ダイレクトリクルーティングの導入を検討しているものの、「自社で独自にダイレクトリクルーティングを運用する以外に効率の良い方法はないか」「ダイレクトリクルーティングを成功させるコツが知りたい」と考えている人も多いでしょう。
ダイレクトリクルーティングを導入しても、適切に運用しなければ期待通りの効果を得られず、失敗するおそれが高くなります。
この記事ではダイレクトリクルーティングを効果的に活用したい人に向け、ダイレクトリクルーティングの概要からメリット・デメリット、費用、おすすめのダイレクトリクルーティングサービスなどをご紹介します。
Contents
ダイレクトリクルーティングとは?
ダイレクトリクルーティングとは、会社が就活生・求職者にアプローチをする採用手法です。
求人媒体や人材紹介会社を経由する場合、応募や紹介を「待つ」のが一般的でした。一方ダイレクトリクルーティングは、自社にマッチすると思われる就活生・求職者を採用担当者が探して、直接アプローチをするため「攻め」の採用手法と言われ注目されています。
ダイレクトリクルーティングが普及した背景
ダイレクトリクルーティングが広まった背景には、次の2点が要因として考えられます。
働き手の減少
少子高齢化が進み、内閣府の「令和2年版高齢社会白書」によると2065年には約2.6人に1人が65歳以上、約3.9人に1人が75歳以上となり、働き手となる労働力人口は大幅に減少するとされています。
働き手が足りなくなり、今後はさらに「優秀な人材の確保」「社員の定着」が会社にとって大きな課題となるでしょう。そこでミスマッチを防ぎ、積極的な採用を行えるダイレクトリクルーティングが普及するようになりました。
ITの発達
ITはDXの推進もあって急速に成長し続けています。SNSの普及にともない、会社と個人が接触してコミュニケーションをとることが容易になりました。
近年ではITツールとSNSを通してお互いがいつでもリアルタイムでやり取りでき、その結果会社がスカウトする採用手法が普及したと考えられます。
従来の採用手法とダイレクトリクルーティングの違い
従来型の採用手法として主に、①求人媒体、②紹介会社の利用の2つがあります。この2つはどちらもアウトソーシングして応募者からの応募や、紹介会社からの紹介を「待つ」採用手法であり、「攻める」手法のダイレクトリクルーティングとは大きく異なります。
以下で詳しく確認していきましょう。
求人媒体との違い
ダイレクトリクルーティングよりも、求人媒体は大きな母集団を形成できます。しかし、就活生・求職者がどんな人材であるか応募が来るまで不明で、母集団を形成してからスクリーニングをしなければなりません。
またダイレクトリクルーティングに比べて大手求人媒体を利用するとコストが高額になりがちです。
人材紹介との違い
人材紹介は自社にマッチした人材をエージェントから紹介してもらえるため、ダイレクトリクルーティングと同じく母集団の質が高いです。人材紹介で内定を出すと採用者の年収の35%前後が成功報酬の相場と言われており、ダイレクトリクルーティングよりも1人あたりの採用単価が高くなる傾向にあります。
またダイレクトリクルーティングと違い、人材紹介会社を使った場合は母集団形成がコントロールできません。
ダイレクトリクルーティングのメリット・デメリット
ダイレクトリクルーティングのメリット・デメリットを理解し、ミスマッチを防ぎ効率的な人材確保につなげましょう。
ダイレクトリクルーティングのメリット4つ
ダイレクトリクルーティングの主なメリットは以下の4つです。
- 1.運用次第でコストを抑えられる
- 2.顕在層と潜在層の両方にアプローチできる
- 3.自社にマッチした人材を見つけられる
- 4.採用ノウハウの蓄積
以下で、詳しく確認していきましょう。
1.きちんと運用できれば低コストで採用できる
ダイレクトリクルーティングの年間コストは1人あたり、新卒であれば30~100万円前後、中途は年収の15%または300~400万円前後が一般的とされています。月額にすると新卒採用は2.5万円~、中途採用は25万円~が相場です。
求人媒体は会社によって異なりますが新卒向けのマイナビを利用すると、80~295万円です。またダイレクトリクルーティングによる中途採用のコストが年収の15%前後に対し、人材紹介会社では年収の35%前後です。
ダイレクトリクルーティングは軌道に乗せて運用すれば、求人媒体や人材紹介会社よりもコストを抑えられる採用手法と言えます。
2.潜在層へのアプローチが可能
2つ目のメリットは潜在層の段階で求職者に接触できる点です。求職者には顕在層と潜在層の2つがあります。
潜在層とは、すぐに転職を考えていないけれど、いい会社があれば転職しようと考えている人を指します。つまり、ポジション、給与、福利厚生、人間関係などに関心を持てば顕在層なる確率の高い人たちです。
ダイレクトリクルーティンを行えば、従来の求人媒体・人材紹介会社に登録していない潜在層にもアプローチでき、早い段階で自社を認知してもらえます。
3.自社が求めているピンポイント人材と会える
ダイレクトリクルーティングの活用により自社にマッチしている可能性が高い人材に出会える点も、大きな魅力です。
求人媒体では、要件に合わない人も応募してくるので、選考に時間と工数が発生します。ダイレクトリクルーティングであれば、自社の要件をもとに採用担当者がピンポイントで声をかけるため、マッチした人材に出会える確率が上がります。
4.採用ノウハウを蓄積できる
ダイレクトリクルーティングは、社内の採用担当者や採用部門が工程を行うため、「どうすれば人材を効率良く見つけられるか」、試行錯誤し長期的にPDCAを回していくことになります。
その中で採用手法を確立し、アウトソーシングでは得られない採用ノウハウが蓄積できる点も、ダイレクトリクルーティングの大きなメリットと言えるでしょう。
ダイレクトリクルーティングのデメリット3つ
ダイレクトリクルーティングは低コストで自社にマッチした人材へピンポイントでアプローチできる手法です。
その一方で、大きく分けて3つのデメリットもあります。次にダイレクトリクルーティングのデメリットを解説します。
1.業務負担が増える
1つ目のデメリットは、工数が増えることにより採用担当者の負担となる点です。
人材紹介会社では、候補者選び、面接日の調整、やり取りを任せられるので、採用担当者の工数が削減できます。しかしダイレクトリクルーティングは基本的に自社がターゲットにアプローチしていくため、その過程で多くの工数が発生します。
例えばスカウトメールの作成・発信、ブランディング、メールの返信、SNSでのやり取りなどです。
このような工数増大が採用部門の負担となってしまう点がダイレクトリクルーティングのデメリットと言えます。
2.長期的な施策になりすぐに効果は出づらい
ダイレクトリクルーティングは開始したばかりだと、母集団形成ができておらず軌道になるまでは効果が出にくい傾向にあります。
ダイレクトリクルーティングを行うには、自社が求める人材を集めるために運用開始時の試行錯誤が欠かせません。
3.大量採用はしづらい
ダイレクトリクルーティングは一人ひとりに直接アプローチをしていくので、大量の採用者を出すには不向きな手法かもしれません。
このデメリットを解消するには、他の採用手法を併用し成功につなげていくことが重要です。
ダイレクトリクルーティングにかかる費用と料金体系
次に、ダイレクトリクルーティングの費用や料金の仕組みを解説します。
ダイレクトリクルーティングにかかる費用
ダイレクトリクルーティングの平均的な採用単価は利用するサービスの料金形態により変動します。相場は前述したとおり、新卒であれば月額2.5万円~、中途採用は25万円~です。
ダイレクトリクルーティングの料金体系
ダイレクトリクルーティングの料金体系は主に①先行投資型(前課金)、②成果報酬型の2種類に分けられます。それぞれの特徴と費用の相場は以下の通りです。
先行投資型(前課金)
先行投資型は、利用料を前払いする方法で、数か月から1年単位でデータベースの利用が可能です。期間内に採用をすれば料金が一律のため低コストでの採用を実現できます。先行投資型の相場は年間100~400万円程度です。
成果報酬型
成果報酬型は、入社や内定が決定したら、あらかじめ決められた金額を支払う仕組みのことです。新卒採用の相場は1人につき30~40万円、中途採用は年収の15%と言われています。なお、別途で初期費用やデータベース利用料が発生することもあります。
新卒向けダイレクトリクルーティングおすすめサービス3選
本章では、新卒の採用活動でおすすめのダイレクトリクルーティングサービスを3つピックアップしました。
1.キミスカ
キミスカは初期費用無料で10万人の学生にアプローチ可能な、中小企業に特化した新卒採用向けのダイレクトリクルーティングサービスです。学生の他社選考状況が画面上で確認でき、スカウト送信代行やエントリーの返信代行といったサービスも提供しています。
2.Offer Box
Offer Boxは、興味のある学生に会社が直接オファーを送るダイレクトリクルーティングサービスの1つです。2021年9月時点で22年卒の登録学生数は18万3,000人となっており、就活生の3人に1人がOffer Boxを利用しています。
成功報酬プランと早期プランの2種があり、両プランとも1名採用につき成功報酬38万円が発生します。なお、別途利用料がかかるケースもあります。
3.dodaキャンパス
dodaキャンパスは検索項目が豊富なため、より自社の求める人材にアプローチしやすいという特徴があります。2021年10月時点で、22年卒のオファー対象者は約10万3,000名です。費用は30万円からとなっています。
中途向けダイレクトリクルーティングおすすめサービス4選
新卒向けのサービスと使い分け、自社の求める人材にアプローチしていくことが採用活動の成功につながります。
ここでは、中途採用に適したダイレクトリクルーティングサービスを4つご紹介します。
1.Wantedly
WantadlyはFacebookやTwitterの繋がりを利用して採用できるという、大きな特徴があります。成果報酬ではなく毎月定額の料金制度となっているため、コストが抑えられる点がメリットです。2021年4月時点での登録企業数は4万社で300万人のユーザーがサービスを利用しています。
Wantedlyは、「ミッションや価値観への共感でマッチングする」方針であり、給料・待遇の掲載がなく、気軽に訪問してから選考に進むという仕組みです。
2.Green
Greenは求職者のアプローチ数に制限がなく、更新料なしで永年利用できるダイレクトリクルーティングサービスです。また掲載求人数も無制限のため、掲載情報の編集や新たな求人の追加がいつでもできる仕組みとなっています。
掲載費用は、30~90万円です。登録者数は2021年5月時点で87万人、20~39歳の登録者は全体の80%となっています。職種は34%がITとWeb系が占めており、エンジニアやクリエイティブな人材を求めている企業に適したダイレクトリクルーティングサービスと言えるでしょう。
3.BIZREACH
Bizreachはハイクラス求人を多く掲載しているダイレクトリクルーティングサービスです。登録会員数は138万人、登録企業数は2021年7月時点で1万7,100社となっています。費用は月額のデータベース利用料と、採用1人あたりにつき成果報酬が発生する仕組みです。
ハイクラス求人が多いため、30代以上で一定のキャリアを積んだ即戦力を必要としている会社におすすめのダイレクトリクルーティングサービスです。
4.キャリトレ
キャリトレは若手に特化したダイレクトリクルーティングサービスです。スカウト機能が豊富、職務経歴書や行動データをもとに求職者を抽出、採用要件に合ったユーザーをAIがレコメンドしてくれるといった特徴があります。
月額5万円で利用でき、採用につながれば成果報酬として年収の20%を支払います。
ダイレクトリクルーティングサービスの選び方・比較ポイント
ダイレクトリクルーティングは、自社に適したサービスを利用することが効率の良い採用活動を進めるポイントです。
ここでは、ダイレクトリクルーティングサービスを選ぶ方法や比較すべき点をご紹介します。
求める人材が登録しているか
自社に適した人材が多く登録している可能性の高いサービスを選び、その中から人材を探しましょう。
ダイレクトリクルーティングサービスによって登録者の傾向は大きく異なっています。例えばエンジニアに特化しているサービス、若年層が多いものやミドル層向けのものなど、さまざまです。
ダイレクトリクルーティングは自社にマッチした人材にアプローチできますが、その人材が多いサービスを利用することも重要なポイントです。
また効率良く採用をするために、自社がどのような人物を求めているのか、ターゲットを明確にしておくと良いでしょう。
返信率が高いか
ダイレクトリクルーティングサービスを利用しても、スカウトメールが開封されなかったり、返信がこなかったりすると効果が出にくいです。
スカウトの開封率や返信率の良いサービスを公式サイトなどで調べ、スカウトの工数に対する効果の高いものを選ぶことも、ダイレクトリクルーティングサービスを選ぶ上で重要な要素となります。
費用や料金体系が自社に合っているか
最後のポイントは採用活動の予算に適したサービスを選ぶことです。登録者やサービスの仕組みが自社に合っていても、一般的に使える予算は年間を通して決まっています。
予算を年度のはじめに使いすぎてしまうと、急に人手が足りなくなったときに採用のために使えるお金が少なくなり、人材が確保できず業務に支障をきたすおそれも出てきます。
サービス内容だけではなく、料金も自社に適したものを選びましょう。
ダイレクトリクルーティングを運用する上での4つのポイント
ダイレクトリクルーティングはすぐに効果が出る採用手法ではありません。次の4つのポイントを踏まえてダイレクトリクルーティングを運用し、採用活動の成功へつなげる確率をアップさせましょう。
1.専任ポジションの担当者を作る
1つ目のポイントはダイレクトリクルーティングを行う担当者を決めることです。ダイレクトリクルーティングは導入から一定期間、ノウハウの蓄積や採用プロセスを築くために試行錯誤が必要な手法です。
専任者を決めることでPDCAを回しながらノウハウをスムーズに蓄積でき、ダイレクトリクルーティングの成功につながりやすくなるでしょう。
2.返信ハードルを下げる
返信のハードルが高いと時間が経過してしまい、結果的に求職者が途中で選考から離脱してしまう可能性が高くなります。
文章をコピーアンドペーストしてすぐに返せるような工夫をし、伝えたいことを簡潔に記載して読みやすくします。また、メールの件名は本文を見なくても内容が分かる文言を書いてください。
メールなどの連絡は採用担当者だけではなく、求職者にとっても負担となります。他の企業も複数応募していると予想されるため、返信しやすさを意識して選考から離脱しないように心がけましょう。
3.経営陣など含め全体的に取り組む
従来の手法にとらわれないよう企業全体で意識改革をしていくことが、ダイレクトリクルーティングをスムーズに運用するためのポイントです。
ダイレクトリクルーティングは、従来の採用手法とはアプローチ方法やプロセス、利用するツールなどが大きく異なります。
組織全体がダイレクトリクルーティングに取り組むことで採用担当者の士気も上がり、求職者にも経営陣が身近に感じられて会社に興味を持つきっかけにもなるでしょう。
4.中長期的な計画で取り組む
ダイレクトリクルーティングは即効性があまりなく、効果が得られるまでには時間を費やしながら、ノウハウを蓄積することが大切です。
導入したからすぐに採用が成功すると考えるのではなく、中長期的な目線でPDCAを繰り返し、自社独自の採用プロセスを構築していくという認識を持ちましょう。
ダイレクトリクルーティングについてのまとめ
ダイレクトリクルーティングの概要、従来の採用手法との比較、ダイレクトリクルーティングのメリット・デメリット、新卒・中途採用ごとにおすすめのダイレクトリクルーティングサービスをご紹介しました。
ダイレクトリクルーティングを成功に導くためには会社全体で導入・運用に取り組み、時間をかけて母集団形成を行いながら、長期的に活用していくことが重要なポイントです。
ピンポイントで人材にアプローチし、効果的な採用活動を行うためにはダイレクトリクルーティングを正しく理解し、導入失敗を未然に防ぎましょう。
ダイレクトリクルーティングの導入を検討している会社や採用担当者は、記事で取り上げたダイレクトリクルーティングサービスをチェックしてみてはいかがでしょうか。