管理職の平均年齢は何歳?昇進までの期間や求められるスキル

管理職の年齢 人材育成・マネジメント

「管理職の適性年齢はいくつくらいなのだろう」
「若い世代が管理職になることは難しいのだろうか」

管理職を目指している人の中には、このような疑問を持っている人もいるのではないでしょうか。たしかに、年齢が上がらなければ管理職のポジションに昇進しにくいイメージがあるかと思います。

しかし、管理職になるための年齢制限は一般的には存在しません。むしろ、企業によっては個人のスキルを重視する傾向にあります。しっかりスキルを身につければ若手でも管理職になることは十分可能です。

この記事では、管理職に求められるスキルや管理職の役割について解説します。最後まで読んで、管理職としての必要スキルを身につけるための参考にしてください。

管理職の平均年齢は何歳?

令和2年の 厚生労働省の調査結果 では、管理職(係長、課長、部長)の平均年齢は、次のようになっています。

  • 係長:46歳(男性:45.1歳、女性:45.9歳)
  • 課長:49歳(男性:48.7歳、女性:49.0歳)
  • 部長:53歳(男性:52.8歳、女性:53.1歳)

なお、大卒が管理職に昇進するまでのスピードは以下の年齢です。

役職最短標準
係長29.5歳32.7歳
課長33.4歳33.9歳
部長40.1歳47.0歳
出典: 一般財団法人 労務行政研究所 | 役職別昇進年齢の実態と昇進スピード変化の動向

大学新卒者が最初に管理職になるのは、早い人で7〜8年後、平均すると10年くらいが一般的です。業界や企業の人材構成などによっても異なりますが、こちらの「最短」をひとつの目安に昇進の目標を立てるとよいでしょう。

男女別:管理職の年齢推移

続いて、男女別の管理職の年齢推移や企業規模による管理職の年齢の違いについて見ていきましょう。

役職別の男女別年齢推移は以下のように推移しています。

年度係長級課長級部長級
2011年度男性:43.6歳
女性:43.4歳
男性:47.4歳
女性:47.4歳
男性:51.8歳
女性:52.0歳
2016年度男性:43.9歳
女性:44.1歳
男性:47.7歳
女性:48.8歳
男性:52.3歳
女性:52.7歳
2021年度男性:45.1歳
女性:45.9歳
男性:48.7歳
女性:49.0歳
男性:52.8歳
女性:53.1歳
参照: 令和3年賃金構造基本統計調査の概況

上記の表からわかる通り、どの役職においても男女ともに、年々平均年齢は高くなってきていることがわかります。しかし、上記はあくまでも平均であり、実際は前述の通り、早期に役職者に登用される人もいるのです。

また、企業の女性管理職割合については下記のようになっています。

出典:厚生労働省 | 令和3年度雇用均等基本調査
年度係長課長部長
2018年16.7%9.3%6.7%
2020年18.7%10.8%8.4%
2021年18.8%10.7%7.8%
女性管理職の割合

2018年と2021年を比較すると増加しているものの、それほど大きくは伸びておらず、特に上位の役職ほど増えていません。

企業規模による管理職の年齢の違い

企業の規模による違いはあるのでしょうか。一般的に、大企業では課長の多くが40代後半であるのに対し、中小企業の場合は30代後半です。

一般的に、従業員が1000人を超えるような大企業だと、ポジションがあかないことや、同年代が多いことが主な原因となっています。なぜこのようなことが起こるかというと、大企業には年功序列制度が根強く残っているからです。

一方で、会社の規模が小さいほど昇進のスピードは速い傾向にあり、社員数が100人に満たないような会社では、入社数年で管理職に昇進することも少なくありません。ただ、大企業でも実力成果主義を取り入れる企業も増えており、優秀な人材の昇進は早くなってきています。

また、管理職比率の高い産業(情報通信系など)は、管理職の平均年齢が低いことも特徴です。(参考: セレクションアンドバリエーション株式会社 | 管理職比率に紐づく管理職の実態調査)

管理職が若い企業は外資系

管理職の平均年齢は日系企業と外資系企業で大きく異なります。一般的に、外資系企業は日系企業に比べ、管理職になるのが早い傾向です。そのため若い世代が企業の核となって活躍しています。

実際の海外企業の管理職への昇進年齢は以下の通りです。

国名課長昇進部長昇進
アメリカ34.6歳37.2歳
インド29.2歳29.8歳
中国28.5歳29.8歳
タイ30.0歳32.0歳
日本38.6歳44.0歳
出典:リクルートワークス研究所「Works No.128」5カ国マネージャー調査

外資系と日系企業の違い

日系企業は終身雇用制度の影響もあり、組織内に勤続年数が長い人が多くなります。その上、年功序列制度の影響もあり、管理職の平均年齢が高くなります。さらに、ポストが空かなければ管理職になれないことも少なくありません。

一方、外資系企業では経験や能力が重視される傾向にあり、活躍できそうな人材は即戦力として役職を与えられるケースは少なくありません。また、外資系企業は比較的新しい企業も多く、若手が多い傾向があります。

このような理由から、外資系企業では若い人が管理職になることが一般的になっています。

優秀な人材の流出も増えている

上記で解説したように、日系企業では実力があっても昇進しにくいことがほとんどです。そのため、30代で昇進すれば「若くして昇進した」と言われることがあります。

しかし、外資系企業では実力成果主義のため、実力があれば年齢に関係なく昇進できる仕組みになっており、30代で昇進するのも当たり前のことなのです。このような日系企業特有の制度が足かせになり、実力がある優秀な若い人材ほど外資系企業に転職するケースが増えています。

優秀な人材の流出を防ぐためには、若手の能力を早期に評価し活用する環境を整えるなどの環境整備が重要です。人事評価制度の見直しを行うなど、企業として変化しなければ今後も流失は避けられません。

管理職の主な役割

管理職になればプレイヤーとしての業務を行いながら、新たに管理職としての業務を兼務することになるのが一般的です。管理職を目指す人は適性があるかどうかも重要な要素となります。ここからは、管理職の役割について詳しく見ていきましょう。

業務管理をする

管理職の役割は、自分の部署の部下をまとめ、チームとして組織の目標を達成することです。代表的なものに次のようなものがあります。

  • チームの指揮と監督
  • 目標の設定と計画
  • 予算や人員の管理
  • コミュニケーションと情報の伝達

部門が目指す方向性や目標を定め、チームで業務を円滑に遂行することは管理職の重要な役割のひとつです。また、管理職は日常的な問題や課題に対して解決策を見つけ、意思決定も行わなければなりません。

部下の育成やマネジメント

管理職になれば部下が増えるため、部下のモチベーション向上や実力を最大限に発揮させることが重要です。チームとして成果を残すためには、プレイヤーとして自分の業務を行うことよりも、部下を育て、使いこなすためのマネジメント能力が問われます。

そのためには、部下に対し定期的なコミュニケーションや業務のフィードバックを行い、共に成長する環境を作ることが組織力の強化につながります。

社員と経営側の橋渡し

管理職は部下と上司を取り持つ役割もあります。管理職は経営側の側面もあるため、経営陣が立てた戦略や目標を理解し、メンバーにわかりやすく伝え、組織全体を同じ方向に向かって進ませなければなりません。

つまり、経営側の戦略や目標を社員に伝えるだけでなく、共感や納得感を与える説明が求められます。そのためには、日頃からチームメンバーとのコミュニケーションが重要です。

その一方で、管理職は社員の意見や要望を経営側に伝える役割も担います。たとえば、チームリーダーとしてメンバーの声を集め、経営側に提案や改善の要望を伝えることで、より良い職場環境作りを行うなどです。

このように、管理職は社員のモチベーションを維持し、組織として一体感を持って業務を行ってもらうための役割もあります。

管理職の仕事内容

管理職の仕事内容とは?役割や必要スキルと併せて紹介

管理職に求められるスキル

管理職は誰でもできるわけではありません。部下の上に立つ人物としてのスキルが備わっていなければ、部下からの信頼が得られずチームとして機能しなくなる可能性があります。
最後に、管理職に求められるスキルについて解説します。

テクニカルスキル(業務遂行能力)

まずは、自分自身が業務を指導できるだけの知識と技術を身につける必要があります。部下から業務についての質問を受けた場合「わからない」では部下からの信頼は得られません。
つまり、部下のマネジメントや評価をする以上は、誰よりも仕事ができることが必要なのです。

また、管理職は日々のさまざまな課題を適切に解決しなければなりません。自らが業務を深く理解していることで、より迅速かつ適切な対応が可能です。

ヒューマンスキル(コミュニケーション能力)

管理職は、部下やチームと協力して業務を遂行する役割を担っています。チーム内の適切なコミュニケーションによってチームの結束力が高まり、チームメンバーのモチベーションが向上するのです。

そのためには管理職が積極的にコミュニケーションをとり、チーム内のコミュニケーションが活発になるような雰囲気作りをする必要があります。また、管理職は組織の代表として、取引先と話をしなければならないことも少なくありません。

このようなコミュニケーション能力は、社内・社外を問わず、相手との信頼を築くために必要なスキルです。

コンセプチュアルスキル(概念化能力)

コンセプチュアルスキル(概念化能力)は、さまざまな事象について本質を見極められる能力のことで具体的には次のような能力です。

  • 物事を論理的に整理できる能力(ロジカルシンキング)
  • 物事を客観的に分析できる能力(クリティカルシンキング)
  • 経験や常識、固定観念にとらわれない考え方ができる能力(ラテラルシンキング)

たとえばトラブルがあった際に、本質的な課題はどこにあるのかを見極めて問題解決を行うことや、何を優先させるべきなのかを判断しなければなりません。

管理職に求められる3つの能力とは?スキルの高め方とあるべき姿

管理職の年齢に関するまとめ

今回の記事では「管理職の平均年齢」や「管理職になるためのスキル」について解説しました。一般的に、管理職になるためには、入社してから10年程度と考えておくとよいでしょう。

しかし、近年では年功序列もなくなりつつあり、若手でも管理職になりやすくなってきています。ベンチャー企業やスタートアップ企業などでは20代で管理職という人も少なくありません。

ただし、管理職になれるだけの能力が備わっていなければ、部下からの信頼を得ることは難しくなります。本記事で紹介した管理職に求められるスキルを身につけて、最短で課長を目指しましょう。