。管理職のプレッシャーにつぶれてしまわないよう、管理職も組織の一員であると理解することが重要です。

管理職の育成に役立つ研修プログラム例

管理職育成といっても、どのような能力を伸ばすべきなのでしょうか。次に、管理職研修として代表的なプログラムを4つピックアップし、解説します。

コミュニケーション研修

組織を円滑に機能させ成果を出すためには、チーム間のコミュニケーションが大きく影響を及ぼします。管理職は、チームのメンバーに経営理念をかみ砕いて伝え、チーム連携を強化しなくてはなりません。コミュニケーション能力は、業務遂行そのものだけではなく、部下との1on1や面談時にも必要となるスキルです。

コミュニケーション研修で、「聴く・話す」力を引き出すことで、通常の業務をスムーズにするだけではなく、円満な人間関係構築にも役立ちます。相手の気持ちを理解し、最適な言葉選びができれば、部下から信頼されチームをより強固なものにできるでしょう。

フィードバック研修

フィードバックとは、相手に「改善すべき点・評価している点」などを伝えて、相手の行動を軌道修正を図ることです。フィードバックによって、上司からの期待やどのような能力が不足しているかを示すことで、間違った方向への努力を防止できます。フィードバックは消極的なものと受け取られやすいので、ポジティブなものも伝え、アドバイスをすることも必要です。

フィードバック研修では、フィードバックの概要やフィードバックのタイミング、方法、成功のポイントなどを学習します。

チームマネジメント研修

チームマネジメントとは、目標達成に向けてチームメンバーが円滑に業務遂行できるよう働きかけ、従業員の能力を最大化できるチームへマネジメントすることを指します。従業員個々の生産性よりも、チームで団結した方が生み出す成果は大きいです。管理職はチームマネジメントを通し、チーム力を強くして、メンバーのやる気を引き出しましょう。チームマネジメント研修では、チーム活動や目標設定、計画の立案や進捗管理等を学びます。

スクマネジメント研修

業務遂行にはさまざまなリスクがつきものです。管理職にはリスクを仮定して解決策を練り、実行する力が求められます。リスクを最小限に抑えるために、社内セキュリティや労務、情報の管理といった知識が必要です。研修で発生しやすいリスクを理解し、対応方法や分析の仕方を学びましょう。

管理職育成に関するまとめ

管理職の育成には、研修プログラムの実施やサポート体制の整備が役立ちます。管理職本人が自身の果たすべき役割を理解することも重要ですが、まずは人事担当者が管理職の役割を正しく知り、管理職候補者を育成しなければなりません。管理職の育成に悩んでいる方は、育成方法を模索する前に管理職の役割が何か原点に立ち返りましょう。