マネジメントは「管理」ではない!両者の違いと管理職に求められる事

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ビジネスマンであれば、一度は「マネジメント」という単語を聞いたことがあるでしょう。マネジメントと似た言葉に「管理」があり、この2つの違いを混同している人は少なくありません。マネジメントを実施し適切に組織を運営していくためにも、マネジメントと管理の違いを理解しておくことが大切です。

また、経営者や人事担当者は、マネジメントと管理の違いを明確にして指導を実施することが、効率良く管理職を育成するのに役立ちます。

本記事では、マネジメントと管理の違いや従来の管理が意味すること、管理職に求められる仕事や能力について解説します。

マネジメント=管理ではない!両者の違いとは?

マネジメントと管理が同一視されやすいと冒頭で述べましたが、両者の意味や定義はどのように異なっているのでしょうか。本章では、従来の管理が持つ意味やマネジメントの定義を解説し、両者の違いについて詳しく解説します。

従来の「管理」とは

日本が従来行っていた管理は、部長や課長といった中間管理職が業務管理の管理を行いながら、トップである経営層の意向を現場に届け、部下を統制したり行動を管理したりすることを指しました。

これまで官公庁、一般的な企業はトップダウンで管理されていましたが、社会の変化に影響を受けて縦型の管理手法では組織が機能しにくくなるといった課題が生じます。そこで近年、関心を集めているのがマネジメントです。次に、マネジメントの定義を確認していきましょう。

マネジメントの定義とは

ピーター・ドラッカーは、「マネジメントとは組織に成果を上げさせるための道具・機能・機関である」と自著「マネジメント」で述べています。具体的に言うと、ヒト・モノ・カネ・情報といった4つの経営資源を有効に使い、組織が成果を上げて目標を達成できるように目指す道具・機能・機関を言います。

マネジメントの意味や具体的な仕事内容などを詳しく知りたい方は、こちらの記事もぜひ読んでみてください。

マネジメントとは何か?意味や仕事内容、必要なスキルを簡単に解説

両者の決定的な違い

マネジメントが「組織に成果を上げさせるための道具・機能・機関」であるのに対し、管理とは「基準から外れないように全体を統制すること」を指します。

つまり、マネジメントは経営に関する管理を通して成果を上げさせることを表し、管理とは統制する行動そのものを呼び、目的や範囲は大きく異なっているのです。

なぜ管理ではなくマネジメントが求められるのか?

従来の管理体制からマネジメントが必要とされるようになった理由として、IT化が進んだことが挙げられます。ITの進展にともない、目覚ましい勢いで経営革新が進み、企業を取り巻く環境は大きく変化しました。例えば非正規雇用が増え、従業員一人ひとりの働き方に関する価値観が変わり、グローバル化も進んでいます。

このような社会情勢の中、今までの管理方法は企業に馴染まなくなりつつあります。そして、新しい手法であるマネジメントが注目されるようになったのです。今後は従業員一人ひとりが自発的に判断しながら業務を遂行し、マネジメントによって同じゴールが目指せるようアプローチするやり方が必要となるでしょう。

管理職に求められるマネジメントの仕事や能力

ここまでは、管理とマネジメントの意味や定義を解説してきました。本章からは、どのような仕事や能力が管理職に求められるのか、詳しく確認していきましょう。

マネジメントの仕事内容

管理職はプロジェクトの遂行に加え、部下のマネジメントなど幅広い業務を担当しています。管理職が行う仕事内容として代表的なものとして、下記のようなものが挙げられます。

  • プロジェクトの管理
  • 現場での意思決定
  • 部下の指導や育成
  • 部下の労務管理

チーム全体を俯瞰し、メンバーとコミュニケーションを取りながらチームの動きを調整して目標達成することが、マネジメントの仕事内容です。マネジメントを管理する方法はさまざまで、企業規模や業務により適切な方法を選択しなくてはなりません。

マネジメントに求められる能力

マネジメントは主に、次の6つの要素で構成されています。

  • 目標設定スキル
  • 管理スキル
  • 意思決定スキル
  • コーチング・コミュニケーションスキル
  • ファシリテーションスキル
  • 問題解決・分析スキル

マネジメントを行う際は、経営目標を達成するためにチームや個人の目標を設定して管理する力が求められます。また、あらゆる場面で意思決定を行う必要も出てくるため、冷静に状況を見極めて判断するスキルも要るでしょう。この他にも、チームのメンバーとコミュニケーションを取って指示を分かりやすく伝えたり、トラブルを解決したりして業務を遂行・管理する能力も必要となります。

マネジメント能力や高め方など、詳細を知りたい方は下記の記事も参考にしてみてください。

マネジメント能力とは?構成するスキルと能力を向上させる4つの方法

マネジメント能力が高い人の特徴とは

マネジメント能力が高い人は、分析力や洞察力、コミュニケーション力が優れているといった特徴を兼ね備えている傾向にあります。この他にも人望が厚く、責任感が強いといった特徴があり、チームが成果を上げられるよう積極的に働きかけることが可能です。マネジメント能力が高い人の特徴については、次の記事で詳しくご紹介しています。

マネジメントに向いているのはどんな人?能力が高い人の7つの特徴

マネジメントと管理の違いに関するまとめ

マネジメントは馴染みのある言葉ですが、管理やリーダーシップなど別の単語と同一視されやすく、正しく理解している経営者や人事担当者は多くありません。管理は「組織の統制」を指しますが、マネジメントは組織全体をゴールへ導き成果を出すことを意味します。

日本社会を取り巻く環境は今後も急速に変化し続け、止まることはないでしょう。企業が生き残るためには、変化に合わせて柔軟に組織を運営していくことが重要なポイントです。

事業発展のために、まずはマネジメントの概要を把握して、管理体制を見直すことからはじめてみてはいかがでしょうか。