人材育成に必要なスキルとは?必須スキル8選と大切なポイント

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人材不足が深刻化する中、従業員を育てて優秀な人材にすることは企業の大きな課題です。

人材育成の重要性を理解していても、「人材育成する側に必要なスキルが分からない」「取り組むときのポイントが知りたい」と疑問を持つ方も多いでしょう。人材育成をする側がスキル不足だと、期待している効果が得られにくく、部下の不信感にもつながります。

今回の記事では、人材育成を行うために必要なスキルを7つピックアップし、人材育成を行うポイントをまとめました。

人材育成に必要なスキル7選

研修や制度といった職場環境の整備に加え、指導者のスキルを伸ばすことも、人材育成を効果的に行うために欠かせないプロセスです。本章では人材育成に役立つ7つのスキルを解説します。

なお、人材育成の基本的な知識を包括的に知りたい方は、こちらの記事で詳しくご紹介しています。

人材育成とは何か?考え方や大切なこと、主な手法をわかりやすく解説

1.現状把握スキル

1つ目は、現在の状況を客観的に捉えるスキルです。現状把握スキルを身に付けることで、チームや企業が抱える課題やトラブルの要因といった手がかりがつかめます。現状を正確に理解できていないと、適切な改善策を打ち立てられません。チームのメンバーの状況を知り、個々人に合った育成を行っていくためにも、事実とデータにもとづいて現状把握する力を身に付けましょう。

2.目標設定・計画スキル

目標を掲げ細分化して計画を立てるスキルも、人材育成に求められるものの1つです。目標設定・計画スキルとは「どのような目標を、いつ、どのように達成すべきか」を明確にすることを指します。チームのメンバーの足並みをそろえ、同じ方向に進めるよう目標設定することは、生産性を向上させるのに役立ちます。

計画を立てるだけでなく、実際に計画が順調に進んでいるか進捗管理することも、重要なスキルです。目指す方向がズレていないか、業務に遅れが出ていないかなど、トラブルを未然に防止し目標を達成するために、進捗管理はしっかり行いましょう。

3.コミュニケーションスキル

部下の教育や指導をスムーズに行うには、コミュニケーションスキルも必要です。コミュニケーションスキルは、相手の理解度に合わせた言葉を選び、意見に耳を傾け、質問するスキルを指します。このスキルを習得することで人間関係の構築を促し、指示や指導内容を部下がスムーズに理解するのに役立ち、効率の良い人材育成につながります。

4.コーチングスキル

コーチングとは相手の言葉に耳を傾け、適切な質問を選んで相手に発見を与え、自発的な行動を促すことです。コーチングスキルを活用すれば、「自ら考え、行動できる」部下の育成に効果を発揮するでしょう。コミュニケーションスキルと似ていますが、コーチングスキルは相手に必要な気付きを与えることと、行動を引き出すことを目的としている点で大きく異なります。

5.マネジメント能力

マネジメント能力とは管理する力を指し、管理の対象は従業員だけではなく、情報、環境などを含み、ポジションによって管理する範囲は変動します。従業員が活躍できる場を与え、能力や成果を最大限発揮できるようマネジメントを行うことで、優秀な人材を育成することができます。

6.リーダーシップ力

リーダーシップ力とは、設定した目標を達成するために、組織やチームを運営する方法を示すことです。リーダーシップを和訳すると、統率力や指導力を意味します。人材育成のプロジェクトを円滑に進めるには、指導者がリーダーシップを発揮してチームのメンバーをまとめなければなりません。

7.適切な人選をする力

キャリアプランを考慮し、適切な人に適したポジションを与える力も、人材育成で求められるスキルです。たとえば管理職として育成しようとしている人物が、役職につきたくないと考えている場合、管理職向けの人材育成を行っても効果は得られないでしょう。従業員にとっても負担が増え、会社に対する不信感を抱くおそれがあります。適切な人材を選べるよう、指導者は相手の希望や働き方に関する価値観を理解し、見極めることが大切です。

人材育成をする上で大切なこと

企業が発展し続けるには、継続的かつ効果的な人材育成が欠かせません。ここからは、人材育成を成功へ導くために、意識すべき3つの視点を解説します。

人材育成は長期的な視点で考える

企業の長期的な発展を支えるには、人材育成自体も長期的であることが求められます。なぜなら、人材育成の施策を講じても、すぐに効果は出にくく、一人ひとりの成長速度も異なるからです。また、数年後には社会情勢や従業員のポジションも変化しているので、長期的な経営視点のもと、人材育成も将来を見据えて行いましょう。

スキルマップを作成する

スキルマップとは、業務上で必要となるスキルと、従業員個人が持つスキルを表にしたものを言います。組織やチームのスキル状況を可視化することで、補うべきスキルを発見し、適切な育成計画の立案に役立ちます。人材育成の研修や制度を整えても、チームにとって必要のない内容であれば、効果は得られず時間の浪費となるかもしれません。向上させるべきスキルに着目して適切なアプローチを行うことが、効率良く人材を育成するポイントです。

人材育成は階層別に考える

習得すべきスキル、知識、役割などは階層別によって異なるため、人材育成も階層別に分けて実施しましょう。企業における階層とは、一般的に新入社員、中堅社員、管理職といった役職を示します。階層別の人材育成については、次の章で詳しく確認しましょう。

階層別の人材育成ポイント

ここからは、新入社員と中堅社員の2階層に分け、人材育成を行うときに押さえておくべきポイントを解説します。

新入社員の育成ポイント

ビジネスに関する基礎固めを中心として、育成計画を立てましょう。新入社員は新しい環境に入ったばかりで社会人経験がありません。指導者は理解度を確認しながら丁寧に指導することが大切です。フォローが不十分だと会社に馴染みにくく、人間関係の構築にも支障が出やすくなり、早期離職のリスクを高めてしまいます。

仕事に関するビジネスマナーや業務の基礎知識を重点的に指導し、まずは仕事が円滑に行える人材に育てることを目的としましょう。

中堅社員の育成ポイント

仕事に慣れて業務をこなせる中堅社員には、管理職を見据えた人材育成を行うのがポイントです。業務の成果を上げることに意識がいきがちで、中堅社員の指導がおろそかになる企業も少なくありません。リーダーに抜擢して部下のマネジメントを担当させるなど、次世代の管理職となれるような人材育成を実践しましょう。

人材育成に必要なスキルに関するまとめ

指導者のスキル向上は、人材育成の研修や制度の効果を最大化につながるため、今回ご紹介した7つのスキルを理解し、適切な指導ができるよう指導者の能力を高める施策を講じましょう。7つのスキルはどれも特別なものではなく、研修や日々の業務内で向上させることが可能です。

人材育成を成功に近づけるには、部下への指導内容に加え、指導者のスキルアップも含めて計画を立案することが重要なポイントです。