人事の転職活動で、書類面接を通過する際に自己PRが重要となります。また面接においても、自己PRは応募者の長所や経験を判断する際に活用されます。
人事の転職では、関連する業務経験や人事としての仕事の適性が重視されます。今回は、経験者・未経験者の観点から、自己PRを考える際に参考となる書き方のコツや例文を紹介します。
人事の自己PRの書き方とポイント
人事に転職する際の自己PRでは、関連する実務経験のほか、業務で求められる専門知識を有していることが強みとなります。また、人事の経験がない未経験者の場合には、コミュニケーションスキルや調整力といった人事に求められる資質をアピールすることが大切です。まずは人事経験者と人事未経験者に分けて、自己PRのポイントをご紹介します。
人事経験者の場合
人事経験者の場合は、まずは自己PRでどのような業務を経験したのか、成果とあわせて完結に伝えましょう。採用、研修、労務管理、評価制度など、どの人事領域にどれくらい携わっていたのかが相手にわかりやすく伝わるといいでしょう。経験を伝える際には、以下の2点に注意します。
実績や経験期間を伝える
成果について話す場合、実績や経験期間を伝えましょう。たとえば、中途採用に携わった経験がある場合には、「店舗のパート・アルバイトを月に2名採用していました」というように具体的な数値とともに伝えます。
採用に限らず、人事の仕事は組織の規模や頻度、ボリュームによって求められる能力や経験が異なってきます。数値を基準として話すことで、能力や経験のすり合わせが可能です。
活かせる知識やスキルを伝える
ほかにも、業務で活かせる専門知識やスキルを持っている場合には自己PRに盛り込みましょう。たとえば、衛生管理者免許は労務管理領域で重要な資格です。
また、昨今では業務のあらゆる面でデジタルトランスフォーメーション(DX化)が進んでおり、ちょっとした動画編集や画像編集のスキルが、採用や研修資料の作成などで重宝される可能性もあります。応募先の業務で求められるスキルを想像しながら、じっくりと考えてみましょう。
人事未経験者の場合
人事未経験者の自己PRでは、人事に求められる素質を基準に自身の経験と紐づけていくといいでしょう。たとえば、採用担当のポジションに応募する場合、
- 知らない人とすぐに打ち解けられる
- 伝えたい内容をわかりやすく話せる
- プレゼンが得意
といったコミュニケーション能力がアピールポイントとなります。「人と話すのが好き」だけでコミュニケーション能力をアピールすると、曖昧な印象になってしまいますが、具体的な業務と紐づけることでぐっと説得力が増します。
志望動機を作成するポイント
転職では、自己PRと並んで志望動機が重要です。志望動機には「人事になぜなりたいのか」「なぜその会社の人事になりたいのか」を記載します。
なぜ人事になりたいのか、人事を志望する理由では、人事の仕事について魅力的に思う部分を記入するといいでしょう。人事未経験であっても、これまでの仕事で人事と関わる機会から、 何かしら仕事のやりがいについて感じることはあったはずです。 「研修内容が変わることで、チームの雰囲気が活性化した。 組織の成長と人の育成に関わるには人事がぴったりだと思った」というように個人の経験をもとに伝えましょう。人事の仕事を理解しており、かつ適性があることをアピールできます。
また、会社研究で他社にはない独自の経営戦略や人事戦略に気づいたら、理由と一緒に志望動機に 盛り込みましょう。転職への熱意や、志望度の高さが伝わります。
人事の自己PRの例文
以下に、人事の転職の際に活用できる自己PRの例文を紹介します。専門性のアピールの仕方や人事としての資質のアピールの仕方など、自己PRを作成する際の参考にしてください。
人事経験者の自己PR例文
人事経験者の自己PRでは、経験をもとに専門性や具体的なノウハウをアピールすると、面接で即戦力人材であることが伝わります。
専門性をアピールする自己PR例文
前職では、約100名規模の組織で労務管理を担当していました。御社でも使用している勤怠管理システムを活用しており、複数部署の社員の勤怠管理から給与計算まで一貫して行っていた実績があります。パート・アルバイト時短勤務など多様なきょう形態の社員がおりましたので、中〜大規模組織の社会保険手続きなど、労務管理全般に対応できます。
具体的なスキルをアピール
現職で中途採用を担当しています。今季はエンジニア採用20名を目標に採用媒体とエージェントの見直しを行いました。なかでも力を入れたのは、エンジニア人材の要件定義です。現場と打ち合わせ、明確にした要件を各エージェントに伝え、密に連絡を取ることで採用成功につなげました。また、私自身のエンジニア採用についての知識も深まりました。御社は優秀なエンジニア人材を中核に据え事業発展を続けています。必ず力になれると確信しています。
業務の成果をアピール
前職では、従業員が活き活きと働ける職場づくりのため、様々な施策に取り組みました。残業時間削減はその一例であり、部門トップとともに残業時間30%削減を目標に、業務フローの見直しや評価基準の見直しを実施。基準以上の残業をマイナス評価に組み込むことで、成果を意識する働き方を社内に浸透させました。制度を通じて人のパフォーマンスがかわることを実感しており、今後は健康経営や多様性ある組織作りに取り組んでいきたいです。
人事未経験者の自己PR例文
人事未経験者の自己PRでは、主体性やコミュニケーション力など、職務経験と人事に求められる素質とを結び付けてアピールするといいでしょう。
主体性や実行力をアピールする
私は、周りを巻き込んでプロジェクトを進める重要さを現職で学びました。新卒で入社した会社ではテレワークが主流であり、最初の数カ月は上司はおろか動機とも雑談する機会がありませんでした。そこで先輩と上司に相談したところ、雑談メインのチャットルームを設けるアイディアをいただきました。はじめは同期を誘うだけでしたが、上司と人事に提案したところ正式な社内制度となり、いまでは映画・ヨガ・キャンプなど複数のコミュニティが立ち上がっています。自らがプロジェクトを進めるという責任を持ち、周りを巻き込む実行力を身につけました。
コミュニケーション力をアピールする
私は、人々と適切なタイミングで関係性を深めるすべを今の営業で学びました。営業ときくと、どうしても最初は警戒するお客様もいます。そのことに気づいてからはとりわけ最初の段階で「モノを売る」ということを辞めました。お客さまにとって有益な情報を提供し、信頼関係を築きながら、必要な情報を少しずつお伝えする営業スタイルに変えていったところ、営業目標成績を4期連続して達成することができました。このように、相手の望むものを汲み取り、行動に変える力があります。このコミュニケーション能力は、人事として社内のさまざまな人々に関わる際も、必ず役に立つと信じています。
未経験から人事を目指す方は、以下の記事も併せて参考にしてください。
人事の自己PRに関するよくある質問と回答
自己PRを作成する際によくある質問について回答します。
自己PRは何文字程度で記載すべき?
とくに決まった文字数はありませんが、読みやすさを考慮した場合100文字~200文字前後でまとめるのが望ましいといえるでしょう。経験や実績を盛り込みつつ、入社後にいかに貢献できるかをまとめると、相手にわかりやすく伝わります。
面接で自己PRを伝える時のポイントは?
面接で口頭にて自己PRを行うときもあります。その際は、焦らず、ゆったりとした口調ではっきりと話すように心がけましょう。話す時間は、できれば2~3分ぐらいに納めるのがベストです。実際に話してみると、短い時間で納めるのが難しいと感じるかもしれません。面接前に練習をしてみるといいでしょう。
また、自己PRの前にいくつかの質問をしている場合は、丸暗記の内容を話すのではなく、面接の流れに応じて適切にアレンジを加えましょう。
自己PRと志望動機の違いは?
自己PRや転職理由など、転職ではさまざまな項目をまとめるため、似たような内容を何回も考えている気分になるかもしれません。自己PRとは、自分の経験をもとに強みをまとめ、転職先での貢献内容をアピールすることです。一方、志望動機とは、なぜその会社に応募したのか、働く熱意と真剣さをアピールする項目になります。
応募する求人にあわせ、自分の長所を適切にアピールするために、自身の経歴や成果の棚卸を行いましょう。自己PRを作成する過程で、企業研究を合わせて行うと、志望動機を作成する際の参考になります。