管理職が行うべき人材育成の目標例を職種別で一覧紹介

人材育成の目標例 人材育成・マネジメント

管理職が人材育成をするためには、適切な目標設定により社員が目指す方向性を明確に示すことが欠かせません。しかし、どのような目標を設定したらよいのかわからない管理職の方も多いはずです。

本記事では管理職向けに、人材育成における職種ごとの目標例詳しく解説していきます。目標設定する際のポイントも紹介するので、部下の成長や組織力向上のために、ぜひ参考にしてください。

管理職が人材育成の目標を設定する際のポイント

人材を育成するためには、適切な目標設定が不可欠です。まずは、人材育成のための適切な目標設定のポイントを詳しく解説します。

上位目標から落とし込む

チームや組織が目指す最終目的に即した目標を設定することが、人材育成の目標設定において重要です。上位目標から具体的な目標に落とし込むことで、組織全体が最終目標の達成に向けて足並みをそろえて業務を遂行できます。

例えば、チームの目標であれば、事業部門の目標に即した内容の目標を設定する必要があります。

方向性をそろえることで、個人と企業間のミスマッチを軽減できる効果も期待できるでしょう。

段階的な目標を設定する

最終目標を見据え、目標を段階的に分けて設定することも大切です。大目標や中目標、小目標などのように意識しましょう。

最終目標は、組織やチームなどが達成を目指す最終到達点を指します。最終目標だけを掲げていると、目標が大きすぎて何から着手すべきなのか道筋を見失うおそれがあるため注意が必要です。

例えば「〇月〇日までに売上〇%アップさせる」という最終目標に対して、「今週の売上は〇%」などのように、小目標・中目標を設定していきましょう。

具体性のある目標設定を行う

「定量的な指標」や「達成した状態」を掲げ、具体的に目標を設定することが重要です。目標が不明確だと人によって目指す目標に対する達成度の認識が異なり、適切な評価やフィードバックが期待できません。

具体的には、「何を」「いつまでに・どこまで」「どのように」達成できたかを明確にしましょう。

「何を」

「〇〇商品の売上アップ」などのように、具体的に何を行うかを明確にします。なお、売上をどのくらいアップさせるのかの基準も定めておくことが大切です。

「いつまでに・どこまで」

達成基準項目を明確にすることも必須です。つまり、どの状態に達したら「達成した」といえるかの具体的な基準です。定量的な目標であれば数値や指標、定性的な目標なら「達成した状態」を定めます。このとき、定性的な目標の場合は曖昧な表現になりがちなため注意が必要です。

「生産性アップのための人事システムを導入することで、〇〇年〇月までに社内の残業時間を〇〇時間削減」などのように、達成したい状態を明記する必要があります。

「どのように」

具体的な計画を設定することも重要なポイントです。「〇月〇日までに要件定義を終了させる」「〇〇職種の顧客に新たに20件のサービス提案をおこなう」など、実施したかどうかがわかるように具体的に表現します。

適切な目標設定になっているか確認する

目標の設定が適切かどうかも重要なポイントといえます。目標設定の際は、SMARTという枠組みを活用すると効果的です。SMARTとは、Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Assignable(達成可能)、Relevant(経営に関連)、Times(時間的制約)の5つの要素を意味します。

SMARTの要素をすべて満たすことで、社員や組織全体の底上げを期待できる高い目標を設定できるのです。それぞれの要素の意味を解説していきます。

Specific(具体的)

定量的・具体的な目標であることはもちろん、計画から達成までの道筋の具体性が求められます。立てた目標を具体的な計画に落とし込むことが大切です。

Measurable(測定可能)

目標までのプロセスを可視化し、達成できたかどうかを証明できる基準を明確にします。定量的な目標の場合は、目標の数値で達成率を把握できます。他方、状態を表す目標の場合は、目標として達成率を客観的にわかるように示しておくことが必須です。

Assignable(達成可能)

設定した目標は、達成できるものでなければ意味がありません。目標達成までのプロセスをイメージできるような目標を設定することが大切です。

例えば毎月の売り上げが100万円の職種で「3ヶ月後に1億円の売上を達成」といった目標を掲げても、達成不可能であることは明白です。逆に、簡単に達成できる目標を設定することも、社員のモチベーションを低下させる原因となるため避けましょう。

Relevant(経営に関連)

経営の目的や理念に関連性のある目標を設定することが必要です。前述したとおり、上位目標から目標を落とし込むという方法により対応できます。個人と企業間の足並みをそろえることが肝要です。

Times(時間的制約)

いつまでに達成させるのかという時間的制約を盛り込むことが必要です。期日を設定することで、目標に向けて業務を遂行できます。

【職種別】人材育成の目標例

適切な目標設定の枠組みを理解したところで、ここから具体的に職別の目標を紹介します。所属する職種において、目標例を参考にして実際に目標を検討してみましょう。

営業の目標例

営業職では、個人とチーム別でそれぞれの目標が設定されていることが一般的で、定量的な目標を設定しやすい職種です。数値を用いて、具体的なチーム目標を設定しましょう。

営業職の目標例は以下のとおりです。

  • チーム全体の売上を前月比30%アップする
  • 〇年〇月までに新規顧客数を50件増やす

目標を達成するためのプロセスについても、具体的な数値目標を設定することが大切です。

人事総務の目標例

人事総務職の場合は、数値での目標設定は難しいことが一般的です。そのため、誰から見ても基準がわかるように客観的な目標を設定する必要があります。

人事総務職の目標例は以下のとおりです。

  • 有給取得率を前年比20%にする
  • 時間外労働時間を前年比10%削減する
  • タイムカードのシステムを新たに導入して給与計算の業務時間を20%削減する。

経理の目標例

経理職の場合も、数値での目標設定をしにくい傾向があります。そのため、客観的にわかる基準を目標に定めることが大切です。

経理職の目標例は以下のとおりです。

  • 会計ツールの導入によりミスを前月比10%軽減する
  • 社内文書のデジタル化を進めて経費を前月比15%削減する
  • 手形管理エクセルシートを作成して手形に関する帳簿処理業務を50%削減する

マーケティングの目標例

マーケティング職は、営業と同じように目標設定がしやすい点が特徴です。目標を設定する段階で、売上につながる可能性の高い目標を設定しましょう。

マーケティング職の目標例は例えば以下のとおりです。

  • ライターを1名採用して今季ブログのPV150万を獲得する
  • 企業のSNSを開設して〇月〇日までにフォロワー数を2万人に増やす

エンジニアの目標例

昨今オンラインによるコミュニケーションの活発化により、UIスキルの向上を掲げる企業が増えています。また、多くの企業でエンジニア職の人材が求められている傾向があるため、適切かつ具体的な目標の設定が不可欠です。

エンジニア職の目標例は以下のとおりです。

  • 〇年〇月までに会員ページのUXを改善して継続利用率を10%上げる
  • 〇年〇月までにWebアプリケーションのUIを向上させてCVRを110%改善する

事務職の目標例

事務職も目標を設定しにくい職種です。しかし、データや数字の細かい処理が求められるため、適切な目標設定がなされていないと、ミスを誘発するおそれがあります。

事務職の目標例は以下のとおりです。

  • 社員でダブルチェックする体制を構築して上半期終了時までに伝票入力ミスの発生率を月3件から0件にする

新入社員の目標例

入社したての新入社員には、モチベーション向上のために実現しやすい目標を設定することが大切です。また、早期に戦力化することが目標となるケースが多いでしょう。

新入社員の目標例は以下のとおりです。

  • 1日最低5本は電話に出る
  • 月に1回実施されるチーム会議で必ず1つは企画案を提出する
  • 〇〇商品について1日30分勉強する

目標の管理方法と注意点

人材育成の目標設定に必要な考え方や具体例を理解したところで、実際に管理職が目標を設定する際にはいくつか注意点があります。

振り返りの場を儲ける

定期的に目標の達成度を確認する時間を設けることが大切です。基本的には、目標の中でも小目標の達成ができているか確認します。目標達成を阻むような要因や問題点を洗い出し、軌道修正を図りましょう。なお、プロセスに問題がなく順調に業務を遂行できている場合は、目標設定が甘い可能性もあります。

社員の成長に合わせて、適切な目標に見直していくことが不可欠です。

進捗を見える化し管理する

目標の進捗状況を可視化できるように目標管理シートを用意することが大切です。進捗を客観的に見ることができれば、振り返りの場において定点観測が可能となります。

例えば、達成状況をグラフ化するなど、視覚的に達成度を把握できるように工夫すると効果的です。

目標管理シートを作成する際は、チーム内でフォーマットを統一したり管理しやすい仕組みを構築したりしてシステム環境を整備することが大切です。

結果だけでなくプロセスも見る

目標の達成度は重要な評価ポイントですが、そのプロセスも重要です。前述した振り返りの機会の設定や進捗の可視化を図ることで、目標達成に向けてのプロセスを把握できます。

社員は結果だけでなくプロセスを含めて評価してもらえることで、仕事に対するモチベーションを維持しやすくなるでしょう。

人材育成の目標設定をする上で大切な6つのポイント【具体例付き】

まとめ

社員の能力や組織力を向上させるために、人材育成のための目標設定が不可欠です。しかし、職種や組織状況によって目標の設定方法が異なります。目標設定のポイントを押さえ、働く現場の状況や社員の成長に合わせて適切な目標を設定することが大切です。そして、目標を設定したら継続的に達成度をチェックしてサポートしていく仕組みが求められます。

本記事で紹介した目標設定のポイントや例を参考にして、ぜひ自社の人材育成に関する仕組みの見直しを図ってみてはいかがでしょうか。