組織作り・マネジメントのフレームワーク「7S」を分かりやすく解説

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「従業員のモチベーションが低く、生産性が下がっている」「会社の雰囲気があまり良くない」と悩んでいるのであれば、組織自体に問題があるかもしれません。組織が正常に機能するように、組織作りの検討をおすすめします。

組織作りと聞くと、規模が大きく手が出しにくいと考える経営者や人事担当者は多いと思います。そこで今回は、7Sという組織マネジメントに効果的なフレームワークを解説します。

あわせて組織作りと組織マネジメントの意味、経営資源についてもご紹介しています。ぜひ最後まで読んで組織作り・組織マネジメントの理解を深め、組織改革に役立ててください。

組織作り・組織マネジメントとは

組織作りとは、経営目標を達成するために文化、組織構造、人事システムといった仕組みを構築し、人材を動かす状態を指します。具体的には、共有の価値観を浸透させ方向性を揃え、従業員が働きやすい環境を整備するための人事システムを作ることです。

組織作りについて興味のある方にはこちらの記事を参考にしてみてください。

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組織マネジメントとは、経営者層や管理職が経営資源を活用して、円滑な組織活動の実現と安定した業績が得られるよう管理することを言います。効果的に組織マネジメントを行うには、基本であるマネジメントを正しく理解することが重要です。マネジメントに関しては、以下の記事で詳しくご紹介しています。

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組織マネジメントで考えるべき4つの資源

組織マネジメントとは、組織がスムーズで効率的に業務を遂行できるよう、経営資源のパフォーマンスを最大化して組織の目標達成に結びつけることです。経営資源とは、「ヒト、モノ、カネ、情報」の4つを指します。

組織マネジメントを正しく機能させるために必要な4つの経営資源について、概要を解説します。

ヒト

経営資源の中で最も重要とされているのが「ヒト」です。モノ・カネ・情報といった他の資源は、ヒトが活用することで価値が生まれます。何が顧客にとって価値があるかを考え情報を活用し、お金を使ってサービスや製品を生み出すなど、企業の活動に必要なことを遂行するのがヒトだからです。

労働力人口が減り、人材確保が容易でなくなっている昨今では、採用活動や人材育成などヒトに関する対策が企業にとって重要な課題となっています。

モノ

企業が作り出した製品、製品を開発するための設備や機械、オフィスのツールなどを指します。自然災害対策として利用する排水ポンプ、自家発電装置、免振装置なども、モノに該当します。無駄なくモノを活用して、利益を最大化するのが事業運営の目的であり、課題と言えるでしょう。

カネ

企業にとってお金は人材の確保や物の購入を行う「手段」でもあり、利益という「目的」という面も兼ね備えています。

資産であるカネを蓄え企業の体力を高めることは、事業運営をする上で重要なポイントです。しかし利益を上げているだけでは、適切な事業運営ができているとは言えません。

手元に資金がないと資金繰りがショートして黒字でも倒産するリスクがあります。企業はキャッシュフローを把握してカネの動きを追い、リスクの少ない運営を目指しましょう。

情報

情報とは顧客データ、ノウハウ全般、コミュニティといった、形のない資産のことです。テクノロジーが発展し、情報は企業にとって重要な経営資源として重視されています。市場競争が激化しており、蓄積されたデータを分析・活用して情報の価値を引き出し、戦略的に事業を運営することは企業の課題です。情報を効率良く収集・活用するためには、クラウドシステムなどを導入し、業務効率化を図るのが有効でしょう。

組織作り・マネジメントのフレームワーク「7S」と活かし方

7Sとは、3つのハード面と4つのソフト面で構成された経営マネジメントのフレームワークです。7つの要素を体系的に把握することで、どの資源が相互間の影響を理解し、それぞれが効果的に機能するようにデザインが可能です。7Sの活用により、企業の課題発見や解決策を打ち出すのに役立ちます。

ハードの3S

ハードのSは組織を構造する要素を指し、具体的には次の3つです。

  • Strategy(戦略)
  • Structure(組織構造)
  • System(システム)

以下で詳細を説明します。

Strategy(戦略)

戦略とは、「事業の方向性」のことです。ビジネスにおいて他社よりも自社が優位な状況(競争優位性)を維持できるよう、方向性を決定することを意味します。たとえば、競合や顧客の変化を見据えて事業計画を立案し、価格、価値の提供といったものが戦略に該当します。

Structure(組織構造)

組織の形態の特徴のことで、分権化か集権化なのか、機能的か、指揮命令系統がどうなっているかなどを表します。組織構造の代表的なものとして、以下のようなものが挙げられます。

  • 機能別組織
  • 事業部制組織
  • チーム組織

経営戦略と組織構造は密接に関わっており、組織が戦略を変えた際には組織構造も再編する必要があります。つまり組織構造は、「戦略を遂行する分業システム」としての役割を担っているのです。

System(システム)

システムとは、組織目標を実現させるための制度・仕組みそのものを指します。代表例を下記にまとめました。

  • 人事評価制度
  • 目標管理制度
  • 社内情報システム
  • 会計システム
  • 業務管理システム

システムの形態は問わず、マニュアルや明文化されたルールなどもシステムに該当します。システムが正しく機能するように、情報管理、インフラの整備、透明性を確保し、機能していないシステムについては見直しを検討しましょう。

ソフトの4S

ソフトは個々の従業員に関する要素のため、ハードよりも変更に時間を要し、簡単に再構築ができないのが特徴です。ソフトの4Sは以下の通りです。

  • Shared value (共通の価値観)
  • Skill (スキル)
  • Staff(人材)
  • Style(スタイル)

それぞれの概要を確認していきましょう。

Shared value (共通の価値観)

共通の価値観とは、企業理念、ビジョン、行動指針といった事業運営の礎となるものを言います。組織のメンバーが一丸となって目標達成を目指すためには、価値観を共有して方向性を揃えることが重要です。

共通の価値観は、組織マネジメントの中心的な存在であり、定期的に経営者層と従業員間で価値観の認識に差異がないか確認をして、方向性の調整を図りましょう。

Skill(スキル)

スキルとは、営業力、マーケティング力、技術力、開発力といった、競合他社よりも秀でている能力のことです。組織の能力だけではなく、従業員個々の能力も含みます。

たとえ戦略や組織構造が完璧でも、スキルがなければ経営目標の達成は見込めません。市場で優位性を保つためにも、自社の戦略実行に必要なスキルを棚卸して、向上を目指しましょう。

Staff(人材)

人材とは、組織に所属する従業員そのものを指し、自社が求める人材を適切に採用できているか、人材の持つ能力やモチベーションなどを向上させる活動も該当します。具体的には、採用活動、リーダーシップ論、人材開発などです。

Style(スタイル)

スタイルとは、経営方針、社風、職場環境、働き方などを意味します。スタイルは目標達成や従業員のモチベーションに深く関わっている要素です。システムや人材が優れていても、スタイルが従業員のモチベーションを下げると、効率的な経営目標の達成が難しくなります。

競合他社との差別化を図り、人材の持つ力を最大限引き出すためにも、戦略に合致したスタイルにしましょう。

フレームワーク「7S」を活用するメリットや注意点

フレームワークはフォーマット化された思考の外枠(枠組み)を指します。フレームワークに課題を当てはめ順序立てて思考を整理することで、思考のブレを減らし、スムーズに課題の解決策を導くのに役立ちます。

本章では7Sを使うメリットと、実践にあたって注意するべき点に着目し、解説しました。

7Sを活用するメリット

7Sは組織マネジメントを効率良く実践するのに効果的で、上手く活用できれば以下のようなメリットが得られます。

  • 企業課題の明確化
  • モチベーション向上に寄与

7Sを活用する主な目的は、7Sの分析による課題の発見、組織マネジメントの強化にあります。ハード面とソフト面から自社を分析することで、課題を浮き彫りにできるでしょう。

また、組織構造や人材など多角的な分析により、目標達成のための社内施策や制度が適切か見直すきっかけになります。人事評価制度などを構築、見直しをして正しく機能させるよう働きかければ、従業員のモチベーション向上が可能です。

ソフトの4Sも着目する

ハード面はトップの意思で比較的容易に変更・改革できますが、ソフト面は抽象的であったり、従業員一人ひとりに関わるものだったりするので、変更が困難です。さらにソフト面はハード面よりも、変更・改革に時間を要するとされています。

しかし時間がかかるとは言え、共通の価値観を構築し全員に浸透させることは、経営目標を達成するためには不可欠です。また人材のモチベーションを高め、社風を良くして働きやすい環境を作ることは、生産性の向上につながり効率の良い事業運営を可能にします。

変化や改善が難しいからこそ、早めにソフト面の改革に着手することが、組織マネジメントを成功に近づけるポイントです。

共通の価値観が最重要

前述した通り、7Sの中心となるのが共通の価値観です。価値観とは、何かを決定し評価する際の判断基準となります。企業の価値観と従業員の価値観が一致していれば、業務で意思決定を行う際に、企業の方向性に合致した判断が下せるでしょう。共通の価値観は業務を遂行する上での指針となり、組織が一丸となって経営目標を達成するために持っていなくてはならない認識と言えます。

企業理念やビジョンといった、組織運営の根幹となる価値観を共通させることが重要であり、個々の価値観をすべて企業と一致させる必要はありません。

組織マネジメントに必要な能力と高め方

組織マネジメントを行うには、下記の能力が有効です。

  • 問題解決力
  • マネジメント能力
  • コミュニケーション能力

組織マネジメントとは冒頭で触れた通り、組織が効率良く業務を遂行できるよう管理することです。課題を明確にして解決策を講じ実行することも、管理に含まれます。そのため組織マネジメントを行うには問題解決力が欠かせません。また組織がまとまって目標を達成するには、従業員を導いていくためのコミュニケーション能力も必要です。

問題解決力やマネジメント能力、コミュニケーション能力は、研修やコーチングの受講などで向上が期待できます。専門の研修機関や講師を活用し、スキルアップに役立てましょう。

なおマネジメント能力について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

マネジメント能力とは?構成するスキルと能力を向上させる4つの方法

組織作り・マネジメントのフレームワークに関するまとめ

組織と従業員がバラバラの方向を目指していると感じたら、組織が正しく機能していない恐れがあります。健全な組織は人材を定着させ事業の発展に寄与しますが、組織が破綻していると従業員が離れ、事業として成り立たなくなる可能性が高いです。

組織作りの基礎を理解し、組織マネジメントのフレームワークを活用することで、従業員のモチベーションを向上させ、効率の良い経営目標の達成につなげましょう。

事業を継続・発展させるためにも、組織マネジメントのフレームワーク「7S」を理解し、組織の外枠や組織内の課題を見つけ、改善に向けて一歩踏み出してはいかがでしょうか。