労務・人事系の資格・検定の種類一覧!おすすめや難易度を紹介

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人事や労務のキャリアアップに、専門知識の取得は欠かせません。実務で経験を積む方法もありますが、短期間で知識を得るには資格取得が確実な方法です。労務・人事系の資格として代表的な社会保険労務士以外にも、キャリアにつながる資格があります。

この記事では、仕事で役立つ知識が習得でき、スキルアップにつながる労務・人事系資格の内容・特徴・難易度についてご紹介します。

労務や人事の仕事に資格は必要?

労務管理など人事系の仕事に就く場合、特別な資格は不要です。しかし、労務や人事としてキャリアアップを考えるなら、資格取得が後押ししてくれます。なぜなら、人事系の業務は、労務管理、採用、人材育成、給与計算と多岐に渡り、求められる専門知識も業務によって異なるからです。

実務のみで経験を積む場合、ジョブローテーションのように幅広い業務を担当できる環境であれば、時間とともにスキルアップできるでしょう。しかし担当者によって「労務」「採用」「総務」と業務が縦割りになる職場は、担当分野以外の知識はなかなか増えません。

資格は、特定の領域に関する専門知識を有している証明になります。業務に必要な法律を理解しているという点で、キャリアアップの後押しになるほか、キャリアへの意欲の高さもアピールできます。また、転職に際しても強い武器となってくれるでしょう。

労務・人事系のおすすめ資格・検定一覧

労務・人事系の資格取得を考える場合、望むキャリアに適しているかを選ぶ基準にするといいでしょう。たとえば、労務管理のスペシャリストを目指している場合、職業選択や能力開発を支援するキャリアコンサルタントの資格を活用できるチャンスは多くありません。

以下に、労務・人事系で役立つ7つの資格について、内容・特徴・難易度を解説します。

名称種類分野合格率受験料
社会保険労務士国家資格労務・人事関連の法律全般約6%~7%15,000円
キャリアコンサルタント国家資格キャリア形成支援約60%学科:8,900円実技:29,900円
メンタルヘルス・マネジメント検定民間資格メンタルヘルス・健康経営Ⅰ種:約20%Ⅱ種・Ⅲ種:約60%~80%Ⅰ種:11,500円Ⅱ種:7,480円Ⅲ種:5,280円
衛生管理者免許国家資格労働安全衛生約40%~55%6,800円
人事総務検定民間資格労務・人事関連の法律全般非公開1級:11,000円2級:7,640円3級:5,090円
ビジネス・キャリア検定民間資格労務・人事関連の法律全般3級・2級:約50%1級:10%代BASIC:不明1級:11,000円2級:7,700円3級:6,200円BASIC:3,300円
マイナンバー実務検定民間資格マイナンバー制度・個人情報保護法非公開1級:11,000円2級:8,800円3級:7,700円

1.社会保険労務士(社労士)

社会保険労務士は、人事・労務系の代表的資格です。国家資格であり、資格保有者は人事労務管理のスペシャリストとして認められ、企業の専門職として働くほか、独立して事務所を構えるケースもあります。

社労士とは何をしてくれる?仕事内容や選び方をわかりやすく簡単解説

社労士の特徴 

社会保険労務士の大きな特徴は、人事労務関連の法律の専門家として、「手続き代行業務」と「書類作成業務」という独占業務に従事できる点です。

また、近年では働き方改革の流れを受け、従業員が活き活きと働ける職場づくりのため、制度や就業規則などを見直す企業が増えています。複雑化する人事労務問題に、法律と実務の両面からコンサルティングを行うのも、社労士の重要な仕事です。

労務問題に強い関心がある人や、生涯にわたり人事スペシャリストとして専門スキルを身に着けたい人に向いている資格といえます。

試験概要・合格率

社労士を名乗るには、資格試験の合格に加え、2年以上の実務経験と、毎年社会保険労務士会に年会費を納め登録手続きを行う必要があります。全国の社労士は約4万人。毎年行われる試験では、約3万〜4万人が受験しますが合格者はわずか2〜3千名、合格率6%〜7%前後(2021年実績7.9%)と狭き門となっています。

参考:社労士とは|全国社会保険労務士連合会

社会保険労務士試験オフィシャルサイト

2.キャリアコンサルタント

キャリアコンサルタントは、職業選択やキャリアプランニング、職業能力開発について、人々の相談に応じ、適切なアドバイスや指導を行うキャリアの専門家をいいます。国家資格であり、キャリアコンサルタントを名乗るには登録が必要です。

キャリアコンサルタントの特徴

キャリアコンサルタントの主な仕事は、相談者の悩みに寄り添い、自己理解ができるよう促し、キャリアをサポートすることです。キャリア形成支援のプロフェッショナルとして、企業内で従業員のキャリア形成を支援するほか、人材紹介会社、教育機関、行政などでも活躍の場があります。

キャリアコンサルタントの価値は、専門知識に加え、相談者の悩みに寄り添う傾聴力や、助言を通じた課題解決力にあります。人の役に立つ仕事に喜びを感じる人に向いている資格です。

試験概要・合格率

キャリアコンサルタント試験は、3年以上の関連実務経験や厚生労働大臣の認定する講習の修了者など、一定の受験資格が必要です。学科試験と実技試験に合格し、キャリアコンサルタント名簿に登録する必要があります。登録は5年の更新制です。5千人前後の受験者で2千人強が合格するという、約60%前後の合格率となっています(2022年実績、学科合格率61.6%、実技合格率61.1%

参考:キャリアコンサルタント試験

3.メンタルヘルス・マネジメント検定

メンタルヘルス・マネジメント検定とは、働く人のメンタルヘルス不調を予防し、活力ある職場づくりに向けて、メンタルヘルスに関する知識や実務での対処方法を学ぶ検定試験です。

メンタルヘルス・マネジメント検定の特徴

メンタルヘルスの未然防止、早期発見と対処、治療と職場復帰及び再発防止という3つの領域において、求められる支援方法や専門知識を学びます。従業員の健康状態が、企業の業績に影響を与えると認識されている現代において、人事に求められる知識といえます。

健康経営やメンタルヘルス対策に強い関心を持ち、社内での取り組みを通じて、より良い職場づくりに貢献したいと考える人に適した資格です。人事として行うべきメンタルヘルス対策や、産業医との連携、適切な研修・教育計画を学べるほか、メンタル不調の従業員が表れた際の支援方法について知識を身に着けられます。

試験概要・合格率

試験は3コースに分かれており、社内全体のメンタルヘルス対策推進を目的としたⅠ種(マスターコース)、管理者として部下やチームのメンタルヘルス対策推進を目的としたⅡ種(ラインケアコース)、自らのメンタルヘルス対策推進を目的としたⅢ種(セルフケアコース)から選択肢受験できます。Ⅰ種の合格率は20%前後、Ⅱ種とⅢ種は60%~80%となっています。

参考:メンタルヘルス・マネジメント検定

4.衛生管理者免許

常時50人以上の労働者がいる事業場では、最低1名以上の「衛生管理者」を任命する必要があります。この衛生管理者の資格を取得できるのが、衛生管理者免許です。労働安全衛生法に基づく国家資格であり、職場の衛生環境を管理し労働者の安全を守る専門家といえます。

衛生管理者免許の特徴

衛生管理者の仕事は、主に以下の4つがあります。

  • 労働者の危険、健康障害を防止する措置を行うこと
  • 労働者に対して、健康及び衛生に関する教育を行うこと
  • 健康診断の実施など、健康の保持・増進のための措置を行うこと
  • 労働災害の原因を調査し再発防止の措置をとること

労務管理の仕事に興味がある人や、より専門的な資格を取得したいと考えている人に適した資格です。また、製造業や建築業、電気・ガス産業など、労働安全衛生が重要視される企業の人事としても、重宝される資格といえます。

試験概要・合格率

試験には第一種免許と第二種免許があります。第一種免許は全業種で対応可能ですが、第二種免許の場合は、農林畜水産業や製造業、水道業、運送業、医療業といった有害業務と関連ある業種では対応できません。合格率は40%~55%となっています。

参考:公益財団法人安全衛生技術試験協会

5.人事総務検定

一般社団法人人事総務スキルアップ検定協会が主催する、人事総務部で求められる知識および実務能力に関する検定試験です。社会保険労務士試験と出題範囲が重複する部分が多く、学習を通じて、労務管理に必要な専門知識を身に着けられます。

人事総務検定の特徴

就業規則や労災保険の手続き、社会保険料の算定処理、従業員の入退社処理など、人事労務関連業務で求められる専門知識を身に着け、スキルアップを考える人に適した資格です。実務にすでに就いている方でも、人事労務関連の基礎知識を体系的に学ぶことができます。

試験概要・合格率

3級/担当者レベル、2級/主任レベル、1級/課長レベルとレベル別に試験が設定されています。3級および2級は、特別認定講習の修了を持って試験免除とすることもできます。合格率は非公開です。

参考:人事総務検定

6.ビジネス・キャリア検定

ビジネスキャリア検定とは、厚生労働省の定める職業能力評価基準に基づいた専門知識の習得・実務能力の評価を目的とした検定です。「人事・人材開発・労務管理」「経理・財務管理」「営業・マーケティング」「生産管理」「企業法務・総務」「ロジスティクス」「経営情報システム」「経営管理」の8分野からなり、それぞれ1級からBASIC級の4等級が設定されています。

ビジネス・キャリア検定の特徴

人事・労務管理について体系的な知識を身に着けたいと考えている人に向いている資格です。人事・労務として実務に従事する上で、必ず必要となる専門知識を習得できるため、社員の教育の一環として導入する企業もあります。実務に直結したスキルアップを目指す人に適した内容が学べます。

試験概要・合格率

厚生労働省の講演で、全国の都道府県で開催されています。8分野の中から、自分に合った等級を選択して受験します。BASICは新入社員、3級は実務経験3年、2級は実務経験5年、1級は実務経験10年以上と目安となるキャリアが設定されているため、経験年数に応じて受験できます。合格率は3級や2級は50%前後ですが、1級となると10%代の狭き門となります。

参考:ビジネス・キャリア検定

7.マイナンバー実務検定

マイナンバー実務検定とは、マイナンバー制度に関連するさまざまな法律を理解し、正しい実務を行うための知識を有しているか評価する検定です。

マイナンバー実務検定の特徴

人事・労務の仕事では、社会保険手続きや年末調整など、さまざまな場面でマイナンバーを扱います。個人情報の取り扱いについての正しい知識も求められます。個人情報保護法や、特定個人情報の適切な取り扱いに関するガイドラインなど、実務で役立つ知識を正しく学びたい人に適した検定試験です。

試験概要・合格率

試験は1級・2級・3級に分かれており、どの等級からでも受験できます。合格率は非公開です。

参考:マイナンバー実務検定

「労務管理士」は社労士と全く違う資格

社労士と似た資格に、労務管理士があります。労務管理士は、社労士と同じように労務管理に関する法律や実務上の対応を学ぶ資格ですが、民間資格となっており、主催する団体によって評価基準が異なります。

検定試験だけでなく、団体が主催する通信講座や実務講習を修了することで、資格認定を受ける道がある点が特徴です。検定会場から離れた地方に住んでいる場合や、実務に役立つ労務管理の知識を、自らのペースで学びたいという方に適した資格です。

ただし、社労士のように国家資格としては認められておらず、労務管理士の資格認定を受けたからといって、社労士の行う独占業務に従事することはできないため注意が必要です。

労務の資格に関するまとめ

人事・労務の仕事は、資格が必要な職種ではありませんが、労働基準法などさまざまな専門知識を扱う専門職です。そのため、スキルアップには体系的に知識を身に着ける資格取得が役立ちます。

現在の仕事内容や、今後従事したいと考える業務に適した資格を選択することで、キャリアアップにつながるでしょう。