組織・人事コンサルタント(以下、組織・人事コンサル)は、人事に関するありとあらゆる課題を解決するプロフェッショナルです。
今回は、組織・人事コンサルに依頼できる業務や、コンサル選びのポイントなどについて紹介します。
Contents
組織コンサルとは
人事組織コンサルティングとは、人事評価制度構築や組織改革など、顧客の人材領域全般の課題解決を行うコンサルティングのことです。
顧客の経営戦略に基づいて現状分析、人事戦略・方針の策定を行い、その分析結果から、戦略に適合すると思われる解決策を提案します。
組織コンサルの業務領域
組織コンサルの業務は多岐にわたりますが、大きく2つの領域に分けることができます。
組織・人事制度系
1つ目は組織構築、人事制度改革、業務改革といった、制度・システム面に関する業務です。
■主な業務内容
・組織の構築・構造改革
・人事制度の構築・改革(評価報酬制度設計・改定)
・人事・事業に関する戦略立案
・業務を効率化
人手不足の問題などにより生産性向上がますます重視される中で、既存の業務内容や業務フロー、
組織構造、ビジネスルールの全体的な見直しに取り組む企業も増えているようです。
それまで単純作業にかけていた時間が削減されるため、より創造的な仕事に使う時間を確保しやすくなると言えます。
チェンジマネジメント系(人材育成・組織開発系)
2つ目は、制度・システムに対するアプローチではなく、個人の成長や組織の活性化を重視し「主体的に行動できる人材・組織」を輩出するための業務です。
■主な業務内容
・従業員の教育・能力開発
・組織全体の意識改革・行動変革
・コーチング、人材開発・研修
人材育成は、企業にとって重大なテーマです。社員が持つ能力の開発を行い、
社員が成長することによって経営理念の浸透、経営戦略の実現、業績の向上を目指します。
組織コンサル導入のメリット
組織コンサルを利用することには、どのような利点があるのでしょうか。組織コンサルを受けるメリットについて説明します。
知識や経験を活用できる
まず、専門家としてのコンサルが持っている知識や経験などを有効活用できることがメリットとして挙げられます。
組織コンサルは多くの会社事例を見てきていますし、特定の分野に関する専門知識も豊富です。専門家であるコンサルといっしょに課題解決に取り組むなかで、自社の新たなノウハウを発見し吸収できる点もメリットです。
客観的な視点を活用できる
2つ目のメリットは、社外の専門家の目で客観的な課題分析をしてもらえることです。社内で問題を解決しようとすると、それぞれの立場やしがらみが関連してしまい、不公平な対策が行われてしまうリスクがあります。
それに対し社外の専門家である組織コンサルが対応すれば、従業員の不満や反発など、社内では言いにくいことも拾い上げてもらえます。また、外務の専門家の意見であれば、社内の説得をしやすくなることもメリットです。
成功ノウハウを活用できる
3つ目のメリットは、組織コンサルが過去に成功した事例に関するノウハウを活用できることです。組織コンサルは、いくつもの企業の課題解決を行ってきているため、豊富なノウハウをもっています。
そのノウハウが得られることがメリットです。また、組織コンサルはその会社独自の慣習などに縛られることもないため、自由な発想に基づいた提案をしてくれることも期待できます。
組織コンサル導入のデメリット
組織コンサルを活用する場合、メリットだけでなくデメリットもあります。デメリットも理解したうえで利用することが大切です。ここでは、組織コンサルを活用するデメリットについて紹介します。
自社の課題解決に最適なコンサル選びが困難
1つ目のデメリットは、自社に適した組織コンサルを見つけ出すのが難しいことです。組織コンサルは多種多様であり、自社の課題を的確に抽出して解決支援をしてくれるコンサルを選定することはかなり難しい作業になります。
デメリットを最小限に抑えるためには、自社の課題を的確にとらえてもらえるように、組織コンサルとのコミュニケーションを密に図ることが重要なポイントになります。
コストが余分にかかる場合もある
2つ目のデメリットは、費用の問題です。社外コンサルを依頼する場合、自社の課題解決の内容に応じて費用が決まります。ただし、その費用だけでは済まない場合があることがデメリットです。
実行途中で新たに課題が発生することもありますし、方向性が変更されることもあるでしょう。そうなるとブラン変更を余儀なくされ、追加費用が発生することもあります。
予想外の費用発生を回避するためにも、事前に組織コンサルと費用の条件などについて十分に話し合っておくことが必要になります。
組織コンサル導入に適している会社
先ほど述べたように、組織コンサルは大きく2つに分けられます。1つは制度の見直し、もう1つは人や組織の変革を業務内容としているものです。
どちらを目的にするかで、選択すべきコンサルは変わることに注意が必要です。それぞれの組織コンサルを選ぶべき企業について解説します。
組織構築、人事制度の見直しのためのコンサル
評価報酬制度の設計や改定、事業戦略立案を委託したい会社が、組織構築や人事制度の見直しを行うタイプのコンサルに依頼するのが望ましいでしょう。
リモートワークやテレワークなど働き方改革を取り入れることを検討している会社も、このタイプのコンサルに依頼することで解決できます。
個人の成長や組織の活性化のためのコンサル
従業員の教育や能力開発を通じて成長や活性化を推進していきたい会社は個人の成長や組織活性化を支援する組織コンサルに依頼しましょう。
組織全体の意識改革や行動変革などにも対応していますので、コーチング、人材開発・研修に関して悩んでいる企業も効果が期待できます。
組織コンサル選びのポイント
組織コンサルを活用して自社の課題を効率的に解決するためには、組織コンサル選びが重要です。組織コンサル選びで失敗しないためにも、2つのポイントを知っておくとよいでしょう。そこで、組織コンサル選びにおける2つのポイントについて説明します。
自社の課題に合った専門領域であること
組織・人事コンサルの専門領域は、コンサルファームや担当者によって異なります。
そのため、自社の課題を軸に、依頼する目的を具体的に提示する必要があります。効果的なコンサルを受けるためには、改善点や目標を明確化し、関連する領域を得意とするコンサルに依頼することが最も重要です。
1つ目のポイントは、自社を課題解決に導いてくれるコンサルかどうかを見極めることです。そのためには、組織コンサルの専門分野が自社の課題と関わりが深いかどうかを確認することが必要になります。自社の課題についてしっかりヒアリングを行ってくれるかどうか、課題解決に向けてのプロセスをはっきり示してくれるかどうかでも、役に立つコンサルかどうかの判断ができます。
予算から得られる費用対効果が十分であること
2つ目のポイントは、費用対効果です。社外コンサルを利用する場合は、当然報酬という費用を負担する必要があります。
その費用に見合った効果が得られれば問題ありませんが、費用ばかりかさんで効果が得られないようでは資金が無駄になってしまいます。
費用対効果を見極めるポイントは、自社の規模に見合ったコンサル費用かどうかです。また、コンサルを受けることによって得られると期待される効果が、費用に見合っているかどうかも確認するようにしましょう。
十分な実績があること
人事に関する課題は、企業によって多種多様です。様々なケースに触れ、多くの成功事例を蓄積しているコンサルファームや担当者に依頼することは、最善策を導きだす近道です。
組織コンサル導入成功のための業務委託という選択肢
ここまで、組織コンサルについて解説してきました。組織コンサルの導入においては、多くの経験を積み、ノウハウや知識を体得している人事に依頼することが重要です。
この時の依頼先としては、組織コンサルを業務内容としている企業か、個人で組織コンサルを行っているフリーランス人事が挙げられます。近年では、フリーランスでこのような業務を行っている人事も増えてきています。
フリーランス人事には、企業単位でコンサルを請け負う場合に比べ一貫性のある施策を行ってもらいやすい、価格が抑えられるなどの利点があります。