マネージャーの育成を検討するときに、候補者の選出に悩む経営者や人事担当者は少なくありません。マネージャーに適した人物の特徴を理解し指導を行うことが、短期間で効率良くマネージャーを育成するのに有効です。では具体的に、どのような人がマネージャーに向いているのでしょうか。
今回の記事では、マネジメントを構成する3つの能力をはじめ、マネージャーに向いている人の特徴や、マネジメント能力を向上させるポイントについてまとめました。
ぜひ最後まで読んで、マネージャー候補を選出するときのヒントに役立ててください。
Contents
マネジメント能力とは
マネジメントとは、「成果を上げさせるための道具・機能・機関」であるとピーター・ドラッカーは唱えました。ビジネスにおけるマネジメントとは、経営管理や経営運営のことを指し、人や物、お金といった資源を有効に活用して成果を上げ、経営目標の達成を目指すことを意味します。
より詳しくマネジメント能力やリーダーシップとの違いについて知りたい方は、こちらの記事がおすすめです。
マネジメント能力を構成する要素
マネジメントに向いている人の特徴を解説する前に、マネジメント能力がどのようなスキルで成り立っているのか、確認していきましょう。本章では、マネジメント能力を構成する3つのスキルを解説します。
アセスメントスキル
アセスメント(assessment)とは、査定や評価を意味する英単語で、アセスメントスキルとは、チームメンバーの状況を理解して正しく評価するスキルです。マネージャーは評価にあたり、従業員一人ひとりの「能力」「行動傾向」「育成ポイント」を把握し、パフォーマンスを最大化するにはどうすれば良いかを察知しなくてはなりません。
1対1でコミュニケーションが取れる時間を確保したり、常日頃メンバーの行動を観察したりして、メンバーの適性や家庭環境などを理解するよう努めることが重要です。
アカウンタビリティスキル
アウンタビリティ(accountability)とは「説明する義務・責任」を指し、相手に分かりやすく物事を伝えるスキルをアカウンタビリティスキルと呼びます。つまり、理解できる言葉を選び、納得できるまで説明することです。
チームメンバーに説明するときは、結論を先に伝えて簡潔に話をまとめ、たとえ話を入れて抑揚をつけると良いでしょう。
コーチングスキル
コーチング(coaching)とは指導のことで、対話を通して本人が自発的に課題の答えを見つけられるよう促すコミュニケーション手法です。部下自身に考えさせることを目的としており、主体的に働けるよう部下を育成するのに役立ちます。
マネジメントに向いている能力が高い人の7つの特徴
マネジメント能力を構成する3つの要素を押さえたら、ここからはマネジメントに向いている人が持つ7つの特徴をみていきましょう。
1.常に冷静でいられる
マネジメント能力の高い人は、どのような状況下でも慌てず冷静でいることができます。トラブルや危機に直面しても、冷静に状況を見極めて最善の判断をし、解決へと導くでしょう。
2.分析力がある
分析力を持っているのも、マネジメント能力が高い人の特徴です。論理的に分析をすることは、適切な方法を選択してマネジメントを行う上で欠かせないスキルの1つです。指示が正しくないと、チームのメンバーが従うことはなく、成果を上げることもできません。
3.洞察力がある
マネジメント能力が高い人の特徴として、部下や同僚、周囲の状況などを観察する洞察力が優れている点が挙げられます。スケジュールの進捗管理やチームメンバーを理解し、マネジメントするには洞察力が必要です。
優れた洞察力を持っている人は、高いマネジメント能力を持っていると言えるでしょう。
4.計画性がある
4つ目の特徴は計画性が高いことです。マネジメントをする立場になると、プロジェクト全体を把握し、目標から逆算して計画を立案し、実行する力が求められます。計画を立てた後も、常に人員や業務を調整し、計画通りに進むよう調整することもマネジメントには欠かせないスキルです。
5.コミュニケーション力が高い
チームメンバーと綿密なコミュニケーションを取れる人は、マネジメント能力が高い傾向にあります。メンバーとの関わりは業務を遂行する上で非常に重要です。コミュニケーションがきちんと取れていれば、指示が正しく伝わり、質の高い仕事につながります。
部下の希望や課題を聞き、良好な人間関係を構築するコミュニケーション力を持っている人は、マネジメントに向いているでしょう。
6.責任感が強い
責任感が強い人は、マネジメント能力も高い可能性があります。責任感が強ければ部下に信頼されやすいでしょう。また、マネジメントを行って成果を上げようという意識も強いため、管理職となって十分に力を発揮できると言えます。
7.人望がある
マネジメント能力が高い人は、部下から信頼されていることが多いです。マネジメント能力が高い人は部下とコミュニケーションをしっかり取れているため、信頼関係が構築されており、その結果、人望が厚くなる傾向にあります。
マネジメントに向いてない人の5つの特徴
マネジメントに向いていない人をマネージャーに選任すると、会社と従業員双方の負担が大きく、費用対効果が低くなるなど好ましくない状況に陥りやすくなります。本章では、マネージャーにおすすめできない人の特徴を5つピックアップし、解説しました。
1.客観性がない
意見や指示に客観性がない人は、マネジメントに向いていない可能性が高いです。客観性がないと周囲が混乱し、チームが正しく機能しなくなるおそれがあります。また業務効率が落ちやすくなるといった悪影響を及ぼすでしょう。
2.自分のミスを認められない
ミスを認められない人は部下や同僚から信頼されず、マネジメントをしても効果が得られにくいです。メンバーの過ちを修正することも、マネジメントに必要な仕事の1つです。
ミスを認められない人は、ミスの露見を恐れて隠したり、放置したりする傾向があるため、マネジメントに向いていないと言えます。
3.優柔不断
マネジメントに向いていない人の特徴として、優柔不断で自分の判断に自信が持てないことが挙げられます。マネジメントをするポジションに立つと、素早く冷静に決断しなければならないケースもあるでしょう。
判断に迫られたときに優柔不断な対応をすると、思わぬ損失やトラブルを引き起こし危険です。
4.説明が下手
分かりやすく的確な指示を出し、チームを管理することはマネジメントの重要な仕事です。他人に上手く説明ができないと、予想通りの成果を上げられず、マネジメントが失敗するリスクを高めるため、説明が下手な人はマネジメントに適していないでしょう。
5.感情の起伏が激しい
マネジメントでは、メンバーの感情レベルに合わせて話を聞き、コーチングしたりコミュニケーションを取ったりする場面が頻繁に発生します。
感情の起伏が激しく、自分の感情をコントロールできない人は相手の言葉に耳を傾けることが難しく、マネジメントを行えません。感情に飲まれやすい人は周囲から信頼も得られにくいため、研修などを通して自分の感情をコントロールすることから始めてみましょう。
マネジメント能力を向上させるには
前章では、マネジメントに向いている人と、向いていない人の特徴を説明しました。次に、マネジメント能力を効率良く伸ばすポイントを3つご紹介します。
優先事項を明確化する
プロジェクトや複数の部下を管理するときには、自分の業務を含めて全体を把握し、何を行うべきか優先事項を決めて取り掛からなくてはなりません。優先事項を間違えると業務に支障が出て、チームワークを乱してしまいます。
マネジメント能力を高めるために、まずは冷静に周囲を見渡して、処理の速度や時間を計算し、優先事項を明確にする習慣を身に付けましょう。
他人のスケジュールも把握する
自分のスケジュールだけではなく、部下や同僚など周囲のスケジュールも管理して全体を見渡す力を養いましょう。仕事を通してマネジメントに必要な情報を収集する癖をつけ、実践を重ねることが大切です。
研修を受ける
マネージャー向けの研修を行うことも有効な手段の1つです。マネジメントに特別な才能は必要なく、研修によってスキル向上が期待できます。
基礎的な研修から応用的なものまで幅広く実施されているため、足りないスキルを洗い出し、適切な研修が受けられるよう職場環境を整備しましょう。
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マネジメントに向いている人に関するまとめ
マネジメントに向いている人・向いていない人の特徴をピックアップしてご紹介しました。マネジメント能力を向上させるには、研修や実践に加えて本を読み情報をインプットすることも重要です。
チームをまとめて成果を最大限に引き出すためにも、経営者や人事担当者はマネジメントにふさわしい人材を選任し、マネジメント能力を向上させる取り組みを実施しましょう。